癌の診断および治療のためのVISTA調節剤专利检索- ....抗B7分子例如CD80CD86专利检索查询-专利查询网 (2024)

関連出願の開示 本出願は、2012年9月7日に出願された米国仮出願第61/698,003号に対する優先権を主張する。加えて、本出願は、2012年6月22日に出願された、「VISTA−IG FOR TREATMENT OF AUTOIMMUNE DISORDERS AND INFLAMMATORY DISORDERS」と題される米国仮出願第61/663,431号(弁理士整理番号76799.000600)および2012年6月25に出願された「VISTA−IG FOR TREATMENT OF AUTOIMMUNE DISORDERS AND INFLAMMATORY DISORDERS」と題される米国仮出願第61/663,969号(弁理士整理番号76799.000600)に関する。上に特定された特許出願のすべては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

分野 本開示は、免疫応答の活性化を、それを必要とする患者において行うための組成物および治療方法に関する。好ましい実施形態において、本主題の方法および組成物は、免疫寛容に寄与する天然の「チェックポイント」タンパク質であるVISTAの活性に、任意にPD−1等の第2のチェックポイント経路のアンタゴニストとの組み合わせで、拮抗することができる。例えば、そのような方法および組成物は、結腸癌または別の癌の防止および治療に好適であり得る。例示的なVISTAアンタゴニスト、特に、抗VISTA抗体は、インビトロおよびインビボで癌細胞に対する免疫応答を活性化し、それによって、防御的抗腫瘍免疫を与え、これが腫瘍量を減少させることが、本明細書に示される。さらに、VISTAアンタゴニストを、第2のチェックポイントタンパク質アンタゴニスト、特に、PD−1リガンド(PD−L1)に対する抗体と組み合わせて使用した場合に、付加的利益が観察された。

別の態様において、本開示は、免疫寛容によって媒介される疾患を診断するためにVISTAの発現レベルを測定することを含む、診断方法に関する。例えば、患者試料における高レベルのVISTA発現(例えば、VISTAタンパク質またはmRNA)の検出は、癌の存在を示し得る。さらに、これらの診断試験は、例えば、患者の試料における高レベルのVISTA発現の検出に基づいてVISTAアンタゴニストを投与することによる、治療を患者に割り当てるために使用することができる。

外来性病原体および癌に対する免疫応答は、CTLA−4、PD−L1/PD−1、およびB7−H4経路を含む、複数のチェックポイントによって制御される。それらは、Treg、骨髄系由来サプレッサー(MDSC)、および寛容原性DCを含む複数の免疫抑制細胞上で「エフェクター分子」として機能して、腫瘍特異的T細胞応答を停止させる。

CTLA−4は、活性化によりT細胞上に誘導され、Foxp3+CD4+CD25+天然のTreg(nTreg)に構成的に発現される。CTLA−4は、末梢寛容を決定的に制御し、T細胞応答を抑制し、Tregに媒介される免疫抑制に寄与する(参考文献6〜10)。細胞性ワクチンと組み合わせた抗体媒介性CTLA−4の封鎖が、確立された免疫原性に乏しいB16黒色腫の退縮を誘導した場合、腫瘍特異的免疫の抑制におけるCTLA−4の重要な役割が示される(11)。ヒトaCTLA−4 mAbであるイピリムマブは、進行性黒色腫の治療に認可されているが、転移性黒色腫における生存応答はそれほどでもない(12)。それは、他の癌での初期臨床試験も行われている(13)。 しかしながら、CTLA−4ノックアウト(KO)マウスにおける重度の自己免疫表現型と一致して、aCTLA−4治療は、患者における重大な自己免疫毒性を伴った(14)。

プログラム死−1(PD−1)およびそのリガンドPD−L1は、別の免疫チェックポイント経路を表す(参考文献15、16)。PD−1 KOマウスは、自己免疫疾患を発症した(参考文献17、18)癌では、異常なPD−L1発現が腫瘍細胞に見られ、これは、癌患者の予後不良と相関する(参考文献19、20)。PD−L1/PD−1軸は、T細胞アポトーシス、アネルギー、細胞傷害性T細胞媒介性溶解に対する耐性、機能消耗、およびIL10産生を誘導することによって、腫瘍特異的免疫を下方制御する(参考文献21〜23)。我々および他の研究者は、DC上のPD−L1の発現がFoxp3+適応性Treg(aTreg)の誘導を促進し、PD−L1がTME内でのaTregの強な誘導因子であることを前に実証した(2)。PD−L1/PD−1経路の遮断は、CTLA−4封鎖等の他の免疫療法と併せて、腫瘍進行を抑制する(参考文献24〜29)。ヒトaPD−1 mAbであるMDX−1106は、見込みのある抗腫瘍効果を示して臨床試験に入っており、イピリムマブ(Ipilumimab)と比較して毒性が低減されている(30)。

B7−H4は、B7阻害性リガンドファミリーのより新しいメンバーである(参考文献31〜33)。B7−H4発現は、多数のヒト癌に検出される。ヒト卵巣癌において、B7−H4の発現が腫瘍関連マクロファージ(TAM)上に誘導され、その封鎖は、腫瘍特異的T細胞応答を回復させ、腫瘍退縮に寄与した(34)。ヒトTregはまた、APCによって産生されるIL10を通じてB7−H4発現を上方制御することによって、抑制活性をAPCに伝える(35)。

まとめると、免疫チェックポイント封鎖は、内在性およびワクチン誘起性の両方の抗腫瘍免疫応答を改善したが、臨床試験では限定された応答をもたらしたのみであった。

Foxp3+CD4+CD25+制御性T細胞(Treg)は、正常な生理学的条件下における末梢寛容の維持、ならびに癌における抗腫瘍免疫応答の抑制に重要である(36〜38)。ヒト卵巣癌において、Foxp3+Tregの広範囲の浸潤は、生存率の低下と関連する(39)。Tregの系統的除去またはそれらの機能の減弱化は、天然およびワクチン誘導性の抗腫瘍T細胞応答を強化し、結果として治療的有効性の改善をもたらす(37、40)。IDO+形質細胞様DCにより活性化されたTregは、標的DC上でのB7−H1発現を上方制御し、PD−L1依存性様式でT細胞応答を抑制する(41)。

単球は、組織マクロファージおよび単球由来のDC(mo−DC)の前駆体であり、これらは、自然免疫および獲得免疫の両方に重要な役割を果たす(42〜46)。マウスの単球は、CD115+CD11b+F4/80+として特定され(47)、LY6C+CX3CR1intおよびLY6C−CX3CR1hiの2つのサブセットからなる(48、49)。ヒトの対応物は、それぞれ、CD14+CD16−CCR2+CX3CR1intおよびCD14loCD16+CX3CR1hi単球である。マウスのLy6C+炎症性単球(IMC)は、炎症部位に動員され、M1マクロファージおよび炎症性mo−DCに分化し、これらは、高レベルのTNF/iNOS(Tip DC)を産生し、生物クリアランスに重要である43、50〜53。対照的に、常在性LY6Cneg単球は、定常状態で血管を巡回し、感染および炎症時にはM2様マクロファージへと分化する(46)。

IMCは、獲得免疫応答に決定的に影響を及ぼす。ヒトでは、TLRは、単球からマク ロファージおよびmo−DCへの分化を誘導し、これらは、最適なT細胞応答に必要である(54、55)。マウスモデルにおいては、単球由来のM1マクロファージおよびmo−DCは、IL−12等の炎症性サイトカインの産生を介した微生物感染またはワクチン接種に対するT細胞免疫の誘導、および直接的なT細胞予備刺激に必須である(56〜58)。

腫瘍保持マウスおよび癌患者において、IMCは、異常に増殖し、骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)の単核サブセットに寄与する(59〜61)。MDSCは、集合的にCD11b+Gr1+として示され、単核(Ly6G+/−LY6C−hi)および顆粒球(Ly6G+LY6Clow)のサブセットからなる(62)。MDSCは、T細胞応答を抑制し、癌免疫療法の有効性を妨げる(60、62〜64)。MDSCの排除、またはそれらの活性の中和、またはそれらの分化の誘導のための戦略は、癌免疫療法における有効性を示している(60、63)。腫瘍関連DCの大部分は、単球由来のDCである。それらは、典型的に、抗原提示に欠損があり、共刺激分子が欠落し、PD−L1等の阻害性分子を上方制御する(29、65、66)。したがって、これらのmo−DCは、T細胞応答を効果的に予備刺激せず、結果として欠失した寛容または機能的に不活性なT細胞の誘導をもたらし、さらにはTregの増殖および誘導をもたらす(40、60、62、63、67、68)。PD−L1封鎖、CD40/TLR刺激、または免疫毒素媒介性枯渇による、腫瘍DCの治療的標的化は、腫瘍特異的T細胞応答を増加させ、生存率を高めた(29、69〜74)。

我々は、T細胞活性化のVドメイン免疫グロブリン抑制因子(VISTA)と指定される新規な免疫グロブリン(Ig)ファミリーリガンドを最近発見した(Genbank:JN602184)75。VISTAの主要な特徴には次のものが含まれる。VISTAは、PD−L1に対する限定された相同性を有するが、その固有の特徴のため、B7ファミリーには属さない。VISTAは、造血コンパートメント内に限定して発現し、CD11bhigh骨髄性細胞上に非常に高いレベルで発現し、CD4+およびCD8+T細胞、ならびにTregには低いレベルで発現する。可溶性VISTA−Ig融合タンパク質またはAPC上に発現したVISTAは、リガンドとして機能して、PD−1から独立した未確認の受容体を介して、CD4+およびCD8+T細胞の増殖ならびにサイトカイン産生を抑制する。抗VISTA mAb(13F3)は、抗腫瘍T細胞応答を強化することによって、インビトロでVISTA媒介性T細胞応答を逆転させ、複数のマウス腫瘍モデルにおいて腫瘍成長を抑制した。腫瘍細胞上でのVISTAの過剰発現は、ワクチン接種した宿主における防御的抗腫瘍免疫を損傷させた。VISTA KOマウスは、炎症性表現型を発達させ、これは、末梢寛容の消失の方向へと向かわせる。米国特許第8,236,304号および同第8,231,872号、公開済みの国際出願第WO/2011/120013号および同第WO/2006/116181号、米国公開出願第2008/0287358号、同第2011/0027278号、および同第2012/0195894号、ならびに米国仮特許出願第60/674,567号(2005年4月25日出願)、同第61/663,431号(2012年6月22日出願)、同第61/663,969号(2012年6月25日出願)、同第61/390,434号(2010年10月06日出願)、同第61/436,379号(2011年1月26日出願)、および同第61/449,882号(2011年3月07日出願)を参照されたく、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

したがって、我々は、VISTAが、決定的に、免疫応答を制御する、新規な免疫チェックポイントタンパク質リガンドであること、およびVISTA封鎖が、腫瘍内微小環境(TME)の抑制特性を逆転させ、防御的抗腫瘍免疫の発達をもたらすことを仮定する。

免疫系は、共刺激性および共阻害性のリガンドならびに受容体によって、緊密に制御さ れる。これらの分子は、T細胞活性化のための第2のシグナルだけでなく、自己に対する免疫を制限しながら感染に対する免疫応答を最大化するように、正および負のシグナルのバランスのとれたネットワークも提供する。

免疫応答の誘導は、T細胞増殖、分化、収縮、およびT細胞記憶の確立を必要とする。T細胞は、抗原提示細胞(APC)に遭遇し、APC上でのT細胞受容体(TCR)/主要組織適合複合体(MHC)相互作用を介して情報交換しなければならない。TCR/MHC相互作用が確立されると、T細胞とAPCとの間の他の組の受容体−リガンドの接触、すなわち、CD154/CD40およびCD28/B7.1−B7.2の共刺激が必要とされる。これらの接触間の相乗効果は、病原体および腫瘍を除去することができ、および自己免疫を誘導することができる場合のある、生産的免疫応答をもたらす。

別のレベルの制御、すなわち、制御性T細胞(Treg)が特定されている。T細胞のこの特定のサブセットは、胸腺で生成され、末梢に送達され、T細胞応答を一定かつ誘導可能に制御することができる。Sakaguchi(2000)Cell 101(5):455−8、Shevach(2000)Annu.Rev.Immunol.18:423−49、Bluestone and Abbas(2003)Nat.Rev.Immunol.3(3):253−7。Tregは、CD4+CD25+表現型によって表され、高レベルの細胞傷害性Tリンパ球関連抗原−4(CTLA−4)、OX−40、4−1BB、およびグルココルチコイド誘導性TNF受容体関連タンパク質(GITR)もまた発現する。McHugh,et al.(2002)Immunity 16(2):311−23、Shimizu,et al.(2002)Nat.Immun.3(2):135−42。5日齢の新生児胸腺摘出または抗CD25を用いた抗体枯渇によるTreg細胞の排除は、自己免疫病理の誘導、ならびに増大した抗腫瘍応答を含む、外来および自己抗原に対するT細胞応答の悪化をもたらす。Sakaguchi,et al.(1985)J.Exp.Med.161(1):72−87、Sakaguchi,et al.(1995)J.Immunol.155(3):1151−64、Jones,et al.(2002)Cancer Immun.2:1。加えて、Tregは、抗CD25モノクローナル抗体によるTregの枯渇が移植寛容の消失および急速な移植片拒絶をもたらすため、移植寛容の誘導および維持にも関与している。Jarvinen,et al.(2003)Transplantation 76:1375−9。Tregによって発現される受容体の中でも、GITRは、Tregの表面におけるGITRとアゴニストモノクローナル抗体とのライゲーションが、Treg活性の迅速な終結をもたらし、結果として自己免疫病理および移植寛容の消失をもたらすため、重要な構成要素であると見られる。

共刺激性および共阻害性のリガンドならびに受容体は、T細胞活性化のために「第2のシグナル」だけでなく、自己に対する免疫を制限しながら感染に対する免疫応答を最大化するように、正および負のシグナルのバランスのとれたネットワークも提供する。最もよく特徴付けられている共刺激性リガンドは、B7.1およびB7.2であり、これらは、プロフェッショナルAPCによって発現され、それらの受容体は、CD28およびCTLA−4である。Greenwald,et al.(2005)Annu Rev Immunol 23,515−548、Sharpe and Freeman(2002)Nat Rev Immunol 2,116−126。CD28は、ナイーブT細胞および活性化T細胞によって発現され、最適なT細胞活性化にとって極めて重要である。対照的に、CTLA−4は、T細胞の活性化により誘導され、B7.1/B7.2に結合することによってT細胞活性化を阻害し、したがって、CD28媒介性共刺激を障害させる。CTLA−4はまた、その細胞質ITIMモチーフを通じて負のシグナルも伝達する。Teft,et al.(2006).Annu Rev Immunol 24,65−97。B7.1/B7.2 KOマウスは、獲得免疫応答に障害を有し(Borri ello,et al.(1997)Immunity 6,303−313、Freeman,et al.(1993)Science 262,907−909)、一方でCTLA−4 KOマウスは、炎症を適切に制御することができず、全身性自己免疫疾患を発症する。Chambers,et al.(1997)Immunity 7,885−895、Tivol,et al.(1995)Immunity 3,541−547、Waterhouse,et al.(1995)Science 270,985−988。B7ファミリーリガンドは、共刺激性B7−H2(ICOSリガンド)およびB7−H3、ならびに共阻害性B7−H1(PD−L1)、B7−DC(PD−L2)、B7−H4(B7S1もしくはB7x)、およびB7−H6を含むまでに拡張している。Brandt,et al.(2009)J Exp Med 206,1495−1503、Greenwald,et al.(2005)Annu Rev Immunol 23:515−548を参照されたい。

誘導型共刺激性(ICOS)分子は、活性化されたT細胞上に発現され、B7−H2に結合する。Yoshinaga,et al.(1999)Nature 402,827−832を参照されたい。ICOSは、T細胞の活性化、分化、および機能に重要であり、ならびに、Tヘルパー細胞誘導性B細胞活性化、Igクラススイッチ、および胚中心(GC)形成に必須である。Dong,et al.(2001)Nature 409,97−101、Tafuri,et al.(2001)Nature 409,105−109、Yoshinaga,et al.(1999)Nature 402,827−832。プログラム死1(PD−1)は、一方で、T細胞応答を負に制御する。PD−1 KOマウスは、遺伝的背景に応じて、ループス様自己免疫疾患、または自己免疫拡張型心筋症を発症する。Nishimura,et al.(1999)Immunity 11,141−151。Nishimura,et al.(2001)Science 291:319−322。自己免疫は、リガンドPD−L1およびPD−L2の両方によるシグナル伝達の消失に起因する可能性が最も高い。最近、CD80が、T細胞に阻害性シグナルを伝達するPD−L1の第2の受容体として特定された。Butte,et al.(2007)Immunity 27:111−122。B7−H3およびB7−H4の受容体は、依然として未知のままである。

最もよく特徴付けられている共刺激性リガンドは、B7.1およびB7.2であり、これらは、Igスーパーファミリーに属し、プロフェッショナルAPC上に発現し、それらの受容体は、CD28およびCTLA−4である。Greenwald,et al.(2005)Annu Rev.Immunol.23:515−548。CD28は、ナイーブT細胞および活性化T細胞によって発現され、最適なT細胞活性化にとって極めて重要である。対照的に、CTLA−4は、T細胞の活性化により誘導され、B7.1/B7.2に結合することによってT細胞活性化を阻害し、CD28媒介性共刺激を障害させる。B7.1およびB7.2 KOマウスは、獲得免疫応答に障害を有し(Borriello,et al.(1997)Immunity 6:303−313)、一方でCTLA−4 KOマウスは、炎症を適切に制御することができず、全身性自己免疫疾患を発症する。Tivol,et al.(1995)Immunity 3:541−547、Waterhouse,et al.(1995)Science 270:985−988、Chambers,et al.(1997)Immunity 7:885−895。

B7ファミリーリガンドは、共刺激性B7−H2(誘導型T細胞共刺激因子[ICOS]リガンド)およびB7−H3、ならびに共阻害性B7−H1(PD−L1)、B7−DC(PD−L2)、B7−H4(B7S1もしくはB7x)、およびB7−H6を含むまでに拡張している。Greenwald,et al.(2005)Annu Rev.Immunol.23:515−548、Brandt,et al.(2009)J. Exp.Med.206:1495−1503。したがって、さらなるCD28ファミリー受容体が特定されている。ICOSは、活性化T細胞上に発現し、B7−H2に結合する。ICOSは、正の共制御因子であり、これは、T細胞の活性化、分化、および機能にとって重要である。Yoshinaga,et al.(1999)Nature 402:827−832、Dong,et al.(2001)J.Mol.Med.81:281−287。対照的に、PD−1(プログラム死1)は、T細胞応答を負に制御する。PD−1 KOマウスは、ループス様自己免疫疾患または自己免疫拡張型心筋症を発症した。Nishimura,et al.(1999)Immunity 11:141−151、Nishimura,et al.(2001)Science 291:319−322。自己免疫は、リガンドPD−L1およびPD−L2の両方によるシグナル伝達の消失に起因する可能性が最も高い。最近、CD80が、T細胞に阻害性シグナルを伝達するPD−L1の第2の受容体として特定された。Butte,et al.(2007)Immunity 27:111−122。

2つの阻害性B7ファミリーリガンドPD−L1およびPD−L2は、明確に異なる発現パターンを有する。PD−L2は、DCおよびマクロファージ上に誘導可能に発現し、一方でPD−L1は、造血細胞型および非造血細胞型の両方に広範に発現する。Okazaki&Honjo(2006)Trends Immunol.27(4):195−201、Keir,et al.(2008)Ann Rev Immunol.26:677−704。PD−1受容体の免疫抑制性の役割と一致して、PD−L1−/−およびPD−L2−/−マウスを用いた研究は、両方のリガンドが、T細胞増殖およびサイトカイン産生の阻害において重複する役割を有することを示した。Keir,et al.(2006)J Immunol.175(11):7372−9。PD−L1欠損は、自己免疫性糖尿病の非肥満性糖尿病モデル、および多発性硬化症(実験的自己免疫性脳脊髄炎[EAE])のマウスモデルの両方において、疾患の進行を強める。Ansari,et al.(2003)J.Exp.Med.198:63−69、Salama,et al.(2003)J.Exp.Med.198:71−78、Latchman,et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.101:10691−10696。PD−L1−/−T細胞は、両方の疾患モデルにおいて、上昇したレベルの炎症促進性サイトカインを産生する。加えて、BMキメラ実験は、PD−L1の組織発現(すなわち、膵臓内)が、炎症を局部的に制御するその能力に固有に寄与することを示している。Keir,et al.(2006)J.Exp.Med.203:883−895、Keir,et al.(2007)J.Immunol.179:5064−5070、Grabie,et al.(2007)Circulation 116:2062−2071。PD−L1はまた、同種異系胎児に対する母体免疫応答を決定的に制御する、胎盤の合胞体栄養細胞上に高度に発現する。Guleria,et al.(2005)J.Exp.Med.202:231−237。

その免疫抑制的な役割と一致して、PD−L1は、抗腫瘍免疫応答を強力に抑制し、腫瘍が免疫監視から逃れることを補助する。PD−L1は、高レベルのPD−1を発現する浸潤性細胞傷害性CD8+T細胞のアポトーシスを誘導し得る。Dong,et al.(2002)Nat.Med.8:793−800、Dong and Chen(2003)J.Mol.Med.81:281−287。他の免疫療法と併せて、PD−L1−PD−1シグナル伝達経路を遮断することで、抗腫瘍CTL活性およびサイトカイン産生を強化することにより腫瘍の進行を防止する。Iwai,et al.(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:12293−12297、Blank,et al.(2004)Cancer Res.64:1140−1145、Blank,et al.(2005)Cancer Immunol.Immunother.54:307−314、Geng,et al.(2006)Int.J.Cancer 118:2657−2664。DCでのPD−L1発現は、適応性Foxp3+ CD4+制御性T細胞(Treg細胞)の誘導を促進し、PD−Lは、腫瘍内微小環境におけるaTreg細胞の強力な誘導因子である。Wang,et al.(2008)Proc Natl.Acad.Sci.USA 105:9331−9336。B7ファミリー制御性分子を標的とすることにおける最近の進歩により、自己免疫および癌等の免疫関連疾患の治療が期待される。Keir,et al.(2008)Annu.Rev.Immunol.26:677−704、Zou and Chen(2008)Nat.Rev.Immunol.8:467−477。

CTLA−4およびPD−1等の免疫チェックポイントタンパク質を標的とする癌免疫療法は、臨床試験において有望な成果を示している。これは、関与する患者に対する予後不良および治療の選択肢を考慮すると、特に有望である。しかしながら、全体的奏効率は残念ながら低く、種々のイピリムマブ(aCTLA−4)臨床試験において6〜21%の患者が客観的応答を有する3〜5。したがって、重複しない役割を果たし、既知のチェックポイント経路との相乗効果を有する、新規なチェックポイントタンパク質を特定することが、極めて必要とされている。新規な免疫チェックポイント経路として、VISTAは、癌における免疫介入のための新たな標的を提供する。VISTA封鎖は、TMEの抑制性特徴を逆転させ、防御的抗腫瘍免疫の発達をもたらす。本明細書に記載される結果は、VISTA封鎖が、結腸直腸癌(CRC)等の癌において、TregおよびMDSCを含む代表的な免疫抑制細胞を標的とするための効果的な治療的戦略であることを示す。

一態様において、本開示は、新規な免疫チェックポイント経路であるVISTAが、抗腫瘍免疫応答を決定的に制御するという新しいパラダイムを提供する。このパラダイムは、VISTA経路を標的とする新規な治療戦略の設計のための基礎を構築する。VISTAと別の免疫チェックポイント経路PD−L1/PD−1との間の協同的な相互作用は、「冗長性」に対向し、最大の効果を得るには免疫抑制経路のすべてを標的とする必要性を強調する。それに基づいて、本出願は、新規な組み合わせ戦略を提供し、癌免疫療法において単一の経路を標的とする現在の治療計画に変化をもたらす。さらに、自然な腫瘍形成の際のVISTAの役割についての研究は、より臨床的に関連する情報をもたらし、より優れた腫瘍療法の開発を導くであろう。

特定の態様において、本発明は、免疫応答の上方制御により利益を得るであろう状態を有する対象を治療するための方法であって、VISTAアンタゴニストを投与し、それによって、VISTAに媒介される免疫応答の抑制を阻害し、その結果免疫応答の上方制御により利益を得るであろう状態が治療されることを含む、方法を提供する。

他の特定の態様において、本発明は、免疫応答の上方制御により利益を得るであろう状態を有する対象を治療するための方法であって、対象から免疫細胞を取り出し、インビトロで前記免疫細胞をVISTAアンタゴニストと接触させ、それによって前記免疫細胞をインビトロで刺激し、前記インビトロで刺激した免疫細胞、例えば、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞(免疫細胞の集団はインビトロで増殖され得る)を前記対象に再導入することを含む、方法を提供する。

別の態様において、本発明は、免疫応答の上方制御により利益を得るであろう状態を有する対象を治療するための方法であって、対象から免疫細胞を取り出し、前記免疫細胞に、その天然の結合パートナー(複数可)に結合することができないVISTAの形態をコードする核酸分子をトランスフェクトし、その結果、細胞が、VISTA分子のすべてまたは一部分を発現し、前記トランスフェクトした細胞を対象に再導入し、それによって前記トランスフェクトした細胞が、VISTAに媒介される免疫細胞、例えば、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞(任意でインビトロで増殖され得る)への阻害性シグ ナルを防止し、それによって免疫応答を上方制御することを含む、方法を提供する。

別の態様において、本発明は、対象における癌を治療するための方法であって、前記対象に由来する癌細胞に、VISTA(PD−L3)活性を阻害する核酸分子をトランスフェクトし、それによって前記トランスフェクトした細胞が、VISTAに媒介される免疫細胞への阻害性シグナルを防止し、それによって前記癌に対する免疫応答を上方制御することを含み、前記免疫細胞は、任意に、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞を含み、これらは任意にインビトロで増殖され得る、方法を提供する。

別の態様において、本発明の前述の方法のいずれも、前記癌細胞に、免疫系共刺激を達成する1つ以上の追加のポリペプチド、例えば、B7−1および/もしくはB7−2、ならびに/またはMHCクラスI α鎖ポリペプチド、β2ミクログロブリンポリペプチド、MHCクラスII α鎖ポリペプチド、および/もしくはMHCクラスII β鎖ポリペプチドのすべてまたは一部分をトランスフェクトし、それによって、当該癌細胞に、MHCクラスIまたはMHCクラスII ポリペプチドを細胞表面に発現させることをさらに含み得る。

別の態様において、本発明のこれらの前述の方法は、MHCクラスII関連ポリペプチド、任意で、不変鎖の発現を阻害する、siRNAまたはsiRNAをコードする遺伝子を導入し、それによって、任意でエキソビボで達成され得る腫瘍関連抗原の提示を促進し、当該癌細胞の当該対象への再導入がインビボで達成され得ることをさらに含み得る。

別の態様において、本発明は、対象における癌を治療するための方法であって、当該対象に由来する癌細胞に、VISTA活性を阻害する核酸分子をトランスフェクトし、それによって、当該トランスフェクトした細胞がVISTAに媒介される免疫細胞への阻害性シグナルを防止し、対象から免疫細胞を取り出し、当該トランスフェクトした細胞と当該免疫細胞とを接触させ、それによって免疫細胞を上方制御し、当該インビトロで刺激した免疫細胞を当該対象に再導入することを含む、方法を提供する。

別の実施形態において、本発明は、試料を抗VISTA抗体または抗体フラグメントと接触させ、抗VISTA抗体−VISTA複合体を検出することを含み得る、試料中のVISTAを検出するための方法を提供する。別の実施形態において、試料は、生物学的試料であり得る。別の実施形態において、抗VISTA抗体は、配列番号2、3、または5のアミノ酸配列に結合する。

別の実施形態において、治療、診断、または免疫調節用途のための組成物は、好ましくは、インビボでVISTAを調節する配列番号1または3に特異的にハイブリダイズする遺伝子によってコードされる、配列番号2、4、もしくは5に記載されるヒトまたはマウスVISTA(PD−L3)ポリペプチド、またはそのオルソログ、もしくはフラグメントに少なくとも70〜90%同一であり得るアミノ酸配列を含み得る単離された可溶性VISTA(PD−L3)タンパク質またはVISTA融合タンパク質(例えば、可溶性VISTA−Ig融合タンパク質もしくは多量体VISTAタンパク質)と、薬学的に許容される担体と、を含み得る。いくつかの実施形態において、可溶性または多量体VISTAタンパク質は、直接的もしくは間接的に異種(非VISTA)タンパク質に連結され得るか、またはを含有するウイルスベクターもしくは細胞(例えば、トランスフェクトした免疫細胞、例えばT細胞)によって発現され得る。

ある実施形態において、単離または組み換えVISTA(PD−L3)ポリペプチド(例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、またはそのフラグメントもしくは部分)。一実施形態において、単離VISTA(PD−L3)ポリペプチドまたはVISTA( PD−L3)融合タンパク質は、次のドメイン、すなわちシグナルペプチドドメイン、IgVドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、または細胞質ドメインのうちの少なくとも1つを含む。

ある実施形態において、VISTA(PD−L3)ポリペプチドは、次のドメイン、すなわちシグナルペプチドドメイン、IgVドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、または細胞質ドメインのうちの少なくとも1つを含み、配列番号2、4、または5のアミノ酸配列に少なくとも約71%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一なアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、VISTA(PD−L3)ポリペプチドは、次のドメイン、すなわちシグナルペプチドドメイン、IgVドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、または細胞質ドメインのうちの少なくとも1つを含み、VISTA(PD−L3)活性(本明細書に記載される)を有し得る。

一実施形態において、単離VISTAタンパク質は、配列番号2、4、5、16〜25、36、または37のポリペプチド配列の細胞外ドメインに少なくとも約90%の配列同一性を有するポリペプチドを含み得る。さらなる実施形態において、ポリペプチドは、配列番号2、4、5、16〜25、36、または37のポリペプチド配列に少なくとも約95%の配列同一性を有し得る。

別の実施形態において、VISTAポリペプチドは、次のドメイン、すなわちシグナルペプチドドメイン、IgVドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、または細胞質ドメインのうちの少なくとも1つを含み、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1または3のヌクレオチド配列を含み得る核酸分子の相補体にハイブリダイズするヌクレオチドを有する核酸分子によってコードされ得る。

別の実施形態において、ポリペプチドのフラグメントまたは部分は、配列番号2、4、または5のアミノ酸配列を含み得、ここで、このフラグメントは、配列番号2または4のアミノ酸配列の少なくとも15個のアミノ酸(すなわち、連続したアミノ酸)を含む。別の実施形態において、VISTA(PD−L3)ポリペプチドは、配列番号2、4、または5のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。別の実施形態において、VISTA(PD−L3)ポリペプチドは、配列番号1または3のヌクレオチド配列に少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一なヌクレオチド配列またはその相補体を含み得る核酸分子によってコードされ得る。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で核酸分子の相補体にハイブリダイズするヌクレオチド配列からなる核酸分子によってコードされ得るVISTA(PD−L3)ポリペプチドは、配列番号1または3のヌクレオチド配列を含み得る。

一実施形態において、VISTAポリペプチドは、アゴニストであり得、これらは、抑制を誘導する。別の実施形態において、VISTAポリペプチドは、アンタゴニストであり得、これらは、抑制を妨害する。

本発明のポリペプチドまたはその部分、例えば、その生物学的に活性な部分は、非VISTA(PD−L3)ポリペプチド(例えば、異種アミノ酸配列)に動作可能に連結して、融合ポリペプチドを形成し得る。

一実施形態において、発現ベクターは、配列番号2、4、または5に記載されるヒトまたはマウスVISTAアミノ酸配列、またはそのフラグメントもしくはオルソログに少なくとも約70〜90%同一であり得るVISTAタンパク質をコードし、場合によっては Igポリペプチド(例えば、Fc領域)またはレポーター分子といった別のタンパク質をコードする配列に融合され得る、単離核酸を含み得、宿主細胞は、当該ベクターを含有する。

別の実施形態において、VISTAポリペプチドをコードする単離核酸分子、好ましくは可溶性融合タンパク質、および多量体VISTAタンパク質、ならびにVISTA(PD−L3)をコードする核酸を検出するためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして好適な核酸フラグメント。一実施形態において、本発明のVISTA(PD−L3)核酸分子は、配列番号1もしくは3のヌクレオチド配列またはその相補体に(例えば、ヌクレオチド配列の全長に)、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%同一であり得る。

別の実施形態において、VISTA(PD−L3)核酸分子は、配列番号2、4、または5のアミノ酸配列に対して特定のパーセント同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。ある実施形態において、VISTA(PD−L3)核酸分子は、配列番号2、4、もしくは5のアミノ酸配列の全長、またはその細胞外ドメインに、少なくとも約71%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%同一なアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。

別の実施形態において、単離核酸分子は、ヒトもしくはマウスまたはVISTAのアミノ酸配列、またはその中の保存領域もしくは機能的ドメインをコードする。さらに別の実施形態において、核酸分子は、配列番号2、4、または5のアミノ酸配列を含み得るポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。さらに別の実施形態において、核酸分子は、長さが少なくとも約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150ヌクレオチドであり得る。さらなる実施形態において、核酸分子は、長さが少なくとも約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150ヌクレオチドであり得、VISTA(PD−L3)活性を有するかまたはVISTA(PD−L3)機能を調節するポリペプチドをコードする。

別の実施形態は、非VISTA(PD−L3)ポリペプチドをコードする核酸分子と比較して、VISTA(PD−L3)核酸分子を特異的に検出する核酸分子、好ましくはVISTA(PD−L3)核酸分子を特徴とする。例えば、一実施形態において、核酸分子は、長さが少なくとも約880、900、950、1000、1050、1100、1150ヌクレオチドであり得、ストリンジェントな条件下で、配列番号2、4、もしくは5に示されるポリペプチドまたはその相補体をコードする核酸分子にハイブリダイズする。別の実施形態において、核酸分子は、長さが少なくとも 20、30、40、50、100、150、200、250、300ヌクレオチドであり得、ストリンジェントな条件下で、VISTA(PD−L3)のフラグメントをコードする核酸分子にハイブリダイズし、例えば、少なくとも約20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950ヌクレオチド長を含み得、配列番号2、4、もしくは5のVISTA(PD−L3)ポリペプチドまたはその相補体をコードする、少なくとも15個の(すなわち、15個の連続する)配列番号1および3の開示される核酸配列を含み、ストリンジェントな条件下で、配列番号1もしくは3に示されるヌクレオチド配列またはその相補体を含み得る核酸分子にハイブリダイズする。

一実施形態において、核酸分子は、配列番号2もしくは4もしくは5のアミノ酸配列を含み得るポリペプチドの天然の対立遺伝子変異体をコードし、核酸分子は、ストリンジェントな条件下で、配列番号1もしくは3を含み得る核酸分子またはその相補体にハイブリダイズする。

本発明の別の実施形態は、VISTA(PD−L3)核酸分子に対する単離アンチセンス(例えば、配列番号1または3のVISTA(PD−L3)核酸分子のコード鎖に対するアンチセンス)を提供する。

本発明の別の態様は、VISTA(PD−L3)核酸分子を含み得るベクターを提供する。ある特定の実施形態において、ベクターは、組み換え発現ベクターであり得る。

別の実施形態において、宿主細胞が、本発明のベクターを含む。さらに別の実施形態において、宿主細胞は、本発明の核酸分子を含む。本発明はまた、ポリペプチドが産生され得るように、組み換え発現ベクターを含有する本発明の宿主細胞、例えば、哺乳動物宿主細胞、例えば非ヒト哺乳動物細胞を、好適な培地において培養することによって、ポリペプチド、好ましくはVISTA(PD−L3)ポリペプチドを産生するための方法を提供する。

一実施形態において、VISTA DNAから転写されるVISTA mRNAを標的とするsiRNA分子は、配列番号1または3の核酸配列を含み得る。別の実施形態において、配列番号2、4、または5に記載されるアミノ酸配列をコードするVISTA DNAから転写されるVISTA mRNAを標的とするsiRNA分子。さらなる実施形態において、VISTAを標的とするsiRNA分子は、配列番号38〜67のうちのいずれか1つの核酸配列を含み得る。別の実施形態において、VISTAのORFまたはUTR領域のいずれかを標的とするsiRNA分子は、配列番号38〜47のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る。別の実施形態において、VISTAのUTR領域のみを標的とするsiRNA分子は、配列番号48〜57のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る。別の実施形態において、VISTAのORF領域のみを標的とするsiRNA分子は、配列番号58〜67のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る。一実施形態において、VISTAを標的とするsiRNA分子は、配列番号38〜67のうちのいずれか1つの核酸配列からなり得る。一実施形態において、VISTAのORFまたはUTR領域のいずれかを標的とするsiRNA分子は、配列番号38〜47のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなり得る。一実施形態において、VISTAのUTR領域のみを標的とするsiRNA分子は、配列番号48〜57のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなり得る。一実施形態において、VISTAのORF領域飲みを標的とするsiRNA分子は、配列番号58〜67のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなり得る。

さらなる実施形態において、組成物は、配列番号38〜67のうちのいずれか1つの核酸配列を含むsiRNA分子を含み得る。さらなる実施形態において、組成物は、配列番号38〜67のうちのいずれか1つの核酸配列からなるsiRNA分子を含み得る。さらなる実施形態において、組成物は、薬学的組成物であり得る。

一実施形態において、アンタゴニストは、配列番号2、4、もしくは5に記載のアミノ酸配列、またはその変異体、フラグメント、もしくはオルソログを含み得る、VISTA(PD−L3)タンパク質に特異的に結合し得る。ある実施形態において、結合剤は、インビトロまたはインビボでVISTA活性を調節(作動または拮抗)する。

一実施形態において、VISTAアンタゴニストは、VISTAリガンドであり得る。別の実施形態において、VISTAリガンドは、タンパク質であり得る。別の実施形態において、VISTAアンタゴニストは、抗体もしくはその抗体フラグメント、ペプチド、グリコアルコイド(glycoalkoid)、アンチセンス核酸、リボザイム、レチノイド、アベミール(avemir)、小分子、またはこれらの組み合わせであり得る。

一実施形態において、VISTAアンタゴニストは、免疫に対するVISTA(PD−L3)の特定の作用、例えば、TCR活性化に対するタンパク質の抑制作用、抗CD3へのCD4 T細胞増殖応答に対するタンパク質の抑制作用、同族CD4T細胞の抗原特異的増殖応答の抑制、特定のサイトカイン(例えば、IL−2およびγインターフェロン)の発現に対するVISTA(PD−L3)の抑制作用を調節することを含むがこれらに限定されない、機能的特性を有し得る。

一実施形態において、VISTAポリペプチド、多量体VISTAポリペプチド、またはVISTA融合タンパク質に特異的に結合する、アンタゴニスト、場合によってはタンパク質性アンタゴニスト。別の実施形態において、アンタゴニスト、場合によっては、タンパク質性アンタゴニストは、抗腫瘍または抗転移活性を呈し得る。別の実施形態において、アンタゴニスト、場合によっては、タンパク質性アンタゴニストは、残基1〜20、20〜40、30〜50、60〜80、70〜90、80〜100、または90〜110に含まれるエピトープに特異的に結合し得る。別の実施形態において、アンタゴニスト、場合によってはタンパク質性アンタゴニストは、当該VISTAタンパク質のIgV、ストーク領域、細胞質領域、または膜貫通領域に含まれるエピトープに結合し得る。別の実施形態において、アンタゴニスト、場合によっては、タンパク質性アンタゴニストは、次の活性のうちの少なくとも1つを誘起し得る:(a)サイトカインの上方制御、(b)T細胞の発現の誘導、(c)抗原特異的T細胞免疫の促進、または(d)CD4+および/もしくはCD8+T細胞活性化の促進。

別の実施形態において、単離結合剤、好ましくは、抗体または抗体フラグメントは、配列番号2、4、もしくは5に記載のアミノ酸配列、またはその変異体、フラグメント、もしくはオルソログを含み得るVISTA(PD−L3)タンパク質に特異的に結合し得る。ある実施形態において、結合剤は、インビトロまたはインビボでVISTA活性を調節(作動または拮抗)する。一実施形態において、結合剤は、アゴニスト性またはアンタゴニスト性抗VISTA抗体であり得る。

一実施形態において、抗VISTA(PD−L3)抗体は、免疫に対するVISTA(PD−L3)の特定の作用、例えば、TCR活性化に対するタンパク質の抑制作用、抗CD3へのCD4 T細胞増殖応答に対するタンパク質の抑制作用、同族CD4T細胞の抗原特異的増殖応答の抑制、特定のサイトカイン(例えば、IL−2およびγインターフェロン)の発現に対するVISTA(PD−L3)の抑制作用を調節することを含むがこれらに限定されない、機能的特性を有し得る。

さらなる実施形態において、抗体、場合によってはモノクローナルまたはポリクローナル抗体は、ヒトVISTAポリペプチドを含むVISTA(PD−L3)ポリペプチドに特異的に結合し得る。

一実施形態において、VISTAポリペプチド、多量体VISTAポリペプチド、またはVISTA融合タンパク質に特異的に結合する単離抗体、またはその抗体フラグメント。別の実施形態において、抗体またはその抗体フラグメントは、抗腫瘍または抗転移活性を呈し得る。別の実施形態において、抗体またはその抗体フラグメントは、残基1〜20、20〜40、30〜50、60〜80、70〜90、80〜100、または90〜11 0に含まれるエピトープに特異的に結合し得る。別の実施形態において、抗体またはその抗体フラグメントは、当該VISTAタンパク質のIgV、ストーク領域、細胞質領域、または膜貫通領域に特異的に結合し得る。別の実施形態において、抗体またはその抗体フラグメントは、次の活性のうちの少なくとも1つを誘起し得る:(a)サイトカインの上方制御、(b)T細胞の発現の誘導、(c)抗原特異的T細胞免疫の促進、または(d)CD4+および/もしくはCD8+T細胞活性化の促進。別の実施形態において、抗体またはフラグメントは、組み換えであり得る。別の実施形態において、抗体またはフラグメントは、抗腫瘍活性を有し得る。別の実施形態において、抗体フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、CDR、パラトープ、または抗原に結合することができる抗体の部分であり得る。別の実施形態において、抗体は、キメラ、ヒト化、抗イディオタイプ、一本鎖、二機能性、または共特異的(co−specific)であり得る。別の実施形態において、抗体またはフラグメントは、標識、細胞毒性剤、治療剤、または免疫抑制剤に直接的または間接的に複合体化され得る。さらなる実施形態において、化学発光標識、常磁性標識、MRI造影剤、蛍光標識、生物発光標識、または放射標識であり得る。

一実施形態において、本発明は、抗VISTA抗体およびその抗体フラグメントを提供する。一実施形態において、抗体フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、およびscFv フラグメントである。一実施形態において、抗体またはその抗体フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、IgNAR、SMIP、ラクダ抗体、またはナノボディを含み得る。別の実施形態において、組み換えタンパク質は、抗VISTA抗体の超可変領域を含み、VISTAに選択的に結合し得る。別の実施形態において、抗体フラグメントは、配列番号2、4、または5のアミノ酸配列を含み得るVISTAに選択的に結合し得る。

加えて、VISTA(PD−L3)ポリペプチド(もしくはその生物学的に活性な部分)またはVISTA(PD−L3)分子の調節剤(例えば、抗VISTA抗体)は、薬学的に許容される担体を任意に含み得る薬学的組成物に組み込まれ得る。

別の実施形態において、本発明は、抗原と、VISTA(PD−L3)活性を調節(強化または阻害)する薬剤と、を含み得るワクチンを提供する。ある実施形態において、ワクチンは、VISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を阻害する。別の実施形態において、ワクチンは、抗原と、VISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を阻害する薬剤と、を含み得る。別の実施形態において、ワクチンは、抗原と、VISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を促進する薬剤と、を含み得る。一実施形態において、ワクチンは、賦形剤、アジュバント、または担体を含む。

一実施形態において、キットは、VISTA融合タンパク質を含み得る。別の実施形態において、キットは、多量体VISTAタンパク質を含み得る。さらなる実施形態において、VISTA融合タンパク質または多量体VISTAタンパク質は、固相支持体に直接的または間接的に固定され得る。さらなる実施形態において、固相支持体は、ビーズ、試験管、シート、培養皿、または試験紙であり得る。別の実施形態において、固相支持体は、アレイであり得る。

別の実施形態において、免疫細胞は、活性化され得、免疫細胞と、VISTAポリペプチド、VISTA−Ig融合タンパク質、または抗VISTA抗体とを接触させることを含み得る。別の実施形態において、免疫細胞は、T細胞、B細胞、または抗原提示細胞であり得る。本発明の方法に従って活性化された免疫細胞は、次いで、エキソビボで増殖され、種々の疾患の治療または防止に使用され得る;例えば、インビトロでクローニングさ れ、増殖されたヒトT細胞は、それらの制御性活性を維持する。増殖の前に、T細胞源を、対象(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、またはそれらのトランスジェニック種等の哺乳動物)から得ることができる。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位由来の組織、脾臓組織、腫瘍、またはT細胞株を含む、多数の源から得ることができる。T細胞は、FICOLL(登録商標)分離といった当業者に既知の多数の技術を使用して対象から採取した血液単位から得ることができる。

別の実施形態において、VISTA(PD−L3)活性を調節するための方法は、細胞におけるVISTA(PD−L3)活性が調節され得るように、VISTA(PD−L3)を発現することができる細胞と、VISTA(PD−L3)活性を調節する薬剤、好ましくは、抗VISTA(PD−L3)抗体とを接触させることを含み得る。一実施形態において、この薬剤は、VISTA(PD−L3)活性を阻害する。別の実施形態において、この薬剤は、VISTA(PD−L3)活性を刺激する。さらなる実施形態において、この薬剤は、VISTA(PD−L3)ポリペプチドとその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を妨害するか、または強化する。一実施形態において、この薬剤は、VISTA(PD−L3)ポリペプチドに特異的に結合する抗体であり得る。別の実施形態において、この薬剤は、VISTA(PD−L3)ポリペプチドに結合するペプチド、ペプチド模倣体、または他の小分子であり得る。

別の実施形態において、この薬剤は、VISTA(PD−L3)遺伝子の転写、VISTA(PD−L3)mRNAの翻訳、またはVISTA(PD−L3)ポリペプチドの翻訳後修飾を調節することによって、VISTA(PD−L3)の発現を調節する。別の実施形態において、この薬剤は、VISTA(PD−L3)mRNAまたはVISTA(PD−L3)遺伝子のコード鎖に対してアンチセンスであり得るヌクレオチド配列を有する核酸分子であり得る。さらなる実施形態において、この薬剤は、VISTA(PD−L3)mRNAを標的とするsiRNA分子であり得る。

一実施形態において、免疫細胞上でのVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を調節するための方法は、免疫細胞上でのVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用が調節され得るように、VISTA(PD−L3)を発現する抗原提示細胞と、VISTA(PD−L3)の形態からなる群から選択される薬剤またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を調節する薬剤と、を接触させること、ならびにVISTAとその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を評価することを含み得る。ある実施形態において、VISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を調節する薬剤は、VISTA(PD−L3)に特異的に結合する抗体であり得る。一実施形態において、VISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用は、上方制御され得る。別の実施形態において、VISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用は、下方制御され得る。一実施形態において、本方法は、免疫細胞または抗原提示細胞と、免疫応答を調節する追加の薬剤と、を接触させることをさらに含む。一実施形態において、接触のステップは、インビトロで行われ得る。別の実施形態において、接触のステップは、インビボで行われ得る。一実施形態において、免疫細胞は、T細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、および骨髄性細胞からなる群から選択される。

一実施形態において、免疫細胞における活性化を阻害するための方法は、免疫細胞活性化が阻害され得るように、細胞におけるVISTA(PD−L3)の活性または発現を阻害することを含み得る。一実施形態において、免疫細胞における活性化を増加させるための方法は、免疫細胞活性化が増加され得るように、細胞におけるVISTA(PD−L3)の活性または発現を増加させることを含み得る。

別の実施形態において、免疫応答を上方制御するための方法は、免疫細胞上でのVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を阻害する薬剤を投与することを含み得る。一実施形態において、この薬剤は、VISTA(PD−L3)に結合し、VISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を阻害する、遮断抗体または小分子を含む。別の実施形態において、本方法は、免疫応答を上方制御する第2の薬剤を対象に投与することをさらに含む。別の実施形態において、免疫応答を下方制御するための方法は、免疫細胞上でのVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を刺激する薬剤を投与することを含み得る。

一実施形態において、腫瘍、病原体感染、炎症性免疫応答もしくは状態、好ましくはあまり顕著でない炎症性状態、または免疫抑制疾患からなる群から選択される状態を治療するための方法は、VISTAポリペプチドまたはVISTA−Ig融合タンパク質の有効量の投与を含み得る。具体的な例には、多発性硬化症、甲状腺炎、リウマチ性関節炎、II型およびI型糖尿病、ならびに転移性癌(例えば、膀胱癌、卵巣癌、黒色腫、癌)を含む癌(進行期または初期形態の両方)が挙げられ、この場合、VISTAは、有効な抗腫瘍応答を抑制する。対象は、抗VISTA抗体またはVISTA融合タンパク質をコードする核酸を発現する細胞またはウイルスベクターを投与され得る。

一実施形態において、移植、アレルギー、感染性疾患、癌、および炎症性もしくは自己免疫障害(例えば、炎症性免疫障害)からなる群から選択される状態を治療するための方法は、VISTA(PD−L3)タンパク質、結合剤、またはVISTA(PD−L3)アンタゴニストもしくはアゴニストの有効量の投与を含み得る。別の実施形態において、1型糖尿病、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、リウマチ性疾患、アレルギー性障害、喘息、アレルギー性鼻炎、皮膚障害、クローン病および潰瘍性大腸炎等の胃腸障害、移植片拒絶、連鎖球菌感染後および自己免疫性腎不全、敗血症性ショック、全身性炎症応答症候群(SIRS)、成人性呼吸促迫症候群(ARDS)、および毒物注入;自己炎症性疾患、ならびに骨関節炎、結晶性関節炎、および包炎を含む変形性骨関節疾患、ならびに他の関節症が治療され得、VISTA(PD−L3)タンパク質、結合剤、またはVISTA(PD−L3)アンタゴニストもしくはアゴニストの有効量の投与を含み得る。さらに、本方法および組成物は、炎、靭帯炎、および外傷性関節傷害を治療するために使用され得る、VISTA(PD−L3)タンパク質、結合剤、またはVISTA(PD−L3)アンタゴニストもしくはアゴニストの有効量を含み得る。一実施形態において、薬剤は、VISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を刺激する抗体または小分子を含む。別の実施形態において、本方法は、PD−L1、PD−L2、もしくはCTLA−4融合タンパク質、またはそれらの特異的な抗体といった、免疫応答を下方制御する第2の薬剤を対象に投与することをさらに含む。

実施形態において、本主題のVISTA(PD−L3)タンパク質、核酸、およびVISTA(PD−L3)に特異的なリガンド、好ましくは、VISTA(PD−L3)機能に対する所望の作用を有する抗体を使用して、癌、自己免疫疾患、アレルギー、炎症性障害もしくは感染症、ならびにより具体的には、免疫系障害、例えば、重度の複合免疫不全、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、I型真性糖尿病、リンパ球増殖性症候群、炎症性腸疾患、アレルギー、喘息、移植片対宿主病、および移植片拒絶、細菌およびウイルスといった感染病原体に対する免疫応答、ならびにリンパ腫および白血病といった免疫系の癌を含むがこれらに限定されない状態を治療することができる。一実施形態において、VISTAの活性を調節する薬剤は、T細胞枯渇を軽減し、感染性疾患に対する免疫を強化し得る。

一実施形態において、癌の治療を、それを必要とする患者に行う方法は、VISTAタンパク質、多量体VISTAタンパク質、VISTA融合タンパク質、場合によってはVISTA−Ig融合タンパク質の有効量を投与することを含み得、ここで、当該VISTAタンパク質、多量体VISTAタンパク質、および/またはVISTA融合タンパク質は、骨髄樹状サプレッサー細胞によって発言されるVISTAの免疫抑制活性を抑制することによって、抗腫瘍免疫を強化する。さらなる実施形態において、治療前の患者は、免疫細胞上で上昇したレベルのVISTAタンパク質を発現すると考えられ得る。

一実施形態において、放射線療法、化学療法、または抗癌生物製剤の有効性を強化する方法は、放射線療法、化学療法、および抗癌生物製剤の投与を含む治療レジメンにおいて、VISTAタンパク質、多量体VISTAタンパク質、VISTA融合タンパク質、場合によってはVISTA−Ig融合タンパク質の有効量を投与することを含み得る。さらなる実施形態において、治療前の患者は、当該放射線療法、化学療法、または抗癌生物製剤に対して応答しない癌を有し得る。

一実施形態において、結腸直腸癌、膀胱癌、卵巣癌、または黒色腫を治療する方法は、VISTAタンパク質、多量体VISTAタンパク質、VISTA融合タンパク質、場合によってはVISTA−Ig融合タンパク質の有効量を投与することを含み得、ここで、当該癌は、早期(非転移性)または転移性形態であり、VISTA−Igの形態は、その受容体との相互作用を遮断する。

一実施形態において、免疫細胞応答を調節するための方法は、免疫細胞の応答が調節されるように、一次シグナルの存在下で、免疫細胞と、VISTAタンパク質、多量体VISTAタンパク質、VISTA融合タンパク質、場合によってはVISTA−Ig融合タンパク質とを接触させることを含み得る。

一実施形態において、Treg細胞の調節を、それを必要とする対象において行う方法は、VISTAタンパク質、多量体VISTAタンパク質、VISTA融合タンパク質、場合によってはVISTA−Ig融合タンパク質の有効量を投与することを含み得る。

一実施形態において、免疫に対するVISTAの抑制作用を解除する方法は、VISTAタンパク質、多量体VISTAタンパク質、VISTA融合タンパク質、場合によってはVISTA−Ig融合タンパク質の有効量を投与することを含み得る。別の実施形態において、治療される患者は、治療の前に、上昇したレベルのVISTAを発現すると考えられ得る。別の実施形態において、VISTAのレベルは、免疫応答が強化され得たことを評価するために、治療後に監視され得る。

一実施形態において、細胞媒介性免疫の強化を、それを必要とする対象において行う方法は、VISTAタンパク質、多量体VISTAタンパク質、VISTA融合タンパク質、場合によってはVISTA−Ig融合タンパク質の有効量を投与することを含み得る。

一実施形態において、免疫細胞応答を調節するための方法は、免疫細胞の応答が調節されるように、一次シグナルの存在下で、VISTA融合タンパク質、場合によってはVISTA−Ig融合タンパク質、または多量体VISTAタンパク質の有効量を投与することを含み得る、免疫細胞を接触させることを含み得る。別の実施形態において、接触は、インビトロ、インビボ、またはエキソビボで行われ得る。

一実施形態において、T細胞と骨髄系由来APCとの間の同族相互作用の際のT細胞応答を制御する方法は、VISTA融合タンパク質、場合によってはVISTA−Ig融合 タンパク質、または多量体VISTAタンパク質の有効量を投与することを含み得る。

一実施形態において、免疫抑制の誘起を、それを必要とする個体において行う方法は、VISTA融合タンパク質、場合によってはVISTA−Ig融合タンパク質、または多量体VISTAタンパク質の有効量を投与することを含み得る。

別の実施形態において、免疫細胞の活性化を減少させるための方法は、VISTA(PD−L3)ポリペプチドまたはVISTA−Ig融合タンパク質の有効量を対象に投与することを含み得、ここで、当該VISTA(PD−L3)ポリペプチドまたはVISTA−Ig融合タンパク質は、免疫細胞活性化を減少させるための阻害性シグナルとして作用する。一実施形態において、免疫細胞活性化は、阻害される。別の実施形態において、免疫細胞活性化は、有意に減少される。一実施形態において、阻害性シグナルは、免疫細胞上で阻害性受容体(例えば、CTLA−4またはPD−1)に結合し、それによって、活性化受容体に結合する(例えば、TCR、CD3、BCR、またはFcポリペプチドを介して)一次シグナルに拮抗する。一実施形態において、VISTAポリペプチドまたはVISTA−Ig融合タンパク質は、第2のメッセンジャー生成を阻害する;免疫細胞増殖を阻害する;免疫細胞におけるエフェクター機能を阻害する(例えば、食作用の低減、抗体産生の低減、細胞傷害性の低減、免疫細胞によるメディエーター産生(サイトカイン(例えば、IL−2)および/もしくはアレルギー応答のメディエーター)の不全;またはアネルギーの発達)。

一実施形態において、一次シグナルは、TCRに結合し、一次刺激シグナルを開始させる、リガンド(例えば、CD3または抗CD3)であり得る。TCRリガンドには、抗CD3抗体OKT3および抗CD3モノクローナル抗体G19−4が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、一次シグナルは、タンパク質キナーゼC活性化因子、例えばホルボールエステル(例えば、酢酸ミリスチン酸ホルボール)、およびカルシウムイオノフォア(例えば、細胞質カルシウム濃度を上昇させる、イオノマイシン)を含む、他の機序を通じてT細胞に送達され得る。そのような薬剤の使用は、TCR/CD3複合体を回避するが、T細胞に刺激性シグナルを送達する。一次シグナルとして作用する他の薬剤には、天然および合成のリガンドが含まれ得る。天然のリガンドは、ペプチドの提示ありまたはなしでMHCを含み得る。他のリガンドには、ペプチド、ポリペプチド、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、糖ペプチド、可溶性受容体、ステロイド、ホルモン、マイトジェン(例えば、PHA)、または他の超抗原、ペプチド−MHCテトラマー、および可溶性MHCダイマーが挙げられるが、これらに限定されない。

別の実施形態において、生体試料中のVISTA(PD−L3)核酸分子、タンパク質、またはポリペプチドの存在を検出するための方法は、VISTA(PD−L3)核酸分子、タンパク質、またはポリペプチドの存在が生体試料中で検出され得るように、生体試料と、VISTA(PD−L3)核酸分子、タンパク質、またはポリペプチドを検出することができる薬剤と、を接触させることを含む。このVISTA(PD−L3)発現を使用して、炎症部位等、ある特定の疾患部位を検出することができる。

別の実施形態において、生体試料中のVISTA(PD−L3)活性の存在を検出するための方法は、VISTA(PD−L3)活性の存在が生体試料中で検出され得るように、生体試料と、VISTA(PD−L3)活性の指標を検出することができる薬剤と、を接触させることを含む。さらなる実施形態において、生体試料中の可溶性VISTAを検出するための方法は、VISTA(PD−L3)活性の存在が生体試料中で検出され得るように、生体試料と、VISTA(PD−L3)活性の指標を検出することができる薬剤と、を接触させることを含み得る。別の実施形態において、生体試料中の可溶性VISTAを検出するための方法は、生体試料と、VISTA(PD−L3)、場合によっては抗 VISTA抗体、または抗体フラグメントに結合することができる薬剤と、を接触させること、ならびにVISTA−抗体複合体の存在を検出することを含み得る。さらなる実施形態において、測定は、定量的、場合によってはウエスタンブロット濃度測定、比色分析、または蛍光測定であり得る。

別の実施形態において、VISTA遺伝子における遺伝子改変の存在または不在を特定するための診断アッセイは、核酸を含み得る試料を得ること、およびその試料を分析することを含み、ここで、当該遺伝子改変は、(i)VISTA(PD−L3)ポリペプチドをコードする遺伝子の異常な修飾または突然変異、(ii)遺伝子の誤制御、ならびに(iii)VISTA(PD−L3)ポリペプチドの異常な翻訳後修飾のうちの少なくとも1つを特徴とし、ここで、遺伝子の野生型形態は、VISTA(PD−L3)活性を有するポリペプチドをコードする。一実施形態において、核酸は、DNAまたはmRNAであり得る。

一実施形態において、治療剤または免疫調節剤として使用される可能性を有する抗VISTA抗体の選択の方法は、(a)免疫細胞または宿主にVISTAタンパク質、その免疫原性フラグメント、または複合体で免疫付与を行うこと、(b)VISTAに特異的に結合する抗体を発現するリンパ系細胞を選択すること、(c)抗VISTA抗体またはその抗体フラグメントを選択すること、(d)当該抗VISTA抗体またはその抗体フラグメントを、VISTA(PD−L3)またはVISTAの次の活性:(i)T細胞活性化もしくは分化の抑制、(ii)CD4+もしくはCD8+T細胞増殖の抑制、またはT細胞によるサイトカイン産生の抑制のうちの少なくとも1つを阻害または強化する能力に関してスクリーニングすること、を含み得、(iii)ここで、(d)の活性のうちの少なくとも1つを有する抗体もしくはその抗体フラグメントが、治療剤または免疫調節剤として使用される可能性を有する。

さらなる実施形態において、所望される機能的特性を有する抗VISTA(PD−L3)抗体を選択する方法は、免疫に対するVISTA(PD−L3)の特定の作用、例えば、TCR活性化に対するタンパク質の抑制作用、抗CD3へのCD4 T細胞増殖応答に対するタンパク質の抑制作用、同族CD4T細胞の抗原特異的増殖応答の抑制、特定のサイトカイン(例えば、IL−2およびγインターフェロン)の発現に対するVISTA(PD−L3)の抑制作用を調節することを含む、所望される機能的特性に基づいて、このタンパク質またはVISTA(PD−L3)−Ig融合タンパク質をに対して産生されるモノクローナル抗体のパネルをスクリーニングすること、ならびに所望される抗体を選択すること、を含み得る。

別の実施形態において、VISTA(PD−L3)ポリペプチドに結合するか、またはその活性を調節する、化合物を特定するための方法は、VISTA(PD−L3)活性を有するVISTA(PD−L3)ポリペプチドを含み得る指標組成物を提供すること、この指標組成物と試験化合物とを接触させること、および指標組成物におけるVISTA(PD−L3)活性に対する試験化合物の作用を判定して、VISTA(PD−L3)ポリペプチドの活性を調節する化合物を特定すること、を含み得る。

別の実施形態において、VISTA(PD−L3)の活性を調節する化合物のスクリーニングのための細胞に基づくアッセイは、VISTA(PD−L3)標的分子を発現する細胞と、試験化合物とを接触させ、VISTA(PD−L3)標的分子の活性を調節する試験化合物の能力を判定することを含み得る。

別の実施形態において、VISTA(PD−L3)と標的分子との結合を調節する化合物のスクリーニングのための無細胞アッセイは、VISTA(PD−L3)ポリペプチド またはその生物学的に活性な部分と、試験化合物とを接触させ、VISTA(PD−L3)ポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分に結合する試験化合物の能力を判定することを含み得る。

別の実施形態において、第1および第2の抗原濃度でT細胞活性化またはサイトカイン産生に対するVISTA(PD−L3)の作用を調節する化合物、例えば、抗VISTA(PD−L3)抗体を特定する方法は、VISTA(PD−L3)標的分子を発現するT細胞と、試験化合物とを第1の抗原濃度で接触させ、第1の濃度でのT細胞増殖またはサイトカイン産生を調節する試験化合物の能力を判定し、VISTA(PD−L3)標的分子を発現するT細胞と、試験化合物とを第2の抗原濃度で接触させ、第2の濃度でのT細胞増殖またはサイトカイン産生を調節する試験化合物の能力を判定し、それによって、第1および第2の抗原濃度でT細胞活性化またはサイトカイン産生を調節する化合物を特定することを含み得る。

他の実施形態において、抗VISTA(PD−L3)抗体およびVISTA(PD−L3)タンパク質のパネルをスクリーニングし、どの抗VISTA抗体がCD4+およびCD8+T細胞の分化、増殖、ならびに/またはサイトカイン産生に対するVISTA(PD−L3)の作用を阻害または促進するかに基づいて、選択することができる。さらなる実施形態において、ヒトVISTAを発現するように操作されたマウスを使用して、免疫の制御における抗ヒトVISTA抗体の機能を試験することができる。

配列分析を示す。(A)マウスVISTA(PD−L3)の全長アミノ酸配列(配列番号17)。(B)マウスVISTA(PD−L3)(配列番号25)と、B7−H1(PD−L1)(配列番号26)、B7−DC(PD−L2)(配列番号27)、B7−H3(CD276)(配列番号28)、およびB7−H4(B7S1)(配列番号29)を含む選択されたB7ファミリーリガンドとの間の細胞外Igドメインのアミノ酸配列アライメント。(C)VISTA(PD−L3)(配列番号30)Igドメインと、PD−1(配列番号31)、CTLA−4(配列番号32)、CD28(配列番号33)、BTLA(配列番号34)、およびICOS(配列番号35)を含むB7ファミリー受容体とのアライメント。Ig−vドメインは「....」、Ig−cドメインは「___」。アライメントは、MUSCLEアルゴリズム(Multiple Sequence Comparison by Log−Expectation)を使用して行った。(D)VISTA(PD−L3)と、他のB7ファミリーリガンドおよび受容体との間のIg−Vドメインの配列同一性(%)は、ClustalW2プログラムを使用して計算する。(E)ヒト(配列番号37)およびマウスVISTA(PD−L3)(配列番号36)の間の配列相同性を示す配列アライメント。同一の残基は、黒色の網掛けで示す。高保存および半保存の残基は、それぞれ、濃い灰色および薄い灰色の網掛けで示す。

同上。

同上。

マウスVISTA(PD−L3)と他の免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーメンバーとの系統学的分析を示す。マウスVISTA(PD−L3)の全長配列、ならびにCD28、CTLA−4、ICOS、BTLA、PD−1、B7−H1(PD−L1)、B7−DC(PD−L2)、B7−H2、B7−H3、B7−H4、B7−1、B7−2、BTNL2、BTN3A3、BTN2A2、およびBTN1A1を含む他のIgスーパーファミリーメンバーを、PhyMLアルゴリズム(Phylogenetic Maximum Likelihood)を使用して分析した。分岐距離は、系統樹の分岐部に示される。

VISTA(PD−L3)の組織発現および造血細胞発現のパターンを示す。A。マウス組織由来の全長VISTA(PD−L3)のRT−PCR。レーン:(1)筋肉(2)心臓(3)眼(4)胸腺(5)脾臓(6)小腸(7)腎臓(8)肝臓(9)脳(10)乳腺(11)肺(12)卵巣(13)骨髄。B。精製された造血細胞型に由来する全長VISTA(PD−L3)のRT−PCR。レーン(1)腹膜マクロファージ(2)脾臓CD11b+単球(3)脾臓CD11c+DC(4)脾臓CD4+T細胞(5)脾臓CD8+T細胞(6)脾臓B細胞。C〜E。胸腺および脾臓由来の脾臓CD4+およびCD8+T細胞(C)、CD11b+単球(D)、ならびに脾臓および腹膜腔由来のCD11c+DCサブセット(E)におけるVISTA(PD−L3)発現のフローサイトメトリー分析。(F)脾臓B細胞、NK細胞、および顆粒球もまた分析する。(G)腸間膜リンパ節、末梢リンパ節、脾臓、血液、および腹膜腔を含む、異なる組織部位に由来する造血細胞上でのVISTA(PD−L3)の異なる発現。少なくとも3回の独立した実験からの代表的なデータを示す。

VISTA、新規な構造的に異なるIg−スーパーファミリー阻害性リガンドであり、その細胞外ドメインが、他のCDおよびB7ファミリーメンバーとともに抗原提示細胞上に提示される、B7ファミリーリガンドPD−L1に対して最も高い相同性を有する、VISTAを示す。VISTAは、可能性のあるタンパク質キナーゼC結合部位を除き、明らかなシグナル伝達モチーフを有さない、93アミノ酸の細胞質ドメインを有する。

VISTA(PD−L3)ハムスターモノクローナル抗体の特異性を示す。RFPに融合されたPD−L1またはVISTA(PD−L3)のいずれかを過剰発現するマウスEL4細胞株を、ハイブリドーマ培養物からの上清を用いて染色し、フローサイトメトリーによって分析した。8D8および6E7の2つの代表的な陽性クローンを示す。

インビトロ培養した脾臓細胞上でのVISTA(PD−L3)発現と他のB7ファミリーリガンドとの比較。CD4+T細胞、CD11bhi単球、およびCD11c+DCを含む、造血細胞型上でのVISTA(PD−L3)および他のB7ファミリーリガンド(すなわち、PD−L1、PD−L2、B7−H3、およびB7−H4)の発現。細胞は、活性化ありまたはなしで、新たに単離したか、またはインビトロで24時間培養したかのいずれかであった。CD4+T細胞は、プレートに結合したαCD3(5μg/ml)で活性化し、CD11bhi単球およびCD11c+DCは、IFNα(20ng/ml)およびLPS(200ng/ml)で活性化した。3回の独立した実験からの代表的な結果を示す。

免疫付与の際のVISTA(PD−L3)およびB7ファミリーリガンドのインビボ発現パターンの比較を示す。DO11.10TCRトランスジェニックマウスに、フロイント完全アジュバント(CFA)中に乳化させたトリ卵白アルブミン(OVA)で脇腹に免疫付与を行った。流入領域および非流入領域リンパ節細胞を、免疫付与の24時間後に採取し、VISTA(PD−L3)、PD−L1、およびPD−L2の発現についてフローサイトメトリーによって分析した。少なくとも4回の独立した実験からの代表的な結果を示す。(A)高レベルのVISTA(PD−L3)を発現するCD11b+細胞集団が、CFA/OVAでの免疫付与の24時間後に誘導されたが、流入領域リンパ節内でCFA単独では誘導されなかった。これらの細胞は、F4/80+マクロファージおよびCD11C+樹状細胞の混合表現型のものである。(B)CD11bhi単球、CD11c+DC、およびCD4+T細胞上でのVISTA(PD−L3)、PD−L1、およびPD−L2の発現を、免疫付与の24時間後に分析した。

免疫応答に応答して、活性化CD4+T細胞、CD11b

+、およびCD11c

+細胞上でのVISTA(PD−L3)発現の消失を示す。DO11.10マウスに、フロイント完全アジュバント(CFA)中に乳化させたトリ卵白アルブミン(OVA)で脇腹に免疫付与を行った。流入領域および非流入領域リンパ節細胞を免疫付与の48時間後に採取し、VISTA(PD−L3)発現についてフローサイトメトリーによって分析した。2回の独立した実験からの代表的な結果を示す。

固定化VISTA(PD−L3)−Ig融合タンパク質が、CD4+およびCD8+T細胞増殖を阻害したことを示す。(A)CFSE標識化CD4+およびCD8+T細胞を、共吸収VISTA(PD−L3)−Igありまたはなしでプレートに結合したαCD3によって刺激した。CFSE−low細胞の割合を定量し、(B)に示す。(C)PD−1 koマウスに由来するCD4+T細胞もまた、VISTA(PD−L3)−Igによって抑制された。(D)VISTA(PD−L3)−Igに媒介される抑制は、持続性であり、遅くに作用し得る。CD4+T細胞を、VISTA(PD−L3)−Igまたは対照Igの存在下で、72時間(i)または24時間(ii、iii、およびiv)のいずれかで活性化した。24時間事前活性化させた細胞を採取し、指定される条件下でさらに48時間刺激した。細胞増殖を、72時間の培養の最後に分析した。(ii)VISTA(PD−L3)−Igでの事前活性化および抗CD3での再刺激、(iii)抗CD3での事前活性化およびVISTA(PD−L3)−Igでの再刺激。(iv)VISTA(PD−L3)−Igでの事前活性化およびVISTA(PD−L3)−Igでの再刺激。二連のウェルを、すべての条件について分析した。4回の実験からの代表的な結果を示す。

同上。

CD4+T細胞増殖に対するPD−L1−IgおよびVISTA(PD−L3)−Ig融合タンパク質の類似の作用を示す。バルク精製したCD4+T細胞をCFSE標識し、PD−L1−IgまたはVISTA(PD−L3)−Ig融合タンパク質の滴定量とともにプレートに結合したαCD3で刺激した。CFSE希釈物を、72時間で分析し、CFSElow細胞の割合を定量した。二連のウェルを、すべての条件について分析した。2回の独立した実験からの代表的な結果を示す。

ナイーブおよびメモリーCD4+T細胞の増殖に対するVISTA(PD−L3)−Igの抑制影響を示す。(A)ナイーブ(CD25−CD44lowCD62Lhi)およびメモリー(CD25−CD44hiCD62Llow)CD4+T細胞サブセットを分類し、CFSE標識し、示される比率でVISTA(PD−L3)−Igまたは対照Igとともにプレートに結合した抗CD3(2.5μg/ml)で刺激した。72時間で、CFSE分裂プロファイルを試験することにより細胞増殖を分析した。CFSElow細胞の割合によって判定される、増殖した細胞の割合を計算し、Bに示す。二連のウェルを、すべての条件について分析した。2回の独立した実験からの代表的な結果を示す。

VISTA(PD−L3)−Ig融合タンパク質が、初期TCR活性化および細胞増殖を抑制したが、アポトーシスを直接誘導することはなかったことを示す。バルク精製したCD4+T細胞を、1−2の比率でVISTA(PD−L3)−Igまたは対照Igとともにプレートに結合した抗CD3で刺激した(それぞれ、2.5μg/mlおよび5μg/ml)。24時間および48時間で、細胞を、CD69、CD62L、およびCD44の発現についてフローサイトメトリーによって分析した。細胞はまた、初期アポトーシスマーカーであるアネキシン−V、および細胞死マーカーである7−アミノアクチノマイシンD(7−AAD)で染色した。2回の独立した実験からの代表的な結果を示す。

VISTA−Igが、CD4+およびCD8+T細胞によるサイトカイン産生を阻害したことを示す。(A〜B)バルク精製したCD4+T細胞を、示される比率で、プレートに結合した抗CD3およびVISTA−Igもしくは対照−Igで刺激した。培養上清を、24時間および48時間後に回収した。IL−2およびIFNγを、ELISAによって分析した。(C〜D)CD4+T細胞を、ナイーブ(CD25−CD44lowCD62Lhi)およびメモリー(CD25−CD44hiCD62Llow)細胞集団に分類した。細胞を、1:2の比率で、プレートに結合したαCD3およびVISTA(PD−L3)−Igもしくは対照Igで刺激した。培養上清を、48時間で回収し、IL−2およびIFNγのレベルをELISAによって分析した。(E)バルク精製したCD8+T細胞を、示される比率で、プレートに結合したαCD3、よびVISTA(PD−L3)−Igもしくは対照Igで刺激した。培養上清中のIFNγを、ELISAによって分析した。すべての条件について、6つの重複するウェルの上清を、ELISA分析のためにプールした。3回の実験からの代表的な結果を示す。

同上。

VISTA−Igに媒介される抑制は、CD28によって提供される中等度のレベルの共刺激を克服し得るが、高レベルの共刺激によって完全に逆転され、同様に外因性IL−2によって部分的に救出されたことを示す。A〜B。マウスCD4+T細胞を、1−1の比率および1−2の比率で、VISTA(PD−L3)−Igまたは対照Igのいずれかとともに、プレートに結合したαCD3によって活性化した。サイトカイン救出については、可溶性mIL−2、mIL7、mIL15、およびmIL−23(すべて40ng/ml)を、細胞培養物に添加した(A)。共刺激の作用を試験するために、αCD28(1μg/ml)を、示される比率で、αCD3およびIgタンパク質とともに固定した(B)。72時間で、CFSE分裂プロファイルを試験することにより細胞増殖を分析した。C〜D。より低いレベルの共刺激の存在下でのVISTA(PD−L3)の抑制活性を試験するために、滴定量のαCD28を、抗CD3(2.5μg/ml)およびVISTA−Ig融合タンパク質もしくは対照Ig融合タンパク質(10μg/ml)とともにコーティングして、マウスCD4+T細胞増殖を刺激した。72時間で、細胞増殖を分析した。増殖したCFSElow細胞の割合を定量し、Dに示す。二連のウェルを、すべての条件について分析した。3回の独立した実験からの代表的なCFSEプロファイルを示す。

同上。

同上。

抗原提示細胞上に発現したVISTA(PD−L3)が、CD4 T細胞増殖を抑制したことを示す。A〜C MHCII分子I−Adおよび共刺激分子B7−2を安定に発現するCHO細胞株を、親T細胞株として使用した。細胞に、VISTA−RFPまたはRFP対照分子のいずれかを発現するレトロウイルスを形質導入した。形質導入した細胞は、均一な発現レベルを達成するように分類した。抗原提示細胞としてのそれらの能力を試験するために、CHO−VISTAまたはCHO−RFP細胞を、マイトマイシンCで処理し、滴定量のOVAペプチドの存在下で、OVA−特異的トランスジェニックCD4+T細胞D011.10と混合した。72時間で、CFSE分裂プロファイル(A〜B)またはトリチウム組み込み(C)のいずれかによってDO11細胞の増殖を分析した。(D)骨髄由来の樹状細胞に、10日間の培養期間中にRFPまたはB7B−H5−RFPレトロウイルスを形質導入した。形質導入したCD11c+RFP+DCおよび形質導入していないCD11c+RFP−DCを分類し、これらを使用して、滴定量のOVAペプチドの存在下で、OVA−特異的トランスジェニックCD4+T細胞OTIIを刺激した。3日目に、CFSE分裂を試験することによって細胞増殖を分析した。すべての実験について、二連のウェルを、すべての条件に関して分析し、3回の独立した実験からの代表的な結果を示す。

同上。

レトロウイルスを形質導入した骨髄由来DCにおけるVISTA(PD−L3)の表面発現レベルを示す。骨髄由来DC(BMDC)を、GM−CSF(20ng/mml)の存在下で培養し、本明細書に記載されるようにRFPまたはVISTA−RFPレトロウイルスのいずれかを形質導入した10日目に、VISTAの表面発現レベルを、培養BMDC上で分析し、新たに単離した腹膜マクロファージと比較した。

抗PDL3モノクローナル抗体が、受動的移入EAEモデルにおいて有効性を呈することを示す。この養子移入EAEモデルにおいて、ドナーSJLマウスに、CFAおよびPLPペプチドで免疫付与を行った。10日目に、流入領域リンパ節由来の総リンパ球を単離し、インビトロでPLPペプチド、IL−23(20ng/ml)、および抗IFNg(10μg/ml)とともに4日間培養した。次いで、増殖したCD4T細胞を精製し、ナイーブレシピエントマウスに養子移入した。疾患進行を監視し、次のようにスコア付けした:0、疾患なし;0.5、尾部の正常な状態の喪失;1:尾部を引きずる;2:尾部を引きずる+後肢麻痺;2.5:片方の後肢麻痺;3:両方の後肢麻痺;3.5:前肢衰弱;4:後肢麻痺+片方の前肢麻痺。疾患スコアが4に達したときに、マウスを屠殺した。*マウスを屠殺した。

抗原提示細胞上に発現したVISTAが、CD4+T細胞増殖を抑制したことを示す。

抗VISTA抗体が、MB49腫瘍細胞を移植したマウスにおいて腫瘍成長を阻害したことを示す。

4つの異なるマウス抗腫瘍モデル(A〜D)におけるVISTAモノクローナル抗体の抗腫瘍効果を示す。図21Eは、ID8モデルにおける異なる細胞上でのVISTAの発現を示す。異なる解剖学的位置では、骨髄性樹状細胞上での発現が非常に高い。示されるように、腫瘍が成長し、白血球が浸潤する部位である腹細胞では、骨髄性樹状細胞上のレベルが非常に高い。

同上。

同上。

CD40/TLRアゴニストワクチン(アゴニスト性αCD40mab、TLRアゴニスト、およびOVAペプチド)の有効性に対するVISTAモノクローナル抗体の増強作用を示す

健常なマウスまたはEAEを発症するマウスにおけるCNS細胞上でのVISTA発現を示す。

VISTAの配列および構造分析を示す。(A)マウスVISTAの一次アミノ酸配列、Ig−Vドメイン、ストークセグメント、および膜貫通領域は、それぞれ、太字、イタリック、およびTimes New Romanで強調表示する。細胞外ドメイン領域のシステインは、下線で示す。(B)複数のB7ファミリーメンバーおよびVISTAのIg−Vドメインの多重配列アライメント。予測される二次構造(矢印、スプリング、および「T」を、それぞれ、鎖、ヘリックス、およびβ折り返しに使用して)を、アライメントの上に記し、これは、VISTA構造モデルに基づく。VISTA(配列番号15)、PD1L1(配列番号11)、PD1L2(配列番号12)、B7H4(配列番号13)、およびB7H3(配列番号14)。(C)VISTAオルソログの多重配列アライメント。不変残基を赤色の背景で表し、物理化学的に保存される位置を赤色の文字で表す。保存アミノ酸は、青色の四で記す。保存は、36個のVISTAオルソログタンパク質に基づいて計算されるが、9個の代表例のみを示す。ほとんどすべてのIgスーパーファミリーメンバーで保存される標準システイン対(「B」および「F」鎖内)を、赤色の円で強調表示し、一方でVISTAに特異的なシステインを、青色の円で記す。固有なVISTAシステインパターンが、マウス(配列番号17)、ヒト(配列番号16)、カンガルー(配列番号18)、イルカ(配列番号19)、トリ(配列番号20)、アフリカツメガエル(配列番号21)、キンカチョウ(配列番号22)、ゼブラフィッシュ、およびフグ(配列番号23)に由来するすべてのオルソログで保存される。

同上。

腫瘍細胞上でのVISTAの過剰発現は、防御的抗腫瘍免疫を克服することを示す。VISTAまたはRFP対照タンパク質を過剰発現するMCA105腫瘍細胞を、レトロウイルス形質導入により生成し、均一性で分類した。防御的免疫を生成するために、ナイーブマウスに、左脇腹の皮下に、照射したMCA105腫瘍細胞をワクチン接種した。(A)ワクチン接種したマウスを、14日後に、右脇腹の皮下に、生MCA105VISTAまたはMCA105RFP腫瘍細胞でチャレンジした。腫瘍成長を2日毎に監視した。腫瘍寸法は、平均±標準誤差として示す。3回の独立した反復からの代表的な結果を示す。(B)ワクチン接種したマウスは、未処理であったか、または生腫瘍チャレンジの前にCD4

+およびCD8

+T細胞の両方がモノクローナル抗体によって枯渇されたかのいずれかであった。腫瘍寸法を、Aにあるように監視し、平均±標準誤差として示す。2回の独立した反復からの代表的な結果を示す。すべての実験について、比率は、1群あたりのマウス合計数中の腫瘍保持マウスの数を示す。統計学的差異(p−値)を、対応のないマンホイットニー試験で評価した。

図25A〜Fは、特異的モノクローナル抗体を用いたVISTA封鎖が、インビトロおよびインビボでCD4

+T細胞応答を強化したことを示す。(A)モノクローナル抗体クローン13F3は、インビトロでVISTA媒介性抑制を中和する。A20−RFPおよびA20−VISTA細胞を使用して、同族OVAペプチドの存在下で、CFSEで標識したDO11.10CD4

+T細胞を刺激した。20μg/mlのVISTA特異的モノクローナル抗体13F3または対照Igを、示されるように添加した。CFSE希釈物を、72時間後に分析し、CFSE

low細胞の割合を、平均±標準誤差として示す。二連のウェルを、すべての条件について分析した。ナイーブ脾細胞から分類された(BおよびC)総CD11b

hi骨髄性細胞(B)またはCD11b−CD11c

単球(C)およびCD11b

hiCD11c

+骨髄性DC(D)を照射し、これらを使用して、OVAペプチドの存在下で、CFSEで標識したOT−IIトランスジェニックCD4

+T細胞を刺激した。細胞増殖は、72時間の培養期間の最後の8時間に滴定チミジンを組み込むことによって測定し、平均±標準誤差として示す。三連のウェルを、すべての条件において分析した。

同上。

VISTA−IgG2aが、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)(多発性硬化症のモデル)の進行を低減させることを示す。マウスを、175μgのMOG/CFAおよび百日咳毒素(PT)300ng(0日目、2日目)で固定し、活性なEAEを誘導した。14、17、および20日目に、150μgのVISTA−IgG 2a(n=8)または150μgの対照IgG2a(n=8)を投与した。データを、平均±標準誤差として示す。

実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)進行に対するVISTA−IgG1およびVISTA−IgG2aの治療効果を示す。マウスを、175μgのMOG/CFAおよび百日咳毒素(PT)300ng(0日目、2日目)で固定し、活性なEAEを誘導した。6日目に、マウスを、1週間当たり3用量の150μgの対照IgG1(n=3)、150μgの対照IgG2a(n=6)、150μgのmVISTA−IgG1(n=3)、または150μgのmVISTA IgG2a(n=6)で処置した(合計2週間)。データを、平均±標準誤差として示す。

実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)進行に対するVISTA−IgG2a融合タンパク質の治療効果を示す。マウスを、175μgのMOG/CFAおよび百日咳毒素(PT)300ng(0日目、2日目)で固定し、活性なEAEを誘導した。14日目に、マウスを、1週間当たり3用量のPBS(n=6)、100μgの対照IgG2a(n=6)、300μgの対照IgG2a(n=6)、100μgのVISTA−IgG2a(n=6)、または300μgのmVISTA IgG2a(n=6)で処置した(合計2週間)。データを、平均±標準誤差として示す。

健常ヒト組織をcDNA組織パネル(Origene)のリアルタイムPCR分析によって試験した、VISTAの発現を示す。(A)VISTAは、造血組織または著しい数の造血組織を含有する組織において優勢に発現した。これは、免疫関連機能におけるVISTAの重要性と一致する。(B)発現の発現パターンは、VISTAの最も近い相同体であるPD−L1のものと類似の傾向に従うことがわかった。

単球、樹状細胞における、ならびにおおよそ20%のCD4およびCD8T細胞による、VISTAタンパク質の発現を図示する(図30)。VISTA発現は、血中単球の「巡回性」(CD14

dimCD16

+)サブセットおよび「炎症性」(CD14

+CD16

+/−)サブセットの両方において、ならびに樹状細胞のリンパ球サブセットおよび骨髄サブセットの両方において観察された。

バルク精製したCD4(図31A)およびCD8(図31B)T細胞のCFSE希釈物の抑制を示す。VISTAの細胞外ドメインおよびFc受容体結合の低下のために突然変異を含むヒトIgGのFc領域からなるIg融合タンパク質を作成した。10μg/mlのVISTA−Igまたは対照Igを、2.5μg/mlの抗CD3(OKT3)とともにプレートに固定し、次いで、増殖を、CFSE希釈によって測定した。

より高い濃度のOKT3が、より高い濃度のVISTAによって克服され得ることを示した、異なる濃度のOKT3にわたるヒトVISTA−IgおよびヒトVISTA−Igの滴定を示す(図32Aおよび32B)。

図33A〜Cは、VISTA−Igの存在下または不在下での活性化の後に試験した細胞の状態を示す。2日間の培養中に、抗CD3による初期活性化マーカーCD25およびCD69の上方制御が、VISTA−Igによって遮断された(図33Aおよび33B)。同様に、5日間の培養後、抗原経験を示すCD45RAの発現からCD45ROへの偏移が防止された(図33C)。VISTAは、細胞生存に影響を有さなかった。図34Dは、VISTA−Igが、FoxP3変換を増加させたことを示す。

同上。

細胞を2日間抗CD3およびVISTA−Ig上で培養し、次いで、3日間抗CD3単独に移した、VISTAによって誘導された抑制を示す。このさらなる刺激は、抑制を救出することができなかった(図34Aおよび34B)。

VISTA−Igが、CD4(図35A)およびCD8(図35B)T細胞によるIL−10、TNFα、およびIFNγの産生を有意に低減させ、IL−17産生における軽度の減少傾向があったことを示す。

抗CD28アゴニスト性抗体は、T細胞に対して強力な共刺激を提供し、VISTA抑制にチャレンジするために培養物中に滴定した(図36A〜C)。

VISTA mAb処理は、腫瘍成長を低減させた。マウスに、A.MB49、B.MCA105、C.EG7腫瘍細胞、D.ID8−ルシフェラーゼ、E.B16F10を注入した。マウスを、0日目(A〜D)または2日目(E)で開始して、1日おきにVISTA mAb 13F3(300μg)で処理した。PD−L1 mAb(MIH5)もまた、B16F10に投与した。皮下腫瘍成長を、キャリパーを用いて監視し、mm

2として記録した。腹腔内ID8−ルシフェラーゼ腫瘍については、Xenogen IVISを使用して、30日目および55日目にマウスを撮像した。MB49 ELISPOT分析(A)については、腫瘍流入領域リンパ節細胞を、照射した腫瘍細胞で刺激した。

ヒト固有層DCは、VISTAaを発現する。健常な結腸から単離したLMPCを、ビオチン複合化抗ヒトVISTA(抗体クローンGA1)で染色して、Lin−HLA−DR+LP樹状細胞におけるVISTA発現を特定した。

Vista−Igは、ヒトCD4T細胞を抑制する。CFSE標識したヒトCD4T細胞を、プレートに結合した抗CD3(2.5μg/ml)およびVISTA−Ig(示される濃度)で刺激した。(A)代表的なCFSE希釈プロファイル。(B)CFSE−low細胞の割合を定量し、平均±標準誤差として示す。

VISTAは、PD−L1/PD−1経路と協働して作用する。A.αVISTAとαPD−L1 mAbとのコンビナトリアル治療(+4日目)は、B16F10腫瘍成長を阻害した。B.インビトロ相乗性:VISTA−IgおよびPD−L1−Igを、αCD3/CD28と一緒に固定して、CD4+およびCD8+ナイーブT細胞を刺激した。細胞増殖を、72時間で、CFSE希釈によって評価した。C.B16F10腫瘍のTME内でのPD−L1およびVISTAの差次的発現パターン。VISTAは、腫瘍浸潤白血球(TIL)上にのみ発現するが、一方でPD−L1は、腫瘍細胞およびTILの両方に発現する。

αh VISTA mAbでの骨髄性細胞上のVISTAの検出。PBLを、VISTA−Igの不在下(上)または存在下(下)で染色して、特異性を確認した。

T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)と指定され、マウスにおける防御的抗腫瘍免疫の破壊に重要な役割を果たす、新規な阻害性リガンドを発見した(1)。 VISTAは、PDL1に対して限定された相同性を有し、PD−1から独立して、未知の受容体を介してT細胞活性化を決定的に抑制する。VISTA KOマウスは、炎症性表現型を呈し、末梢寛容の維持におけるVISTAの重要な役割を示す。VISTAは、腫瘍内微小環境(TME)に高度に発現され、最適な抗腫瘍免疫の生成を直接障害させる。VISTA mAbに媒介される封鎖は、複数のマウス腫瘍モデルにおいて腫瘍成長を有意に抑制した。

これらの発見に基いて、VISTAが腫瘍浸潤白血球上に発現し、この発現がTMEにおけるT細胞応答を抑制するという仮説を立てる。本出願は、マウスモデルにおける既存のVISTA研究を、ヒト患者に拡張する。具体的には、本出願は、患者試料におけるVISTA発現の検討、およびこれがT細胞機能にどのように影響するかについての試験に関して、さらに説明する。それに基づいて、VISTAの阻害は、(機能的に関連するタンパク質CTLA−4およびPD−L1での成功と同様に)癌の治療に使用することができる。別の態様において、本開示は、この目的で開発するのに好適な遮断抗体を特定する方法を提供する。

別の態様において、本発明は、活性を調節する方法、および/または特定の制御性T細胞タンパク質に特異的に結合するか、もしくはその対抗受容体との結合を遮断する方法に関する。PD−L3またはVISTAと指定されるこのタンパク質は、新規な構造的に異なるIg−スーパーファミリー阻害性リガンドであり、その細胞外ドメインは、B7ファミリーリガンドPD−L1に対する相同性を有する。この分子は、本明細書において互換的に、PD−L3もしくはVISTA、またはT細胞活性化のVドメイン免疫グロブリン抑制因子(VISTA)と称される。VISTAは、主に造血コンパートメント内で発現し、骨髄性APCおよびT細胞上では高度に制御される。VISTA阻害性経路の治療介入は、広範な癌の治療のためにT細胞媒介性免疫を調節するための興味深いアプローチを表す。

本発明は、具体的に、結腸直腸癌、膀胱癌、卵巣癌、および黒色腫を含む、特定の癌を治療するためのVISTAまたはPD−L3に特異的な抗体の使用に関する。

以下に開示されるように、VISTAの発現は、造血コンパートメントに限定的であると見られ、このタンパク質は、成熟骨髄性細胞(CD11bbright)上で高度に発現し、CD4+T細胞、Treg、およびCD8+T細胞上では発現レベルが低い。APC上での可溶性VISTAタンパク質、例えば、可溶性VISTA−Ig融合タンパク質、またはVISTAの発現は、インビトロでのCD4+およびCD8+T細胞増殖、ならびにサイトカイン産生を抑制する。抗VISTA抗体、例えば、抗VISTA mab(13F3)が、インビトロでVISTA+APCによるT細胞応答のVISTA誘導性抑制を遮断したことも観察される。また、抗VISTA mabが、EAEを悪化させ、インビボで脳炎誘発性Th17の頻度を増加させたことも発見された。なおもさらに、以下に詳細に開示されるように、抗VISTA mabが、複数(4つ)の腫瘍モデルにおいて腫瘍寛解を誘導することが発見された。これらのモデルにおける骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)上でのVISTAの発現は、非常に高度であり、VISTA+MDSCが、腫瘍特異的免疫を抑制することを示唆する。本明細書に示されるように、VISTAは、インビトロおよびインビボの両方で、マウスおよびヒト(インビトロのみ)において、T細胞上で免疫抑制活性を発揮し、自己免疫の発達および癌に対する免疫応答の制御における重要なメディエーターである。具体的には、データは次のことを示す:

(1)VISTAは、Igスーパーファミリーの新しいメンバーであり、PD−L1にわずかな配列類似性を有するIg−Vドメインを含有する。Ig融合タンパク質として産生される場合、または人工的なAPC上で過剰発現される場合、VISTAは、マウスお よびヒトCD4+およびCD8+T細胞増殖、ならびにサイトカイン産生の両方を阻害することを、本明細書に開示する。

(2)骨髄性APCでのVISTA発現は、インビトロでT細胞応答に対して阻害性である。

(3)腫瘍内微小環境におけるMDSC上でのVISTA発現は、極めて高度である。多数の細胞表面分子の表現型および機能の分析が、MDSCに媒介されるT細胞の抑制に関与することが既に示唆されている:CD115、CD124、CD80、PD−L1、およびPD−L2は、MDSCによって発現されたが、MDSCと免疫抑制活性を欠く腫瘍を有さないマウスに由来する細胞との間に、それらの発現レベルまたは陽性細胞の割合に差は見られなかった。したがって、VISTAが、MDSC上の主要なB7の負の制御因子であろうことを予測する。

(4)抗体に媒介されるVISTAの封鎖は、自己腫瘍に対する防御的免疫を誘導する。

それに基づいて、VISTAは、防御的抗腫瘍免疫の発達を妨害するMDSC上の優性な負の免疫制御性分子であると考えられる。したがって、この分子の活性を抗VISTA抗体で遮断することは、ヒトおよび他の哺乳動物における防御的抗腫瘍免疫の発達を可能にするであろう。

したがって、本発明は、VISTA細胞外ドメインまたはそのフラグメントの複数のコピーと、VISTA結合剤、例えば、小分子および抗体またはそのフラグメントと、を含み、免疫調節剤としてVISTAに結合するか、またはその活性を調節(作動もしくは拮抗)する、様々な癌、例えば、結腸直腸癌、膀胱癌、卵巣癌、およびリンパ腫、自己免疫疾患、アレルギー、感染症、ならびに炎症性状態、例えば、多発性硬化症および関節炎の治療のための、可溶性VISTAタンパク質、例えば、融合タンパク質および多量体VISTAタンパク質を使用する方法に関する。

以下に詳細に記載されるように、VISTAは、新規な阻害性リガンドであり、その細胞外Ig−Vドメインは、2つのB7ファミリーリガンド、すなわちプログラム死リガンド1および2(PD−L1およびPD−L2)に対する相同性を有し、固有の配列特性、ならびにインビトロおよびインビボにおいてAPCおよびT細胞のサブセット上で独特の発現パターンを呈する(これが、PD−L3またはVISTAを他のB7ファミリーリガンドと区別する)。このタンパク質は、CD4+およびCD8+T細胞増殖および分化対する機能的影響を有することが示されている(CD4+およびCD8+T細胞増殖、ならびにサイトカイン産生を抑制する)。その発現パターンおよびT細胞に対する阻害性影響に基づいて、PD−L3またはVISTAは、T細胞と骨髄系由来のAPCとの間の同族相互作用の際にT細胞応答を負に制御する制御性リガンドとして機能するとみられる。

PD−L3またはVISTAは、B7ファミリーリガンドのメンバーと見られるが、他のB7ファミリーリガンドとは異なり、この分子は、Ig−Cドメインを有さずにIg−Vドメインのみを含有し、系統発生学的には、B7ファミリー受容体プログラム死−1(PD−1)により近似する。それに基づいて、PD−L3またはVISTA、およびそれに特異的なアゴニストもしくはアンタゴニストは、T細胞活性化および分化の制御、ならびにより広義には、免疫応答を制御する制御性ネットワークの調節に使用され得る。特に、PD−L3またはVISTAタンパク質およびPD−L3またはVISTAアゴニストまたはアンタゴニストは、好ましくは、PD−L3またはVISTAに特異的な抗体は、自己免疫、炎症性応答および疾患、アレルギー、癌、感染性疾患、ならびに移植における 免疫応答の調節に有用である。

したがって、本発明は、インビボでVISTAを調節する、配列番号1または3に特異的にハイブリダイズする遺伝子によってコードされる、配列番号2、4、もしくは5に記載されるヒトもしくはマウスPD−L3もしくはVISTAポリペプチド、またはそのオルソログ、もしくはフラグメントに、少なくとも70〜90%同一である、アミノ酸配列を含む、単離可溶性PD−L3もしくはVISTAタンパク質または融合タンパク質、例えば、可溶性VISTA−Ig融合タンパク質または多量体VISTAタンパク質と、薬学的に許容される担体と、を含む、例えば、治療、診断、または免疫調節用途のための、組成物に部分的に関する。いくつかの実施形態において、可溶性または多量体VISTAタンパク質は、直接的もしくは間接的に異種(非VISTA)タンパク質に連結され得るか、または(例えば、トランスフェクトした免疫細胞、例えばT細胞)を含有するウイルスベクターもしくは細胞によって発現され得る。

本発明はまた、配列番号2、4、もしくは5に記載されるヒトもしくはマウスVISTAアミノ酸配列、またはそのフラグメントもしくはオルソログに少なくとも70〜90%同一であるVISTAタンパク質をコードする単離核酸を含み、Igポリペプチド、例えば、Fc領域またはレポーター分子といった別のタンパク質をコードする配列に任意に融合される、発現ベクター、および当該ベクターを含有する宿主細胞を提供する。

本発明はまた、具体的には、配列番号2、4、もしくは5に記載されるアミノ酸配列、またはその変異体、フラグメント、もしくはオルソログを含む、PD−L3またはVISTAタンパク質に特異的に結合する、単離結合剤、好ましくは、抗体または抗体フラグメントに関する。好ましい実施形態において、結合剤は、インビトロまたはインビボでVISTA活性を調節(作動または拮抗)する。最も好ましい実施形態において、結合剤は、アゴニスト性またはアンタゴニスト性抗体である。

本発明は、免疫細胞の応答が調節されるように、一次シグナルの存在下で、インビトロまたはインビボで免疫細胞と、VISTAタンパク質またはそれに特異的な結合剤とを接触させることによって、免疫細胞応答を調節するための方法をさらに提供する。(VISTAまたはその調節剤の相互作用は、免疫細胞にシグナルを伝送し、免疫応答を制御する。PD−L3またはVISTAタンパク質は、骨髄性樹状細胞(DC)およびマクロファージを含む骨髄性抗原提示細胞において高度に発現し、CD4+およびCD8+T細胞上では低密度で発現する。免疫活性化により、PD−L3またはVISTA発現は、骨髄性APCでは上方制御されるが、CD4+T細胞では下方制御される)。したがって、本発明のPD−L3またはVISTA核酸およびポリペプチド、ならびにそれらのアゴニストまたはアンタゴニストは、例えば、免疫応答の調節に有用である。

加えて、PD−L3もしくはVISTAポリペプチド(もしくはその生物学的に活性な部分)またはPD−L3もしくはVISTA分子の調節剤、すなわち、前述の方法を用いて選択されるもの等である抗体は、薬学的に許容される担体を任意に含む、薬学的組成物に組み込まれ得る。

本発明の方法に従って活性化された免疫細胞は、次いで、エキソビボで増殖され、種々の疾患の治療または防止に使用され得る;例えば、インビトロでクローニングされ、増殖されたヒトT細胞は、それらの制御性活性を維持する(Groux,et al.(1997)Nature 389(6652):737−42)。増殖の前に、T細胞源は、対象(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、またはそれらのトランスジェニック種等の哺乳動物)から得られる。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位由来の組織、脾臓組織、腫瘍、またはT細胞株を含む、多数の源 から得ることができる。T細胞は、ficoll(商標)分離といった当業者に既知の多数の技術を使用して対象から採取した血液単位から得ることができる。別の態様において、本発明は、PD−L3もしくはVISTA核酸分子、タンパク質、またはポリペプチドの存在が生体試料中で検出されるように、生体試料と、PD−L3もしくはVISTA核酸分子、タンパク質、またはポリペプチドを検出することができる薬剤とを接触させることによって、生体試料中のPD−L3もしくはVISTA核酸分子、タンパク質、またはポリペプチドの存在を検出するための方法を提供する。このPD−L3またはVISTA発現を使用して、癌性部位を含む、ある特定の疾患部位を検出することができる。

別の態様において、本発明は、細胞におけるPD−L3またはVISTA活性が調節されるように、PD−L3またはVISTAを発現することができる細胞と、PD−L3またはVISTA活性を調節する薬剤、好ましくは抗PD−L3またはVISTA抗体とを接触させることを含む、PD−L3またはVISTA活性を調節するための方法を提供する。一実施形態において、この薬剤は、PD−L3またはVISTA活性を阻害する。別の実施形態において、この薬剤は、PD−L3またはVISTA活性を刺激する。さらなる実施形態において、この薬剤は、PD−L3またはVISTAポリペプチドとその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を妨害するか、または強化する。一実施形態において、この薬剤は、PD−L3またはVISTAポリペプチドに特異的に結合する抗体である。別の実施形態において、この薬剤は、PD−L3またはVISTAポリペプチドに結合するペプチド、ペプチド模倣体、または他の小分子である。

さらに別の実施形態において、この薬剤は、PD−L3もしくはVISTA遺伝子の転写、PD−L3もしくはVISTA mRNAの翻訳、またはPD−L3もしくはVISTAポリペプチドの翻訳後修飾を調節することによって、VISTA(PD−L3)の発現を調節する。別の実施形態において、この薬剤は、PD−L3もしくはVISTA mRNAまたはPD−L3もしくはVISTA遺伝子のコード鎖に対してアンチセンスであるヌクレオチド配列を有する核酸分子である。

一実施形態において、本発明の方法を使用して、異常な、不十分な、または望ましくないPD−L3もしくはVISTAポリペプチドまたは核酸の発現または活性を特徴とする障害または状態を有する対象を、PD−L3またはVISTA調節剤である薬剤を対象に投与することによって治療することができる。1つの好ましい実施形態において、PD−L3またはVISTA調節剤は、以下に記載されるPD−L3またはVISTAポリペプチド、好ましくは、可溶性融合タンパク質もしくは多量体VISTAタンパク質、または抗VISTA抗体である。別の実施形態において、PD−L3またはVISTA調節剤は、例えばアデノウイルスベクター中の、PD−L3またはVISTA核酸分子である。別の実施形態において、本発明は、免疫応答を調節する追加の薬剤を用いて対象を治療することをさらに提供する。

さらに別の実施形態において、本発明は、抗原と、PD−L3またはVISTA活性を調節(強化または阻害)する薬剤とを含む、ワクチンを提供する。好ましい実施形態において、ワクチンは、PD−L3またはVISTAとその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を阻害する。

別の態様において、本発明は、PD−L3またはVISTA活性を有するPD−L3またはVISTAポリペプチドを含む指標組成物を提供し、この指標組成物と試験化合物とを接触させ、指標組成物におけるPD−L3またはVISTA活性に対する試験化合物の作用を判定して、PD−L3またはVISTAポリペプチドの活性を調節する化合物を特定することによって、VISTA(PD−L3)ポリペプチドに結合するか、またはその活性を調節する、化合物を特定するための方法を提供する。

一態様において、本発明は、免疫細胞上でのPD−L3またはVISTAとその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用が調節されるように、PD−L3またはVISTAを発現する抗原提示細胞と、PD−L3またはVISTAの形態からなる群から選択される薬剤またはPD−L3またはVISTAとその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を調節する薬剤とを接触させることを含む、免疫細胞上でのVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を調節するための方法を特徴とする。好ましい実施形態において、PD−L3またはVISTAとその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を調節する薬剤は、PD−L3またはVISTAに特異的に結合する抗体である。一実施形態において、PD−L3またはVISTAとその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用は、上方制御される。別の実施形態において、PD−L3またはVISTAとその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用は、下方制御される。一実施形態において、本方法は、免疫細胞または抗原提示細胞と、免疫応答を調節する追加の薬剤と、を接触させることをさらに含む。

一実施形態において、接触のステップは、インビトロで行われる。別の実施形態において、接触のステップは、インビボで行われる。一実施形態において、免疫細胞は、T細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、および骨髄性細胞からなる群から選択される。

別の態様において、本発明は、免疫細胞活性化が阻害または増加されるように、細胞におけるPD−L3またはVISTAの活性または発現を増加または阻害することを含む、免疫細胞における活性化を阻害または増加させるための方法に関する。

さらに別の実施形態において、本発明は、抗原と、PD−L3またはVISTAとその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を阻害する薬剤と、を含む、ワクチンに関する。

別の態様において、本発明は、免疫応答の上方制御により利益を得るであろう状態が治療されるように、対象の免疫細胞上でのPD−L3またはVISTAとその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を阻害する薬剤を投与することを含む、免疫応答の上方制御により利益を得るであろう状態を有する対象を治療するための方法に関する。1つの好ましい実施形態において、この薬剤は、PD−L3またはVISTAに結合し、PD−L3またはVISTAとその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を阻害する、遮断抗体または小分子を含む。別の実施形態において、本方法は、免疫応答を上方制御する第2の薬剤を対象に投与することをさらに含む。別の態様において、本発明は、免疫応答の下方制御により利益を得るであろう状態が治療されるように、対象の免疫細胞上でのPD−L3またはVISTAとその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を刺激する薬剤を投与することを含む、免疫応答の下方制御により利益を得るであろう状態を有する対象を治療するための方法に関する。

例えば、PD−L3もしくはVISTAタンパク質または結合剤で治療される状態は、腫瘍、病原体感染、炎症性免疫応答もしくは状態、好ましくはあまり顕著でない炎症性状態、または免疫抑制疾患からなる群から選択される。具体的な例には、多発性硬化症、甲状腺炎、リウマチ性関節炎、II型およびI型糖尿病、ならびに結腸直腸癌、膀胱癌、卵巣癌、黒色腫、肺癌等の転移性癌、または他の癌を含む、癌(進行期または初期形態の両方)が挙げられ、ここで、VISTAは、有効な抗腫瘍応答を抑制する。いくつかの場合において、個体は、抗VISTA抗体またはVISTA融合タンパク質をコードする核酸を発現する細胞またはウイルスベクターを投与され得る。

本発明によるPD−L3もしくはVISTAタンパク質、結合剤、またはPD−L3もしくはVISTAアンタゴニストもしくはアゴニストを用いて治療可能な例示的な状態には、例として、移植、アレルギー、感染性疾患、癌、および炎症性もしくは自己免疫疾患、例えば、炎症性免疫障害が挙げられる。前述のものの具体的な例には、1型糖尿病、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、リウマチ性疾患、アレルギー性障害、喘息、アレルギー性鼻炎、皮膚障害、クローン病および潰瘍性大腸炎等の胃腸障害、移植片拒絶、連鎖球菌感染後および自己免疫性腎不全、敗血症性ショック、全身性炎症応答症候群(SIRS)、成人性呼吸促迫症候群(ARDS)、および毒物注入;自己炎症性疾患、ならびに骨関節炎、結晶性関節炎、および包炎を含む変形性骨関節疾患、ならびに他の関節症が挙げられる。さらに、本方法および組成物は、腱炎、靭帯炎、および外傷性関節傷害を治療するために使用することができる。

好ましい実施形態において、本主題のPD−L3またはVISTAタンパク質、核酸、およびPD−L3またはVISTAに特異的なリガンド、好ましくは、PD−L3またはVISTA機能に対する所望の作用を有する抗体を使用して、癌、自己免疫疾患、アレルギー、炎症性障害もしくは感染症、ならびにより具体的には、免疫系障害、例えば、重度の複合免疫不全、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、I型真性糖尿病、リンパ球増殖性症候群、炎症性腸疾患、アレルギー、喘息、移植片対宿主病、および移植片拒絶、細菌およびウイルスといった感染病原体に対する免疫応答、ならびにリンパ腫および白血病)といった免疫系の癌といった状態を治療することができる

上述の感染因子および寄生因子に加えて、非感染因子に対する望ましい強化された免疫原性のための別の分野は、癌を含むがこれに限定されない増殖不全疾患の分野に含まれ、ここで、癌抗原を発現する細胞は、望ましくは体外に排出される。本発明の組成物および方法に使用され得る腫瘍抗原には、前立腺特異的抗原(PSA)、乳癌抗原、膀胱癌抗原、卵巣癌抗原、精巣癌抗原、黒色腫抗原、結腸直腸癌抗原、テロメラーゼ;P−糖タンパク質等の多剤耐性タンパク質;MAGE−1、αフェトタンパク質、癌胎児性抗原、突然変異体p53、パピローマウイルス抗原、ガングリオシド、または黒色腫もしくは他の腫瘍細胞の他の炭水化物含有成分が挙げられるが、これらに限定されない。任意の種類の腫瘍細胞に由来する抗癌が、本明細書に記載される組成物および方法に使用され得ることが、本明細書によって企図される。抗原は、癌細胞、または癌細胞から単離された免疫原性材料、例えば膜タンパク質であり得る。サバイビンおよびテロメラーゼ普遍的抗原、および癌精巣抗原のMAGEファミリーが、含まれる。自己免疫に関与することが示されており、本発明の方法において寛容を誘導するために使用することができる抗原には、ミエリン塩基性タンパク質、ミエリン乏突起膠細胞糖タンパク質、および多発性硬化症のプロテオリピドタンパク質、およびリウマチ性関節炎のCIIコラーゲンタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。

定義 別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および材料が、本発明に使用され得るが、好適な方法および材料が本明細書に記載される。材料、方法、および例は、例示に過ぎず、限定的であることは意図されない。

本明細書および以下の特許請求の範囲全体で使用される際、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈により別途指定されない限り、複数形の言及を含む。

「癌」および「癌性」という用語は、典型的に、制御されない細胞成長を特徴とする、 哺乳動物における生理学的状態を指すか、または説明する。癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病が挙げられるが、これらに限定されない。そのような癌のより具体的な例としては、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、および肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化管癌を含む)、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney cancer)または腎臓癌(renal cancer)、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、および様々な種類の頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度/びまん性NHL、高悪性度免疫芽細胞性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非開裂細胞性NHL、巨大病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、および、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞性白血病、慢性骨髄芽球性白血病、多発性骨髄腫、および移植後リンパ増殖性障害(PTLD)が挙げられる。

本発明により治療に適した例示的な癌には、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病、またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。そのような癌のより具体的な例としては、結腸直腸癌、膀胱癌、卵巣癌、黒色腫、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、および肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化管癌を含む)、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney cancer)または腎臓癌(renal cancer)、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、および様々な種類の頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度/びまん性NHL、高悪性度免疫芽細胞性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非開裂細胞性NHL、巨大病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、および、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞性白血病、慢性骨髄芽球性白血病、多発性骨髄腫、および移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症と関連する異常な血管増殖、浮腫(脳腫瘍と関連するもの等)、およびメイグス症候群が挙げられる。好ましくは、癌は、結腸直腸癌、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵臓癌、軟組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、黒色腫、卵巣癌、中皮腫、および多発性骨髄腫からなる群から選択される。例示的な実施形態において、癌は、早期または進行期(転移性)膀胱癌、卵巣癌、または黒色腫である。別の実施形態において、癌は、結腸直腸癌である。本発明の治療に適した癌性状態には、転移性癌が含まれ、骨髄系由来サプレッサー細胞によるVISTA発現が、抗腫瘍応答および抗浸潤免疫応答を抑制する。本発明の方法は、血管新生腫瘍の治療に特に好適である。

本発明はまた、化学療法もしくは放射線療法または他の生物製剤と組み合わせて、癌、すなわち、骨髄系由来サプレッサー細胞によるVISTA発現が抗腫瘍応答および化学療法もしくは放射線療法の有効性または生物学的有効性を抑制する個体における癌の治療、およびそれらの活性の強化に好適である。抗癌活性を呈する任意の化学療法剤を、本発明に従って使用することができる。好ましくは、化学療法剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体、および関連阻害剤、ビンカアルカロイド、エピポドピロトキシン(epipodopyyllotoxin)、抗生物質、L−アスパラギナーゼ、トポイソメラーゼ阻害剤、インターフェロン、白金配位錯体、アントラセンジオン置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制物質、副腎皮質ステロイ ド、プロゲスチン、エストロゲン、抗エストロゲン、アンドロゲン、抗アンドロゲン、およびゴナドトロピン放出ホルモン類似体からなる群から選択される。より好ましくは、化学療法剤は、5−フルオロウラシル(5−FU)、ロイコボリン(LV)、イレノテカン(irenotecan)、オキサリプラチン、カペシタビン、パクリタキセル、およびドセタキセルからなる群から選択される。2つ以上の化学療法剤を、抗VEGF抗体の投与と組み合わせて投与される混合液中に使用することができる。1つの好ましい組み合わせ化学療法は、5−FUと1つ以上の他の化学療法剤(複数可)とを含む、フルオロウラシルに基づくものである。組み合わせ化学療法の好適な投薬レジメンは、当業者に既知であり、例えば、Saltz et al.(1999)Proc ASCO 18:233aおよびDouillard et al.(2000)Lancet 355:1041−7に記載されている。生物製剤(bilogic)は、PD−L1、PD−L2、CTLA−4、およびPD−L1、PD−L2、CTLA−4融合タンパク質に対する抗体、ならびにサイトカイン、成長因子アンタゴニストおよびアゴニスト、ホルモン、および抗サイトカイン抗体といった、別の免疫増強物質であり得る。

「活性化受容体」は、本明細書に使用される際、抗原、複合抗原(例えば、MHC分子との関連で)、Ig−融合タンパク質、リガンド、または抗体に結合する、免疫細胞受容体を広義に指す。活性化受容体は、しかしながら、T細胞受容体(TCR)、B細胞受容体(BCR)、サイトカイン受容体、LPS受容体、補体受容体、およびFc受容体に限定されない。例えば、T細胞受容体は、T細胞上に存在し、CD3分子と会合する。T細胞受容体は、MHC分子との関連で抗原によって(ならびにポリクローナルT細胞活性化試薬によって)刺激される。TCRを介したT細胞活性化は、多数の変化、例えば、タンパク質リン酸化、膜脂質の変化、イオン流出、環状ヌクレオチドの改変、RNA転写の変化、タンパク質合成の変化、および細胞体積の変化をもたらす。例えば、T細胞受容体は、T細胞上に存在し、CD3分子と会合する。T細胞受容体は、MHC分子との関連で抗原によって(ならびにポリクローナルT細胞活性化試薬によって)刺激される。TCRを介したT細胞活性化は、多数の変化、例えば、タンパク質リン酸化、膜脂質の変化、イオン流出、環状ヌクレオチドの改変、RNA転写の変化、タンパク質合成の変化、および細胞体積の変化をもたらす。

「抗原提示細胞」は、本明細書に使用される際、プロフェッショナル抗原提示細胞(例えば、Bリンパ球、単球、樹状細胞、およびランゲルハンス細胞)、ならびに他の抗原提示細胞(例えば、ケラチノサイト、内皮細胞、星状細胞、線維芽細胞、および乏突起膠細胞)を広義に指す。

「アミノ酸」は、本明細書に使用される際、天然および合成のアミノ酸、ならびに天然のアミノ酸に類似の様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を広義に指す。天然のアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるもの、ならびに後に修飾されるアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリン)である。アミノ酸類似体は、天然のアミノ酸(すなわち、水素に結合する炭素、カルボキシル基、アミノ基)と同じ基本化学構造を有し、R基(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)を有する、化合物を指す。類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有し得るが、天然のアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、天然のアミノ酸と類似の様式で機能する、化合物を指す。

「アネルギー」または「寛容」は、本明細書に使用される際、活性化受容体に媒介される刺激に対する屈折性を広義に指す。屈折性は、概して、抗原特異的であり、寛容化抗原への曝露が停止した後に持続する。例えば、T細胞におけるアネルギーは(非応答性とは 対照的に)、サイトカイン産生、例えば、IL−2の欠如を特徴とする。T細胞アネルギーは、T細胞が抗原に曝露され、第2のシグナルの不在下で第1のシグナル(T細胞受容体またはCD−3に媒介されるシグナル)を受容すると、発生する。これらの条件下では、同じ抗原への細胞の再曝露は(再曝露が共刺激性分子の存在下で起こったとしても)、サイトカイン産生不全、したがって、増殖不全をもたらす。アネルギーT細胞は、しかしながら、無関係の抗原への応答を増加させ得、サイトカイン(例えば、IL−2)とともに培養されると、増殖し得る。例えば、T細胞アネルギーはまた、ELISAによって、または指標細胞株を用いた増殖アッセイによって測定すると、Tリンパ球によるIL−2産生の欠如によって観察され得る。あるいは、レポーター遺伝子構築物を使用してもよい。例えば、アネルギーT細胞は、5’ IL−2遺伝子エンハンサーの制御下で異種プロモーターによって、またはエンハンサー内に見ることができるAP1配列の多量体によって誘導される、IL−2遺伝子の転写を開始することができない(Kang et al.(1992)Science 257:1134)。共刺激性シグナルの調節は、免疫細胞のエフェクター機能の調節をもたらす。したがって、「PD−L3またはVISTA活性」という用語は、PD−L3またはVISTAポリペプチドが、その天然の結合パートナー(複数可)に結合する能力、免疫細胞共刺激性または阻害性シグナルを調節する能力、および免疫応答を調節する能力を含む。免疫細胞における阻害性シグナルの調節は、免疫細胞の増殖および/またはそれによるサイトカイン分泌の調節をもたらす。

「抗体」は、本明細書に使用される際、抗体の「抗原結合部分」(また「抗体部分」、「抗原結合フラグメント」、「抗体フラグメント」と互換的に使用される)、ならびに全抗体分子を広義に指す。「抗原結合部分」という用語は、本明細書に使用される際、抗原(例えば、VISTA(PD−L3))に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上のフラグメントを指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体のフラグメントによって実行され得る。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される抗原結合フラグメントの例としては、(a)Fabフラグメント、すなわちVL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価フラグメント、(b)F(ab’)2フラグメント、すなわちヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結した2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント、(c)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント、(d)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(e)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward,et al.(1989)Nature 341:544−546)、ならびに(f)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインVLおよびVHは、別個の遺伝子によってコードされるが、これらは、組み換え方法を使用して、それらが単一のタンパク質鎖として作製され得るようにする合成リンカーによって接合され得、ここでVLおよびVH領域は、対合して一価分子(一本鎖Fv(scFv)としても知られるを形成する。例えば、Bird,et al.(1988)Science 242:423−426、Huston,et al.(1988)Proc Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883、およびOsbourn,et al.(1998)Nat.Biotechnol.16:778を参照されたい。一本鎖抗体もまた、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されることが意図される。特定のscFvの任意のVHおよびVL配列は、完全なIgG分子または他のアイソタイプをコードする発現ベクターを生成するために、ヒト免疫グロブリン定常領域cDNAまたはゲノム配列に連結され得る。VHおよびVlはまた、タンパク質化学または組み換えDNA技術のいずれかを使用して、免疫グロブリンのFab、Fv、または他のフラグメントの生成に使用され得る。一本鎖抗体の他の形態、例えば二特異性抗体もまた、包含される。二特異性抗体は、VHおよびVLドメインが、単一のポリペプチド鎖に発現する二価の二重特異性抗体であるが、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合をもたらすには短すぎるリンカーを使用し、それによって、強制的にドメインを別の鎖の相補的ドメインと対合させ、2つの抗原結合部位を作出する。例えば、Holliger,et al.(1993)Proc Natl.Acad.Sci. USA 90:6444−6448、Poljak,et al.(1994)Structure 2:1121−1123を参照されたい。

なおもさらに、抗体またはその抗原結合部分(抗原結合フラグメント、抗体フラグメント、抗体部分)は、抗体または抗体部分と1つ以上の他のタンパク質またはペプチドとの共有または非共有結合によって形成される、より大きな免疫付着分子の一部であり得る。免疫付着分子の例には、四量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov,et al.(1995)Hum.Antibodies Hybridomas 6:93−101)および二価のビオチニル化scFv分子を作製するためのシステイン残基、マーカーペプチド、およびC末端ポリヒスチジンタグの使用が挙げられる。Kipriyanov,et al.(1994)Mol Immunol.31:1047−1058。FabおよびF(ab’)2フラグメント等の抗体部分は、それぞれ、全抗体のパパインもしくはペプシン分解といった、従来的な技術を使用して全抗体から調製することができる。さらに、抗体、抗体部分、および免疫付着分子は、本明細書に記載される標準的な組み換えDNA技術を使用して得ることができる。

抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、異種、同種、同系、または、例えばヒト化、キメラといった、それらの修飾形態であり得る。好ましくは、本発明の抗体は、VISTA(PD−L3)分子に特異的または実質的に特異的に結合する。「モノクローナル抗体」および「モノクローナル抗体組成物」という用語は、本明細書に使用される際、抗原の特定のエピトープと免疫反応することができる1種のみの抗原結合部位を含有する抗体分子の集団を指すが、「ポリクローナル抗体」および「ポリクローナル抗体組成物」という用語は、特定の抗原と相互作用することができる複数種の抗原結合部位を含有する抗体分子の集団を指す。モノクローナル抗体組成物は、典型的に、それが免疫反応する特定の抗原に対して、単一の結合親和性を示す。

「抗原」は、本明細書に使用される際、抗体によって結合され得、さらに、その抗原のエピトープに結合することができる抗体を産生するように動物を誘導することができる、分子または分子の部分を広義に指す。抗原は、1つのエピトープを有し得るか、または1つを上回るエピトープを有してもよい。本明細書に言及される特定の反応は、抗原が、高度に選択的な様式で、その対応する抗体と反応するが、他の抗原によって誘起され得る多数の他の抗体とは反応しないことを示す。目的とされる特定の抗原に対して強化免疫応答が所望される場合、抗原は、防御的免疫応答が誘発され得る感染性疾患の抗原を含むがこれに限定されず、これらは、例示である。

「アレルギー性疾患」は、本明細書に使用される際、アレルギー反応を伴う疾患を広義に指す。より具体的には、「アレルギー性疾患」は、アレルゲンが特定される疾患として定義され、ここで、そのアレルゲンへの曝露と病的変化の発症との間には強い相関関係があり、またこの病的変化は、免疫学的機序を有することが実証されている。本明細書において、免疫学的機序とは、白血球が、アレルゲンの刺激に対して免疫応答を示すことを意味する。

「アンチセンス核酸分子」は、本明細書に使用される際、タンパク質をコードする「センス」核酸に相補的(例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に相補的)か、mRNA配列に相補的か、または遺伝子のコード鎖に相補的な、ヌクレオチド配列を広義に指す。したがって、アンチセンス核酸分子は、センス核酸分子に水素結合し得る。

「喘息」とは、本明細書に使用される際、炎症、気道狭窄、および吸気した作用物質に対する気道の反応性の増加を特徴とする、呼吸器系の障害を広義に指す。喘息は、アトピ ー性またはアレルギー性症状と関連することが多いが、そうとは限らない。

「アポトーシス」は、本明細書に使用される際、当業者に既知の技術を使用して特徴付けられ得る、プログラム細胞死を広義に指す。アポトーシス細胞死は、細胞の断片化に至る細胞収縮、膜ブレブ形成、およびクロマチン凝縮を特徴とし得る。アポトーシスを受けた細胞はまた、ヌクレオソーム間DNA開裂の特徴的なパターンを示す。

「自己免疫」または「自己免疫疾患もしくは状態」は、本明細書に使用される際、個体自身の組織から生じ、それに対する疾患もしくは障害、またはその共分離もしくは顕在化、またはそれによってもたらされる状態を広義に指す。

「B細胞受容体」(BCR)は、本明細書に使用される際、膜Ig(mIg)とB細胞上に見られる他の膜貫通ポリペプチド(例えば、IgαおよびIgβ)との間の複合体を広義に指す。mlgのシグナル伝達機能は、オリゴマーまたは多量体抗原による受容体分子の架橋によって引き起こされる。B細胞はまた、抗免疫グロブリン抗体によって活性化され得る。BCRが活性化されると、チロシンリン酸化を含む多数の変化がB細胞に発生する。

「癌」は、本明細書に使用される際、異常および制御されない細胞分裂が悪性の成長または腫瘍(例えば、制御されない細胞成長)を引き起こすことを特徴とする、任意の新生物性疾患(浸潤性または転移性に関わらない)を広義に指す。

「キメラ抗体」は、本明細書に使用される際、抗原結合部位(可変領域)が、異なるかもしくは変化したクラス、エフェクター機能、および/もしくは種の定常領域に連結されるように、定常領域またはその一部分が変化、置き換え、もしくは交換される抗体分子、またはキメラ抗体に新しい特性を与える完全に異なる分子、例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物、可変領域もしくはその一部分が、異なるもしくは変化した抗原特異性を有する可変領域に変化するか、それと置き換えられるか、もしくはそれと交換される、抗体分子を広義に指す。

「コード領域」は、本明細書に使用される際、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域を広義に指し、一方で「非コード領域」という用語は、アミノ酸に翻訳されないヌクレオチド配列の領域(例えば、5’および3’非翻訳領域)を指す。

「保存的修飾変異体」は、本明細書に使用される際、アミノ酸および核酸配列の両方に適用され、特定の核酸配列に関しては、保存修飾変異体は、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を広義に指すか、または核酸がアミノ酸配列をコードしない、本質的に同一の配列を指す。遺伝子コードの縮重のため、多数の機能的に同一の核酸が、任意の所与のタンパク質をコードする。「サイレント変異」は、保存的修飾核酸変異の一種である。ポリペプチドをコードする本明細書におけるすべての核酸配列もまた、核酸のすべての可能性のあるサイレント変異を示す。当業者であれば、核酸中の各コドン(通常メチオニンの唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)は、機能的に同一の分子を生成するように修飾され得ることを認識するであろう。

「相補性決定領域」、「超可変領域」、または「CDR」は、本明細書に使用される際、抗体の軽鎖または重さの可変領域に見出される超可変領域または相補性決定領域(CDR)のうちの1つ以上を広義に指す。Kabat,et al.(1987)“Sequences of Proteins of Immunological Interest”National Institutes of Health,Bethes da,MDを参照されたい。これらの表現には、Kabat,et al.(1983)Sequences of Proteins of Immunological Interest”U.S.Dept.of Health and Human Servicesによって定義される超可変領域、または抗体の三次元構造における超可変ループが含まれる。Chothia and Lesk(1987)J Mol.Biol.196:901−917。各鎖内のCDRは、フレームワーク領域によって近接近して保持され、他の鎖のCDRとともに、抗原結合部位の形成に寄与する。CDR内には、選択アミノ酸が存在し、これらは選択性決定領域(SDR)として記載されており、CDRによって抗体−抗原の相互作用に使用される重要な接触残基を表す。Kashmiri(2005)Methods 36:25−34。

「対照量」は、本明細書に使用される際、試験マーカー量と比較される、任意の量またはある範囲の量であり得るマーカーを広義に指す。例えば、対照マーカー量は、特定の疾患もしくは状態を有する患者、またはそのような疾患もしくは状態を有さない者におけるマーカーの量であり得る。対照量は、絶対量(例えば、マイクログラム/ml)または相対量(例えば、シグナルの相対強度)のいずれかであり得る。

「共刺激性受容体」は、本明細書に使用される際、免疫細胞に共刺激性シグナルを伝送する受容体、、例えば、CD28またはICOSを広義に指す。本明細書に使用される際、「阻害性受容体」という用語には、免疫細胞に負のシグナルを伝送する受容体が含まれる。

「共刺激する」とは、本明細書に使用される際、増殖またはエフェクター機能を誘導する、第2の非活性化受容体媒介性シグナル(「共刺激性シグナル」)を提供する共刺激性分子の能力を広義に指す。例えば、共刺激性シグナルは、(例えば、T細胞受容体媒介性シグナルを受容したT細胞における)サイトカイン分泌をもたらし得る。細胞受容体媒介性シグナルを(例えば、活性化受容体を介して)受容した免疫細胞は、本明細書において「活性化免疫細胞」と称され得る。

「細胞質ドメイン」は、本明細書に使用される際、細胞の細胞質に広がるタンパク質の部分を広義に指す。

「診断」は、本明細書に使用される際、病的状態の存在または性質を特定することを広義に指す。診断方法は、それらの感受性および特異性の点において異なる。診断アッセイの「感受性」は、試験が陽性である罹患した個体の割合(「真陽性」のパーセント)である。アッセイによって検出されない罹患個体は、「偽陰性」である。罹患しておらず、アッセイにおいて試験が陰性である対象は、「真陰性」と称される。診断アッセイの「特異性」は、1から偽陽性率を差し引いたものであり、ここで、「偽陽性」率は、疾患を有さず、試験が陽性である者の割合(%)として定義される。特定の診断方法は、状態の決定的な診断を提供しない可能性があるが、その方法が診断を助ける肯定的な指標を提供すれば十分である。

「診断する」とは、本明細書に使用される際、疾患または症状の分類、疾患の重症度の判定、疾患進行の監視、疾患の転帰および/または回復の見込みの予想を広義に指す。「検出する」という用語はまた、前述のもののいずれかを任意に含み得る。本発明による疾患の診断は、いくつかの実施形態において、対象から得られた生体試料中の本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドのレベルを判定することよって影響を受け、ここで、判定されるレベルは、疾患の素因、またはその存在もしくは不在と相関し得る。「対象から得られる生体試料」はまた、対象から物理的に取り出されていない試料を任意で含み得ることに留意されたい。

「有効量」は、本明細書に使用される際、疾患を治療するために患者に投与する場合に、そのような疾患治療を達成するのに十分である、化合物、抗体、抗原、または細胞の量を広義に指す。有効量は、予防に有効な量、および/または防止に有効な量であり得る。有効量は、低減に有効な量、兆候/症状の発生の防止、兆候/症状の発生の重症度の低減、兆候/症状の発生の排除、兆候/症状の発生の進行の遅延、兆候/症状の発生の進行の防止、および/または兆候/症状の発生の予防の達成に有効な量であり得る。「有効量」は、疾患およびその重症度、ならびに治療される患者の年齢、病歴、易罹患性、および既存の状態に応じて変動し得る。「有効量」という用語は、本発明の目的で「治療有効量」と同義である。

「細胞外ドメイン」は、本明細書に使用される際、細胞の表面から広がるタンパク質の部分を広義に指す。

「発現ベクター」は、本明細書に使用される際、原核生物、酵母真菌植物、昆虫、および哺乳動物細胞を含む、任意の細胞において、本発明の核酸配列を、インビトロまたはインビボで構成的または誘導可能に発現する目的で、任意の組み換え発現系を広義に指す。この用語には、線形または円形の発現系が含まれる。この用語には、エピソームに留まるかまたは宿主細胞ゲノムに組み込まれる、発現系が含まれる。発現系は、自己複製する能力を有し得るか、またはそうでない場合は、すなわち、細胞において一過性発現のみを駆動させる能力を有し得る。この用語には、組み換え核酸の転写に必要な最小限の要素のみを含有する、組み換え発現カセットが含まれる。

「ファミリー」は、本明細書に使用される際、本発明のポリペプチドおよび核酸分子を広義に指し、共通の構造ドメインまたはモチーフを有し、本明細書に定義される十分なアミノ酸またはヌクレオチド配列相同性を有する、2つ以上のポリペプチドまたは核酸分子を意味することを意図する。ファミリーメンバーは、天然または非天然であり得、同じかまたは異なる種のいずれかからであり得る。例えば、ファミリーは、ヒト起源の第1のポリペプチド、ならびにヒト起源の他の異なるポリペプチドを含有し得るか、または代替として、非ヒト起源の相同体(例えば、サルポリペプチド)を含有し得る。ファミリーのメンバーまたは、共通の機能的特徴を有し得る。

「Fc受容体」(FcR)は、本明細書に使用される際、免疫グロブリン分子(Ig)のFc部分の細胞表面受容体を広義に指す。Fc受容体は、免疫応答に関与する多くの細胞に見られる。これまでに特定されているヒトFcRの中には、IgG(FcγRと指定される)、IgE(FcεR1)、IgA(FcαR)、およびポリマー化IgM/A(FcμαR)を認識するものがある。FcRは、次の細胞型に見出される:FcεRI(肥満細胞)、FcεRII(多くの白血球)、FcαR(好中球)、およびFcμαR(腺上皮、肝細胞)。Hogg(1988)Immunol.Today 9:185−86。広く研究されているFcγRは、細胞免疫防御の中心であり、炎症メディエーターの放出の刺激および自己免疫疾患の病因に関与する加水分解酵素に関与する。Unkeless(1988)Annu.Rev.Immunol.6:251−87。FcγRは、マクロファージ/単球、多形核白血球、およびナチュラルキラー(NK)細胞FcγRが、IgGによって媒介される特異的認識の要素を与えるため、エフェクター細胞とIgを分泌するリンパ球との間に非常に重要な連結を提供する。ヒト白血球は、IgGの少なくとも3つの異なる受容体、すなわちhFcγRI(単球/マクロファージ上に見出される)、hFcγRII(単球、好中球、好酸球、血小板、場合によってB細胞、およびK562細胞株上)、ならびにFcγIII(NK細胞、好中球、好酸球、およびマクロファージ上)を有する。

T細胞に関して、T細胞への共刺激性シグナルの伝送は、シクロスポリンAによって阻害されないシグナル伝達経路が関与する。加えて、共刺激性シグナルは、T細胞におけるサイトカイン分泌(例えば、IL−2および/もしくはIL−10)を誘導し得る、ならびに/またはT細胞における抗原に対する非応答性の誘導、アネルギーの誘導、もしくは細胞死の誘導を防止し得る。

「フレームワーク領域」または「FR」は、本明細書に使用される際、抗体の軽鎖および重鎖の可変領域内のフレームワーク領域のうちの1つ以上を広義に指す。Kabat,et al.(1987)“Sequences of Proteins of Immunological Interest”National Institutes of Health,Bethesda,MDを参照されたい。これらの表現には、抗体の軽鎖および重鎖の可変領域内のCDR間に挿入されるアミノ酸配列領域が含まれる。

「異種」は、本明細書に使用される際、核酸の部分を広義に指し、核酸が自然界では互いに対して同じ関係で見出されることのない2つ以上の部分配列を含むことを示す。例えば、核酸は、典型的に、組み換えによって生成され、無関係の遺伝子に由来する2つ以上の配列が、新しい機能的核酸を作製するように配置される(例えば、プロモーターは1つの源に由来し、コード領域は別の源に由来する)。同様に、異種タンパク質は、そのタンパク質が、自然界では互いに対して同じ関係で見出されることのない2つ以上の部分配列を含むことを示す(例えば、融合タンパク質)。

「高親和性」は、本明細書に使用される際、抗体が標的抗原に関して少なくとも10−8M、より好ましくは少なくとも10−9M、およびさらにより好ましくは少なくとも10−10MのKDを有することを広義に指す。しかしながら、「高親和性」結合は、他の抗体アイソタイプについては多様であり得る。例えば、IgMアイソタイプの「高親和性」結合は、抗体が少なくとも10−7M、より好ましくは少なくとも10−8Mを有することを指す。

「相同性」は、本明細書に使用される際、ある核酸配列と参照核酸配列との間、またはあるポリペプチド配列と参照ポリペプチド配列との間の類似性の程度を広義に指す。相同性は、部分的または完全であり得る。完全な相同性は、核酸またはアミノ酸配列が同一であることを示す。部分的に相同な核酸またはアミノ酸配列は、参照核酸またはアミノ酸配列に同一ではないものである。相同性の程度は、配列比較によって判定することができる。「配列同一性」という用語は、「相同性」と互換的に使用され得る。

「宿主細胞」は、本明細書に使用される際、本発明の組み換え発現ベクター等、本発明の核酸分子が導入された細胞を広義に指す。宿主細胞は、原核細胞(例えば、大腸菌)、または真核細胞、例えば酵母、昆虫(例えば、SF9)、両生類、または哺乳動物細胞、例えばCHO、HeLa、HEK−293、例えば、培養細胞、外植片、およびインビボ細胞であり得る。「宿主細胞」および「組み換え宿主細胞」という用語は、本明細書において互換的に使用される。そのような用語は、特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫または可能性のある子孫も指すことを理解されたい。ある特定の修飾が、突然変異または環境の影響のいずれかにより後継に生じ得るため、子孫は、実際には、親細胞と同一ではない場合があるが、本明細書に使用されるこの用語の範囲内に依然として含まれる。

「ヒト化抗体」は、本明細書に使用される際、ヒト細胞によって作製される抗体により近似するように改変された可変および定常領域を有する非ヒト細胞によって作製される抗体を広義に指す。例えば、非ヒト抗体のアミノ酸配列を、ヒト生殖細胞系の免疫グロブリン配列に見られるアミノ酸を組み込むように改変することによる。本発明のヒト化抗体は 、例えばCDRにおいて、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列(例えば、インビトロで無作為または部位特異的突然変異生成によってか、またはインビボで体細胞突然変異によって導入される、突然変異)によってコードされないアミノ酸残基を含み得る。「ヒト化抗体」という用語は、本明細書に使用される際、マウス等の別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列が、ヒトフレームワーク配列に接合されている抗体も含む。

「ハイブリダイゼーション」は、本明細書に使用される際、鎖が互いに逆平行に配置されたときに相補的ヌクレオチド間の水素結合の形成による、相補的(部分相補的を含む)ポリヌクレオチド鎖の物理的な相互作用を広義に指す。

「IgVドメイン」および「IgCドメイン」は、本明細書に使用される際、Igスーパーファミリーメンバードメインを広義に指す。これらのドメインは、Ig折り畳みと呼ばれる独特な折り畳みパターンを有する構造単位に対応する。Ig折り畳みは、2つのβシートのサンドイッチから構成され、これらは、それぞれが、ほとんどであるがすべてではないドメインに2つのシート間の保存的ジスルフィド結合を有する5〜10個のアミノ酸の逆平行β鎖からなる。IgのIgCドメイン、TCR、MHC分子は、同じ種類の配列パターンを共有し、Igスーパーファミリー内でC1セットと称される。他のIgCドメインは、他のセットの範囲に含まれる。IgVドメインもまた、配列パターンを共有し、Vセットドメインと称される。IgVドメインは、Cドメインよりも長く、β鎖の追加の対を形成する。

「免疫細胞」は、本明細書に使用される際、造血起源であり、免疫応答に役割を果たす細胞を広義に指す。免疫細胞には、リンパ球、例えばB細胞およびT細胞、ナチュラルキラー細胞、ならびに骨髄細胞、例えば、単球、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、好塩基球、および顆粒球が含まれる。

「免疫測定法」は、本明細書に使用される際、抗原に特異的に結合する抗体を使用するアッセイを広義に指す。免疫測定法は、抗原を単離、標的化、および/または定量するために特定の抗体の特異的結合特性を使用することを特徴とし得る。

「免疫応答」は、本明細書に使用される際、T細胞共刺激の調節によって影響を受ける、T細胞媒介性および/またはB細胞媒介性の免疫応答を広義に指す。例示的な免疫応答には、B細胞応答(例えば、抗体産生)、T細胞応答(例えば、サイトカイン産生、および細胞傷害性)、およびサイトカイン応答性細胞、例えばマクロファージの活性化が含まれる。本明細書に使用される際、免疫応答に関する「下方調節」という用語には、いずれか1つ以上の免疫応答の減少が含まれ、一方で、免疫応答に関する「上方調節」という用語には、いずれか1つ以上の免疫応答の増加が含まれる。1つの種類の免疫応答の上方調節が、別の種類の免疫応答において対応する下方調節をもたらし得ることが理解されるであろう。例えば、ある特定のサイトカイン(例えば、IL−10)の産生の上方調節は、細胞性免疫応答の下方調節をもたらし得る。

本明細書における「感染因子」とは、哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞に感染し、疾患状態を引き起こす、任意の病原体または作用物質を指す。その例としては、細菌、酵母、真菌、原虫、マイコプラズマ、ウイルス、プリオン、および寄生虫が挙げられる。そのような感染因子の例には、例として、(a)ウイルス性疾患、例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、HSV−I、HSV−II、CMV、もしくはVZV)、ポックスウイルス(例えば、オルソポックスウイルス、例えば天然痘もしくはワクシニア、または伝染性軟属腫)、ピコマウイルス(picomavirus)(例えば、ライノウイルスまたはエンテロウイルス)、オルソミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス 、麻疹ウイルス、および呼吸器合胞体ウイルス(RSV))、コロナウイルス(例えば、SARS)、パポーバウイルス(例えば、パピローマウイルス、例えば陰部疣贅、尋常性疣贅、もしくは足底疣贅を引き起こすもの)、ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えば、C型肝炎ウイルスもしくはデング熱ウイルス)、またはレトロウイルス(例えば、HIV等のレンチウイルス)による感染の結果としてもたらされる疾患等、(b)細菌性疾患、例えば、例えば、大腸菌属、エンテロバクター属、サルモネラ属、ブドウ球菌属、赤痢菌属、リステリア属、アエロバクター属、ヘリコバクター属、クレブシエラ属、プロテウス属、シュードモナス属、連鎖球菌属、クラミジア属、マイコプラズマ属、肺炎球菌属、ナイセリア属、クロストリジウム属、バチルス属、コリネバクテリウム属、マイコバクテリウム属、カンピロバクター属、ビブリオ属、セラチア属、プロビデンシア属、クロモバクテリウム属、ブルセラ属、エルシニア属、ヘモフィルス属、またはボルデテラ属の細菌による感染の結果としてもらされる疾患等、(c)他の感染性疾患、例えば、クラミジア感染症、カンジダ症、アスペルギルス症、ヒストプラズマ症、クリプトコッカス髄膜炎等を含むがこれらに限定されない真菌性疾患、マラリア、ニューモシスチスカリニ肺炎(pneumocystis carnii pneumonia)、リーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、およびトリパノソーマ感染症を含むがこれらに限定されない寄生虫性疾患、ならびにヒト疾患、例えばクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、致死性家族性不眠症、およびクールー病を引き起こすプリオンに関与するものが挙げられる。

本明細書における「感染因子抗原」とは、化合物、例えば、ペプチド、ポリペプチド、糖ペプチド、糖タンパク質等、またはそれらの複合体、フラグメント、もしくは変異体を意味し、この化合物は、特定の感染因子によって発現され、抗原は、特定の免疫応答、例えば、ウイルス等の感染因子に対する抗体または細胞に媒介される免疫応答を誘起するのに使用され得る。典型的に、抗原は、ウイルスまたは他の感染因子の表面に発現する部分、例えば、ポリペプチドまたは糖タンパク質、例えばカプシドタンパク質または他の膜タンパク質を含む。

「炎症性状態または炎症性疾患」は、本明細書に使用される際、慢性または急性の炎症性疾患を広義に指す。

「阻害性シグナル」は、本明細書に使用される際、免疫細胞上で阻害性受容体分子を介して伝送されるシグナルを広義に指す。シグナルは、活性化受容体を介して(例えば、TCR、CD3、BCR、またはFc分子を介して)シグナルに拮抗し、例えば、第2のメッセンジャー生成、増殖、または免疫細胞におけるエフェクター機能の阻害、例えば、食作用、抗体産生、もしくは細胞傷害性の低減、または免疫細胞によるメディエーター(例えば、サイトカイン(例えば、IL−2)もしくはアレルギー応答のメディエーター)の生成の失敗、あるいはアネルギーの発達をもたらし得る。

「単離」は、本明細書に使用される際、材料が、それが天然に存在するその元々の環境から除去され、したがって、人の手によってその天然の環境から改変されることを広義に指す。単離材料は、例えば、ベクター系に含まれる外因性核酸、宿主細胞内に含有される外因性核酸、またはその元々の環境から除去され、したがって人の手によって改変された任意の材料(例えば、「単離抗体」)であり得る。例えば、「単離」または「精製」は、本明細書に使用される際、タンパク質、DNA、抗体、RNA、または生物学的に活性なそれらの部分が、生物学的物質が由来する細胞もしくは組織由来の細胞材料もしくは他の混入タンパク質を実質的に含まないか、または化学合成される場合、化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まないことを広義に指す。「細胞材料を実質的に含まない」という表現には、VISTA(PD−L3)タンパク質の調製物であり、このタンパク質 が、それが単離されるかまたは組み換え産生される細胞の細胞成分から分離されていることが含まれる。

「単離抗体」は、本明細書に使用される際、異なる抗体特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことを意図する(例えば、PD−L3またはVISTAに特異的に結合する単離抗体は、PD−L3またはVISTA以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。さらに、単離抗体は、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に含まない場合がある。

「K−assoc」または「Ka」は、本明細書に使用される際、特定の抗体−抗原相互作用の会合速度を広義に指し、一方で「Kdiss」または「Kd」は、本明細書に使用される際、特定の抗体−抗原相互作用の解離速度を指す。「KD」は、本明細書に使用される際、解離定数を指すことを意図し、これは、KdとKaとの比(すなわち、Kd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される。抗体のKD値は、当該技術分野で十分に確立された方法を使用して決定することができる。

「標識」または「検出可能部分」は、本明細書に使用される際、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、または他の物理学的手段によって検出可能な組成物を広義に指す。

「低ストリンジェンシー」、「中ストリンジェンシー」、「高ストリンジェンシー」、または「超高ストリンジェンシー条件」は、本明細書に使用される際、核酸のハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を広義に指す。ハイブリダイゼーション反応を行うための案内は、Ausubel,et al.(2002)Short Protocols in Molecular Biology(5th Ed.)John Wiley&Sons,NYに見出すことができる。例示的な特定のハイブリダイゼーション条件には次のものが挙げられるが、これらに限定されない:(1)低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、約45℃で6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)後、少なくとも50℃で0.2×SSC、0.1%SDSにおいて2回の洗浄(洗浄温度は、低ストリンジェンシー条件では55℃まで上昇させてもよい)、(2)中ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、約45℃で6×SSCの後、60℃で0.2×SSC、0.1%SDSにおいて1回以上の洗浄、(3)高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件、約45℃で6×SSCの後、65℃で0.2×SSC、0.1%SDSにおいて1回以上の洗浄、および(4)超高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、65℃で0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDSの後、65℃で0.2×SSC、1%SDSで1回以上の洗浄である。

「哺乳動物」は、本明細書に使用される際、皮膚が毛で覆われていること、および雌性の場合は幼体を育てるための乳を産生する乳腺を特徴とする、ヒトを含む、哺乳網のありとあらゆる温血脊椎動物を広範に指す。哺乳動物の例としては、アルパカ、アルマジロ、カピバラ、ネコ、ラクダ、チンパンジー、チンチラ、畜、イヌ、ヤギ、ゴリラ、ハムスター、ウマ、ヒト、キツネザル、ラマ、マウス、非ヒト霊長類、ブタ、ラット、ヒツジ、トガリネズミ、リス、バク、およびハタネズミが挙げられるが、これらに限定されない。哺乳動物には、ウシ科、イヌ科、ウマ科、ネコ科、ネズミ科、ヒツジ、ブタ、霊長類、および齧歯類の種が挙げられるが、これらに限定されない。哺乳動物はまた、Mammal Species of the World maintained by the National Museum of Natural History,Smithsonian Institution in Washington DCに列挙されるありとあらゆるものが含まれる。

「天然の核酸分子」は、本明細書に使用される際、天然に発生する(例えば、天然タンパク質をコードする)ヌクレオチド配列を有するRNAまたはDNA分子を広義に指す。

「核酸」または「核酸配列」は、本明細書に使用される際、一本鎖または二本鎖のいずれかの形態にある、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドオリゴクレオチドを広義に指す。この用語は、天然のヌクレオチドの既知の類似体を含有する、核酸、すなわち、オリゴヌクレオチドを包含する。この用語はまた、合成の骨格を有する核酸様構造を包含する。別途示されない限り、特定の核酸配列はまた、明示的に示される配列と同様に、その保存的修飾変異体(例えば、縮重コドン置換)および相補的配列も暗に包含する。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換的に使用される。

「オリゴマー形成ドメイン」は、本明細書に使用される際、VISTA細胞外ドメインまたはそのフラグメントに付着するとオリゴマー形成を促進するドメインを広義に指す。当該オリゴマー形成ドメインは、追加のジスルフィド結合によってさらに安定化することができる、自己会合性αヘリックス、例えば、ロイシンジッパーを含む。このドメインは、インビボでのポリペプチドの機能的結合タンパク質への折り畳みを促進すると見られるプロセスである、膜全体にわたるベクトル性折り畳みと適合するように設計される。この例は、当該技術分野で既知であり、例としては、コイルドGCN4、およびCOMPが挙げられる。

αヘリックスコイルドコイルが、おそらくは、タンパク質に見出される最も広く知られるサブユニットオリゴマー形成モチーフである。したがって、コイルドコイルは、多様な異なる機能を果たす。転写活性化因子のいくつかのファミリーにおいて、例えば、短いロイシンジッパーは、DNA上でのDNA結合領域の位置付けに重要な役割を果たす。Ellenberger,et al.(1992)Cell 71:1223−1237。コイルドコイルはまた、中間フィラメントタンパク質のオリゴマーの形成に使用される。コイルドコイルタンパク質は、さらに、ベシクルおよびウイルスの両方の膜融合に重要な役割を果たすとみられる。Skehel and Wiley(1998)Cell 95:871−874。いずれの場合においても、融合される膜に埋め込まれた疎水性配列は、長いαヘリックスの束から構成される棒状の複合体の同じ端部に位置する。この分子配設は、膜融合のために複合体が組み立てられるときに、近接した膜の付加をもたらすと考えられる。コイルドコイルは、オリゴマー形成の制御に使用されることが多い。それは、とりわけ、GCN4、ウイルス融合ペプチド、SNARE複合体、およびある特定のtRNAシンターゼを含むがこれらに限定されない、転写因子を含む多くの種類のタンパク質に見出される。非常に長いコイルドコイルは、トロポミオシン、中間フィラメント、および紡錘体極体要素といった、タンパク質に見られる。コイルドコイルは、平行および逆平行の配向で会合する高度に組織化された様式で互いの周りにスーパーコイル状になったいくつかのαヘリックスを伴う。しかし、二量体および三量体が最も一般的である。ヘリックスは、同じかまたは異なるタンパク質に由来し得る。コイルドコイルは、構成要素のヘリックスが一緒になって、それらの疎水性シームを埋めることによって形成される。疎水性シームが各ヘリックスに巻き付くと、ヘリックスもまた、互いに巻き付くようにねじれ、疎水性シームを包埋し、スーパーコイルを形成する。これは、この構造をコイルドコイルとして定義する、取っ手を穴に入れる(knobs−into−holes)パッキングとして知られる隣接するヘリックス間の側鎖の特徴的な相互嵌合である。ヘリックスは、この種の相互作用が発生するために同じ方向に進む必要はないが、平行構造がより一般的である。逆平行構造は、三量体では非常に珍しく、五量体では知られていないが、2つのヘリックスが短いループによって接続されることの多い分子内二量体ではより一般的である。細胞外空間では、ヘテロ三量体コイルドコイルタンパク質ラミニンが、基底膜の形成に重要な役割を果たす。他の例は、3つ(トロンボスポンジン1および2)または5 つ(トロンボスポンジン3、4、およびCOMP)の鎖が接続される、トロンボスポンジンおよび軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)である。この分子は、花束状の外観を有し、それらのオリゴマー構造の原因は、おそらく、C末端ドメインと細胞性受容体との多価相互作用である。酵母転写活性化因子GCN4は、基本領域ロイシンジッパー(bZIP)DNA結合モチーフを含有する、30個を上回る特定された真核生物タンパク質のうちの1つである。Ellenberger,et al.(1992)Cell 71:1223−1237。bZIP二量体は、それらのカルボキシ末端の34個の残基上に平行コイルドコイルを形成し、それらのアミノ末端に向かって徐々に分岐して、DNA結合部位の主溝を通過する、連続するαヘリックスの対である。コイルドコイル二量体形成界面は、DNA軸に対してほぼ垂直に配向され、複合体にT字の外観を与える。bZIPは、一緒に密集して平行αヘリックスコイルドコイルになる、疎水性および非極性残基の4−3の7個ずつの繰り返しを含有する。Ellenberger,et al.(1992)Cell 71:1223−1237。二量体の安定性は、7個ずつの繰り返しのaおよびbの位置におけるロイシンと非極性残基が隣り合ったパッキング、ならびにGCN4ロイシンジッパーペプチドの結晶構造に示される限定された数のヘリックス内およびヘリックス間の塩橋に起因する。Ellenberger,et al.(1992)Cell 71:1223−1237。別の例は、Mr 52,000のサブユニットのホモ三量体としてウシ気管軟骨から単離されるCMP(マトリリン−1)(Paulsson&Heinegard(1981)Biochem J.197:367−375)であり、ここで、各サブユニットは、vWFA1モジュール、単一のEGFドメイン、vWFA2 モジュール、および7個ずつ5つにわたるコイルドコイルドメインからなる。Kiss,et al.(1989)J.Biol.Chem.264:8126−8134、Hauser and Paulsson(1994)J.Biol.Chem.269:25747−25753。精製CMPの電子顕微鏡検査は、各サブユニットがコイルドコイルに対応する共通の点から現れる楕円形を形成する、花束様の三量体構造を示した。Hauser and Paulsson(1994)J.Biol.Chem.269:25747−25753。マトリリン−1におけるコイルドコイルドメインは、広く研究されている。三量体構造は、非変性条件下での鎖間ジスルフィド結合の完全な還元後にも保持される。Hauser and Paulsson(1994)J.Biol.Chem.269:25747−25753。さらに別の例は、軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)である。非コラーゲン性糖タンパク質であるCOMPは、軟骨で初めて特定された。Hedbom,et al.(1992)J.Biol.Chem.267:6132−6136。このタンパク質は、N末端の7個ずつの繰り返し領域(cc)からなる5つのサブユニットの524kDaのホモ五量体であり、4つの上皮成長因子(EGF)様ドメイン(EF)、7つのカルシウム結合ドメイン(T3)、およびC末端球状ドメイン(TC)が続く。このドメイン構成により、COMPは、トロンボスポンジンのファミリーに属する。aおよびbの位置に優先的に疎水性残基を有する7個ずつの繰り返し(abcdefg)nは、ヘリックスコイルドコイルドメインを形成する。Cohen and Parry(1994)Science 263:488−489。最近、COMP(COMPcc)の組み換え五本鎖コイルドコイルドメインが結晶化され、その構造が、0.2nmの分解能で解析された。Malashkevich,et al.(1996)Science 274:761−765。

「動作可能に連結される」とは、本明細書に使用される際、2つのDNAフラグメントが、2つのDNAフラグメントによってコードされるアミノ酸配列がインフレームに留まるように接合される場合を広義に指す。

「パラトープ」は、本明細書に使用される際、抗原を認識する抗体の部分(例えば、抗体の抗原結合部位)を広義に指す。パラトープは、抗体のFv領域の小さな領域(例えば、15〜22個のアミノ酸)であり得るか、または抗体の重鎖および軽鎖の部分を含有し 得る。Goldsby,et al.Antigens(Chapter 3)Immunology(5th Ed.)New York:W.H.Freeman and Company,pages 57−75を参照されたい。

「患者」は、本明細書に使用される際、疾患状態の緩和または疾患状態の発症もしくは再発の防止のいずれかのために、治療を必要とする任意の動物を広義に指す。また、「患者」は、本明細書に使用される際、危険因子、疾患の病歴、易罹患性、症状、兆候を有するか、以前に疾患が診断されたか、疾患の危険性にあるか、または疾患の患者集団のメンバーである、任意の動物を広義に指す。患者は、ヒト等の臨床患者、またはペット動物、飼いならされた動物、家畜、珍しい動物、または動物園の動物といった獣医学的患者であり得る。「対象」という用語は、「患者」という用語と互換的に使用され得る。

「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを広義に指す。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然のアミノ酸の類似体または模倣体であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然のアミノ酸ポリマーに適用される。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然のアミノ酸の人工的な化学的模倣体であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然のアミノ酸ポリマーおよび非天然のアミノ酸ポリマーに適用される。ポリペプチドは、例えば、炭水化物残基の付加によって修飾されて、糖タンパク質を形成し得る。「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語には、糖タンパク質、ならびに非糖タンパク質が含まれる。

「プロモーター」は、本明細書に使用される際、核酸の転写を支持する核酸配列のアレイを広義に指す。本明細書に使用される際、プロモーターには、ポリメラーゼII型プロモーターの場合、TATA要素等の転写の開始部位付近で必要な核酸配列が含まれる。プロモーターはまた、任意に、転写の開始部位から数千塩基対程度の距離に位置し得る、遠位エンハンサーまたはリプレッサー要素を含む。「構成的」プロモーターは、ほとんどの環境および発達条件下で活性であるプロモーターである。「誘導的」プロモーターは、環境または発達の制御下で活性なプロモーターである。

「予防的有効量」は、本明細書に使用される際、疾患の予防または疾患の再発の防止のために患者に投与されるときに、疾患または再発のそのような予防を達成するのに十分である、化合物の量を広義に指す。予防的有効量は、兆候および/または症状の発生を防止するのに有効な量である。「予防的有効量」は、疾患およびその重症度、ならびに治療される患者の年齢、体重、病歴、疾患の素因、既存の状態に応じて変動し得る。

「予防」とは、本明細書に使用される際、兆候および/または症状が、患者に存在していないか、寛解にあるか、または以前に患者に存在していた場合の、一連の治療を広義に指す。予防は、患者における疾患の治療後に生じる疾患を防止することを含む。さらに、防止には、疾患を発症する可能性がある患者、特に、疾患に罹患しやすい患者(例えば、患者集団のメンバー、危険因子を有するもの、または疾患を発症する危険性にあるもの)を治療することを含む。

本明細書に使用される「組み換え」は、生成物に関して、例えば、細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターを広義に指し、これらの細胞、核酸、タンパク質、またはベクターが、異種核酸もしくはタンパク質の導入または天然の核酸もしくはタンパク質の改変によって修飾されていること、あるいは細胞が、そのように修飾された細胞に由来すること、を示す。したがって、例えば、組み換え細胞は、細胞の天然(非組み換え)形態では見出されない遺伝子を発現するか、またはそうでなければ異常発現されるか、過少発現されるか、もしくは全く発現されない天然の遺伝子を発現する。

「シグナル配列」または「シグナルペプチド」は、本明細書に使用される際、分泌性または膜結合ポリペプチドのN末端に生じる約15個以上のアミノ酸を含有し、多数の疎水性アミノ酸残基を含有する、ペプチドを広義に指す。例えば、シグナル配列は、少なくとも約10〜30個のアミノ酸残基、好ましくは約15〜25個のアミノ酸残基、より好ましくは約18〜20個のアミノ酸残基、およびさらにより好ましくは約19個のアミノ酸残基を含有し、少なくとも約35〜65%、好ましくは約38〜50%、およびより好ましくは約40〜45%の疎水性アミノ酸残基(例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、またはフェニルアラニン)を有する。「シグナル配列」はまた、当該技術分野において「シグナルペプチド」とも称され、そのような配列を含有するポリペプチドを脂質二重層へと指向するように機能し、分泌および膜結合ポリペプチドにおいて開裂される。

抗体に「特異的(もしくは選択的)に結合する」または「特異的(もしくは選択的)に免疫反応する」または「特異的に相互作用もしくは結合する」とは、本明細書に使用される際、タンパク質またはペプチド(または他のエピトープ)を広義に指し、いくつかの実施形態において、タンパク質または他の生物製剤の異種集団におけるタンパク質の存在を決定する結合反応を指す。例えば、指定の免疫測定法条件下において、指定された抗体は、バックグラウンド(非特異的シグナル)よりも少なくとも2倍多く特定のタンパク質に結合し、試料中に存在する他のタンパク質には実質的に有意な量で結合しない。典型的に、特異的または選択的反応は、少なくとも2倍のバックグラウンドシグナルまたはノイズ、およびより好ましくは10〜100倍を上回るバックグラウンドとなる。

本明細書に使用される「特異的にハイブリダイズ可能」および「相補的」とは、ある核酸が、従来的なワトソンクリック型または他の非従来型のいずれかによって別の核酸配列と水素結合(複数可)を形成し得ることを広義に指す。核酸分子とその相補的配列との結合自由エネルギーは、核酸の関連機能、例えば、RNAi活性が生じるのに十分である。核酸分子の結合自由エネルギーの決定は、当該技術分野で周知である。例えば、Turner,et al.(1987)CSH Symp.Quant.Biol.LII:123−33、Frier,et al.(1986)PNAS 83:9373−77、Turner,et al.(1987)J.Am.Chem.Soc.109:3783−85を参照されたい。パーセント相補性は、第2の核酸配列と水素結合(例えば、ワトソンクリック塩基対合)を形成することができる核酸分子中の連続する残基の割合を示す(例えば、10個中約少なくとも5、6、7、8、9、10個は、約少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、および100%相補的である(これらの値を含む))。「完全に相補的」または100%相補性は、核酸配列の連続する残基のすべてが、第2の核酸配列中の同じ数の連続する残基と水素結合していることを広義に指す。「実質的相補性」は、ポリヌクレオチド鎖が、非相補的となるように選択されるオーバーハング等のポリヌクレオチド鎖の領域を除き、約少なくとも90%の相補性を示すことを指す。特異的結合は、特異的結合が所望される条件下、すなわち、インビボアッセイまたは治療的治療の場合には生理学的条件下、またはインビトロアッセイの場合には、アッセイが行われる条件下において、オリゴマー化合物と非標的配列との非特異的結合を回避するために、十分な程度の相補性を必要とする。非標的配列は、典型的に、少なくとも5個のヌクレオチドが異なり得る。

疾患の「兆候」は、本明細書に使用される際、患者の検査で発見できる疾患の任意の異常性の表れ、疾患の主観的な指標である症状とは対照的な疾患の客観的な指標を広義に指す。

「固体支持体」、「支持体」、および「基質」は、本明細書に使用される際、別の材料が付着し得る、固体または半固体構造を提供する任意の材料を広義に指し、平滑な支持体(例えば、金属、ガラス、プラスチック、シリコン、およびセラミック表面)、ならびに 表面加工および多孔質の材料が含まれるが、これらに限定されない。

本明細書に使用される「対象」は、本発明による治療に好適なものを広義に指し、鳥類および哺乳動物の対象を含むがこれらに限定されず、好ましくは、哺乳動物である。本発明による治療を必要とするいずれの哺乳動物も、好適である。いずれの性別、およびいずれの発達段階(すなわち、新生児、幼児、若年期、青年期、成人)のヒト対象も、本発明により治療することができる。本発明はまた、獣医学的目的、ならびに薬物スクリーニングおよび薬物開発の目的で、動物対象、特に、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、およびウマ等の哺乳動物対象に行うことができる。「対象」は、「患者」と互換的に使用される。

「化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」とは、本明細書に使用される際、VISTAタンパク質の調製物であり、このタンパク質は、タンパク質の合成に関与した化学的前駆体または他の化学物質から分離されていることを広義に指す。一実施形態において、「化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」という表現は、VISTAタンパク質の調製物が、約30%未満(乾燥重量で)の化学的前駆体または非VISTA化学物質、より好ましくは約20%未満の化学的前駆体または非VISTA化学物質、さらにより好ましくは約10%未満の化学的前駆体または非VISTA化学物質、および最も好ましくは約5%未満の化学的前駆体または非VISTA(PD−L3)化学物質を有することを含む。

本明細書に使用される、疾患の「症状」とは、患者が経験し、疾患の指標である、構造、機能、または感覚における病的事象またはそれらの正常状態からの逸脱を広義に指す。

「T細胞」は、本明細書に使用される際、CD4+T細胞およびCD8+T細胞を広義に指す。T細胞という用語にはまた、Tヘルパー1型T細胞およびTヘルパー2型T細胞の両方が含まれ得る。

本明細書に使用される「Treg細胞」(サプレッサーT細胞と称されることもある)は、免疫系を調節し、自己抗原に対する寛容性を維持し、自己免疫疾患を抑止することができるT細胞の亜集団を指す。Foxp3+CD4+CD25+制御性T細胞(Tregs)は、正常な生理学的条件下における末梢寛容の維持に極めて重要であり、癌における抗腫瘍免疫応答を抑制する。

「治療法」、「治療的」、「治療する」、または「治療」は、本明細書に使用される際、疾患を治療すること、疾患もしくはその臨床症状の発症を停止もしくは低減させること、および/または疾患を軽減すること、疾患もしくは臨床症状の退行をもたらすことを広義に指す。治療法は、疾患、疾患の兆候、および/または疾患の症状の予防、治療、治療薬、低減、緩和、および/またはそれらの軽減の提供を包含する。治療法は、進行中の疾患の兆候および/または症状(例えば、炎症、疼痛)を有する患者における、兆候および/または症状の緩和を包含する。治療法はまた、「予防」を包含する。「低減」という用語は、治療法の目的で、兆候および/または症状の臨床的に有意な低減を広義に指す。治療法には、再発または再発生する兆候および/もしくは症状(例えば、炎症、疼痛)を治療することが含まれる。治療法は、兆候および/または症状の出現を阻止すること、ならびに既存の兆候および/または症状を低減すること、ならびに既存の兆候および/または症状を排除することを包含するが、これらに限定されない。治療法には、慢性疾患の治療(「管理」)および急性疾患の治療が含まれる。例えば、治療には、兆候および/または症状(例えば、炎症、疼痛)の再発または再発生を治療または防止することが含まれる。

「膜貫通ドメイン」は、本明細書に使用される際、原形質膜に及ぶ、長さが約15アミ ノ酸残基のアミノ酸配列を広義に指す。より好ましくは、膜貫通ドメインは、約少なくとも20、25、30、35、40、または45個のアミノ酸残基を含み、原形質膜に及ぶ。膜貫通ドメインは、疎水性残基が豊富であり、典型的にはαヘリックス構造を有する。ある実施形態において、膜貫通ドメインのアミノ酸の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%以上は、疎水性であり、例えば、ロイシン、イソロイシン、チロシン、またはトリプトファンである。膜貫通ドメインは、例えば、Zagotta,et al.(1996)Annu.Rev.Neurosci.19:235−263に説明されている。

「トランスジェニック動物」は、本明細書に使用される際、動物の細胞のうちの1つ以上が「導入遺伝子」を含む、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスを広義に指す。「導入遺伝子」という用語は、細胞のゲノムに組み込まれ、そこからトランスジェニック動物が発達し、成体動物のゲノムに残る、例えば、トランスジェニック動物の1つ以上の細胞型または組織においてコードされた遺伝子産物の発現を指示する、外因性DNAを指す。

「腫瘍」は、本明細書に使用される際、組織新生物形成の形態、特に、多少は脱阻害される内因性組織の自発的、自主的、および不可逆的な過剰成長の形態にある少なくとも1つの細胞または細胞集団を広義に指し、その成長は、原則として、特定の細胞および組織機能の多少は顕著な消失と関連する。この細胞または細胞集団は、その成長に関して、それ自体または宿主生物の制御機序によって、効果的に阻害されず、例えば、結腸直腸癌、黒色腫、または癌腫である。腫瘍抗原は、悪性細胞自体の中またはその上に存在する抗原だけでなく、内皮細胞および他の血管成分を含む、腫瘍の間質支持組織上に存在する抗原も含む。

「非応答性」は、本明細書に使用される際、刺激、例えば、活性化受容体またはサイトカインによる刺激に対する免疫細胞の屈折性を広義に指す。非応答性は、例えば、免疫抑制薬または高用量の抗原に対する曝露により生じ得る。

「可変領域」または「VR」は、本明細書に使用される際、抗体と抗原との結合に直接関与する、抗体の軽鎖および重鎖の各対内のドメインを広義に指す。各重鎖は、一端に、可変ドメイン(VH)を有し、それに続いていくつかの定常ドメインを有する。各重鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を有し、その他端に定常ドメインを有し、この軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第1の定常ドメインと並び、軽鎖の可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと並ぶ。

「ベクター」は、本明細書に使用される際、それに連結されている別の核酸分子を輸送することができる核酸分子を広義に指す。1つの種類のベクターは、「プラスミド」であり、これは、さらなるDNAセグメントがそこにライゲーションされ得る、環状二本鎖DNAループを指す。別の種類のベクターは、ウイルスベクターであり、さらなるDNAセグメントは、ウイルスゲノムにライゲーションされ得る。ある特定のベクターは、それらが導入された宿主細胞において自己複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌性ベクターおよびエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入されると、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それによって、宿主ゲノムとともに複製される。さらに、ある特定のベクターは、それらが動作可能に連結される遺伝子の発現を指示することができる。ベクターは、本明細書において「組み換え発現ベクター」または単純に「発現ベクター」と称される。一般に、組み換えDNA技術において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドが最も一般に使用されるベクターの形態であるため、互換的に使用され得る。しかしながら、本発 明は、ウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ関連ウイルス)等、同等の機能を果たす他の形態の発現ベクターを含むことを意図する。技法および手順は、一般に、当該技術分野で周知の従来的な方法に従って、また本明細書を通じて引用および考察される種々の一般的およびより具体的な参考文献に記載されるように、行われる。例えば、Sambrook,et al.(2001)Molec.Cloning:Lab.Manual[3rd Ed]Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。標準的な技法を、組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、および組織培養、ならびに形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に使用することができる。酵素反応および精製技術は、製造業者の仕様書に従って、または当該技術分野で広く達成されるか、または本明細書に記載されるように、行うことができる。

本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、ならびに医化学および薬化学に関連して用いられる命名法、ならびにそれらの実験室手順および技法は、当業者に周知であり、当該技術分野で広く使用されるものである。標準的な技法を、化学合成、化学分析、薬学的調製、製剤化、および送達、ならびに患者の治療に用いることができる。

VISTA 本出願は、造血細胞に選択的に発現される、T細胞活性化のV領域免疫グロブリン含有抑制因子(V−region Immunoglobulin−containing Suppressor of T cell Activation)(VISTA)またはPD−L3として指定される新規な構造的に異なるIgスーパーファミリー阻害性リガンドに関する。細胞外ドメインは、B7ファミリーリガンドPD−L1に対する相同性を有し、PD−L1と同様に、VISTAは、免疫に対して顕著な影響を有する。しかしながら、PD−L1とは異なり、VISTAは、造血コンパートメント内に選択的に発現される。発現は、骨髄性抗原提示細胞(APC)上で最も顕著であるが、CD4+T細胞、CD8+T細胞、およびFoxp3+制御性T細胞(Treg)のサブセットにおけるより高い発現もまた、大いに興味深い。APC上での可溶性VISTA−Ig融合タンパク質またはVISTAの発現は、インビトロT細胞増殖、サイトカイン産生を強力に阻害し、T細胞におけるFoxp3発現を誘導する。逆に、新たに開発された抗VISTAモノクローナル抗体は、インビトロでVISTA+APCによるT細胞応答のVISTA誘導性免疫抑制を妨害した。さらに、インビボでの抗VISTAは、T細胞媒介性自己免疫疾患実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)の発症を高め、防御的な腫瘍特異的免疫応答の発達を促進し、続く腫瘍寛解を有した。VISTA−/−マウスの初期研究は、自発性炎症性疾患の初期兆候を明らかにし、それらの最終的な病理学的運命が決定されることになる。すべての他のPDリガンド関連分子(例えば、B7−H3、H4、H6)とは異なり、VISTAは、造血細胞に選択的に発現され、その強い抑制活性および固有な構造特性とともに、VISTAが、新規な機能的に重複しない、免疫の中心的な制御因子であり、その発現が、主にT細胞および骨髄に限定されることを示す。国際特許第WO 2011/120013号を参照されたい。

最もよく特徴付けられている共刺激性リガンドは、B7.1およびB7.2であり、これらは、B7ファミリーリガンドおよび受容体といった多数の極めて重要な免疫制御因子からなるIgスーパーファミリーに属する。Igスーパーファミリーのメンバーは、プロフェッショナル抗原提示細胞(APC)上に発現し、それらの受容体は、CD28およびCTLA−4である。CD28は、ナイーブおよび活性化T細胞によって発現され、最適なT細胞活性化に極めて重要である。対照的に、CTLA−4は、T細胞活性化に続いて誘導され、B7.1/B7.2に結合することによってT細胞活性化を阻害し、CD28媒介性共刺激を障害させる。B7.1およびB7.2ノックアウト(KO)マウスは、獲得免疫応答に障害を有し、一方でCTLA−4 KOマウスは、炎症を適切に制御するこ とができず、全身性自己免疫疾患を発症する。時間が経つにつれ、B7ファミリーリガンドは、B7−H2(ICOSリガンド)およびB7−H3といった共刺激性リガンド、ならびにB7−H1(PD−L1)、B7−DC(PD−L2)、B7−H4(B7S1またはB7x)、およびB7−H6といった阻害性リガンドを含むまでに拡張した。したがって、さらなるCD28ファミリー受容体が特定されている。ICOSは、活性化T細胞上に発現し、B7−H2に結合する。ICOSは、T細胞の活性化、分化、および機能に重要な、正の共制御因子である。一方で、プログラム細胞死(Programmed Death)1(PD−1)は、T細胞応答を負に制御する。PD−1 KOマウスは、ループス様自己免疫疾患またはT拡張型心筋症を発症した。VISTAとは対照的に、2つの阻害性B7ファミリーリガンドPD−L1およびPD−L2は、異なる発現パターンを有する。PD−L2は、DCおよびマクロファージ上に誘導可能に発現し、一方でPD−L1は、造血細胞型および非造血細胞型の両方に広範に発現する。PD−1受容体の免疫抑制的な役割と一致して、PD−L1−/−およびPD−L2−/−マウスを用いた研究は、両方のリガンドが、T細胞増殖およびサイトカイン産生の阻害において重複する役割を有することを示している。PD−L1欠損は、自己免疫性糖尿病の非肥満正糖尿病(NOD)モデル、および多発性硬化症(実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)のマウスモデルの両方において、疾患の進行を強める。PD−L1−/−T細胞は、両方の疾患モデルにおいて、上昇したレベルの炎症促進性サイトカインを産生する。加えて、NODマウスにおける研究は、PD−L1の組織発現(すなわち、膵臓内)が、炎症を局部的に制御するその能力に固有に寄与することを示している。PD−L1はまた、同種異系胎児に対する母体免疫応答を決定的に制御する、胎盤の合胞体栄養細胞上に高度に発現する。

抗CTLA−4抗体は、黒色腫のマウスモデルおよび臨床試験において、治療的利益の強化を示す。B16−GM−CSF(Gvax)をワクチン接種したマウスは、CTLA−4の抗体封鎖と組み合わせた場合、B16黒色腫の拒絶を促進する。PD−1ならびにPD−L1に対する抗体はまた、広範なマウス腫瘍モデルにおいて、抗腫瘍免疫および宿主生存の強化を立証する。最後に、CTLA−4およびPD−1は、共阻害性分子の同じファミリーに属するが、それらが異なる重複しない機序を使用してT細胞活性化を阻害すること、ならびに、組み合わせて使用されると、マウス黒色腫において宿主生存を強化する抗CTLA−4および抗PD−1/L1の能力に相乗効果が存在することが、証拠により示唆される。

免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーは、B7ファミリーリガンドおよび受容体を含む、多数の極めて重要な免疫制御因子からなる。VISTAは、新規な構造的に異なるIgスーパーファミリー阻害性リガンドであり、その細胞外ドメインは、B7ファミリーリガンドPD−L1に対する相同性を有する。この分子は、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)として指定される。VISTAは、主に造血細胞に発現し、VISTA発現は、骨髄性抗原提示細胞(APC)およびT細胞では高く制御される。APCでの可溶性VISTA−Ig融合タンパク質またはVISTAの発現は、インビトロでT細胞増殖およびサイトカイン産生を阻害する。VISTA特異的モノクローナル抗体は、インビトロでVISTA発現APCによるT細胞応答のVISTA誘導性抑制を妨害する。さらに、抗VISTA処置は、マウスにおいてT細胞媒介性自己免疫疾患実験的自己免疫性脳脊髄炎の発症を悪化させる。最後に、腫瘍細胞におけるVISTAの過剰発現は、マウスにおいてインビボでの防御的抗腫瘍免疫を妨害する。これらの発見は、新規な免疫制御性分子であるVISTAが、他のIgスーパーファミリーのメンバーと重複しない機能的活性を有し、自己免疫の発達および癌における免疫監視に役割を果たし得ることを示す。Wang,et al.(2011)The Journal of Experimental Medicine 208(3):577−92を参照されたい。

ヒトVISTA(PD−L3)またはVISTAは、T細胞転写プロファイリングスク リーンにおいて上方制御される分子として特定された。マウスCD4+T細胞cDNAライブラリーから回収した同一の930塩基対の遺伝子産物の特徴付けにより、大きさおよび配列を確認した。コンピュータ上での配列および構造分析により、成熟時の309個のアミノ酸のI型膜貫通タンパク質を予測する。その細胞外ドメインは、136個のアミノ酸の単一の細胞外Ig−Vドメインを含有し、これは、23個のアミノ酸のストーク領域、21個の残基の膜貫通セグメント、および97個のアミノ酸の細胞質ドメインに連結される。VISTAの細胞質尾部は、いずれのシグナル伝達ドメインも含有しない。VISTA Ig−Vドメインを用いたBLAST配列検索により、B7ファミリーのPD−L1を、ボーダーラインの有意なe値スコアを有する、最も近い進化的に関連するタンパク質として特定した。VISTAと、B7ファミリーメンバーPD−L1、PD−L2、B7−H3、およびB7−H4との構造に基づく配列アライメントは、すべてのIg−Vドメインタンパク質において系統的に保存されるいくつかのアミノ酸を強調する。

VISTAの発現は、造血コンパートメントに選択的に発現するとみられ、このタンパク質は、成熟した骨髄性細胞(CD11bbright)上に高度に発現し、CD4+T細胞、Treg、およびCD8+T細胞では発現レベルが低い。可溶性VISTAタンパク質、例えば、可溶性VISTA−Ig融合タンパク質、またはAPC上でのVISTAの発現は、インビトロでのCD4+およびCD8+T細胞の増殖およびサイトカイン産生を抑制する。抗VISTA抗体、例えば、抗VISTAモノクローナル抗体(13F3)が、インビトロでVISTA+APCによって、VISTAに誘導されるT細胞応答の抑制を遮断したことも観察される。また、抗VISTAモノクローナル抗体が、EAEを悪化させ、インビボで脳炎誘発性Th17の頻度を増加させたことも発見された。なおもさらに、本発明は、驚くべきことに、抗VISTAモノクローナル抗体が、複数のマウス腫瘍モデルにおいて、腫瘍寛解を誘導することを発見した。これらのモデルにおける骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)上でのVISTAの発現は、非常に高度であり、VISTA+MDSCが、腫瘍特異的免疫を抑制することを示唆する。VISTAは、インビトロおよびインビボの両方で、マウスおよびヒト(インビトロのみ)において、T細胞上で免疫抑制活性を発揮し、自己免疫の発達および癌に対する免疫応答の制御における重要なメディエーターである。具体的に、データは、VISTAが、Igスーパーファミリーの新しいメンバーであり、PD−L1にわずかな配列類似性を有するIg−Vドメインを含有することを示す。VISTA−Ig融合タンパク質、または人工的APC上で過剰発現される場合、VISTAは、マウスおよびヒトCD4+およびCD8+T細胞増殖ならびにサイトカイン産生の両方を阻害する。さらに、骨髄性APC上でのVISTAの発現は、インビトロでT細胞応答に対して阻害性である。

腫瘍内微小環境におけるMDSC上でのVISTAの発現は、極めて高度である。多数の細胞表面分子の表現型および機能の分析が、MDSCに媒介されるT細胞の抑制に関与することが既に示唆されている:CD115、CD124、CD80、PD−L1、およびPD−L2は、MDSCによって発現されたが、MDSCと免疫抑制活性を欠く腫瘍を有さないマウスに由来する細胞との間に、それらの発現レベルまたは陽性細胞の割合に差は見られなかった。したがって、VISTAは、MDSC上の主要なB7の負の制御因子である。

抗体に媒介されるVISTAの封鎖は、自己腫瘍に対する防御的免疫を誘導する。 VISTAは、防御的抗腫瘍免疫の発達を妨害するMDSC上の優性な負の免疫制御性分子である。したがって、この分子の活性を抗VISTA抗体で遮断することは、哺乳動物(例えば、ヒト)における防御的抗腫瘍免疫を誘導するために用いることができる。

VISTA細胞外ドメインまたはそのフラグメントの複数のコピーと、VISTA結合剤、例えば、小分子および抗体またはそのフラグメントと、を含む、免疫調節剤としてV ISTAに結合するか、またはその活性を調節(作動もしくは拮抗)する、異なる癌、例えば、膀胱癌、卵巣癌、およびリンパ腫、自己免疫疾患、アレルギー、感染症、ならびに炎症性状態、例えば、多発性硬化症および関節炎の治療のための、可溶性VISTAタンパク質、例えば、融合タンパク質および多量体VISTAタンパク質の使用方法。

VISTAは、新規な阻害性リガンドであり、その細胞外Ig−Vドメインが、2つの既知のB7ファミリーリガンドである、プログラム死リガンド1および2(PD−L1およびPD−L2)に対する相同性を有し、固有の配列特性、ならびにインビトロおよびインビボにおいてAPCおよびT細胞のサブセット上で独特の発現パターンを呈する(これが、PD−L3またはVISTAを他のB7ファミリーリガンドと区別する)。VISTAは、CD4+およびCD8+T細胞増殖および分化に対する機能的影響を有する(CD4+およびCD8+T細胞増殖、ならびにサイトカイン産生を抑制する)。その発現パターンおよびT細胞に対する阻害性影響に基づいて、PD−L3またはVISTAは、T細胞と骨髄系由来のAPCとの間の同族相互作用の際にT細胞応答を負に制御する制御性リガンドとして機能するとみられる。

VISTA(PD−L3)は、B7ファミリーリガンドのメンバーとみられるが、他のB7ファミリーリガンドとは異なり、この分子は、Ig−Cドメインを有さずにIg−Vドメインのみを含有し、系統発生学的には、B7ファミリー受容体プログラム死−1(PD−1)により近似する。それに基づき、VISTA(PD−L3)およびそれに特異的なアゴニストもしくはアンタゴニストは、T細胞活性化および分化の制御、ならびにより広義には、免疫応答を制御する制御性ネットワークの調節に使用され得る。特に、VISTA(PD−L3)タンパク質およびVISTA(PD−L3)アゴニストまたはアンタゴニストは、好ましくは、VISTA(PD−L3)に特異的な抗体は、自己免疫、炎症性応答および疾患、アレルギー、癌、感染性疾患、ならびに移植における免疫応答の調節に有用である。

T細胞におけるアネルギーは(非応答性とは対照的に)、サイトカイン産生、例えば、IL−2の欠如を特徴とする。T細胞アネルギーは、T細胞が抗原に曝露され、第2のシグナルの不在下で第1のシグナル(T細胞受容体またはCD−3に媒介されるシグナル)を受容すると、発生する。これらの条件下では、同じ抗原への細胞の再曝露は(再曝露が共刺激性分子の存在下で起こったとしても)、サイトカイン産生不全、したがって、増殖不全をもたらす。アネルギーT細胞は、しかしながら、無関係の抗原への応答を増加させ得、サイトカイン(例えば、IL−2)とともに培養されると、増殖し得る。例えば、T細胞アネルギーはまた、ELISAによって、または指標細胞株を用いた増殖アッセイによって測定すると、Tリンパ球によるIL−2産生の欠如によって観察され得る。あるいは、レポーター遺伝子構築物を使用してもよい。例えば、アネルギーT細胞は、5’ IL−2遺伝子エンハンサーの制御下で異種プロモーターによって、またはエンハンサー内に見ることができるAP1配列の多量体によって誘導される、IL−2遺伝子の転写を開始することができない。Kang,et al.(1992)Science 257:1134。

本発明のVISTA(PD−L3)分子は、ポリペプチドまたは対応する核酸分子における「細胞外ドメイン」の存在に基づいて特定される。別の実施形態において、本発明のVISTA(PD−L3)分子は、ポリペプチドまたは対応する核酸分子における「細胞質ドメイン」の存在に基づいて特定される。

免疫細胞の応答が調節されるように、一次シグナルの存在下で、インビトロまたはインビボで免疫細胞と、VISTAタンパク質またはそれに特異的な結合剤とを接触させることによって、免疫細胞応答を調節する方法。(VISTAまたはその調節剤の相互作用は 、免疫細胞にシグナルを伝送し、免疫応答を制御する。VISTA(PD−L3)タンパク質は、骨髄性樹状細胞(DC)およびマクロファージを含む骨髄性抗原提示細胞上では高度に発現し、CD4+およびCD8+T細胞上では低密度で発現する。免疫活性化により、VISTA(PD−L3)発現は、骨髄性APC上では上方制御されるが、CD4+T細胞上では下方制御される)。したがって、本発明のVISTA(PD−L3)核酸およびポリペプチド、ならびにそれらのアゴニストまたはアンタゴニストは、例えば、免疫応答の調節に有用である。

本明細書に互換的に使用される「VISTA(PD−L3)活性」、「VISTA(PD−L3)の生物学的活性」、または「VISTA(PD−L3)の機能的活性」とは、標準的な技術に従ってインビボまたはインビトロで判定される、VISTA(PD−L3)応答性細胞もしくは組織、またはVISTA(PD−L3)ポリペプチド結合パートナーに対して、VISTA(PD−L3)タンパク質、ポリペプチド、または核酸分子によって発揮される活性を指す。これらの活性には、CD4+およびCD8+T細胞増殖ならびにサイトカイン産生の調節が含まれる。別の実施形態において、VISTA(PD−L3)活性は、VISTA(PD−L3)結合パートナーとの会合等、直接的な活性である。本明細書に使用される際、「標的分子」または「結合パートナー」は、VISTA(PD−L3)媒介性機能が達成されるように、自然界でVISTA(PD−L3)ポリペプチドが結合するかまたは相互作用する、すなわち、T細胞上に発現される、分子である。あるいは、VISTA(PD−L3)活性は、VISTA(PD−L3)ポリペプチドによって媒介される細胞シグナル伝達活性等、間接的な活性である。VISTA(PD−L3)の生物学的活性が、本明細書に説明される。例えば、本発明のVISTA(PD−L3)ポリペプチドおよびVISTA(PD−L3)アゴニストまたはアンタゴニストは、次の活性のうちの1つ以上を有し得る:(1)CD4+およびCD8+T細胞増殖の抑制もしくは促進、(2)サイトカイン産生の抑制もしくは促進、(3)T細胞と骨髄性由来APCとの間の同族相互作用のときのT細胞応答を負に制御する制御性リガンドとしての機能、(4)初期TCR活性を抑制し、細胞分裂を停止させることによるが、アポトーシスへの直接の影響は最小限に抑えた、CD4+T細胞応答の負の制御、(5)APCとT細胞との間の同族相互作用のときの抗原特異的T細胞活性化の抑制もしくは促進、ならびに/または(6)T細胞に媒介される免疫応答の抑制もしくは促進、(7)免疫細胞、例えばTリンパ球の活性化の調節、(8)生物、例えば、マウスもしくはヒト生物の免疫応答、例えば、炎症性免疫応答の調節。

1つ以上のVISTA(PD−L3)活性を調節する単離VISTA(PD−L3)タンパク質およびポリペプチド。これらのポリペプチドには、次のドメイン、すなわちシグナルペプチドドメイン、IgVドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインのうちの1つ以上、ならびに好ましくはVISTA(PD−L3)活性を有する、VISTA(PD−L3)ポリペプチドが含まれる。

共刺激性シグナルの調節は、免疫細胞のエフェクター機能の調節をもたらし得る。したがって、「VISTA活性」という用語は、VISTAポリペプチドが、その天然の結合パートナー(複数可)に結合する能力、免疫細胞共刺激性または阻害性シグナルを調節する能力、および免疫応答を調節する能力を含む。

免疫細胞における阻害性シグナルの調節は、免疫細胞の増殖および/またはそれによるサイトカイン分泌の調節をもたらす。例えば、本発明のVISTA(PD−L3)ポリペプチドのファミリーは、好ましくは、少なくとも1つの「シグナルペプチドドメイン」を含む。以下に記載されるように、シグナル配列は、天然のヒトVISTA(PD−L3)のアミノ酸配列において特定され、また天然のマウスVISTA(PD−L3)のアミノ酸配列においても特定された。

VISTA(PD−L3)活性の刺激は、VISTA(PD−L3)が異常に下方制御される状況、および/またはVISTA(PD−L3)活性の増加が、有益な効果を有する可能性が高い状況において、望ましい。同様に、VISTA(PD−L3)活性の阻害は、VISTA(PD−L3)が異常に上方制御される状況、および/またはVISTA(PD−L3)活性の減少が、有益な効果を有する可能性が高い状況において、望ましい。VISTA(PD−L3)の下方調節に使用される例示的な薬剤(すなわち、VISTA(PD−L3)アンタゴニスト)には、例えば、アンチセンス核酸分子、VISTA(PD−L3)を認識および遮断する抗体、VISTA(PD−L3)を認識および遮断する抗体の組み合わせ、ならびにVISTA(PD−L3)対向受容体を認識および遮断する抗体、ならびに、免疫細胞上でVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を遮断する化合物(例えば、可溶性一価VISTA(PD−L3)分子:抗原提示細胞上でFc受容体に結合しないVISTA(PD−L3)分子の可溶性形態;VISTA(PD−L3)結合パートナーの可溶性形態;および対象スクリーニングアッセイにおいて特定される化合物)が挙げられる。VISTA(PD−L3)の上方調節に使用される例示的な薬剤(すなわち、VISTA(PD−L3)アゴニスト)には、例えば、VISTA(PD−L3)ポリペプチドをコードする核酸分子、VISTA(PD−L3)の多価形態、VISTA(PD−L3)の発現を増加させる化合物、VISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナーとの相互作用を強化する化合物、およびVISTA(PD−L3)を発現する細胞が挙げられる。

受容体に結合するVISTA(PD−L3)分子の形態に応じて、シグナルは、伝送される(例えば、受容体の架橋をもたらすVISTA(PD−L3)分子の形態、もしくは抗原提示細胞上でFc受容体に結合するVISTA(PD−L3)の可溶性形態によって)か、または、例えば、受容体への結合に関してVISTA(PD−L3)分子の活性化形態と競合することによって、阻害される(例えば、抗原提示細胞上でFc受容体に結合しないように、当該技術分野で既知の方法を用いて改変された、VISTA(PD−L3)分子の可溶性一価形態もしくはVISTA(PD−L3)の可溶性形態によって)かのいずれかである。しかしながら、可溶性分子が刺激性となり得る事例が存在する。種々の調節作用薬の効果は、本明細書に記載される日常的なスクリーニングアッセイを用いて容易に実証することができる

免疫応答の下方制御 VISTA(PD−L3)ポリペプチドの阻害性機能の上方制御を用いて、免疫応答を下方制御することができる。下方制御は、既に進行中の免疫応答を阻害もしくは遮断する形態であり得るか、または免疫応答の誘導の防止を伴い得る。活性化免疫細胞の機能は、免疫細胞の応答を下方制御することによって、もしくは免疫細胞において特異的なアネルギーを誘導することによって、またはその両方によって、阻害することができる。例えば、VISTA(PD−L3)は、阻害性受容体に結合し得、阻害性受容体に結合するVISTA(PD−L3)の形態、例えば、細胞表面上の多価VISTA(PD−L3)を用いて、免疫応答を下方調節することができる。VISTA(PD−L3)活性を刺激するために使用され得る活性化抗体は、二重特異性抗体である。例えば、そのような抗体は、VISTA(PD−L3)結合部位、および免疫細胞、例えば、T細胞、B細胞、または骨髄性細胞上の細胞表面受容体を標的とする別の結合部位を含み得る。そのような抗体は、VISTA(PD−L3)結合部位を含むことに加えて、分子を特定の細胞集団に標的化するために、B細胞抗原受容体、T細胞抗原受容体、またはFc受容体に結合する結合部位をさらに含み得る。二重特異性抗体のこの第2の抗体の選択により、阻害の標的となる細胞集団の選択に柔軟性を提供する。VISTA(PD−L3)活性を促進するか、またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(例えば、VISTA(PD−L3)活性化抗体もしくはVISTA(PD−L3)活性化小分子)との相互作用を強 化する薬剤は、免疫細胞増殖および/もしくはエフェクター機能を阻害するか、またインビトロアッセイに追加されるとアネルギーを誘導する、それらの能力によって特定することができる。例えば、細胞は、活性化受容体を介してシグナル伝達を刺激する薬剤の存在下で培養され得る。多数の当該技術分野で認識される細胞活性化の読み出し値を用いて、例えば、活性化剤の存在下における細胞増殖またはエフェクター機能(例えば、抗体産生、サイトカイン産生、食作用)を測定することができる。試験薬剤がこの活性化を遮断する能力は、薬剤が測定される増殖またはエフェクター機能の減少を達成する能力を測定することによって、容易に判定することができる。一実施形態において、低抗原濃度で、VISTA(PD−L3)免疫細胞の相互作用は、強力なB7−CD28シグナルを阻害する。別の実施形態において、高抗原濃度で、VISTA(PD−L3)免疫細胞の相互作用は、サイトカイン産生を低減させ得るが、T細胞増殖を阻害しない。したがって、試験化合物が活性化を遮断する能力は、異なる抗原濃度でサイトカイン産生および/または増殖を測定することによって判定することができる。

寛容は、抗原とVISTA(PD−L3)アゴニストとを共投与することによって、特定の抗原に対して誘導することができる。例えば、寛容は、特定のポリペプチドに誘導され得る。アレルゲンまたは免疫応答が所望されない外来ポリペプチドに対する免疫応答を、阻害することができる。例えば、第VIII因子を受容する患者は、この凝固因子に対する抗体を生成することが多い。VISTA(PD−L3)活性またはその天然の結合パートナーとの相互作用を刺激する薬剤と、組み換え第VIII因子との共投与(またはVISTA(PD−L3)を、例えば架橋によって第VIII因子に物理的に連結させること)は、免疫応答の下方調節をもたらし得る。

VISTA(PD−L3)アゴニストおよび共刺激性受容体の活性を遮断する別の薬剤を使用して、免疫応答を下方調節することができる。例示的な分子には、他のPDリガンドのアゴニスト形態、CTLA−4の可溶性形態、抗B7−1抗体、抗B7−2抗体、またはこれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、2つの別個のペプチド(例えば、VISTA(PD−L3)ポリペプチドと、B7−2および/またはB7−1ポリペプチドの遮断形態)、または抗体の組み合わせ(例えば、VISTA(PD−L3)ポリペプチドに対する活性抗体と、遮断抗B7−2および/または抗B7−1モノクローナル抗体)を、単一の組成物として組み合わせるか、または別個に投与(同時または順次)して、対象における免疫細胞媒介性免疫応答を通う調節してもよい。さらに、B7−1および/またはB7−1活性を有する1つ以上のポリペプチドとともに、VISTA(PD−L3)ポリペプチド活性を有する1つ以上のポリペプチドの治療的に活性な量を、他の下方調節試薬と併用して、免疫応答に影響を及ぼすことができる。免疫調節試薬の例には、共刺激性シグナル(例えば、CD28もしくはICOSに対する)を遮断する抗体、CTLA4を介した阻害性シグナルを活性化する抗体、および/または他の免疫細胞マーカー(例えば、CD40、CD40リガンド、もしくはサイトカイン)に対する抗体、融合タンパク質(例えば、CTLA4−FcもしくはPD−1−Fc)、ならびに免疫抑制薬(例えば、ラパマイシン、シクロスポリンA、もしくはFK506)が挙げられる。VISTA(PD−L3)ポリペプチドはまた、細胞の破壊によって免疫細胞機能を遮断する治療薬の構築に有用であり得る。例えば、VISTA(PD−L3)ポリペプチドの部分を毒素に連結させて、それが結合する細胞の破壊を引き起こすことができる細胞毒性剤を作製することができる。

そのような細胞毒性剤(例えば、VISTA(PD−L3)リシン(単独またはPD−L1−リシンとの組み合わせ)のうちの1つまたはそれらの組み合わせの患者への注入は、特に、活性化免疫細胞がより多くの量のVISTA(PD−L3)結合パートナーを発現するという事実を踏まえて、免疫細胞の死滅をもたらし得る。例えば、PD−1は活性化リンパ球の表面に誘導されるため、VISTA(PD−L3)ポリペプチドを使用して 、Fc−R依存性機序によって、または細胞毒性薬(例えば、リシン、サポリン、もしくはカリケアマイシン)をVISTA(PD−L3)ポリペプチドに複合体化することによって、これらの特定の細胞の枯渇を標的として、VISTAの受容体を発現する細胞を殺滅させることができる。VISTA(PD−L3)を発現する抗原提示細胞の死滅の標的とするために、毒素を抗VISTA(PD−L3)抗体と複合体化させてもよい。さらなる実施形態において、VISTA(PD−L3)−抗体−毒素は、二重特異性抗体であり得る。そのような二重特異性抗体は、例えば、ある特定の種類の細胞、例えば、Bリンパ球、単球、樹状細胞、またはランゲルハンス細胞にのみ見出されるマーカーを使用して、特定の細胞集団を標的とするために有用である。VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)−免疫細胞の相互作用を活性化すること(およびしたがってVISTA(PD−L3)の負のシグナル伝達機能を刺激すること)による免疫応答の下方制御は、例えば、組織、皮膚、および器官移植の状況における、移植片対宿主病(GVHD)における、またはアレルギー、または自己免疫疾患、例えば、全身性エリテマトーデスおよび多発性硬化症における、免疫応答の下方調節に有用である。例えば、免疫細胞機能の遮断は、組織移植術において組織破壊の低減をもたらす。典型的に、組織移植において、移植片の拒絶は、免疫細胞がそれを外来物として認識することによって開始され、その後、移植片を破壊する免疫反応が起こる。免疫細胞(VISTA(PD−L3)ポリペプチドの可溶性多量体形態)上でVISTA(PD−L3)の活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を促進する分子を、単独または別の下方調節剤との併用で移植の前または移植時に投与することにより、共刺激性シグナルの生成を阻害することができる、さらに、VISTA(PD−L3)活性の促進はまた、免疫細胞をアネルギー化し、それによって対象に寛容を誘導するのに十分であり得る。

対象において十分な免疫抑制または寛容を達成するために、他の分子の共刺激性機能を遮断することが望ましい場合がある。例えば、移植の前または移植時に、これらの抗原またはこれらの抗原に対する遮断抗体のそれぞれの活性を有するペプチドの組み合わせの可溶性形態を(別個に、または単一の組成物中で一緒に)投与することによって、B7−1およびB7−2の機能を遮断することが望ましい場合がある。あるいは、VISTA(PD−L3)の阻害性活性を促進し、B7−1および/またはB7−2の共刺激性活性を阻害することが望ましい場合がある。本発明の下方調節法に関連して使用され得る他の下方調節剤には、例えば、CTLA4、CTLA4の可溶性形態を介して阻害性シグナルを伝送する薬剤、CTLA4を介して阻害性シグナルを活性化する抗体、他の免疫細胞マーカーに対する遮断抗体、または他の受容体リガンド対の可溶性形態(例えば、CD40とCD40リガンドとの間の相互作用を破壊する薬剤(例えば、抗CD40リガンド抗体))、サイトカインに対する抗体、または免疫抑制薬が挙げられる。例えば、VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用の活性化は、自己免疫疾患の治療に有用である。多くの自己免疫障害は、自己組織に対して反応性であり、疾患の病因に関与するサイトカインおよび自己抗体の産生を促進する、免疫細胞の不適切な活性化の結果である。自己反応性免疫細胞の活性化の防止は、疾患症状を低減または排除し得る。VISTA(PD−L3)の活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を促進する薬剤の投与は、疾患の長期緩和をもたらし得る自己反応性免疫細胞の抗原特異的寛容を誘導し得る。さらに、B7分子の受容体−リガンドの相互作用を破壊することによって免疫細胞の共刺激を遮断する薬剤と、共刺激性受容体との共投与は、免疫細胞の活性化を阻害して、疾患過程に関与し得る自己抗体またはサイトカインの賛成を防止するのに有用であり得る。自己免疫障害の防止または緩和における試薬の有効性は、ヒト自己免疫疾患の十分に特徴付けされた多数の動物モデルを使用して判定することができる。例としては、マウス実験的自己免疫性脳炎、MRL/lpr/lprマウスまたはNZBハイブリッドマウスにおける全身性エリテマトーデス、マウス自己免疫性コラーゲン関節炎、NODマウスお よびBBラットにおける真性糖尿病、ならびにマウス実験的重症筋無力症が挙げられる。Paul ed.,Fundamental Immunology,Raven Press,New York,1989,pages 840−856を参照されたい。

免疫細胞活性化の阻害は、例えば、IgE産生を阻害することによる、アレルギーおよびアレルギー反応の治療において治療的に有用である。VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を促進する薬剤を、アレルギー対象に投与して、対象における免疫細胞媒介性アレルギー応答を阻害することができる。VISTA(PD−L3)活性またはその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用の刺激は、適切なMHC分子とともにアレルゲンへの曝露を伴い得る。アレルギー反応は、アレルゲンの進入経路および肥満細胞もしくは好塩基球上でのIgEの堆積パターンに応じて、全身的または局所的な性質であり得る。したがって、免疫細胞に媒介されるアレルギー応答は、VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)−免疫細胞相互作用を促進する薬剤の投与によって、局所的または全身的に阻害することができる。

VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用の刺激を介した免疫応答の下方制御はまた、自己組織の自己免疫攻撃の治療に有用であり得る。したがって、自己免疫攻撃によって引き起こされるか、または悪化される状態(例えば、心疾患、心筋梗塞、またはアテローム性動脈硬化)は、VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナーとの結合を増加させることによって、緩和または改善することができる。したがって、自己免疫攻撃によって悪化する状態、例えば、自己免疫障害(ならびに、心疾患、心筋梗塞、およびアテローム性動脈硬化等の状態)を、VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその対抗受容体との相互作用を刺激することによって調節することは、本発明の範囲内である。

免疫応答の上方制御 VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用の阻害は、免疫応答を上方制御する手段として、治療法においても有用である。免疫応答の上方制御は、既存の免疫応答を強化するか、または最初の免疫応答を誘起する形態であり得る。例えば、VISTA(PD−L3)活性の阻害を通じて免疫応答を強化することは、微生物、例えば、細菌、ウイルス、もしくは寄生虫による感染の場合、または免疫抑制の場合に、有用である。例えば、VISTA(PD−L3)活性を阻害する薬剤、例えば、VISTA(PD−L3)に対する非活性化抗体(すなわち、遮断抗体)、またはVISTA(PD−L3)の可溶性形態は、ウイルス、細菌、または寄生虫のより急速または徹底的なクリアランスをもたらす抗体および細胞媒介性応答の上方制御が有益である状況において、治療的に有用である。これらの状態には、ヘルペスまたは帯状疱疹等のウイルス性皮膚疾患が挙げられ、この場合、そのような薬剤は、皮膚に局所的に送達され得る。加えて、インフルエンザ、感冒、および脳炎等の全身性ウイルス性疾患は、そのような薬剤の全身投与によって緩和され得る。ある特定の事例において、免疫応答をさらに増大させるために、免疫応答を上方制御する他の薬剤、例えば、共刺激性受容体を介してシグナルを伝達するB7ファミリーメンバーの形態をさらに投与することが望ましい場合がある。

免疫応答は、感染患者において、患者から免疫細胞を取り出し、インビトロで免疫細胞をVISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を阻害する薬剤と接触させ、インビトロで刺激した免疫細胞を患者に再導入することによって、強化され得る。別の実施形態において、免疫応答を強化する方法は、感染細胞、例えばウイルス感染細胞を患者から単離し、それらに、その 天然の結合パートナー(複数可)に結合することができないVISTA(PD−L3)の形態をコードする核酸分子をトランスフェクトし、そうして細胞がVISTA(PD−L3)分子をそれらの表面に発現するようになり、トランスフェクトした細胞を患者に再導入することを伴う。トランスフェクトした細胞は、インビボで免疫細胞への阻害性シグナルを防止し、それによって免疫細胞を活性化することが可能であり得る。

VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を阻害する薬剤は、種々のポリペプチド、例えば、病原体に由来するポリペプチドに対するワクチンにおいて予防的に使用することができる。病原体、例えば、ウイルスに対する免疫は、適切なアジュバント中で、VISTA(PD−L3)活性を阻害する薬剤とともに、ウイルス性ポリペプチドをワクチン接種することによって誘導することができる。あるいは、病原性抗原およびVISTA(PD−L3)と免疫細胞との相互作用を遮断するVISTA(PD−L3)の形態の両方をコードする遺伝子を含むベクターを、ワクチン接種に使用してもよい。核酸ワクチンは、様々な手段によって、例えば、注入(例えば、筋肉内、皮内、または粒子を皮膚に注入するために粒子加速器もしくはを圧縮ガスを用いる遺伝子銃によるDNAコーティング金粒子の表皮への微粒子銃注入によって、投与され得る。Haynes,et al.(1996)J.Biotechnol.44:37。あるいは、核酸ワクチンは、非侵襲的手段によって投与されてもよい。例えば、純粋または脂質製剤化されたDNAを、呼吸器系または他の標的箇所に、例えば、DNAを経口送達することによりパイエル板に、送達することができる。Schubbert(1997)Proc Natl.Acad.Sci.USA 94:961。弱毒化した微生物を、粘膜表面への送達に使用することができる。Sizemore et al.(1995)Science 270:29。

ワクチン中の抗原は、自己抗原であり得る。そのようなワクチンは、生物における寛容の調節に有用である。自己抗原およびVISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナーとの相互作用を遮断する薬剤での免疫付与は、寛容を破壊し得る(すなわち、自己抗原の寛容を妨害し得る)。そのようなワクチンはまた、ミョウバンまたはサイトカイン(例えば、GM−CSF、IL−12、B7−1、もしくはB7−2)等のアジュバントを含み得る。一実施形態において、VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を阻害する薬剤を、MHCクラスIポリペプチドとともに、例えば、VISTA(PD−L3)ポリペプチドまたは遮断抗体とMHCクラスIα鎖ポリペプチドおよびβ2ミクログロブリンとを共発現するようにトランスフェクトした細胞によって投与して、T細胞の活性化をもたらし、感染からの免疫を提供することができる。例えば、ワクチンが有用なウイルス性病原体には、B型肝炎、C型肝炎、エプスタインバーウイルス、サイトメガロウイルス、HIV−1、HIV−2、結核、マラリア、および住血吸虫症が挙げられる。

VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用の阻害は、腫瘍免疫の治療に有用であり得る。腫瘍細胞(例えば、結腸直腸癌、肉腫、黒色腫、リンパ腫、白血病、神経芽細胞腫、または癌腫)に、VISTA(PD−L3)活性を阻害する核酸分子をトランスフェクトすることができる。これらの分子は、例えば、VISTA(PD−L3)にアンチセンスであるか、または非活性化抗VISTA(PD−L3)抗体をコードし得る核酸分子であり得る。これらの分子はまた、抗VISTA(PD−L3)抗体の可変領域であり得る。所望される場合、腫瘍細胞に、共刺激を活性化する他のポリペプチド(例えば、B7−1またはB7−2)をトランスフェクトしてもよい。トランスフェクトした腫瘍細胞を患者に戻し、これにより、VISTA(PD−L3)活性の阻害(例えば、局所阻害)をもたらすあるいは、遺伝子療法技術を使用して、腫瘍細胞をインビボでトランスフェクションの標的とするこ とができる。

腫瘍細胞に対する免疫応答の刺激はまた、VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を阻害する薬剤で患者を治療することによって、VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を阻害することによって達成され得る。そのような薬剤の好ましい例には、例えば、アンチセンス核酸分子、VISTA(PD−L3)を認識および遮断する抗体、ならびに免疫細胞上でVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を遮断する化合物(例えば、可溶性の一価VISTA(PD−L3)、抗原提示細胞上でFc受容体に結合しないVISTA(PD−L3)分子、VISTA(PD−L3)結合パートナー(複数可)の可溶性形態、および対象のスクリーニングアッセイにおいて特定される化合物)が挙げられる。加えて、MHCクラスIもしくはMHCクラスII分子を欠くか、または十分な量のMHCクラスIもしくはMHCクラスII分子を発現できない腫瘍細胞に、MHCクラスIα鎖ポリペプチドおよびβ2ミクログロブリンポリペプチドまたはMHCクラスIIα鎖ポリペプチドおよびMHCクラスIIβ鎖ポリペプチドのすべてまたは一部分(例えば、細胞質ドメイン切断部分)をコードする核酸をトランスフェクトし、それによって、細胞表面にMHCクラスIまたはMHCクラスIIポリペプチドを発現させることができる。VISTA(PD−L3)阻害ポリペプチドまたはアンチセンス核酸と併せて、適切なMHCクラスIまたはクラスIIを発現させることにより、トランスフェクトされた腫瘍細胞に対して、T細胞媒介性免疫応答を誘導する。任意で、MHCクラスII関連ポリペプチド、例えば不変鎖の発現を遮断するアンチセンス構築物をコードする遺伝子に、VISTA(PD−L3)阻害ポリペプチドまたはアンチセンス核酸をコードするDNAをトランスフェクトして、腫瘍関連抗原の提示を促進し、腫瘍特異的免疫を誘導することができる。B7陰性マウス腫瘍細胞によるB7−1の発現は、マウスにおける腫瘍拒絶および腫瘍チャレンジに対する長期保護を伴ってT細胞媒介性特異的免疫を誘導することが示されている。Chen,et al.(1992)Cell 71:1093−1102、Townsend&Allison(1993)Science 259:368−370、Baskar,et al.(1993)Proc Natl.Acad.Sci.90:5687−5690。したがって、ヒト対象における免疫細胞媒介性免疫応答の誘導は、対象における腫瘍特異的寛容を克服するのに十分であり得る。別の実施形態において、免疫応答は、VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用の阻害によって刺激され得、その結果、既存の寛容が克服される。例えば、対象が有意な免疫応答を開始できない抗原、例えば、腫瘍特異的抗原に対する免疫応答は、VISTA(PD−L3)活性の活性またはVISTA(PD−L3)がその天然の結合パートナーに結合する能力を阻害し、積極的免疫付与の過程において外来抗原に対する応答を上昇させるためのアジュバントとして使用され得る、薬剤を投与することによって誘導することができる。

免疫細胞は、対象から得られ、VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を阻害する薬剤の存在下においてエキソビボで培養され、免疫細胞の集団を増殖させ得る。さらなる実施形態において、免疫細胞は、次いで、対象に投与される。免疫細胞は、当該技術分野で既知のように、例えば、免疫細胞に一次活性化シグナルおよび共刺激性シグナルを与えることによって、インビトロで増殖するように刺激され得る。種々の形態のVISTA(PD−L3)ポリペプチドまたはVISTA(PD−L3)活性を阻害する薬剤を使用して、免疫細胞の増殖を共刺激することもできる。一実施形態において、免疫細胞は、国際特許第WO 94/29436号に記載の方法に従って、エキソビボで培養される。共刺激性分子は、可溶性であり得、細胞膜に付着するか、またはビーズ等の固体表面に付着し得る。

本明細書の方法のいずれかを実行する際、1つ以上の追加の薬剤を投与することによって免疫応答を上方制御することは、本発明の範囲内である。例えば、サイトカイン、アジュバント、または共刺激性分子もしくはそれらのリガンドの刺激性形態といった、免疫応答を刺激することが既知の他の薬剤は、VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を阻害する薬剤と併せて使用することができる。

T細胞上でのVISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその対抗受容体との相互作用の調節によって調節されるサイトカインの特定 本明細書に記載されるVISTA(PD−L3)分子を使用して、VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用の調節によって産生されるか、またはその産生がそれらの調節に応じて免疫細胞において強化もしくは阻害される、サイトカインを特定することができ、免疫細胞は、一次活性化シグナルによってインビトロで最適以下に刺激され得る、例えば、T細胞は、ホルボールエステル、抗CD3抗体、または好ましくはMHCクラスII分子と会合した抗原で刺激され、例えば、B7ファミリー抗原の刺激性形態によって、例えば、B7ポリペプチドをコードし、ペプチドをその表面に発現させる核酸をトランスフェクトした細胞によって、またはペプチドの可溶性刺激性形態によって、共刺激性シグナルが与えられる。細胞を、次いで、VISTA(PD−L3)を発現する細胞(例えば、VISTA(PD−L3)に対する抗体と接触させる培地に放出される既知のサイトカインは、ELISAによって、またはサイトカインを遮断して免疫細胞増殖もしくはサイトカインによって誘導される他の細胞型を阻害する抗体の能力によって、特定され得る。例えば、IL−4 ELISAキットが、Genzyme(Cambridge,MA.)から入手可能であり、IL−7遮断抗体も同様である。IL−9およびIL−12に対する遮断抗体は、Genetics Institute(Cambridge,MA.)から入手可能である。サイトカインプロファイルに対するVISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)とその結合パートナー(複数可)との相互作用の刺激または遮断の効果を、次いで判定することができる。上に記述され、実施例に示されるように、VISTA(PD−L3)は、免疫細胞によるIL−2およびγインターフェロンの発現を抑制するとみられる。

上述のインビトロ免疫細胞共刺激アッセイもまた、VISTA(PD−L3)活性の調節によって調節され得る新規なサイトカインを特定するための方法において使用することができる。例えば、CD28/CTLA4経路の刺激がIL−2の分泌を強化するとみられる場合、ICOS経路の刺激は、IL−10の分泌を強化するとみられる。Hutloff,et al.(1999)Nature 397:263。特定の活性が共刺激により誘導される場合、例えば、免疫細胞が既知のサイトカインに対する遮断抗体の付加により阻害されない場合、この活性は、未知のサイトカインの作用からもたらされたものであり得る。共刺激後に、従来的な方法によってこのサイトカインを培地から精製し、その活性を、免疫細胞の増殖を誘導するその能力により測定する。

寛容の誘導に役割を果たし得るサイトカインを特定するために、上述のインビトロT細胞共刺激アッセイを使用することができる。この場合、T細胞に、一次活性化シグナルを与え、選択したサイトカインと接触させるが、共刺激性シグナルは与えない。免疫細胞を洗浄し、休ませた後、細胞に、一次活性化シグナルおよび共刺激性シグナルの両方で再チャレンジを行う。免疫細胞が応答しない(例えば、増殖するか、またはサイトカインを産生する)場合、それらは、寛容化されており、サイトカインは寛容の誘導を防止しなかった。しかしながら、免疫応答が応答する場合、寛容の誘導が、サイトカインによって防止されている。寛容の誘導を防止することができるサイトカインを、移植レシピエントまたは自己免疫疾患を有する対象において寛容を誘導するためのより有効な手段として、Bリ ンパ球抗原を遮断する試薬と合わせてインビボでの遮断の標的とすることができる。例えば、VISTA(PD−L3)活性またはVISTA(PD−L3)と結合パートナーとの相互作用を促進する薬剤とともに、サイトカイン遮断抗体を対象に投与することができる。

したがって、要約すると、Treg細胞によって発現される、プログラム死リガンド(PDL)ファミリーの新規なメンバーが、ここに特定された。この新規なタンパク質は、VISTA(PD−L3)と指定されている。このPD−Lファミリーの受容体は、単一のIgVドメインを含有するI型膜貫通タンパク質であるが、このリガンドは、IgVおよびIgC細胞外ドメインの両方を発現するI型膜貫通タンパク質である。PDLファミリーの他のメンバーと同様に、VISTA(PD−L3)は、インビトロでT細胞のαCD3増殖を共刺激する。加えて、VISTA(PD−L3)の発現は、αCD3活性化Tregでは増加され、αGITRの存在下では低減される。

第2に、TNF様タンパク質もまた、αCD3/αGITR刺激により上方制御されるとして特定されている。このタンパク質は、Treg−sTNFと指定されている。これらのタンパク質は、接触依存性およびパラクリンの免疫抑制に関与し得、したがって、免疫応答の調節(例えば、阻害または刺激)ならびにTregシグナル伝達が関与する疾患および状態の治療において有用である。例えば、VISTA(PD−L3)タンパク質は、免疫細胞の活性化を刺激または強化するための共刺激性シグナルとして使用することができる。VISTA(PD−L3)タンパク質およびVISTA(PD−L3)結合剤ならびにVISTA(PD−L3)アゴニストおよびアンタゴニストは、T細胞免疫の制御、例えば、T細胞の活性化、分化、および増殖の調節、特に、T細胞と骨髄系由来APCとの間の同族相互作用の際のCD4+およびCD8+T細胞増殖、サイトカイン産生、およびT細胞応答の調節が所望される免疫状態の治療に特に有用である。

VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチド 本発明は、VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドを提供する。本発明者らは、驚くべきことに、VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドが、負の免疫調節剤として機能することを発見した。例示的なVISTAポリペプチドは、配列番号2、4、および5に提供される。本発明のVISTA(PD−L3)分子は、次のドメイン、すなわちシグナルペプチドドメイン、IgVドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、または細胞質ドメインのうちの少なくとも1つ以上を含む。本発明の単離ポリペプチド、好ましくはVISTA(PD−L3)ポリペプチドは、配列番号2もしくは4、または5のアミノ酸配列に十分に同一なアミノ酸配列を含み得るか、あるいは、配列番号1もしくは3またはそれらのフラグメントもしくは構成要素に十分に同一なヌクレオチド配列によってコードされる。本明細書に使用される際、「十分に同一」という用語は、第1および第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列が、共通の構造ドメインもしくはモチーフおよび/または共通の機能的活性を共有するように、第1のアミノ酸またはヌクレオチド配列が、第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列に対して十分または最低限な数の同一または同等のアミノ酸残基またはヌクレオチド(例えば、類似の側鎖を有するアミノ酸残基)を含有することを指す。例えば、共通の構造ドメインを共有するアミノ酸またはヌクレオチド配列は、そのドメインのアミノ酸配列全体にわたり、少なくとも30%、40%、または50%の相同性、好ましくは60%の相同性、より好ましくは70〜80%、およびさらにより好ましくは90〜95%の相同性を有し、少なくとも1つ、および好ましくは2つの構造ドメインまたはモチーフを含有し、本明細書において十分に同一であると定義される。さらに、少なくとも30%、40%、または50%、好ましくは60%、より好ましくは70〜80%、または90〜95%の相同性を共有し、共通の機能的活性を共有する、アミノ酸またはヌクレオチド配列は、本明細書において十分に同一であると定義される。VISTAポリペプチドの細胞外ドメインは、IgVドメインを含み得、またシグナルペ プチドドメインを含み得る。図1および23を参照されたい。

VISTA(PD−L3)ポリペプチドは、少なくとも1つの細胞外ドメインを有し得、シグナルペプチドドメイン、IgVドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞質ドメインのうちの1つ以上は、好ましくは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、本明細書における配列番号1または3のヌクレオチド配列の相補体を含む核酸分子にハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する核酸分子によってコードされる。例示される単離ヒトおよびマウスVISTA(PD−L3)cDNAのヌクレオチドおよびアミノ酸配列の配列、ならびにヒトVISTA(PD−L3)の予測アミノ酸配列は、本明細書に列挙される配列に含まれる。

本発明のVISTA(PD−L3)ポリペプチドは、「膜貫通ドメイン」の存在に基づいて特定することができる。PDL3の膜貫通ドメイン領域が、本明細書に特定される。例えば、図1および23を参照されたい。本発明のVISTA(PD−L3)分子は、ポリペプチドまたは対応する核酸分子における「IgCドメイン」の不在および「IgVドメイン」の存在に基づいて特定され得る。IgVドメインを構築する、天然のヒトおよびマウスVISTA(PD−L3)ポリペプチドのアミノ酸残基は、図1および23に見ることができる。IgVドメインの存在が、VISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との結合に必要とされる可能性が高い。

VISTAポリペプチドをコードする核酸は、VISTAおよびVISTA複合体の特異的抗原性(例えば、VISTAポリペプチドが、抗VISTA抗体によって結合される)を保持する、少なくとも1つのVISTAおよびVISTA複合体を含む変異体ポリペプチドをもたらす、アミノ酸配列における欠失、付加、および置換を含むがこれらに限定されない、標準的な分子生物学技術を使用して修飾され得る。加えて、少なくとも1つのVISTAポリペプチドを含む変異体ポリペプチドはまた、VISTAポリペプチドの抗原性を保持し得る(例えば、対象における免疫付与の際、それぞれ、VISTAポリペプチドおよび変異体VISTAポリペプチドに対する特異的免疫応答を上昇させる)。VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドを、薬学的担体とともに製剤化して、「癌ワクチン」として有用な抗原組成物(例えば、VISTAおよびVISTA複合体に対する特異的免疫応答を誘起し、対象における免疫付与の後に抗腫瘍抗体を産生する、薬学的組成物)を製造することができる。本明細書に記載されるVISTAポリペプチドおよびVISTA複合体を使用して、自己免疫障害および炎症性疾患を治療することができる。

ポリペプチド誘導体および類似体 本明細書に記載されるポリペプチドは、分解産物、合成ペプチド、または組み換えペプチド、ならびにペプチド模倣体、合成ペプチド、ペプトイド、およびセミペプトイド(例えば、例として、体内中でペプチドをより安定させるか、または細胞内への侵入がより可能である、修飾を有し得る、ペプチド類似体)であり得ることが理解されるであろう。本明細書に記載されるVISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドの修飾には、N末端修飾、C末端修飾、ペプチド結合修飾(例えば、CH2−NH、CH2−S、CH2−S=O、O=C−NH、CH2−O、CH2−CH2、S=C−NH、CH=CH、またはCF=CH)、骨格修飾、および残基修飾が挙げられるが、これらに限定されない。ペプチド模倣体化合物を調製するための方法は、当該技術分野で周知である。Martin,(2010)Quantitative Drug Design:A Critical Introduction[2nd Ed.]CRC Press。

ペプチド内のペプチド結合(−CO−NH−)は、例えば、N−メチル化結合(−N(CH3)−CO−)、エステル結合(−C(R)H−C−O−O−C(R)−N−)、ケトメチレン結合(−CO−CH2−)、α−アザ結合(−NH−N(R)−CO−)(式 中、Rは、アルキル、例えば、メチルである)、カルバ結合(−CH2−NH−)、ヒドロキシエチレン結合(−CH(OH)−CH2−)、チオアミド結合(−CS−NH−)、オレフィン二重結合(−CH=CH−)、レトロアミド結合(−NH−CO−)、ペプチド誘導体(−N(R)−CH2−CO−)で置換され得、式中、Rは、天然に炭素原子上に提示される、「通常の」側鎖である。これらの修飾は、ペプチド鎖に沿った結合のうちのいずれかに、さらには同時に複数(2〜3)箇所に生じ得る。

天然の芳香族アミノ酸であるTrp、Tyr、およびPheは、フェニルグリシン、TIC、ナフチルラニン(naphthylelanine)(Nol)、フェニルアラニンの環メチル化誘導体、フェニルアラニンのハロゲン化誘導体、またはo−メチル−チロシンといった合成の非天然酸によって置換され得る。上のものに加えて、本発明のポリペプチドはまた、1つ以上の修飾アミノ酸または1つ以上の非アミノ酸モノマー(例えば、脂肪酸、複合炭水化物)、例えば、ヒドロキシプロリン、ホスホセリン、およびホスホスレオニンと、2−アミノアジピン酸、ヒドロキシリジン、イソデスモシン、ノルバリン、ノルロイシン、およびオルニチンを含むがこれらに限定されない他の以上アミノ酸とを含み得る。さらに、「アミノ酸」という用語は、D−およびL−アミノ酸の両方が含まれる。

本発明のポリペプチドは、好ましくは、ペプチドが可溶性形態であることを要する治療薬に利用されるため、本発明のポリペプチドは、それらのヒドロキシル含有側鎖に起因してペプチドの可溶性を増加させることができるセリンおよびスレオニンを含むがこれらに限定されない、1つ以上の非天然または天然の極性アミノ酸を含み得る。

本発明のポリペプチドは、線形形態であり得るが、ケース状(in cases)もまた利用可能であることが理解されるであろう。

本明細書に記載されるVISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドは、それを発現するように改変されている細胞(例えば、組み換え)から精製され得る。VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドをコードするDNA配列が、発現ベクターに挿入され、次いで、適切な宿主細胞において形質転換(もしくはトランスフェクト)され得る、および/またはトランスジェニック動物において発現され得る。このようにして発現されるVISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドは、次いで、当該技術分野で既知の方法によって単離され得る。例えば、Maniatis,et al.(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual[3rd Ed.]Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。

本発明のポリペプチドは、標準的な固相技術を使用する等により、生化学的に合成され得る。これらの方法には、排他的固相合成、部分的固相合成法、フラグメント縮合、古典的溶液合成が挙げられる。これらの方法は、好ましくは、ペプチドが比較的短い(すなわち、10kDa)場合、および/またはそれが組み換え技術によって産生できず(すなわち、核酸配列によってコードされない)、したがって異なる化学作用が関与する場合に、用いられる。固相ペプチド合成手順は、当該技術分野で周知であり、Stewart(1984)Solid Phase Peptide Syntheses[2nd Ed.]Pierce Chemical Company and Benoiton(2005)Chemistry of Peptide Synthesis CRC Pressによってさらに説明されている。合成ペプチドは、分取拘束液体クロマトグラフィーによって精製することができ、その組成物は、アミノ酸シークエンシングによって確認することができる。Creighton(1992)[2nd Ed.]Proteins,Structures and Molecular Principles W .H.Freeman and Company、Aguilar(2004)[Ed.]HPLC of Peptides and Proteins:Methods and Protocols Humana Press、Simpson(2002)Protein Sequencing Protocols [2nd Ed.]Humana Pressを参照されたい。

大量の本発明のポリペプチドが所望される場合、本発明のポリペプチドは、Invitrogen(2002)“Guide to Baculovirus Expression Vector Systems(BEVs)and Insect Culture Techniques”Instruction Manual、Hatti−Kaul and Mattiasson(2003)[Eds]Isolation and Purification of Proteins、Ahmed(2004)Principles and Reactions of Protein Extraction,Purification and Characterization CRC Pressに記載されるもの等の組み換え技術を用いて生成することができる。さらなる組み換え技術は、例えば、Bitter,et al.(1987)Methods in Enzymol.153:516−544、Studier,et al.(1990)Methods in Enzymol.185:60−89、Brisson,et al.(1984)Nature 310:511−514、Takamatsu,et al.(1987)EMBO J.6:307−311、Coruzzi,et al.(1984)EMBO J.3:1671−1680、およびBrogli,et al.(1984)Science 224:838−843、Gurley,et al.(1986)Mol.CellBiol.6:559−565、およびWeissbach&Weissbach(1988)Methods for Plant Molecular Biology,Academic Press,NY,Section VIII,pages 421−463によって記載されるもの等である。

ポリペプチド配列変異体 本明細書に記載されるいずれのVISTAおよびVISTA複合体配列についても、さらなる特徴付けおよび最適化は、アミノ酸残基の付加または除去のいずれかを系統的に行って、より長いかまたは短いペプチドを生成し、それらおよび生成された配列を、より長いかまたは短い大きさのウインドウをその点から抗原の上下に移動することによって試験することによって、達成することができる。新しい候補標的を生成するこのアプローチを、免疫原性アッセイにおいてそれらの配列に基づいて抗原分子の有効性の試験と連結させることは、当該技術分野で既知のように、または本明細書に記載されるように、抗原のさらなる操作をもたらし得る。なおもさらに、このように最適化された配列は、当該技術分野で既知および/または本明細書で論じられるように、例えば、付加、欠失、または他の突然変異によって調整して、VISTAおよびVISTA複合体をさらに最適化(例えば、血清安定性および循環半減期の増加、熱安定性の増加、送達の強化、免疫原性の強化、可溶性の増加、特定のインビボ位置もしくは細胞型への標的化)することができる。

本明細書に記載されるVISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドは、保存的置換突然変異(すなわち、1つ以上のアミノ酸と類似のアミノ酸との置換)を含み得る。例えば、保存的置換は、あるアミノ酸と、同じ一般的クラス内の別ののものとの置換、例えば、1つの酸性アミノ酸と別の酸性アミノ酸、1つの塩基性アミノ酸と別の塩基性アミノ酸、または中性アミノ酸と別の中性アミノ酸との置換を指す。

VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチド配列は、配列番号2、4、または5のポリペプチド配列のうちのいずれか1つ以上に少なくとも約60、65、70、75、8 0、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の配列相同性を有し得る。より好ましくは、本発明は、配列番号2、4、または5のVISTAおよびVISTA複合体ポリペプチド配列のポリペプチド配列のうちのいずれか1つ以上に、少なくとも約95%の配列相同性、さらにより好ましくは少なくとも約98%の配列相同性、およびなおもより好ましくは少なくとも約99%の配列相同性を有するポリペプチド配列を企図する。アミノ酸配列間、ならびに核酸配列間の相同性を判定する方法は、当業者に周知である。例えば、Nedelkov&Nelson(2006)New and Emerging Proteomic Techniques Humana Pressを参照されたい。

したがって、VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドは、あるポリペプチド配列と、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列相同性を有し得る。例えば、VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドは、配列番号2、4、または5と、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列相同性を有し得る。

相同性または同一性という用語は、他のタンパク質との一致アミノ酸の数(同一性)を意味するとして理解され、パーセントで表される。同一性は、好ましくは、所与の配列と他のタンパク質とを、コンピュータプログラムを用いて比較することによって判定される。互いに比較される配列の長さが異なる場合、同一性は、短い配列が長い配列と共有するアミノ酸の数によって同一性の割合を判定するような方法で判定されることになる。同一性は、例えば、ClustalWといった、公的に利用可能な既知のコンピュータプログラムを用いて日常的に判定され得る。Thompson,et al.(1994)Nucleic Acids Research 22:4673−4680。ClustalWは、European Molecular Biology Laboratoryから公的に入手可能であり、種々のインターネットページから、とりわけ、IGBMC(Institut de Genetique et de Biologie Moleculaire et Cellulaire)ならびにEBIおよびすべてのミラー EBIインターネットページ(European Bioinformatics Institute)からダウンロードすることができる。ClustalWコンピュータプログラムバージョン1.8を使用して、例えば、本出願の参照タンパク質と他のタンパク質との間の同一性を判定する場合、次のパラメータを設定する:KTUPLE=1、TOPDIAG=5、WINDOW=5、PAIRGAP=3、GAPOPEN=10、GAPEXTEND=0.05、GAPDIST=8、MAXDIV=40、MATRIX=GONNET、ENDGAPS(OFF)、NOPGAP、NOHGAP。European Bioinformatics Institute(EBI)ツールボックス(オンラインで利用可能)およびSmith(2002)Protein Sequencing Protocols[2nd Ed.]Humana Pressもまた参照されたい。

類似の配列を見出す1つの可能性は、配列データベースリサーチを実行することである。ここで、1つ以上の配列は、クエリとして知られるものとして入力され得る。このクエリ配列を、次いで、統計的コンピュータプログラムを使用して、選択されたデータベースに存在する配列と比較する。そのようなデータベースクエリ(blast検索)は、当業者に既知であり、異なる供給業者で実行され得る。例えば、そのようなデータベースクエリがNCBI(National Center for Biotechnology Information)において実行される場合、それぞれの比較クエリに対する標準的な設定を使用するべきである。タンパク質配列比較(blastp)については、これらの設定は次の通りである:entrez限定(Limit entrez)=非作動、フィルター(Filter)=低複雑度作動、期待値(Expect value)=10、文字列長さ(word size)=3、行列(Matrix)=BLOSUM62、ギャップコスト(Gap costs):存在(Existence)=11、伸長(Extension)=1。そのようなクエリの結果は、他のパラメータの中でも、クエリ配列とデータベースに見出される類似配列との間の同一性の程度である。

VISTAおよびVISTA複合体は、当該ポリペプチドの機能的フラグメントを含む。当該ポリペプチドの「機能的フラグメント」には、当該VISTAおよびVISTA複合体をコードする遺伝子またはcDNAのフラグメントが含まれ、このフラグメントは、免疫応答(例えば、体液性または細胞性免疫応答)を誘起することができる。したがって、例えば、本発明によるVISTAおよびVISTA複合体のフラグメントは、抗原の免疫原性に寄与するアミノ酸残基に対応し、これらのフラグメントは、免疫応答(例えば、体液性または細胞性免疫応答)を誘起する抗原として機能するように作用し得る。本発明のこの態様はまた、本発明によるポリペプチドの異なってスプライシングされたアイソフォームおよび転写開始部位を含む。本発明によるポリペプチドはまた、VISTAおよびVISTA複合体のフラグメント、誘導体、および対立遺伝子変異体を含め得る。VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドのフラグメントを作製するための方法および材料は、当該技術分野で周知である。例えば、Maniatis,et al.(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual[3rd Ed.]Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。

変異体VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドは、それらのそれぞれの抗体に結合するそれらの抗原特異性を保持する(例えば、変異体VISTAポリペプチドは、抗VISTA抗体によって結合される)。完全に抗原性の変異体は、保存的変異または重要でない残基もしくは重要でない領域における変異のみを含有し得る。抗原変異体はまた、抗原性に変化をもたらさないか、またはわずかな変化をもたらす、類似のアミノ酸の置換を含有し得る。あるいは、そのような置換は、抗原性にいくらかの正または負の影響を及ぼし得る。非抗原変異体は、典型的に、1つ以上の非保存的アミノ酸置換、欠失、挿入、逆転、もしくは切断、またはエピトープ中の重要な残基または重要な領域における置換、挿入、逆転、もしくは欠失を含有する。VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドを修飾しながら、同時にポリペプチドのそれらのそれぞれの抗体に対する特異的抗原性を保つための分子生物学および生化学技術は、当該技術分野で周知である。例えば、Ho,et al.(1989)Gene 77(1):51−59、Landt,et al.(1990)Gene 96(1):125−128、Hopp&Woods(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78(6):3824−3828、Kolaskar&Tongaonkar(1990)FEBS Letters 276(1−2):172−174、およびWelling,et al.(1985)FEBS Letters 188(2):215−218を参照されたい。

VISTAアゴニスト(模倣体)またはVISTAアンタゴニストのいずれかとして機能するVISTAポリペプチドの変異体。VISTAポリペプチドの変異体は、VISTAポリペプチドの突然変異生成、例えば、離散点突然変異または切断によって生成され得る。VISTAポリペプチドのアゴニストは、VISTAポリペプチドの天然の形態と実質的に同じ生物学的活性、またはそのサブセットを保持し得る。VISTAポリペプチドのアンタゴニストは、例えば、VISTAポリペプチドのVISTA媒介性活性を競合的に調節することによって、VISTAポリペプチドの天然の形態の活性のうちの1つ以上 を阻害し得る。したがって、特定の生物学的効果は、制限された機能の変異体を用いた治療によって誘起され得る。例えば、対象は、VISTAポリペプチドの天然の形態での治療と比較して、対象における副作用がより少ない、ポリペプチドの天然の形態の生物学的活性のサブセットを有する変異体で治療され得る。

VISTAアゴニスト(模倣体)またはVISTAアンタゴニストのいずれかとして機能するVISTAポリペプチドの変異体は、VISTAポリペプチドの突然変異体、例えば、切断突然変異体のコンビナトリアルライブラリーを、VISTAポリペプチドアゴニストまたはアンタゴニスト活性についてスクリーニングすることによって特定することができる。本主題のVISTA(PD−L3)結合剤で治療可能な疾患は、既に特定されており、それらには、種々の炎症性障害、自己免疫障害、癌、アレルギー障害、および感染性障害が含まれる。特定に好ましい適応症は、多発性硬化症である。

ペプチド模倣体 天然のアミノ酸のみからなるVISTAポリペプチドに加えて、VISTAペプチド模倣体もまた提供される。ペプチド類似体は、鋳型ペプチドのものに類似の特性を有する非ペプチド薬として薬学の分野で広く使用される。これらの種類の非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣物(peptide mimetic)」または「ペプチド模倣体(peptidomimetic)」と称され(Fauchere(1986)Adv.Drug Res.15:29、Advances in Amino Acid Mimetics and Peptidomimetics(Volume 2)Andrew Abell(Ed.)(1999)JAI Press,Inc.、およびEvans et al.(1987)J.Med.Chem 30:1229)、通常、コンピュータ化された分子モデリングを用いて開発される。治療的に有用なペプチドに構造的に類似するペプチド模倣体を使用して、同等の治療的または予防的効果を生成することができる。一般に、ペプチド模倣体は、ヒトまたはマウスVISTA等、パラダイムポリペプチド(すなわち、生物学的または薬理学的活性を有するポリペプチド)に構造的に類似であるが、当該技術分野で既知であり、以下の参考文献にさらに説明される方法によって、-CH 2NH-、-CH2S-、-CH2-CH2-、-CH=CH-(シスおよびトランス)、-CO CH2-、-CH(OH)CH2-、および-CH2SO-からなる群から選択される連結に よって任意に置換される1つ以上のペプチド連結を有する:Spatola in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides,and Proteins Weinstein,B.,ed.,Marcel Dekker,New York,p.267(1983)、Spatola,Vega Data(March 1983),Vol.1,Issue 3,“Peptide Backbone Modifications”、Morley(1980)Trends.Pharm.Sci.pp.463−468、Hudson,et al.(1979)Int.J.Pept.Prot.Res.14:177−185(-CH2NH-、CH2CH2-)、Spatola,et al.(1986)Lif e.Sci.38:1243−1249(-CH2-S)、Hann,(1982)J.Chem.SoC Perkin.Trans.I 307−314(-CH-CH-、シス およびトランス)、Almquist,et al.(1980)J.Med.Chem.23:1392−1398(-COCH2-)、Jennings−White,et al.(1982)Tetrahedron Lett.23:2533(-COCH2-)、(-CH(OH)CH2-)、Holladay,et al.(1983)Tetrahedron.Lett.24:4401−4404(-C(OH)CH2-)、およびHruby(1982)Life Sci.31:189−199(-CH2-S-)。特 に好ましいい非ペプチド連結は、-CH2NH-である。そのようなペプチド模倣体は、例えば、より経済的な産生、より優れた安定性、薬理学的特性(半減期、吸収、強度、有効性)の強化、改変された特異性(例えば、広範囲の生物学的活性)、抗原性の低減等を含 む、ポリペプチドの実施形態に優る重要な利点を有し得る。ペプチド模倣体の標識化には、通常、1つ以上の標識を、直接またはスペーサー(例えば、アミド基)を通じて、定量的構造活性データおよび/または分子モデリングによって予測されるペプチド模倣体上の非干渉位置(複数可)に共有結合させることを伴う。そのような非干渉位置は、通常、ペプチド模倣体が結合して治療効果をもたらす巨大分子との直接的な接触を形成しない位置である。ペプチド模倣体の誘導体化(例えば、標識化)は、ペプチド模倣体の所望される生物学的または薬理学的活性を実質的に妨害するべきではない。

VISTAアミノ酸配列中の1つ以上のアミノ酸と、同じ種類のD−アミノ酸との系統的置換(例えば、L−リジンの代わりにD−リジン)を用いて、より安定なペプチドを生成することができる。加えて、VISTAアミノ酸配列または実質的に同一の配列変異を含む拘束されたペプチドを、当該技術分野で既知の方法(Rizo and Gierasch(1992)Annu.Rev.Biochem.61:387)によって、例えば、ペプチドを環化する分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を付加することによって、生成することができる本明細書に特定されるVISTAポリペプチドのアミノ酸配列は、当業者によるVISTAペプチド配列およびその配列変異体に対応するポリペプチドの生成を可能にする。そのようなポリペプチドは、VISTAペプチド配列をコードするポリヌクレオチドの発現によって、多くの場合はより大きなポリペプチドの一部として、原核生物または真核生物の宿主細胞において生成され得る。あるいは、そのようなペプチドは、化学的方法によって合成され得る。組み換え宿主における異種ポリペプチドの発現、ポリペプチドの化学合成、およびインビトロ翻訳のための方法は、当該技術分野で周知である。ある特定のアミノ末端および/もしくはカルボキシ末端修飾、ならびに/またはコア配列へのペプチド伸長により、安定性の強化、効力および/もしくは有効性の増加、血清プロテアーゼに対する耐性、望ましい薬物動態特異性等といった、有益な物理的、化学的、生化学的、および薬力学的特性を提供することができる。ペプチドを治療的に使用して、例えば、患者における共刺激を変化させることによって、疾患を治療することができる。

機能に必須であるアミノ酸は、部位特異的突然変異生成またはアラニンスキャニング突然変異生成といった、当該技術分野で既知の方法によって特定することができる。Cunningham,et al.(1989)Sci.244:1081−85。後者の手順は、単一のアラニン突然変異を、分子中のすべての残基に導入する。結果として得られる突然変異分子を、次いで、エピトープ結合またはインビトロADCC活性といった、生物学的活性に関して試験する。リガンド−受容体の結合に極めて重要な部位はまた、結晶学、核磁気共鳴、または光親和性標識といった、構造的分析によって判定することができる。Smith,et al.(1992)J.Mol.Biol.224:899−904、de Vos,et al.(1992)Sci.255:306−12。

例えば、置換の1つのクラスは、保存アミノ酸置換である。そのような置換は、VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドにおける所与のアミノ酸と、同様の特徴の別のアミノ酸とを置換するものである。典型的に保存的置換として見なされるものは、脂肪族アミノ酸Ala、Val、Leu、およびIle間における1つと別のものとの置き換え、ヒドロキシル残基SerとThrとの入れ替え、酸性残基AspとGluとの交換、アミド残基AsnとGlnとの間の置換、塩基性残基LysとArgとの交換、芳香族残基Phe、Tyr間の置き換えである。どのアミノ酸の変化が表現型的にサイレントであるかに関する指針は、例えば、例えば、Bowie,et al.(1990)Sci.247:1306−10に見出される。したがって、当業者には、本発明者らがすべての特異的変異体を説明することなくペプチド変異体を有することが理解される。アミノ酸配列に関しては、当業者であれば、コードされる配列中の単一のアミノ酸またはわずかな割合のアミノ酸を改変、付加、または欠失させる、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタ ンパク質配列への個々の置換、欠失、または付加が、改変があるアミノ酸と化学的に類似するアミノ酸との置換をもたらす、「保存的修飾変異体」であることを認識するであろう。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換の表は、当該技術分野で周知である。そのような保存的修飾変異体は、追加であり、本発明の多形変異体、種間相同体、および対立遺伝子を除外するものではない。例えば、Creighton(1992)Proteins:Structures and Molecular Properties[2nd Ed.]W.H.Freemanを参照されたい。

さらに、ポリペプチドは、しばしば、20個の「天然の」アミノ酸以外のアミノ酸を含む。さらに、末端アミノ酸を含む多数のアミノ酸は、プロセシングおよび他の翻訳後修飾といった自然のプロセスによって、または当該技術分野で周知の化学的修飾技術によって、修飾され得る。既知の修飾には、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質もしくは脂質誘導体の共有結合、ホスホチジルイノシトール(phosphotidylinositol)の共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、g−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解性プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、タンパク質へのアミノ酸の転移RNA媒介性付加、例えばアルギニン化、ならびにユビキチン化が挙げられるが、これらに限定されない。Creighton(1992)Proteins:Structure and Molecular Properties[2nd Ed.]およびLundblad(1995)Techniques in Protein Modification[1st Ed.]を参照されたい。本主題に関して多数の詳細な考察が利用可能である。例えば、Wold(1983)Posttranslational Covalent Modification of Proteins Acad.Press,NY、Seifter,et al.(1990)Meth.Enzymol.182:626−46、およびRattan,et al.(1992)Ann.NY Acad.Sci.663:48−62を参照されたい。

フラグメント VISTAポリペプチドの生物学的に活性な部分には、VISTA分子と非VISTA分子、例えば、VISTAの天然のリガンドとの間の相互作用に関与する、VISTAポリペプチドのフラグメントが含まれる。VISTAポリペプチドの生物学的に活性な部分には、VISTAポリペプチドのアミノ酸配列、例えば、配列番号2、4、または5に示されるアミノ酸配列と十分に同一であるか、またはそれに由来するアミノ酸配列を含み、全長VISTAポリペプチドよりも少ないアミノ酸を含み、VISTAポリペプチドの少なくとも1つの活性を呈する、ペプチドが含まれる。典型的に、生物学的に活性な部分は、VISTAポリペプチドの少なくとも1つの活性、例えば、抗CD3に対するCD4 T細胞の増殖性応答の調節(抑制)、抗原特異的な様式での同族CD4T細胞の増殖性応答の抑制、特定のサイトカインの発現に対する効果を有する、ドメインまたはモチーフを含む。VISTAポリペプチドの生物学的に活性な部分は、例えば、25、50、75、100、125、150、175、200、225、またはそれ以上のアミノ酸長である、ポリペプチドであり得る。VISTAポリペプチドの生物学的に活性な部分は、VISTA媒介性活性、例えば、免疫細胞の活性化を調節する薬剤を開発するために、標的として使用され得る。

VISTAポリペプチドの生物学的に活性な部分は、細胞外ドメインの少なくとも一部分を含み得る。VISTAポリペプチドの生物学的に活性な部分は、細胞外ドメインの少なくとも一部分(例えば、IgVを含む)と、次のドメイン、すなわちシグナルペプチド ドメイン、膜貫通ドメイン、または細胞質ドメインのうちの1つ以上とを含有し得る。さらに、ポリペプチドの他の領域が欠失した、他の生物学的に活性な部分を、組み換え技術によって調製し、天然のVISTAポリペプチドの機能的活性のうちの1つ以上に関して評価することができる。

VISTAポリペプチドは、配列番号2、4、または5に示されるアミノ酸配列を有し得る。VISTAポリペプチドは、配列番号2、4、または5と実質的に同一であり得、配列番号2、4、または5のポリペプチドの機能的活性を保持するが、本明細書に記載されるように、天然の対立遺伝子の変異または突然変異生成のために、依然としてアミノ酸配列が異なる。

融合タンパク質 VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドを含む融合体もまた、本発明の範囲内である。例えば、融合タンパク質は、VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチド配列がGST配列のC末端に融合される、GST融合タンパク質に連結され得る。そのような融合タンパク質は、組み換えVISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドの精製を促進し得る。あるいは、VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドは、B細胞小胞に結合するタンパク質と融合し、したがって、体液性免疫応答およびT細胞の活性化の両方を開始することができる。Berney,et al.(1999)J.Exp.Med.190:851−60。あるいは、例えば、VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドは、抗樹状細胞抗体と遺伝的に結合して、抗原を免疫系に送達し、細胞性免疫応答を刺激することができる。He,et al.(2004)Clin.Cancer Res.10:1920−27。本発明のキメラまたは融合タンパク質は、標準的な組み換えDNA技術によって産生され得る。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントを、従来的な技術に従って、例えば、平滑末端または付着末端をライゲーションに用いること、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じた付着端の補充、望ましくない接合を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的ライゲーションによって、インフレームで一緒にライゲーションする。融合遺伝子は、自動化DNA合成装置を含む従来的な技術によって合成することができる。

融合タンパク質は、C末端またはN末端転座配列を含み得る。さらに、融合タンパク質は、例えば、タンパク質の検出、精製、または他の用途のための追加の要素を含み得る。固定化金属上での精製を可能にするポリヒスチジン域、ヒスチジン−トリプトファンモジュール、もしくは他のドメインといった金属キレート化ペプチド;マルトース結合タンパク質;固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするタンパク質Aドメイン;またはFLAG伸長/親和性精製システム(Immunex Corp,Seattle WA.)で用いられるドメインを含むがこれらに限定されない、検出および精製を促進するドメイン。

融合タンパク質は、免疫グロブリンの定常領域を含む、免疫グロブリンの一部分との融合によって、本発明のタンパク質から調製され得る。より好ましくは、免疫グロブリンの部分は、重鎖定常領域を含み、これは、任意かつより好ましくは、ヒト重鎖定常領域である。重鎖定常領域は、最も好ましくは、IgG重鎖定常領域であり、任意かつ最も好ましくは、Fc鎖であり、最も好ましくは、CH2およびCH3ドメインを含むIgGのFcフラグメントである。いずれのIgGサブタイプも、任意で使用することができるが、IgG1サブタイプが好ましい。Fc鎖は、任意で、既知または「野生型」のFc鎖であり得るか、または代替として、突然変異され得る。例えば、米国特許出願公開第2006/0034852号を参照されたい。「Fc鎖」という用語はまた、任意の種類のFcフラグメントを任意に含む。IgGサブクラスにおける抗体の定常領域に媒介される活性に関与する特定のアミノ酸残基のうちのいくつかが、特定されている。これらの特定のアミノ 酸の包含、置換、または排除は、したがって、特定の免疫グロブリン定常領域媒介性活性の包含または排除を可能にする。さらに、特定の変化により、Fc鎖に対して、例えば、無グリコシル化(aglycosylation)および/または他の所望される変化をもたらし得る。少なくともいくつかの変化は、望ましくない免疫系の作用といった、望ましくないと見られるFcの機能を遮断するためになされ得る。McCafferty,et al.(2002)Antibody Engineering:A Practical Approach(Eds.)Oxford University Pressを参照されたい。

第Xa因子(例えば、Ottavi,(1998)Biochimie 80:289−93を参照されたい)、スブチリシンプロテアーゼ認識モチーフ(例えば、Polyak(1997)Protein Eng.10:615−19を参照されたい)、エンテロキナーゼ(Invitrogen,San Diego,CA.)等の開裂可能なリンカーを、新たに翻訳されたポリペプチドの転座ドメイン(効率的な原形質膜発現のため)とその残りとの間に含むことは、精製を促進するのに有用であり得る。例えば、ある構築物は、6つのヒスチジン残基に続いて、チオレドキシン、エンテロキナーゼ開裂部位(例えば、Williams(1995)Biochemistry 34:1787−97を参照されたい)、およびC末端転座ドメインに連結される、核酸配列をコードするポリペプチドを含み得る。ヒスチジン残基は、検出および精製を促進するが、一方でエンテロキナーゼ開裂部位は、所望されるタンパク質(複数可)を融合タンパク質の残部から精製する手段を提供する。融合タンパク質をコードするベクターおよび融合タンパク質の適用に関する技術は、科学および特許文献に十分に記載されている。例えば、Kroll(1993)DNA Cell.Biol.12:441−53を参照されたい。

融合タンパク質は、VISTA配列がGST配列のC末端に融合される、GST−VISTA融合タンパク質であり得る。そのような融合タンパク質は、組み換えVISTAの精製を促進し得る。別の実施形態において、融合タンパク質は、そのN末端に異種シグナル配列を含有するVISTAポリペプチドである。ある特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物の宿主細胞)において、VISTAの発現および/または分泌は、異種シグナル配列の使用を通じて増加させることができる。ある実施形態において、融合タンパク質は、VISTA配列がIg分子の一部分に融合される、Ig−VISTA融合タンパク質である。融合タンパク質のIg部分は、免疫グロブリン定常領域、例えば、ヒトCγ1ドメインまたはCγ4ドメイン(例えば、ヒトIgCγ1またはヒトIgCγ4のヒンジ、CH2、およびCH3領域を含み得る(例えば、米国特許第5,116,964号、同第5,580,756号、同第5,844,095号を参照されたい)。結果として得られる融合タンパク質は、改変されたVISTAの可溶性、結合親和性、安定性、および/または価数(すなわち、分子当たりの結合部位の数)を有し得、タンパク質精製の効率を増加させ得る。

特に好ましいVISTA Ig融合タンパク質には、免疫グロブリン定常領域(例えば、Fc領域)に結合したVISTAの細胞外ドメイン部分が含まれる。免疫グロブリン定常領域は、免疫グロブリン構造に固有のエフェクター活性を低減または排除する、遺伝子修飾を含有し得る。例えば、VISTAポリペプチドの細胞外部分をコードするDNAは、例えば、国際特許第WO 97/28267号に教示されるような、部位特異的突然変異生成によって修飾された、ヒトIgGγ1および/またはIgGγ4のヒンジ、CH2、およびCH3領域に接合され得る。本発明のVISTA融合タンパク質は、薬学的組成物に組み込まれ、インビボで対象に投与され得る。VISTA融合タンパク質を使用して、VISTA結合パートナーのバイオアベイラビリティに影響を及ぼすことができる。VISTA融合タンパク質の使用は、免疫応答の調節により利益を得るであろう状態または障害の治療に、治療的に有用であり得る。さらに、本発明のVISTA−融合タンパク質 を免疫原として使用して、対象において抗VISTA抗体を産生し、VISTA結合タンパク質を精製し、スクリーニングアッセイにおいて、VISTAとその天然の結合パートナーとの相互作用を阻害する分子を特定することができる。

複合体 VISTAおよびVISTA複合体、VISTAおよびVISTA複合体に結合する抗体、ならびにそれらのフラグメントは、他の部分に複合体化させることができる。そのような複合体は、ワクチンの調製に使用されることが多い。VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドは、炭水化物(例えば、マンノース、フコース、グルコース、GlcNAs、マルトース)に複合体化され得、これが、樹状細胞およびマクロファージ上に存在するマンノース受容体によって認識される。続く結合、凝集、ならびに受容体に媒介されるエンドサイトーシスおよび食作用機能は、自然および獲得免疫の強化を提供する。Mahnke,et al.(2000)J.Cell Biol.151:673−84、Dong,et al.(1999)J.Immonol.163:5427−34を参照されたい。

免疫応答を誘起するための複合体形成に好適な他の部分には、キーホールリンペットヘモシアニン(Keyhole Limpit Hemocyannin)(KLH)、ジフテリアトキソイド、コレラトキソイド(cholera toxoid)、シュードモナス外タンパク質A、および微生物外膜タンパク質(OMPS)が挙げられるが、これらに限定されない。

ポリペプチド単離 本発明はまた、VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドの単離のための方法を提供する。例えば、適切な細胞株または腫瘍試料は、癌患者から得ることができる。界面活性剤中で均質化および可溶化した後、抗原を、クロマトグラフィーで精製する。サイズ排除または親和性クロマトグラフィーをこれに使用することができ、また、抗VISTAおよび抗VISTA−Ig複合体抗体と併せて使用することができる。例えば、抗VISTAまたは抗VISTA−Ig複合体抗体を、単純な抗原の吸収、洗浄、および固体支持体からの溶出のために、固体支持体上に固定(例えば、樹脂、磁気ビーズに結合)することができる。溶出したタンパク質を、次いで、抗原の存在、特徴付け、および特定について、さらに試験する。Walker(2002)Protein Protocols Handbook[2nd Ed.]Humana Press and Culture(2003)[Ed.]Protein Purification Protocols Humana Pressを参照されたい。

この方法で単離した抗原は、従来的な薬学的賦形剤および担体物質を用いて医薬品を調製するために使用することができる。例えば、生理NaCl溶液中の精製抗原のインビボ投与。

加えて、本発明によるVISTAおよびVISTA複合体 ポリペプチドは、高スループットのスクリーニングの一部として活性を特定する際に抗原として機能し得る。高スループットのスクリーニング方法は、当業者に既知である。Wells(2002)High Throughout Bioanalytical Sample Preparation Elsevier Health Sciences。

VISTAおよびVISTA複合体をコードするポリヌクレオチド 本発明はまた、VISTAおよびVISTA複合体をコードするヌクレオチドを提供する。本発明はまた、VISTAポリペプチドをコードする、配列番号1および3の核酸配列を含む、ポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、本明細書に記載されるポリヌク レオチド配列のフラグメント、それらにハイブリダイズする配列、およびそれらに相同な配列を提供し、これらは、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。

本発明はまた、異なるコドン使用頻度で類似のポリペプチドをコードする少なくとも1つのVISTAおよびVISTA複合体配列、天然または人工的のいずれかで、無作為または標的化された様式のいずれかで、1つ以上のヌクレオチドの突然変異、例えば欠失、挿入、または置換によって特徴付けられる改変された配列を含む、ポリヌクレオチドを提供する。本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドに固有な配列領域を含む、相同な核酸配列(例えば、本発明のポリヌクレオチド配列の一部を形成する)を包含する。

本発明はまた、VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドの相同体をコードする核酸を包含し、そのような相同体は、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のBlastPソフトウェアをデフォルトのパラメータで使用して判定され得る、本明細書に記載のアミノ酸配列に少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一な相同であり得る。本発明はまた、上述のポリヌクレオチド、および天然もしく人工的のいずれかで、無作為もしくは標的化された様式のいずれかで、1つ以上の核酸の突然変異、例えば、欠失、挿入、もしくは置換を有するポリヌクレオチドのフラグメントを包含する。

核酸分子は、VISTAおよびVISTA複合体、または当該核酸分子の機能的フラグメントをコードし得る。当該核酸の「機能的フラグメント」には、当該VISTAおよびVISTA複合体をコードする遺伝子またはcDNAのフラグメントが含まれ、このフラグメントは、免疫応答を誘起することができるVISTAおよびVISTA複合体(例えば、VISTAおよびVISTA複合体に選択的に結合する抗体)を産生するように発現され得る。したがって、例えば、抗原の免疫原性に寄与するアミノ酸残基に対応し、フラグメントが免疫応答(例えば、体液性または細胞性免疫応答)を誘起する抗原として機能し得る、本発明によるVISTAおよびVISTA複合体のフラグメント。本発明のこの態様には、本発明による核酸の異なってスプライシングされたアイソフォームおよび転写開始部位が含まれる。本発明による核酸分子はまた、本発明によるVISTAおよびVISTA複合体をコードする上述の核酸分子のフラグメント、誘導体、および対立遺伝子変異体を含む。VISTAおよびVISTA複合体のフラグメントをコードする核酸を作成するための方法および材料は、当該技術分野で周知である。例えば、Maniatis,et al.(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual[3rd Ed.]Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。

配列番号1、3のすべてもしくは一部分を包含する核酸分子、またはオルソログもしくは変異体は、配列番号1、2、3、4、または5に基づいて設計された合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって単離することができる。

本発明の核酸分子は、標準的なPCR増幅技術に従って、鋳型としてcDNA、mRNA、または代替としてゲノムDNAを使用して、ならびに適切なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅させることができる。このようにして増幅された核酸分子は、適切なベクターにクローニングされ、DNA配列分析によって特徴付けされ得る。さらに、VISTA(PD−L3)ヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、例えば、自 動化DNA合成装置を使用して、標準的な合成技術によって調製することができる。

ある実施形態において、本発明の核酸分子をコードする単離VISTAは、配列番号1または3に示されるヌクレオチド配列、またはそのフラグメントを含む。別の実施形態において、本発明の核酸分子は、配列番号1または3に示されるヌクレオチド配列、またはこれらのヌクレオチド配列のいずれかの一部分の相補体である、核酸分子を含む。配列番号1または3に示されるヌクレオチド配列に相補的である核酸分子は、それぞれ、配列番号1または3に示されるヌクレオチドにハイブリダイズし、それによって安定な二重鎖を形成することができるように、配列番号1または3に示されるヌクレオチド配列に十分に相補的なものである。

別の実施形態において、本発明の単離核酸分子は、配列番号1または3のヌクレオチド配列の全長、またはこれらのヌクレオチド配列のいずれかの一部分に、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%同一であるヌクレオチド配列を含む。

さらに、本発明の核酸分子は、配列番号1または3の核酸配列の一部分のみ、例えば、VISTAポリペプチドの一部分、プローブまたはプライマーまたはフラグメントとして使用され得るフラグメント、例えば、VISTAポリペプチドの生物学的に活性な部分をコードするフラグメントのみを含み得る。ヒトPD−L2遺伝子のクローニングにより決定されるヌクレオチド配列が、他のPD−L2ファミリーメンバー、ならびに他の種に由来するVISTA相同体の特定および/またはクローニングにおける使用のために設計されるプローブおよびプライマーの生成を可能にする。プローブ/プライマーは、典型的には、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、典型的に、ストリンジェントな条件下で、配列番号1もしくは3のセンス配列、配列番号1、3のアンチセンス配列、または配列番号1もしくは3の天然の対立遺伝子変異体もしくは突然変異体の、少なくとも約12または15、好ましくは約20または25、より好ましくは約30、35、40、45、50、55、60、65、または75個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。

一実施形態において、本発明の核酸分子は、約50〜100を上回る、100〜150、150〜200、200〜250、250〜300、300〜350、350〜400、400〜450、450〜500、500〜550、550〜600、600〜650、650〜700、700〜750、750〜800、800〜850、850〜900、900〜950、またはそれ以上のヌクレオチド長のヌクレオチド配列を含み、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1もしくは3の核酸分子、またはその相補体にハイブリダイズする。さらなる実施形態において、本発明の核酸分子は、約880〜900を上回る、900〜950、950〜1000、1000〜1050、1050〜1100、1100〜1150、またはそれ以上のヌクレオチド長のヌクレオチド配列を含み、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1もしくは3の核酸分子、またはその相補体にハイブリダイズする。さらに別の実施形態において、本発明の核酸分子は、50〜100を上回る、100〜150、150〜200、200〜250、250〜300、またはそれ以上のヌクレオチド長のヌクレオチド配列を含み、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1もしくは3にコード領域を含む核酸分子、またはその相補体にハイブリダイズする。なおもさらなる実施形態において、本発明の核酸分子は、約50〜100を上回る、100〜150、150〜200、200〜250、250〜300、300〜350、350〜400、400〜450、450〜500、500〜550、550〜600、600〜650、650〜700、700〜750、750〜800、850〜900、900〜950、またはそれ以上のヌクレオチド長のヌクレオチド配列を含み、配列番号1もしくは3のコード領 域を含む配列またはその相補体の少なくとも約15個の(すなわち、15個の連続する)ヌクレオチドを含み、ストリンジェントな条件下で、配列番号1もしくは3に示されるヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはその相補体にハイブリダイズする。

VISTAヌクレオチド配列に基づくプローブを使用して、同じまたは相同なポリペプチドをコードする転写産物またはゲノム配列を検出することができる。実施形態では、プローブは、さらに、そこに付着される標識基を含み、例えば、標識基は、放射同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子であり得る。そのようなプローブは、例えば、対象由来の細胞におけるVISTAをコードする核酸の標識を測定すること、例えば、VISTA mRNAレベルを検出すること、またはゲノムVISTA遺伝子が突然変異もしくは欠失しているかを判定することによる、VISTAポリペプチドを誤発現する細胞または組織を特定するための診断試験キットの一部として使用することができる。

配列番号1および3のVISTAヌクレオチド配列に加えて、当業者であれば、VISTAポリペプチドのアミノ酸配列に変化をもたらすDNA配列の多形性が、集団(例えば、ヒト集団)内に存在し得ることを理解するであろう。VISTA遺伝子におけるそのような遺伝的多形性は、天然の対立遺伝子変異に起因して、集団内の個体間に存在し得る。本明細書に使用される際、「遺伝子」および「組み換え遺伝子」という用語は、VISTAポリペプチド、好ましくは、哺乳動物VISTAポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子を指し、非コード制御性配列およびイントロンをさらに含み得る。

ヒトまたはマウスVISTAの対立遺伝子変異体は、機能的および非機能的VISTAポリペプチドの両方を含む。機能的対立遺伝子変異体は、VSITA結合パートナー(複数可)に結合する能力、ならびに/またはCD4+およびCD8+T細胞増殖およびサイトカイン産生ならびにリンパ球活性化を調節する能力を維持する、ヒトまたはマウスVISTAポリペプチドの天然のアミノ酸配列変異体である。機能的対立遺伝子変異体は、典型的に、配列番号2、4、もしくは5の1つ以上のアミノ酸の保存的置換のみ、またはポリペプチドの重要でない領域中の重要でない残基の置換、欠失、もしくは挿入を含有する。

非機能的対立遺伝子変異体は、天然のVISTA結合パートナーに結合する能力、および/または本明細書に記載されるVISTA活性のうちのいずれかを調節する能力のいずれも有さない、ヒトまたはマウスVISTAポリペプチドの天然のアミノ酸配列変異体である。非機能的対立遺伝子変異体は、典型的に、配列番号2、4、もしくは5のアミノ酸配列の非保存的置換、欠失、もしくは挿入、または中途切断、あるいはポリペプチドの重要な残基または重要な領域、例えば、IgVドメインにおける置換、挿入、または欠失を含有する。

本発明はさらに、ヒトまたはマウスVISTAポリペプチドの非ヒト非マウスオルソログを提供する。ヒトまたはマウスVISTAポリペプチドのオルソログは、非ヒト、非マウスの生物から単離されたポリペプチドであり、本明細書に記載されるヒトおよびマウスVISTAと同じ結合活性および/またはリンパ球活性化調節活性ならびにCD4+およびCD8+T細胞増殖およびサイトカイン産生を調節する能力を有する。ヒトまたはマウスPD−L3ポリペプチドのオルソログは、配列番号2、4、または5と実質的に同一であるアミノ酸配列を含むとして容易に特定され得る。

突然変異体VISTAポリペプチドは、天然のVSITA結合パートナーに結合するおよび/またはその活性を調節する能力、細胞内もしくは細胞間シグナル伝達を調節する、Tリンパ球の活性化を調節する、および/または生物の免疫応答を調節する能力に関して 、アッセイすることができる。

VISTAまたはVISTA融合タンパク質をコードする単離核酸分子。少なくとも、VISTAもしくはVISTAタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列、非VISTAタンパク質をコードする第2のヌクレオチド配列に動作可能に連結されたポリペプチドもしくはペプチドを含む、核酸分子、ポリペプチド、またはペプチドは、標準的な組み換えDNA技術によって調製することができる。

さらに、同一性とは、関連の核酸分子間またはそれらによってコードされるタンパク質間に存在する機能的および/または構造的同等性を広義に指す。上述の分子に相同であり、これらの分子の誘導体を構築する核酸分子は、概して、修飾を構築し、同じ生物学的機能を実行する、これらの分子の変異体である。同時に、変異体は、天然に生じ得る、例えば、それらは、他の種に由来する配列であり得るか、またはそれらは突然変異体であり得、これらの突然変異体は、天然の様式で生じるか、または客観的突然変異によって導入され得る。変異はまた、合成で製造された配列であってもよい。対立遺伝子変異体は、天然の変異体および合成で製造される変異体または組み換えDNA技術によって産生される変異体の両方であり得る。遺伝子コードの縮重のために本発明による核酸分子から派生した核酸分子は、誘導体の特別な形態を構築する。

VISTAおよびそのVISTA複合体のアミノ酸配列をコードする任意のヌクレオチド配列もまた、本明細書の範囲内に含まれる。遺伝子コードの縮重のため、1つを上回るコドンが、特定のアミノ酸をコードするために使用され得る。遺伝子コードを使用して、それぞれがアミノ酸をコードすることができるであろう、1つ以上の異なるヌクレオチドを特定することができる。実際に、特定のヌクレオチドが、配列をコードする実際のコドンを構築する確率は、異常な塩基対合関係およびVISTAおよびそのVISTA複合体を発現する真核生物または原核生物の細胞において、特定のコドンが実際に(特定のアミノ酸をコードするために)使用される頻度を考慮して推定され得る。そのような「コドン使用頻度規則」は、Lathe,et al.(1985)J.Molec.Biol.12:441−53に開示されている。

修飾VISTAおよびVISTA複合体ポリヌクレオチド 本発明のヌクレオチドは、修飾ポリヌクレオチドであり得る。非修飾ヌクレオチドは、一部の用途ではあまり最適でないことが多く、例えば、細胞のヌクレアーゼによる分解を受けやすい。オリゴヌクレオチドのサブユニットのうちの1つ以上に対する化学修飾は、改善された特性を与え得、例えば、ポリヌクレオチドを、ヌクレアーゼに対してより安定にし得る。典型的なオリゴヌクレオチド修飾は、当該技術分野で周知であり、次のうちの1つ以上が含まれ得る:(i)ホスホジエステル糖間連結における非連結リン酸酸素および/または1つ以上の連結リン酸酸素のうちの1つまたは両方の改変、例えば、置き換え、(ii)リボース糖の構築物の改変、例えば、置き換え、例えば、リボース糖上の2’ヒドロキシルの修飾または置き換え、(iii)リン酸部分の大規模な置き換え、(iv)天然の塩基の修飾またと非天然の塩基との置き換え、(v)リボース−リン酸骨格の置き換え(例えばペプチド核酸(PNA)との)または修飾、(vi)オリゴヌクレオチド(oligonucelotide)の3’末端または5’末端の修飾、ならびに(vii)糖、例えば6員環の修飾。本発明に従って使用されるポリヌクレオチドは、当該技術分野で周知の多数の手段によって合成され得るか、または種々の市販供給業者(LC Sciences,Houston,TX、Promega,Madison,WI、Invitrogen,Carlsbad,CA)から購入され得る。

アンチセンス 上述のVISTAポリペプチドをコードする核酸分子に加えて、本発明の別の実施形態 は、それに対してアンチセンスな単離核酸分子に関する。「アンチセンス」核酸は、ペプチドをコードする「センス」核酸に相補的である、例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に相補的またはmRNA配列に相補的である、ヌクレオチド配列を含む。したがって、アンチセンス核酸は、センス核酸に水素結合し得る。アンチセンス核酸は、全長VISTAコード鎖またはその一部分のみに相補的であり得る。一実施形態において、アンチセンス核酸分子は、VISTAをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」にアンチセンスである。「コード領域」という用語は、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含むヌクレオチド配列の領域を指す。別の実施形態において、アンチセンス核酸分子は、PD−Lをコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」にアンチセンスである。「非コード領域」という用語は、アミノ酸に翻訳されない、コード領域に隣接する5’および3’配列を指す(5’および3’非翻訳領域とも称される)。ヒトまたはマウスVISTAまたは本明細書に開示されるVISTAをコードするコード鎖配列を考慮すると、本発明のアンチセンス核酸は、ワトソンクリック塩基対合則に従って設計することができる。アンチセンス核酸分子は、VISTA mRNAの全長コード領域に相補的であり得るが、より好ましくは、VISTA mRNAのコードまたは非コード領域の一部分にのみアンチセンスなオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、VISTAまたはVISTA mRNAの翻訳開始部位の周囲の領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50ヌクレオチド長であり得る。本発明のアンチセンス核酸分子は、当該技術分野で既知の手順を用いて化学合成および酵素ライゲーション反応を使用して構築することができる。例えば、アンチセンス核酸分子(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然のヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を増加させるか、もしくはアンチセンスおよびセンス核酸の間で形成される二重鎖の物理的安定性を増加させるように設計される様々に修飾されたヌクレオチドを使用して化学合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが使用され得る。アンチセンス核酸を生成するために使用することができる修飾ヌクレオチドの例には、5−フルオロウラシル、5−ブロもウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン−e,5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルキューオシン(galactosylqueosine)、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウル−アシル、β−D−マンノシルキューオシン(mannosylqueosine)、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウラシル、キューオシン(queosine)、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリンが挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸は、核酸が、アンチセンス配向にサブクローニングされている、発現ベクターを使用して生物学的に産生され得る(すなわち、挿入された核酸から転写されるRNAは、目的の標的核酸に対してアンチセンスな配向のものであり、以下の小節にさらに記載される)。

本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的に、それらが、VISTAもしくはVISTAポリペプチドをコードする細胞mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズするかまたはそれら結合し、それによってポリペプチドの発現を阻害する、例えば、転写 および/または翻訳を阻害するように、対象に投与されるか、またはインサイツで生成され得る。ハイブリダイゼーションは、安定な二重鎖を形成するように従来的なヌクレオチド相補性によって、または、例えば、DNA二重鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合、二重鎖ヘリックスの主要な溝における特異的な相互作用を通じて、行われ得る。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例には、組織部位での直接注入が挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞を標的とするように修飾され、その後に全身投与され得る。例えば、全身投与については、アンチセンス核酸分子は、それらが、選択された細胞表面に発現される受容体または抗原に特異的に結合するように、例えば、アンチセンス核酸分子と、細胞表面受容体もしくは抗原に結合するペプチドまたは抗体とを連結させることによって、修飾され得る。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書に記載されるベクターを使用して細胞に送達され得る。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、アンチセンス核酸分子が強力なpol IIもしくはpol IIIプロモーターの制御下で配置されるベクター構築物が、好ましい。

VISTAアンチセンス核酸分子は、αアノマー核酸分子であり得る。αアノマー核酸分子は、通常のβ単位とは対照的に鎖が互いに平行に伸びる、相補的なRNAとの特異的な二重鎖ハイブリッドを形成する。Gaultier,et al.(1987)Nucleic Acids Res.15:6625−6641。アンチセンス核酸分子はまた、2’−O−メチルリボヌクレオチド(Inoue,et al.(1987)Nucleic Acids Res.15:6131−6148)またはキメラRNA−DNA類似体(Inoue,et al.(1987)FEBS Lett.215:327−330)を含み得る。

VISTAアンチセンス核酸は、リボザイムであり得る。リボザイムは、それらが相補性領域を有するmRNA等の一本鎖核酸を開裂させることができるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子である。したがって、リボザイム(例えば、ハンマーヘッド型リボザイム(Haseloff and Gerlach(1988)Nature 334:585−591に記載される))を使用して、VISTA mRNA転写産物を触媒的に開裂させ、それによって、VISTA mRNAの翻訳を阻害することができる。VISTAをコードする核酸に対して特異性を有するリボザイムは、本明細書に開示されるVISTA cDNAのヌクレオチド配列(すなわち、配列番号1または3)に基づいて設計することができる。例えば、活性部位のヌクレオチド配列が、VISTAをコードするmRNAにおいて開裂されるヌクレオチド配列に相補的であるテトラヒメナL−19 IVS RNAの誘導体を構築することができる。例えば、米国特許第4,987,071号および米国特許第5,116,742号を参照されたい。あるいは、VISTA mRNAを使用して、RNA分子プールから、特定のリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを選択することができる。例えば、Bartel and Szostak(1993)Science 261:1411−1418を参照されたい。

あるいは、VISTA遺伝子の発現は、VISTAの制御性領域(例えば、VISTAプロモーターおよび/またはエンハンサーに相補的なヌクレオチド配列を標的とし、標的細胞におけるPD−L3遺伝子の転写を防止する三重ヘリックス構造を形成することによって阻害することができる。一般には、Helene(1991)Anticancer Drug Des.6(6):569−84、Helene,et al.(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27−36、およびMaher,L.J.(1992)Bioessays 14(12):807−15を参照されたい。

ペプチド核酸 さらに別の実施形態において、本発明のVISTA核酸分子は、例えば、分子の安定性、ハイブリダイゼーション、または可溶性を改善するために、塩基部分、糖部分、または リン酸骨格において修飾され得る。例えば、核酸分子のデオキシリボースリン酸骨格は、ペプチド核酸を生成するように修飾され得る。Hyrup and Nielsen(1996)Bioorg.Med.Chem.4(1):5−23を参照されたい。本明細書に使用される際、「ペプチド核酸」または「PNA」という用語は、デオキシリボースリン酸骨格が、シュードペプチド骨格によって置き換えられ、4つの天然の核酸塩基のみが保持される、核酸模倣体、例えば、DNA模倣体を指す。PNAの天然の骨格は、低イオン強度の条件下で、DNAおよびRNAへの特異的なハイブリダイゼーションを可能にすることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、Hyrup and Nielsen(1996)(上記)およびPerry−O’Keefe et al.(1996)Proc Natl.Acad.Sci.USA 93:14670−675に記載される標準的な固相ペプチド合成プロトコルを使用して行うことができる。

VISTA核酸分子のPNAは、治療および診断用途に使用することができる。例えば、PNAスキャンを、例えば、転写もしくは翻訳の停止の導入または複製の阻害による遺伝子発現の配列特異的修飾のためのアンチセンスまたは抗遺伝子剤として使用することができる。VISTA核酸分子のPNAはまた、遺伝子における単一塩基対突然変異の分析(例えば、PNA指向性PCRクランピングによる)において、他の酵素と組み合わせて用いる際の「人工的な制限酵素」として(例えば、S1ヌクレアーゼ(Hyrup and Nielsen(1996)(上記))、またはDNAシークエンシングもしくはハイブリダイゼーションのためのプローブもしくはプライマーとして(Hyrup and Nielsen(1996)(上記)、Perry−O’Keefe et al.(1996)(上記))、使用することができる。

VISTAのPNAは、親油性基もしくは他のヘルパー基をPNAに付着させることによって、PNA−DNAキメラを形成することによって、またはリポソームもしくは当該技術分野で既知の他の薬物送達技術を使用することによって、(例えば、それらの安定性もしくは細胞取り込みを強化するために)修飾され得る。例えば、PNAおよびDNAの有利な特性を組み合わせることができるVISTA核酸分子のPNA−DNAキメラを生成することができる。そのようなキメラは、DNA認識酵素(例えば、RNAse HおよびDNAポリメラーゼ)がDNA部分と相互作用し、同時にPNA部分が高い結合親和性および特異性を提供することを可能にする。PNA−DNAキメラは、塩基の積み重ね、核酸塩基間の結合数、および配向の観点から選択される、適切な長さのリンカーを使用して連結され得る(Hyrup and Nielsen(1996)(上記))。PNA−DNAキメラの合成は、Hyrup and Nielsen(1996)(上記)およびFinn P.J.et al.(1996)Nucleic Acids Res.24(17):3357−63に記載のように行うことができる。例えば、DNA鎖は、標準的なホスホラミダイトカップリング化学を用いて固体支持体上で合成することができ、修飾ヌクレオチド類似体、例えば、5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホラミダイトは、PNAとDNAの5’末端との間の架橋として使用され得る(Mag,M.et al.(1989)Nucleic Acids Res.17:5973−88)。PNAモノマーを、次いで、段階的な様式でカップリングさせ、て、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキメラ分子を産生する(Finn P.J.et al.(1996)(上記))。あるいは、キメラ分子は、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントを用いて合成することができる(Peterser,et al.(1975)Bioorganic Med.Chem.Lett.5:1119−11124)。

オリゴヌクレオチド オリゴヌクレオチドは、ペプチド等の他の付加基(例えば、インビトロで宿主細胞受容体を標的とするため)、または細胞膜(例えば、Letsinger et al.(1 989)Proc Natl.Acad.Sci.USA 86:6553−6556、Lemaitre et al.(1987)Proc Natl.Acad.Sci.USA 84:648−652、PCT公開第WO 88/09810号を参照されたい)もしくは血液脳関門(例えば、PCT公開第WO 89/10134号を参照されたい)を超える輸送を促進するための薬剤を含み得る。加えて、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション誘発型開裂剤(例えば、Krol et al.(1988)Biotechniques 6:958−976を参照されたい)または挿入剤(例えば、Zon(1988)Pharm.Res.5:539−549を参照されたい)によって修飾され得る。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発型架橋剤、輸送剤、またはハイブリダイゼーション誘発型開裂剤)に複合体化され得る。

siRNA 低分子干渉RNA(siRNA)は、特定のmRNAに結合し、それmRNA分解へと誘導し、そうして遺伝子の転写(例えば、発現)を抑制する、通常約20〜25ヌクレオチド長の二本鎖RNA分子のクラスである。Hamilton&Baulcombe(1999)Science 286(5441):950−2およびElbashir,et al.(2001)Nature 411(6836):494−8を参照されたい。メッセンジャーRNAを破壊することによって遺伝子が機能的タンパク質を産生するのを防止する、リボザイムまたはRNA干渉(siRNA)技術を利用することも可能である。siRNA分子は、配列番号1または3の核酸配列を含むVISTA DNAから転写されたVISTA mRNAに結合し得る。siRNA分子は、配列番号2、4、または5に記載されるアミノ酸配列をコードするVISTA DNAから転写されたVISTA mRNAに結合し得る。

VISTA DNAから転写されたVISTA mRNAを標的とするsiRNA分子は、配列番号1または3の核酸配列を含み得る。配列番号2、4、または5に記載されるアミノ酸配列をコードするVISTA DNAから転写されたVISTA mRNAを標的とするsiRNA分子。VISTAを標的とするsiRNA分子は、配列番号38〜67のうちのいずれか1つの核酸配列を含み得る。VISTAのORFまたはUTR領域のいずれかを標的とするsiRNA分子は、配列番号38〜47のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る。VISTAのUTR領域のみを標的とするsiRNA分子は、配列番号48〜57のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る。OVISTARF領域のみを標的とするsiRNA分子は、配列番号58〜67のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含み得る。VISTAを標的とするsiRNA分子は、配列番号38〜67のうちのいずれか1つの核酸配列からなり得る。VISTAのORFまたはUTR領域のいずれかを標的とするsiRNA分子は、配列番号38〜47のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなり得る。VISTAのUTR領域のみを標的とするsiRNA分子は、配列番号48〜57のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなり得る。VISTAのORF領域飲みを標的とするsiRNA分子は、配列番号58〜67のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなり得る。

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発現 本発明のVISTAおよびVISTA複合体の単離および発現は、本出願に開示されるVISTAおよびVISTA複合体の核酸配列に基づいて構築されるプローブまたはプライマーを使用して、十分に確立されたクローニング手順によって、達成され得る。関連するVISTAおよびVISTA複合体の配列はまた、本明細書に開示される配列、または既知のコンピュータに基づく検索技術、例えば、BLAST配列検索を使用して、ヒトまたは他の種のゲノムデータベースから特定することができる。本明細書に開示される偽遺伝子を使用して、機能的対立遺伝子または関連遺伝子を特定することができる。

次いで、発現ベクターを使用して、これらの配列の機能的発現のために宿主細胞を感染させるか、またはトランスフェクトすることができる。これらの遺伝子およびベクターは、インビトロまたはインビボで作製および発現させることができる。当業者であれば、核酸発現の改変および制御に所望される表現型が、本発明のベクター内における遺伝子および核酸(例えば、プロモーター、エンハンサー)の発現または活性を調節することによって得ることができることを理解するであろう。発現または活性を増加または減少させることに関して説明された既知の方法農地のいずれかを使用することができる。

別の実施形態において、組み換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型に優先的に核酸の発現を指示することができる(例えば、核酸を発現するために組織特異的制御性要素を用いる)。組織特異的制御性要素は、当該技術分野で既知である。好適な組織特異的プロモーターの非限定的な例には、アルブミンプロモーター(肝臓特異的、Pinkert et al.(1987)Genes Dev.1:268−277)、リンパ球特異的プロモーター(Calame and Eaton(1988)Adv.Immunol.43:235−275)、T細胞受容体(Winoto and Baltimore(1989)EMBO J.8:729−733)および免疫グロブリン(Banerji et al.(1983)Cell 33:729−740、Queen and Baltimore(1983)Cell 33:741−748)の特定のプロモーター、ニューロン特異的プロモーター(例えば、神経フィラメントプロモーター、Byrne and Ruddle(1989)Proc Natl.Acad.Sci.USA 86:5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund et al.(1985)Science 230:912−916)、ならびに乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター、米国特許第4,873,316号および欧州出願公開第264,166号)が挙げられる。例えば、マウスホメオボックスプロモーター(Kessel and Gruss(1990)Science 249:374−379)およびα−フェトタンパク質プロモーター(Campes and Tilghman(1989)Genes Dev.3:537−546)による、発生的に制御されるプロモーターもまた包含される。

本明細書に提供されるポリヌクレオチド配列は、酵素合成または固相合成といった、当該技術分野で既知の任意のオリゴヌクレオチド合成方法に従って生成され得る。固相合成を実行するための装置および試薬は、例えば、Applied Biosystemsから市販入手可能である。そのような合成の任意の他の手段もまた利用され得、ポリヌクレオチドの実際の合成は、十分に当業者の能力の範囲内である。例えば、Maniatis,et al.(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual[3rd Ed.]Cold Spring Harbor Laboratory Press、Swamy(2008)Laboratory Manual on Biotechnology Rastogi Publications、Herdewijn(2005)[Ed.]Methods in Molecular Biolog:Oligonucleotide Synthesis:Methods and Applications Volume 288 Humana Press、およびRapley(2000)[Ed.]The Nucleic Acid Protocols Handbook Humana Pressを参照されたい。次いで、相補鎖を合成し、適切な条件下で鎖を一緒にアニーリングすること、または適切なプライマー配列を用いるDNAポリメラーゼを使用して相補鎖を付加することのいずれかによって、二本鎖DNAフラグメントを得ることができる。

例えば、配列における突然変異の精製、サブクローニング、プローブの標識化、シークエンシング、ハイブリダイゼーション等のために、核酸を操作するための技術は、科学および特許文献に十分に記載されている。例えば、Sambrook,et al.(2001)(Eds.)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd Ed.)Cold Spring Harbor Laboratory、Ausubel,et al.(2011)Ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Inc.,New York、Tijssen(1993)[Ed.]Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology:Hybridization With Nucleic Acid Probes,Part I,Theory and Nucleic Acid Preparation,Elsevier,NYを参照されたい。

ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(例えば、ポリヌクレオチド間の会合の強度)は、ポリヌクレオチド間の相補性の程度、および関与する条件のス トリンジェンシー(塩の濃度等の条件によって影響を受ける)、他の構成要素の存在(例えば、ポリエチレングリコールの存在または不在)、ハイブリダイズする鎖のモル濃度、ならびにポリヌクレオチドのG+C含量を含む、当該技術分野で周知の要因によって影響を受け、これらのすべては、形成されるハイブリッドの特徴的な融解温度(Tm)をもたらす。核酸ハイブリダイゼーションの技術は、Sambrook,et al.(2001)(Eds.)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd Ed.)Cold Spring Harbor Laboratory、およびHayrnes,et al.(1985)in Nucleic Acid Hybridization,a Practical Approach(IRL Press,DC)によって開示される。ハイブリダイゼーション洗浄条件には、0.2×SSC/0.1%SDSの洗浄溶液および10分間室温で回転によるインキュベーション(低ストリンジェンシー洗浄)、事前に温めた(42℃)0.2×SSC/0.1%SDSの洗浄溶液および15分間42℃で回転によるインキュベーション(中ストリンジェンシー洗浄)、ならびに事前に温めた(68℃)0.1×SSC/0.1%SDSの洗浄溶液および15分間68℃で回転によるインキュベーション(高ストリンジェンシー洗浄)を挙げることができる。Ausubel,et al.(2011)[Ed.]Current Protocols in Molecular Biology John Wiley&Sons,Incを参照されたい。

オリゴヌクレオチドプライマーを使用して、VISTAおよびVISTA複合体をコードする核酸を増幅させることができる。本明細書に記載される核酸はまた、増幅技術を使用して定量的にクローニングまたは測定することができる。増幅の方法はまた、当該技術分野で周知であり、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Innis(1990)[Ed.]PCR Protocols,a Guide to Methods and Applications,Academic Press,NY.、Innis(1995)[Ed.]PCR Strategies,Academic Press,Inc.,NY.)、リガーゼ連鎖反応(LCR)(Wu(1989)Genomics 4:560、Landegren(1988)Science 241:1077、Barringer(1990)Gene 89:117)、転写増幅(Kwoh(1989)PNAS 86:1173)、自立的配列複製(self sustained sequence replication)(Guatelli(1990)PNAS 87:1874)、Qβレプリカーゼ増幅(Smith(1997)J.Clin.Microbiol.35:1477−91))、自動化Qβレプリカーゼ増幅アッセイ(Burg(1996)Mol.Cell.Probes 10:257−71)、および他のRNAポリメラーゼに媒介される技術(例えば、NASBA,Cangene,Mississauga,Ontario)が挙げられる。Berger(1987)Methods Enzymol.152:307−16、Sambrook,et al.(2001)(Eds.)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd Ed.)Cold Spring Harbor Laboratory、Ausubel,et al.(2011)[Ed.]Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Inc.,New York、Maniatis,et al.(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual[3rd Ed.]Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号、Sooknanan(1995)Biotechnology 13:563−64もまた、参照されたい。

縮重プライマー対を設計するためのパラダイムは、当該技術分野で周知である。例えば、コンセンサス縮重ハイブリッドオリゴヌクレオチドプライマー(COnsensus− DEgenerate Hybrid Oligonucleotide Primer)(CODEHOP)戦略コンピュータプログラムは、容易にアクセス可能であり、本明細書に提供されるVISTAおよびVISTA複合体配列等の関連タンパク質配列のセットで開始するハイブリッドプライマー予測のためのBlockMakerの多重配列アライメントサイトから直接リンクしている。例えば、Rose(1998)Nucleic Acids Res.26:1628−35、Singh(1998)Biotechniques 24:318−19を参照されたい。

本明細書に開示されるVISTAおよびVISTA複合体に実質的に同一である多形変異体、対立遺伝子、および種間相同体は、上述の核酸プローブを用いて単離することができる。あるいは、発現ライブラリーを用いて、VISTAおよびVISTA複合体に対して作製された抗血清または精製抗体(これらもまたVISTAまたはVISTA複合体相同体を認識し、選択的に結合する)を用いて、発現され流想動態を免疫的に検出することによって、VISTAおよびVISTA複合体、ならびにそれらの多形変異体、対立遺伝子、および種間相同体をクローニングしてもよい。

VISTAおよびVISTA複合体をコードする核酸は、適切な(完全または縮重)プライマー対を使用して、適切な核酸配列を増幅(例えば、PCR)することによって生成され得る。増幅された核酸は、任意の細胞もしくは組織に由来するゲノムDNA、またはVISTAもしくはVISTA複合体を発現する細胞に由来するmRNAもしくはcDNAであり得る。宿主細胞における異種配列の発現のための方法は、当該技術分野で周知である。例えば、Maniatis,et al.(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual[3rd Ed.]Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。

VISTAおよびVISTA複合体を含む融合タンパク質 転座配列に融合されるVISTAおよびVISTA複合体をコードする核酸を含むハイブリッドタンパク質コード配列が、構築され得る。また、モチーフおよび抗原領域を含むハイブリッドVISTAおよびVISTA複合体も提供される。これらの核酸配列は、転写または翻訳制御要素、例えば、転写および翻訳開始配列、プロモーターおよびエンハンサー、転写および翻訳ターミネーター、ポリアデニル化配列、ならびにDNAをRNAに転写するために有用な他の配列に動作可能に連結され得る。組み換え発現カセット、ベクター、およびトランスジェニックの構築において、プロモーターフラグメントを用いて、すべての所望の細胞または組織における所望の核酸の発現を指示することができる。

融合タンパク質は、C末端またはN末端転座配列を含み得る。さらに、融合タンパク質は、例えば、タンパク質検出、精製、または他の用途のためのさらなる要素を含み得る。検出および精製促進ドメインには、例えば、固定化金属上での精製を可能にするポリヒスチジン域、ヒスチジン−トリプトファンモジュール、もしくは他のドメインといった金属キレート化ペプチド;マルトース結合タンパク質;固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするタンパク質Aドメイン;またはFLAGS伸長/親和性精製システム(Immunex Corp,Seattle WA)で用いられるドメインが含まれる。

第Xa因子(例えば、Ottavi,(1998)Biochimie 80:289−93を参照されたい)、スブチリシンプロテアーゼ認識モチーフ(例えば、Polyak(1997)Protein Eng.10:615−19を参照されたい)、エンテロキナーゼ(Invitrogen,San Diego,CA.)等の開裂可能なリンカーを、新たに翻訳されるポリペプチドの転座ドメイン(効率的な原形質膜発現のため)とその残りとの間に含むことは、精製を促進するのに有用であり得る。例えば、1つの構築物は、6つのヒスチジン残基に連結され、チオレドキシン、エンテロキナーゼ開裂部位 (例えば、Williams(1995)Biochemistry 34:1787−97を参照されたい)、およびC末端転座ドメインが続く核酸配列をコードするポリペプチドを含み得る。ヒスチジン残基は、検出および精製を促進するが、一方でエンテロキナーゼ開裂部位は、所望されるタンパク質(複数可)を融合タンパク質の残部から精製する手段を提供する。融合タンパク質をコードするベクターおよび融合タンパク質の適用に関する技術は、科学および特許文献に十分に記載されている。例えば、Kroll(1993)DNA Cell.Biol.12:441−53を参照されたい。

VISTAおよびVISTA複合体の組み換え発現のための系 配列をコードするリガンド結合領域を含む発現ベクターは、個々の発現ベクターまたは発現ベクターのライブラリーのいずれかとして、ゲノム内または細胞質もしくは細胞の核内に導入され、科学および特許文献に十分に記載されている種々の従来的な技術によって発現され得る。例えば、Sambrook,et al.(2001)[Eds.]Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd Ed.)Cold Spring Harbor Laboratory、Ausubel,et al.(2011)[Ed.]Current Protocols in Molecular Biology John Wiley&Sons,Incを参照されたい。

核酸は、細胞内で安定に、または一過的に発現される発現カセット、ベクター、またはウイルスにおいて発現され得る(例えば、エピソーム発現系)。選択マーカーが、形質転換された細胞および配列上に選択可能な表現型を与えるために発現カセットおよびベクターに組み込まれ得る。例えば、選択マーカーは、宿主ゲノムへの統合を必要としないように、エピソームの維持および複製をコードし得る。例えば、マーカーは、抗生物質耐性(例えば、クロラムフェニコール、カナマイシン、G418、ブレオマイシン、ハイグロマイシン)または除草剤耐性(例えば、クロロスルフロン(chlorosulfurone)もしくはBasta)をコードし、所望のDNA配列が形質転換された細胞の選択を可能にし得る。例えば、Ausubel,et al.(2011)[Ed.]Current Protocols in Molecular Biology John Wiley&Sons,Inc.、およびWalker&Papley(2009)Molecular Biology and Biotechnology[5th Ed.]Royal Society of Chemistryを参照されたい。ネオマイシンまたはハイグロマイシンのような、基質に耐性を与える選択可能なマーカー遺伝子は組織培養においてのみ利用され得るため、化学療法耐性遺伝子もまた、インビトロおよびインビボで選択可能なマーカーとして使用される。

本発明のポリヌクレオチドの細胞発現を可能にするために、少なくとも上記の核酸配列のうちの1つのコード領域を含み、さらに少なくとも1つのシス作用性制御要素を含む、本発明による核酸構築物が使用され得る。好ましくは、本発明の核酸構築物によって利用されるプロモーターは、形質転換された特定の細胞集団において活性である。細胞型特異的および/または組織特異的プロモーターの例は、当該技術分野で周知である。Bernardi(2003)[Ed.]Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells Volume 38 Elsevier Science B.Vを参照されたい。本発明の核酸構築物は、プロモーター配列に隣接し得るか、または遠位であり得るエンハンサーをさらに含み得、そこからの転写の上方制御において機能し得る。

本発明の核酸構築物は、好ましくは、適切な選択可能なマーカーおよび/または複製の起源をさらに含む。好ましくは、利用される核酸構築物は、大腸菌(構築物が適切な選択可能なマーカーおよび複製の起源を含む)内で増殖し、細胞内での増殖または最適な遺伝 子および組織中における統合に適合し得る、シャトルベクターである。本発明による構築物は、例えば、プラスミド、バクミド、ファージミド、コスミド、ファージ、ウイルス、または人工染色体であり得る。

好適な構築物の例には、pcDNA3、pcDNA3.1(+/−)、pGL3、PzeoSV2(+/−)、pDisplay、pEF/myc/cyto、pCMV/myc/cytoが含まれるが、これらに限定されず、そのそれぞれは、Invitrogen Co.(Carlsbad、CA.)から市販入手可能である。レトロウイルス性ベクターおよびパッケージ系の例は、Retro−X vectors pLNCXおよびpLXSNを含むClontech(San Diego、CA.)から販売されているものであり、それらは複数のクローニング部位へのクローニングが可能であり、その導入遺伝子はCMVプロモーターから転写される。導入遺伝子が5’LTRプロモーターから転写されるpBabe等のMo−MuLVに由来するベクターもまた、含まれる。

本発明の組み換え発現ベクターは、宿主細胞での核酸の発現に好適な形態の本発明の核酸を含み、それは、組み換え発現ベクターが、発現に使用される宿主細胞、すなわち、発現される核酸配列に動作可能に連結される宿主細胞に基づいて選択される1つ以上の制御性配列を含むことを意味する。組み換え発現ベクター内において、「動作可能に連結される」とは、目的とするヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で(例えば、インビトロ転写/翻訳系において、またはベクターが導入宿主細胞に導入される場合は宿主細胞において)、制御性配列(複数可)に連結されることを意味することが意図される。

「制御性配列」という用語は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。そのような制御性配列は、例えば、Goeddel(1990)Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA.に記載される。制御性配列は、多くの種類の宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指示するもの、およびある特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を指示するもの(例えば、組織特異的制御性配列)を含む。当業者であれば、発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現のレベル等の要因に左右され得ることを理解するであろう。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され、それにより、本明細書に記載される核酸によってコードされる融合タンパク質またはペプチドを含む、タンパク質またはペプチドを産生することができる。

本発明の組み換え発現ベクターは、原核細胞または真核細胞における変異体タンパク質の産生のために設計され得る。例えば、本発明のタンパク質は、大腸菌等の細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現ベクターを使用して)、酵母細胞、または哺乳動物細胞において、発現され得る。好適な宿主細胞は、Goeddel(1990)Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CAにおいて、さらに論じられる。あるいは、組み換え発現ベクターは、T7プロモーター制御性配列およびT7ポリメラーゼを使用してインビトロで転写され、翻訳され得る

原核生物におけるタンパク質の発現は、融合または非融合タンパク質のいずれかの発現を指示する構成的プロモーターまたは誘導可能なプロモーターを含有するベクターを用いて、大腸菌において行われることが最も多い。融合ベクターは、いくつかのアミノ酸を、その中でコードされるタンパク質、組み換えタンパク質のアミノ末端またはC末端に付加する。そのような融合ベクターは、典型的には、3つの目的に役立つ:(i)組み換えタ ンパク質の発現を増加させる、(ii)組み換えタンパク質の可溶性を上昇させる、および(iii)親和性精製におけるリガンドとして作用することによって組み換えタンパク質の精製を補助する。しばしば、融合発現ベクターにおいて、融合タンパク質の精製後の融合部分からの組み換えタンパク質の分離を可能にするために、融合部分および組み換えタンパク質の接合部にタンパク質開裂部位が導入される。そのような酵素およびそれらの同族認識配列は、第Xa因子、トロンビン、PreScission、TEV、およびエンテロキナーゼを含む。典型的な融合発現ベクターには、それぞれ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはタンパク質Aを標的組み換えタンパク質に融合させるpGEX(Pharmacia Biotech Inc;Smith and Johnson(1988)Gene 67:31−40)、pMAL(New England Biolabs,Beverly,MA.)、およびpRIT5(Pharmacia,Piscataway,N.J.)が挙げられる。

組み換え哺乳動物発現ベクターは、ことによると、特定の細胞型において核酸の発現を指示することができる(例えば、組織特異的制御性要素を使用して、核酸を発現する)。組織特異的制御性要素は、当該技術分野で既知である。タンパク質の効率的な産生のため、本発明のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を、所望の宿主における発現に最適化された発現制御配列の制御下に置くことが好ましい。例えば、配列は、最適化された転写および/または翻訳制御性配列を含み得る(例えば、改変Kozak配列)。

大腸菌中で組み換えタンパク質発現を最大化するための1つの戦略は、組み換えタンパク質をタンパク分解開裂させる能力に障害を有する宿主細菌において、タンパク質を発現させることである。例えば、Gottesman(1990)Gene Expression Technology:Methods in Enzymology Academic Press,San Diego,CA.185:119−128を参照されたい。別の戦略は、各アミノ酸に対する個々のコドンが大腸菌で優先的に利用されるものとなるように、発現ベクターに挿入される核酸の核酸配列を改変することである。例えば、Wada,et al.(1992)Nucl.Acids Res.20:2111−2118を参照されたい。本発明の核酸配列のそのような改変は、標準的なDNA合成技術によって行われ得る。コドンバイアスを解消するための別の戦略は、細菌の菌株(Invitrogen)またはRosetta細菌の菌株(Novagen)を加えたBL21−コドンを使用することによるものであり、これらの菌株は、珍しい大腸菌tRNA遺伝子の余分なコピーを含有する。

本発明のタンパク質をコードする発現ベクターは、酵母発現ベクターであってもよい。酵母サッカロマイセスセレビシエにおける発現のためのベクターの例には、pYepSec1(Baldari,et al.(1987)EMBO J.6:229−234)、pMFa(Kurjan and Herskowitz(1982)Cell 30:933−943)、pJRY88(Schultz,et al.(1987)Gene 54:113−123)、pYES2(Invitrogen Corporation,San Diego,CA.)、およびpicZ(Invitrogen Corp,San Diego,CA.)が挙げられる。

あるいは、本発明のポリペプチドは、バキュロウイルス発現ベクターを使用して昆虫細胞内で生成され得る。培養された昆虫細胞(例えば、SF9細胞)でのタンパク質の発現に利用可能なバキュロウイルスベクターには、pAc系(Smith,et al.(1983)Mol.Cell.Biol.3:2156−2165)およびpVL系(Lucklow and Summers(1989)Virology170:31−39)が挙げられる。さらに別の実施形態において、本発明の核酸は、哺乳動物発現ベクターを使用して哺乳動物細胞において発現される。哺乳動物発現ベクターの例には、pCDM 8(Seed(1987)Nature329:840)およびpMT2PC(Kaufman,et al.(1987)EMBO J.6:187−195)、pIRESpuro(Clontech)、pUB6(Invitrogen)、pCEP4(Invitrogen)、pREP4(Invitrogen)、pcDNA3(Invitrogen)が挙げられる。哺乳動物細胞において使用される際、発現ベクターの制御機能は、しばしば、ウイルス制御性要素から提供される。例えば、一般的に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、ラウス肉腫ウイルス、およびサルウイルス40に由来する。原核細胞および真核細胞の両方に対する他の好適な発現系に関しては、例えば、Sambrook,et al.(2001)(Eds.)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd Ed.)Cold Spring Harbor Laboratoryを参照されたい。

宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、本発明のタンパク質は、大腸菌等の細菌細胞、昆虫細胞、酵母、植物、または哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、COS、HEK293細胞)で産生され得る。他の好適な宿主細胞は、当業者に既知である。

ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術によって、原核細胞または真核細胞に導入され得る。本明細書に使用される際、「形質転換」および「トランスフェクション」という用語は、リン酸カルシウムもしくは塩化カルシウム共沈殿、DEAE−デキストラン−媒介性トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションを含む、外来核酸(例えば、DNA)を宿主細胞内に導入するための種々の当該技術分野で認識される技術を指すことが意図される。宿主細胞を形質転換する、またはトランスフェクトするための好適な方法は、Sambrook,et al.(2001)[Eds.]Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd Ed.)Cold Spring Harbor Laboratoryおよび他の実験マニュアルに見出すことができる。

外来ヌクレオチド配列を宿主細胞に導入するための周知の手順のいずれもが、使用され得る。これらには、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム、マイクロインジェクション、プラズマベクター、ウイルスベクター、およびクローニングされたゲノムDNA、cDNA、合成DNA、または他の外来遺伝物質を宿主細胞に導入するための他の周知の方法のいずれの使用も含まれる。例えば、Sambrook,et al.(2001)(Eds.)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd Ed.)Cold Spring Harbor LaboratoryおよびWalker&Papley(2009)Molecular Biology and Biotechnology[5th Ed.]Royal Society of Chemistryを参照されたい。使用される特定の遺伝子操作手順が、少なくとも1つの核酸分子を、目的とするVISTAおよびVISTA複合体、フラグメント、または変異体を発現することができる宿主細胞にうまく導入できることだけが必要である。

哺乳動物細胞の安定したトランスフェクションに関して、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術に応じて、細胞の小さい画分のみが、外来DNAをそれらのゲノムに組み込み得ることが知られている。これらの組み込み体を特定および選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子が、一般に、目的とする遺伝子とともに宿主細胞に導入される。様々な選択可能なマーカーには、それらのG418、ハイグロマイシン、ピューロマイシン、ブラストサイジン、およびメトトレキサート等の薬物に耐性を与えるものが含まれる。選択可能なマーカーをコード する核酸は、本発明のタンパク質をコードするものと同じベクター上で宿主細胞に導入され得るか、または別々のベクター上で導入され得る。導入された核酸が安定にトランスフェクトされる細胞は、薬物選択によって特定され得る(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を組み込まれた細胞が生存する一方、他の細胞は死滅する)。

培養物中の原核生物または真核生物の宿主細胞等の本発明の宿主細胞を使用して、本発明のタンパク質を産生する(すなわち、発現させる)ことができる。したがって、本発明は、本発明の宿主細胞を使用して本発明のタンパク質を産生するための方法をさらに提供する。一実施形態において、方法は、本発明のタンパク質が産生されるように、好適な培地中で、(中に本発明のタンパク質をコードする組み換え発現ベクターが導入された)本発明の宿主細胞を培養することを含む。別の実施形態において、本方法は、培地または宿主細胞から本発明のタンパク質を単離することをさらに含む。

発現ベクターが細胞に導入された後、トランスフェクトされた細胞は、目的とする受容体、フラグメント、または変異体の発現を支持する条件下で培養され、これが、次いで、標準的な技術を使用して、培養物から回収される。そのような技術の例は、当該技術分野で周知である。例えば、国際特許第WO 00/06593号を参照されたい。

VISTAまたはVISTA複合体に結合する抗体 本発明はまた、モノクローナルおよびヒト化モノクローナル抗体を含むがこれらに限定されない、VISTAおよびVISTA複合体に選択的に結合する抗体も提供する。VISTAおよびVISTA複合体に選択的に結合する抗体は、薬学的担体および追加の抗体(例えば、抗PD−L1、PD−L2、またはCTLA−4抗体)とともに組成物中で混合され得る。

単離VISTAポリペプチド、またはその一部分もしくはフラグメントを免疫原として使用して、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製のための標準的な技術を用いて、VISTAに結合する抗体を生成することができる。全長VISTAポリペプチドが使用され得るか、または代替として、本発明は、免疫原として使用するためのVISTAの抗原ペプチドフラグメントを提供する。一実施形態において、VISTAの抗原ペプチドは、配列番号2、4、または5に示されるアミノ酸配列の少なくとも8個のアミノ酸残基を含み、ペプチドに対して生じる抗体がVISTAポリペプチドとともに特異的免疫複合体を形成するように、VISTAのエピトープを包含する。好ましくは、抗原ペプチドは、少なくとも10個のアミノ酸残基、より好ましくは少なくとも15個のアミノ酸残基、さらにより好ましくは少なくとも20個のアミノ酸残基、および最も好ましくは少なくとも30個のアミノ酸残基を含む。抗原ペプチドによって包含される好ましいエピトープは、ポリペプチドの細胞外ドメインに位置するVISTAの領域、例えば、親水性領域ならびに高い抗原性を有する領域である。

VISTA免疫原が、典型的には、好適な対象(例えば、ウサギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳動物)に免疫原で免疫付与を行うことによって抗体を調製するために使用される。適切な免疫原性調製物は、例えば、組み換えによって発現されるVISTAポリペプチドまたは化学的に合成されるVISTAポリペプチドを含有し得る。調製物は、フロイント完全もしくは不完全アジュバント等のアジュバント、または類似の免疫賦活性剤をさらに含み得る。好適な対象に免疫原性VISTA調製物で免疫付与を行うことにより、ポリクローナル抗VISTA抗体応答を誘導する。

抗体は、分子量約23,000ダルトンの2つの同一な軽ポリペプチド鎖(「軽鎖」)ならびに分子量53,000〜70,000の2つの同一な重鎖(「重鎖」)を含み得る。Edelman(1971)Ann.NY.Acad.Sci.190:5.を参照さ れたい。4つの鎖は、軽鎖が「Y」配置の口で始まる重鎖を一括する「Y」配置で、ジスルフィド結合によって連結される。「Y」配置の「分岐」部分は、Fab領域と指定され、「Y」配置の茎部分は、FC領域と指定される。アミノ酸配列の配向は、「Y」配置の上部のN末端終端から、各鎖の下部のC末端終端に進む。N末端終端は、それを誘起した抗原に対する特異性を有する可変領域を持ち、約100アミノ酸長であるが、軽鎖と重鎖との間、および抗体間でわずかな違いがある。

可変領域は、鎖の残りの長さに延在し、抗体の特定のクラス内では、抗体の特異性(すなわち、それを誘発する抗原)によって変化しない、定常領域に各鎖内で連結される。免疫グロブリン分子のクラスを決定する、5つの既知の主要な定常領域のクラスがある(例えば、γ、μ、α、δ、およびε重鎖定常領域に対応するIgG、IgM、IgA、IgD、およびIgE)。定常領域またはクラスが、補体の活性化(Kabat(1976)Structural Concepts in Immunology and Immunochemistry[2nd Ed.]pages 413−436、Holt,Rinehart,Winston)および他の細胞応答(Andrews,et al.(1980)Clinical Immunobiology 1−18、Kohl,et al.(1983)Immunology 48:187)を含む、抗体のその後のエフェクター機能を決定し、一方で可変領域は、それが反応する抗原を決定する。軽鎖は、κ(カッパ)またはλ(ラムダ)のいずれかに分類される。各重鎖クラスは、κまたはλ軽鎖のいずれかと調製され得る。軽鎖および重鎖は互いに共有結合され、2つの重鎖の「尾」部分は、免疫グロブリンがハイブリドーマまたはB細胞のいずれかによって生成されるときに、共有ジスルフィド連結によって互いに結合される。

そのような条件下での抗体への特異的結合は、特定のタンパク質に対するその特異性について選択された抗体を必要とし得る。例えば、ラット、マウス、またはヒト等の特定の種に由来する精液塩基性タンパク質に対して生じたポリクローナル抗体を選択して、精液塩基性タンパク質と特異的に免疫反応するが、精液塩基性タンパク質の多形変異体および対立遺伝子を除く他のタンパク質とは免疫反応しないポリクローナル抗体のみを得ることができる。この選択は、他の種由来の精液塩基性タンパク質分子と交差反応する抗体を差し引くことによって、達成され得る。種々の免疫測定形式を使用して、特定のタンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択することができる。例えば、固相ELISA免疫測定法が、タンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために日常的に使用される。例えば、特異的免疫反応性を決定するために使用することができる免疫測定形式および条件の説明に関しては、Harlow&Lane(1998)USING ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL Cold Spring Harbor Laboratoryを参照されたい。典型的に、特異的または選択的反応は、少なくとも2倍のバックグラウンドシグナルまたはノイズ、およびより好ましくは10〜10倍を上回るバックグラウンドとなる。

抗体は、例えば、IgVドメインまたは他の特異的ドメイン中のVISTAの特異的エピトープに結合するものを特定するため、および/またはVISTAタンパク質に対する高親和性および結合力を有する抗体を選択するためにスクリーニングされ得る。加えて、これらの抗体は、インビトロおよびインビボでの免疫および免疫細胞に対するVISTAの特定の機能および作用を調節するものを特定するためにスクリーニングされる。例えば、アッセイを行って、CD4+またはCD8+T細胞によるサイトカイン産生、CD28共刺激、CD4+T細胞増殖、ならびにナイーブおよびメモリーCD4+T細胞の増殖等を含む、VISTAによって負に制御される免疫機能対す特定の抗VISTA抗体の調節作用がある場合は、それを確認することができる。ある実施形態において、アッセイを行って、インビトロではVISTA−Igが存在するとき、VISTA−Igによって抑制を高めるが、これらの抗VISTA抗体がインビボでは反対に挙動する、すなわち、それ らは免疫抑制性である、可能性のある治療用抗VISTA抗体を特定する。本発明は、136個のアミノ酸の細胞外ドメインに、例えば、アミノ酸1〜50、50〜100、100〜136に特異的に結合する抗VISTA抗体およびその使用、IgVに特異的に結合する抗体、ストーク領域に特異的に結合する抗体、膜貫通領域に特異的に結合する抗体、ならびにVISTAの細胞質性領域に特異的に結合する抗体を包含する。これらの特異的領域は、本出願中で特定される。

別の実施形態において、組み換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型に優先的に核酸の発現を指示することができる(例えば、核酸を発現するために組織特異的制御性要素を用いる)。組織特異的制御性要素は、当該技術分野で既知である。好適な組織特異的プロモーターの非限定的な例には、アルブミンプロモーター(肝臓特異的、Pinkert et al.(1987)Genes Dev.1:268−277)、リンパ球特異的プロモーター(Calame and Eaton(1988)Adv.Immunol.43:235−275)、T細胞受容体(Winoto and Baltimore(1989)EMBO J.8:729−733)および免疫グロブリン(Banerji et al.(1983)Cell 33:729−740、Queen and Baltimore(1983)Cell 33:741−748)の特定のプロモーター、ニューロン特異的プロモーター(例えば、神経フィラメントプロモーター、Byrne and Ruddle(1989)Proc Natl.Acad.Sci.USA 86:5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlund et al.(1985)Science 230:912−916)、ならびに乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター、米国特許第4,873,316号および欧州出願公開第264,166号)が挙げられる。例えば、マウスホメオボックスプロモーター(Kessel and Gruss(1990)Science 249:374−379)およびα−フェトタンパク質プロモーター(Campes and Tilghman(1989)Genes Dev.3:537−546)による、発生的に制御されるプロモーターもまた包含される。

ポリクローナル抗体 ポリクローナル抗体は、抗原で免疫付与した動物の血清に由来する抗体分子の異種集団である。VISTAおよびVISTA複合体に選択的に結合するポリクローナル抗体は、当該技術分野で周知である方法によって作製され得る。例えば、Howard&Kaser(2007)Making and Using Antibodies:A Practical Handbook CRC Pressを参照されたい。

モノクローナル抗体 モノクローナル抗体は、抗原に特異的な抗体の実質的に同種の集団を含有し、この集団は、実質的に同様のエピトープ結合部位を含有する。モノクローナル抗体は、当業者に既知の方法によって得ることができる。例えば、Kohler and Milstein(1975)Nature256:495−497、米国特許第4,376,110号、Ausubel,et al.[Eds.](2011)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience,NY.、およびHarlow&Lane(1998)USING ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL Cold Spring Harbor Laboratory;Colligan,et al.(2005)[Eds.]Current Protocols in Immunology Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience,NYを参照されたい。そのような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、GILD、およびそれらの任意のサブクラスを含む任意の免疫グロブリンクラスのものであり得る。本発明の抗体を産生する ハイブリドーマは、インビトロ、インサイツ、またはインビボで培養され得る。

キメラ抗体 キメラ抗体は、異なる動物種に由来するものの異なる部分の分子、例えば、マウス抗体に由来する可変領域およびヒト免疫グロブリン定常領域を有するものであり、これらは、主に、適用時に免疫原性を低減させ、産生時の収率を増加させるために使用され、例えば、マウスのモノクローナル抗体はハイブリドーマからのより高い収率を有するが、ヒトにおいてより高い免疫原性を有する場合、結果として、ヒトマウスキメラモノクローナル抗体が使用される。キメラ抗体およびそれらの産生のための方法は、当該技術分野で既知である。Cabilly,et al.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:3273−3277、Morrison,et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA81:6851−6855,Boulianne,et al.(1984)Nature312:643−646、Neuberger,et al.(1985)Nature314:268−270、欧州特許出願第173494号(1986)、国際公開第WO 86/01533号(1986)、欧州特許出願第184187号(1986)、欧州特許出願第73494号(1986)、Sahagan,et al.(1986)J.Immunol.137:1066−1074、Liu,et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:3439−3443、Sun,et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA84:214−218、Better,et al.(1988)Science240:1041−1043、およびHarlow&Lane(1998)USING ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL Cold Spring Harbor Laboratory、米国特許第5,624,659号を参照されたい。

ヒト化抗体 ヒト化抗体は、さらに多くのヒト様免疫グロブリンドメインを含有するように操作され、動物由来抗体の相補性決定領域のみを組み込む。これは、モノクローナル抗体の可変領域の超可変ループの配列を検査し、それらをヒト抗体鎖の構造に当て嵌めることによって達成され得る。例えば、米国特許第6,187,287号を参照されたい。同様に、ヒト化抗体を産生する他の方法が、現在、当該技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,693,762号、同第6,054,297号、同第6,180,370号、同第6,407,213号、同第6,548,640号、同第6,632,927号、および同第6,639,055号、Jones,et al.(1986)Nature321:522−525、Reichmann,et al.(1988)Nature332:323−327、Verhoeyen,et al.(1988)Science239:1534−36、ならびにZhiqiang An(2009)[Ed.]Therapeutic Monoclonal Antibodies:From Bench to Clinic John Wiley&Sons,Incを参照されたい。

抗体フラグメント 全免疫グロブリン(またはそれらの組み換え対応物)に加えて、エピトープ結合部位(例えば、Fab’、F(ab’)2、または他のフラグメント)を含む免疫グロブリンフラグメントが合成され得る。「フラグメント」または最小免疫グロブリンは、組み換え免疫グロブリン技術を利用して設計され得る。例えば、本発明において使用される「Fv」免疫グロブリンは、融合された可変軽鎖領域と可変重鎖領域との合成によって産生され得る。抗体の組み合わせ、例えば、2つのはっきりと異なるFv特異性を含む二特異性抗体もまた興味深い。免疫グロブリンの抗原結合フラグメントには、SMIP(小分子免疫薬)、ラクダ抗体、ナノボディ、およびIgNARを含むが、これらに限定されない。

抗イディオタイプ抗体 抗イディオタイプ(抗Id)抗体は、一般に、抗体の抗原結合部位と会合している固有の決定基を認識する抗体である。Id抗体は、抗体源として同じ種および遺伝子型の動物(例えば、マウス株)に、抗Idが調製される抗体で免疫付与を行うことによって調製することができる。免疫付与した動物は、これらのイディオタイプ決定基に対する抗体(抗ld抗体)を産生することによって、免疫付与抗体のイディオタイプ決定基を認識し、応答するようになる。例えば、米国特許第4,699,880号を参照されたい。抗Id抗体はまた、さらに別の動物における免疫応答を誘導するための「免疫原」として使用され、いわゆる抗−抗Id抗体を産生し得る。抗−抗Id抗体は、抗Idを誘導した元の抗体とエピトープ的に(epitopically)同一であり得る。したがって、抗体のイディオタイプ決定基に対する抗体を使用することにより、同一の特異性の抗体を発現する他のクローンを特定することができる。

操作および修飾抗体 本発明の抗体は、抗体開始物質に由来するVHおよび/またはVL配列のうちの1つ以上を有する抗体を使用して、開始抗体からの改変された特性を有し得る修飾抗体を操作して、さらに調製され得る。抗体は、片方または両方の可変領域(すなわち、VHおよび/またはVL)内、例えば、1つ以上のCDR領域内および/または1つ以上のフレームワーク領域内の1つ以上の残基を修飾することによって操作され得る。追加または代替として、、抗体は、例えば、抗体のエフェクター機能(複数可)を改変するために、定常領域(複数可)内の残基を修飾することによって操作され得る。

実施され得る可変領域操作の1種は、CDR移植である。抗体は、主に6個の重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)に位置するアミノ酸残基を通して、標的抗原と相互作用する。この理由から、CDR内のアミノ酸配列は、CDRの外側の配列よりも個々の抗体間でより多様である。CDR配列はほとんどの抗体−抗原相互作用に関与するため、異なる特性を有する異なる抗体からのフレームワーク配列に接合されている特異的な天然の抗体からのCDR配列を含む発現ベクターを構築することによって、特異的な天然の抗体の特性を模倣する組み換え抗体を発現することが可能である。例えば、Riechmann,et al.(1998)Nature332:323−327、Jones,et al.(1986)Nature 321:522−525、Queen,et al.(1989)Proc.Natl.Acad.U.S.A.86:10029−10033、米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、同第5,585,089号、同第5,693,762号、同第6,180,370号を参照されたい。

好適なフレームワーク配列は、公共のDNAデータベースまたは生殖細胞系抗体遺伝子配列を含む公開された参考文献から得ることができる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子に関する生殖細胞系DNA配列は、「VBase」ヒト生殖細胞系配列データベース(インターネット上で利用可能である)において、ならびにKabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest [5th Ed.]U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242、Tomlinson,et al.(1992)“The Repertoire of Human Germline VH Sequences Reveals about Fifty Groups of VH Segments with Different Hypervariable Loops”J.Mol.Biol.227:776−798、およびCox,et al.(1994)Eur.J Immunol.24:827−836に見出すことができる。

可変領域修飾の他の種類は、VHおよび/またはVL CDR1、CDR2、および/またはCDR3領域内のアミノ酸残基を突然変異させ、それによって目的とする抗体の1つ以上の結合特性(例えば、親和性)を改善することである。部位特異的突然変異生成またはPCR媒介性突然変異生成を実施して、突然変異(複数可)を導入することができ、抗体結合、または他の目的とする機能的特性における効果は、適切なインビトロまたはインビボアッセイにおいて評価され得る。好ましくは、(本明細書で論じられる)保存的修飾が導入され得る。突然変異は、アミノ酸置換、付加、または欠失であり得るが、好ましくは、置換である。さらに、典型的には、CDR領域内の1、2、3、4、または5個以下の残基が改変される。

本発明の操作抗体は、その修飾が、抗体の特性を改善するためにVHおよび/またはVL内のフレームワーク残基に行われたものを含む。典型的には、そのようなフレームワーク修飾は、抗体の免疫原性を減少させるために行われる。例えば、1つのアプローチは、1つ以上のフレームワーク残基を対応する生殖細胞系配列へと「復帰変異(backmutate)させる」ことである。より具体的には、体細胞突然変異を経た抗体は、その抗体が由来する生殖細胞系の配列とは異なるフレームワーク残基をを含有し得る。そのような残基は、抗体のフレームワーク配列とその抗体が由来する生殖細胞系の配列とを比較することによって特定され得る。

フレームワークまたはCDR領域内で行われる修飾に加えて、またはその代替として、本発明の抗体は、典型的には、血清半減期、補体結合、Fc受容体結合、および/または抗原依存性細胞傷害性等の抗体の1つ以上の機能的特性を改変するために、Fc領域内に修飾を含むように操作され得る。さらに、本発明の抗体は、抗体の1つ以上の機能的特性を改変するために、再び化学的に修飾され得る(例えば、1つ以上の化学的部分が抗体に付着され得る)か、またはそのグリコシル化を改変するように再び修飾され得る。そのような実施形態が、以下にさらに記載される。Fc領域中の残基の番号付けは、KabatのEUインデックスのものである。

CH1のヒンジ領域は、ヒンジ領域中のシステイン残基の数を改変する、例えば、増加または減少させるように、修飾され得る。米国特許第5,677,425号を参照されたい。CH1のヒンジ領域中のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖および重鎖の会合を促進するように、または抗体の安定性を上昇もしくは減少させるように改変され得る。

抗体のFcヒンジ領域は、抗体の生物学的半減期を減少させるように突然変異され得る。より具体的には、1つ以上のアミノ酸突然変異が、抗体が天然のヒンジドメインSpA結合と比べて損なわれたStaphylococcylタンパク質A(SpA)結合を有するように、Fc−ヒンジフラグメントのCH2−CH3ドメイン界面領域に導入され得る。例えば、米国特許第6,165,745号を参照されたい。

抗体は、その生物学的半減期を増加させるように修飾され得る。種々のアプローチが可能である。例えば、次の突然変異のうちの1つ以上が、導入され得る:T252L、T254S、T256F。米国特許第6,277,375号を参照されたい。あるいは、生物学的半減期を増加させるために、抗体は、IgGのFc領域CH2ドメインの2つのループから採取したサルベージ受容体結合エピトープを含有するように、CH1またはCL領域内で改変され得る。米国特許第5,869,046号および同第6,121,022号を参照されたい。

Fc領域は、抗体のエフェクター機能(複数可)を改変するために、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基と置き換えることによって改変され得る。例えば、抗 体がエフェクターリガンドに対する改変された親和性を有するが、親の抗体の抗原結合能力は保持するように、アミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320、および322から選択される1つ以上のアミノ酸が、異なるアミノ酸残基と置き換えられてもよい。それに対する親和性が改変され得るエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体または補体のC1成分であり得る。米国特許第5,624,821号および同第5,648,260号を参照されたい。

抗体のグリコシル化が修飾され得る。例えば、無グリコシル化抗体が作製され得る(すなわち、抗体にはグリコシル化がない)。グリコシル化は、例えば、抗原に対する抗体の親和性を増加させるように改変され得る。そのような炭水化物修飾は、例えば、抗体配列内の1つ以上のグリコシル化部位を改変することによって達成され得る。例えば、1つ以上の可変領域フレームワークグリコシル化部位の排除をもたらす1つ以上のアミノ酸置換が行われ、それによってその部位におけるグリコシル化を排除することができる。そのような無グリコシル化は、抗原に対する抗体の親和性を増加させ得る。例えば、米国特許第5,714,350号および同第6,350,861号を参照されたい。

追加または代替として、低減させた量のフコシル残基を有する低フコシル化抗体または増加された二分GlcNac構造を有する抗体等の改変された型のグリコシル化を有する抗体が、作製され得る。そのような改変されたグリコシル化パターンは、抗体のADCC能を増加させることが実証されている。そのような炭水化物修飾は、例えば、改変されたグリコシル化機構を有する宿主細胞内で抗体を発現することによって達成され得る。改変されたグリコシル化機構を有する細胞は、当該技術分野において説明されており、本発明の組み換え抗体を発現し、それによって改変されたグリコシル化を有する抗体を産生する宿主細胞として使用され得る。米国特許出願公開第2004/0110704号およびYamane−Ohnuki,et al.(2004)Biotechnol Bioeng.87:614−22、欧州特許第EP 1,176,195号、国際公開第WO 2003/035835号、Shields,et al.(2002)J.Biol.Chem.277:26733−26740、国際公開第WO 99/54342号、Umana,et al.(1999)Nat.Biotech.17:176−180、ならびにTarentino,et al.(1975)Biochem.14:5516−23を参照されたい。

抗体は、例えば、抗体の生物学的(例えば、血清)半減期を増加させるために、ペグ化され得る。抗体をペグ化するために、抗体またはそのフラグメントを、典型的には、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体等のポリエチレングリコール(PEG)と、1つ以上のPEG基が抗体または抗体フラグメントに結合される条件下で反応させる。好ましくは、ペグ化は、反応性PEG分子(または同様の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応を介して行われる。

本発明はまた、本明細書に示される抗体、抗体フラグメント、二特異性抗体、SMIP、ラクダ抗体、ナノボディ、IgNAR、ポリペプチド、可変領域、およびCDRと実質的に相同な変異体および同等物も提供する。これらは、例えば、保存的置換突然変異(すなわち、1つ以上のアミノ酸と同様のアミノ酸との置換)を含有し得る。例えば、保存的置換は、あるアミノ酸と、同じ一般的クラス内の別のものとの置換、例えば、1つの酸性アミノ酸と別の酸性アミノ酸、1つの塩基性アミノ酸と別の塩基性アミノ酸、または中性アミノ酸と別の中性アミノ酸との置換を指す。

抗体複合体 さらに、抗体(またはそのフラグメント)は、細胞毒素、治療剤、または放射性金属イオンといった治療的部分に複合体化され得る。細胞毒素または細胞毒性剤は、細胞に有害 な任意の薬剤を含む。例には、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにそれらの類似体または相同体が挙げられる。治療剤には、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロソスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、ならびにシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(かつてのダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(かつてのアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が含まれるが、これらに限定されない。

抗体を操作する方法 本明細書に開示されるVHおよびVL配列を有する抗体を使用して、VHおよび/もしくはVL配列、またはそこに結合される定常領域(複数可)を修飾することによって、新たな変異抗体を作製することができる。このため、本発明の変異抗体の構造的特徴を使用して、VISTAおよびVISTA複合体への結合等、本発明の抗体の少なくとも1つの機能的特性を保持する構造的関連する変異抗体を作製する。例えば、1つの抗VISTA変異抗体もしくは抗VISTA複合体変異抗体の1つ以上のCDR領域、またはその突然変異を、既知のフレームワーク領域および/または他のCDRと組み換えによって組み合わせて、本明細書で論じられる本発明のさらなる組み換え操作された抗VISTAまたは抗VISTA複合体抗体(例えば、VISTAおよびVISTA複合体に結合する抗体)を作製することができる。操作方法のための出発物質は、本明細書に提供されるVHおよび/もしくはVK配列のうちの1つ以上、またはそれらの1つ以上のCDR領域であり得る。操作された抗体を作製するために、本明細書に提供されるVHおよび/もしくはVK配列のうちの1つ以上、またはそれらの1つ以上のCDR領域を有する抗体を実際に調製する(すなわち、タンパク質として発現させる)必要はない。むしろ、配列(複数可)中に含有される情報が出発物質として使用され、元の配列(複数可)に由来する「第二世代」配列(複数可)を作製し、次いで、その「第二世代」配列(複数可)を調製し、タンパク質として発現させる。標準的な分子生物学技術を使用して、改変された抗体配列を調製し、発現させることができる。

改変された抗体配列(複数可)によってコードされる抗体は、本明細書に提供される方法および配列によって産生される抗VISTAまたは抗VISTA複合体抗体の機能的特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを保持し得、その機能的特性には、特定のKDレベル以下を有する変異VISTAまたは変異VISTA複合体への結合、および/もしくは免疫細胞活性の調節、ならびに/または、例えば、結腸直腸癌腫、肺癌、前立腺癌、膵臓癌、卵巣癌、胃癌、および肝臓癌といった所望の標的細胞への選択的結合が含まれる。改変された抗体の機能的特性は、当該技術分野で利用可能な、および/または本明細書に記載される、標準的なアッセイを使用して評価され得る。

突然変異が、抗VISTAまたは抗VISTA複合体抗体のコード配列のすべてまたは一部に沿って無作為または選択的に導入され得、結果として生じる修飾された抗VISTAまたは抗VISTA複合体抗体は、結合活性および/または他の所望の機能的特性に関してスクリーニングされ得る。国際特許第WO 2011/120013号を参照された い。

VISTAまたはVISTA複合体に選択的に結合する抗体をコードする核酸 本発明の別の実施形態は、VISTAおよびVISTA複合体に結合する本発明の抗体をコードする核酸分子に関する。核酸は、全細胞、細胞ライセート、または部分的に精製されたかもしくは実質的に純粋な形態で存在し得る。核酸は、アルカリ/SDS処理、CsClバンド形成、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、および当該技術分野で周知の他の技術を含む、標準的な技術によって、他の細胞成分または他の混入物質(例えば、他の細胞性核酸またはタンパク質)から離して、精製によって単離され得る。Ausubel,et al.(2011)Current Protocols in Molecular Biology John Wiley&Sons,Incを参照されたい。本発明の核酸は、例えば、DNAまたはRNAであり得、イントロン配列を含有してもよく、または含有しなくてもよい。核酸は、cDNA分子であり得る。

本発明の核酸は、標準的な分子生物学技術を使用して得ることができるハイブリドーマ(例えば、以下にさらに記載されるようにヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスから調製されるハイブリドーマ)によって発現される抗体に関しては、ハイブリドーマによって作製される抗体の軽鎖および重鎖をコードするcDNAは、標準的なPCR増幅またはcDNAクローニング技術によって得ることができる。(例えば、ファージディスプレイ技術を使用して)免疫グロブリン遺伝子ライブラリーから得られる抗体に関しては、抗体をコードする核酸は、ライブラリーから回収され得る。

特に、縮重コドン置換が、例えば、1つ以上の選択されたコドンの第3の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成することによって達成され得る。Batzer,et al.(1991)Nucleic Acid Res.19:5081、Ohtsuka,et al.(1985)J.Biol.Chem.260:2605−08、Rossolini,et al.(1994)Mol.Cell.Probes 8:91−98。

いったんVHおよびVLセグメントをコードするDNAフラグメントが得られると、これらのDNAフラグメントは、標準的な組み換えDNA技術によって、例えば、その可変領域遺伝子を全長抗体鎖遺伝子に、Fabフラグメント遺伝子に、またはscFv遺伝子に変換するようにさらに操作され得る。これらの操作において、VLまたはVHをコードするDNAフラグメントは、抗体定常領域または可動性リンカー等の別のタンパク質をコードする別のDNAフラグメントに動作可能に連結される。

VH領域をコードする単離DNAは、VHをコードするDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2、およびCH3)をコードする別のDNA分子に動作可能に連結することによって、全長重鎖遺伝子に変換され得る。当該技術分野で既知であるヒト重鎖定常領域遺伝子の配列(例えば、Kabat,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242を参照されたい)およびこれらの領域を包含するDNAフラグメントは、標準的なPCR増幅によって得ることができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM、またはIgD定常領域であり得るが、最も好ましくは、IgG1またはIgG4定常領域である。Fabフラグメント重鎖遺伝子に関しては、VHをコードするDNAは、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に動作可能に連結され得る。

VL領域をコードする単離されるDNAは、VLをコードするDNAを、軽鎖定常領域CLをコードする別のDNA分子に動作可能に連結することによって、全長軽鎖遺伝子(ならびにFab軽鎖遺伝子)に変換され得る。当該技術分野で既知であるヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列(例えば、Kabat,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242を参照されたい)およびこれらの領域を包含するDNAフラグメントは、標準的なPCR増幅によって得ることができる。軽鎖定常領域は、κまたはλ定常領域であり得るが、最も好ましくは、κ定常領域である。

scFv遺伝子を作製するために、VHおよびVL配列が、可動性リンカーによって接合されるVLおよびVH領域を有する連続する一本鎖タンパク質として発現され得るように、VHおよびVLをコードするDNAフラグメントは、可動性リンカーをコードする、例えば、アミノ酸配列(Gly4−Ser)3をコードする別のフラグメントに動作可能に連結される。例えば、Bird,et al.(1988)Science 242:423−426、Huston,et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879−5883、McCafferty,et al.(1990)Nature 348:552−554を参照されたい。

抗体およびそのフラグメントを産生する方法 本発明はまた、抗体およびそのフラグメントを産生するための方法も提供する。抗体を産生する方法は、当業者に周知である。例えば、キメラ抗体を産生する方法が、当該技術分野で現在周知である。例えば、米国特許第4,816,567号、Morrison,et al.(1984)PNAS USA 81:8651−55、Neuberger,et al.(1985)Nature 314:268−270、Boulianne,et al.(1984)Nature 312:643−46を参照されたい。

例えば、抗体または抗原結合フラグメントは、遺伝子操作によって産生され得る。この技術において、他の方法と同様に、抗体を産生する細胞が、所望の抗原または免疫原に感作される。抗体を産生する細胞から単離されたメッセンジャーRNAを鋳型として用いて、PCR増幅を使用してcDNAを作製することができる。増幅された免疫グロブリンcDNAの適切な切片を発現ベクターに挿入することによって、それぞれが、初期抗原特異性を保持する1つの重鎖遺伝子および1つの軽鎖遺伝子を含有するベクターのライブラリーが産生される。コンビナトリアルライブラリーは、重鎖遺伝子ライブラリーと軽鎖遺伝子ライブラリーとを組み合わせることによって構築される。これは、重鎖および軽鎖(抗体分子のFabフラグメントまたは抗原結合フラグメントに類似している)を共発現するクローンのライブラリーをもたらす。これらの遺伝子を担持するベクターは、宿主細胞にコトランスフェクトされる。抗体遺伝子の合成がトランスフェクトされた宿主において誘導されるとき、重鎖および軽鎖タンパク質が自己構築して活性抗体を産生し、これは抗原または免疫原を用いるスクリーニングによって検出することができる。

本発明の抗体およびそのフラグメントはまた、当業者に周知の従来的な技術を使用して、オペロンおよび抗体重鎖をコードするDNA配列を含有する発現ベクターを構築することによって産生され得、抗体特異性に必要なCDRをコードするDNA配列は、非ヒト細胞源に由来するが、抗体鎖の残りの部分をコードするDNA配列は、ヒト細胞源に由来する。さらに、本発明は、前述の本発明の核酸分子を含有するベクター、特に、プラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージ、および遺伝子操作において一般的な他のベクターに関する。ベクターに含有される核酸分子は、原核細胞および真核細胞の転写を確実にする制御性要素に連結され得る。

ベクターは、標的宿主細胞内の外来タンパク質の発現の操作を促進する要素を含有する。便宜上、形質転換のため配列の操作およびDNAの産生は、まず、細菌宿主(例えば、大腸菌)で行われ、通常、ベクターは、細菌性複製起源および適切な細菌性選択マーカーを含む、そのような操作を促進するための配列を含むであろう。選択マーカーは、選択的培養培地中で成長させた形質転換された宿主細胞の生存または成長のために必要なタンパク質をコードする。選択遺伝子を含有するベクターが形質転換されていない宿主細胞は、培養培地中で生存しないであろう。典型的な選択遺伝子は、抗生物質もしくは他の毒素に対する耐性を与えるか、栄養要求欠乏を補完するか、または複合培地からは入手できない重要な栄養素を供給するタンパク質をコードする。酵母の形質転換のための例となるベクターおよび方法が、当該技術分野で説明されている。例えば、Burke,et al.(2000)Methods in Yeast Genetics Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。

目的とするポリペプチドコード配列は、酵母細胞におけるポリペプチドの発現をもたらす転写および翻訳制御性配列に動作可能に連結され得る。これらのベクター成分には、エンハンサー要素、プロモーター、および転写終結配列のうちの1つ以上が含まれ得るが、これらに限定されない。ポリペプチドの分泌のための配列もまた含まれ得る(例えば、シグナル配列)。

核酸は、別の核酸配列との機能的関係に配置される際、「動作可能に連結される」。例えば、シグナル配列のためのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与する前タンパク質として発現される場合、ポリペプチドのためのDNAに動作可能に連結され、プロモーターまたはエンハンサーは、その配列の転写に影響する場合、コード配列に動作可能に連結される。一般に、「動作可能に連結される」とは、連続して連結されるDNA配列、および分泌性リーダーの場合、連続した、リーディングフレーム中を広義に指す。しかしながら、エンハンサーは、連続している必要はない。

プロモーターは、それらが動作可能に連結される特定の核酸配列の転写および翻訳を制御する、構造遺伝子の開始コドンに対して上流(5’)(一般に、約100〜1000bp)に位置する非翻訳配列である。そのようなプロモーターは、いくつかのクラスに分類される:誘導性、構成性、および抑制性プロモーター(例えば、リプレッサーの不在に応じて転写のレベルを上昇させるもの)。誘導性プロモーターは、培養条件のいくつかの変化(例えば、栄養素の存在もしくは不在または温度の変化)に応じて、それらの制御下で、DNAからの上昇したレベルの転写を開始し得る。

第2の発現ベクターは、当業者に周知の同じ従来的な方法を使用して産生され得、当該発現ベクターは、オペロンおよび抗体軽鎖をコードするDNA配列を含有し、抗体特異性に必要なCDRをコードするDNA配列は非ヒト細胞源、好ましくは、ウサギB細胞源に由来するが、抗体鎖の残りの部分をコードするDNA配列がヒト細胞源に由来する。

発現ベクターは、当業者に周知の従来的な技術によって宿主細胞内にトランスフェクトされ、トランスフェクトされた宿主細胞を産生し、当業者に周知の従来的な技術によって培養された当該トランスフェクトされた宿主細胞が、当該抗体ポリペプチドを産生する。

宿主細胞は、上述の2つの発現ベクターを用いてコトランスフェクトされ得、第1の発現ベクターはオペロンおよび軽鎖由来ポリペプチドをコードするDNAを含有し、第2のベクターはオペロンおよび重鎖由来ポリペプチドをコードするDNAを含有する。2つのベクターは、異なる選択可能なマーカーを含有するが、好ましくは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの実質的に同等の発現を達成する。あるいは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両 方をコードするDNAを含む、単一のベクターが使用されてもよい。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNA、ゲノムDNA、またはその両方を含み得る。

抗体およびそのフラグメントを発現するために使用される宿主細胞は、大腸菌等の細菌細胞または真核細胞のいずれかであり得る。骨髄腫細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、NSO、またはHEK293細胞株等、この目的に対して明確に定義された種類の哺乳動物細胞が使用され得る。

ベクターが構築され得る一般的方法、宿主細胞を産生するために必要とされるトランスフェクション方法、ならびに当該宿主細胞から抗体およびそのフラグメントを産生するために必要とされる培養方法はすべて、従来的な技術を含む。好ましくは、抗体を産生するために使用される細胞株は哺乳動物細胞株であるが、大腸菌由来の細菌性菌株等の細菌細胞株、または酵母細胞株等の任意の他の好適な細胞株を使用してもよい。

同様に、いったん生成されると、抗体は、例えば、交流濾過、硫酸アンモニウム沈殿、および親和性カラムクロマトグラフィー等の当該技術分野で標準的な手順に従って精製され得る。

動物を使用するVISTAまたはVISTA複合体に結合する抗体の生成 VISTAおよびVISTA複合体に選択的に結合する本発明の抗体は、ヒトモノクローナル抗体であり得る。VISTAおよびVISTA複合体に対するそのようなヒトモノクローナル抗体は、マウス系ではなく、ヒト免疫系の部分を有するトランスジェニックまたはトランスクロモソミックマウスを使用して、生成され得る。これらのトランスジェニックおよびトランスクロモソミックマウスには、それぞれ、本明細書においてHuMAbマウス(登録商標)およびKMマウス(登録商標)と称されるマウスが含まれ、本明細書において集合的に「ヒトIgマウス」と称される。HuMAbマウス(登録商標)(Medarex,Inc.)は、再配列されていないヒト重鎖(μおよびγ)ならびにκ軽鎖免疫グロブリン配列を、内因性μおよびκ鎖の遺伝子座を不活性化する標的とされた突然変異と一緒にコードする、ヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座(miniloci)を含有する。例えば、Lonberg,et al.(1994)Nature 368(6474):856−859を参照されたい。したがって、マウスは、マウスIgMまたはκの発現の低減を呈し、免疫付与に応答して、導入されたヒト重鎖および軽鎖導入遺伝子は、クラススイッチおよび体細胞突然変異を経て、高親和性ヒトIgGκモノクローナルを生成する。Lonberg(1994)Handbook of Experimental Pharmacology113:49−101、Lonberg and Huszar(1995)Intern.Rev.Immunol.13:65−93、およびHarding and Lonberg(1995)Ann.NY.Acad.Sci.764:536−546。HuMabマウス(登録商標)の調製および使用、ならびにそのようなマウスによって行われるゲノム修飾は、Taylor,et al.(1992)Nucleic Acids Research 20:6287−6295、Chen,et al.(1993)International Immunology 5:647−656、Tuaillon,et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:3720−3724、Choi,et al.(1993)Nature Genetics 4:117−123、Chen,et al.(1993)EMBO J.12:821−830、Tuaillon,et al.(1994)J.Immunol.152:2912−2920、Taylor,et al.(1994)International Immunology 6:579−591、およびFishwild,et al.(1996)Nature Biotechnology 14:845−851において、さらに説明されている。さらに、米国特許第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625, 126号、同第5,633,425号、同第5,789,650号、同第5,877,397号、同第5,661,016号、同第5,814,318号、同第5,874,299号、同第5,770,429号、および同第5,545,807号、国際公開第WO 92/03918号、同第WO 93/12227号、同第WO 94/25585号、同第WO 97/13852号、同第WO 98/24884号、同第WO 99/45962号、および同第WO 01/14424号を参照されたい。

本発明のヒト抗VISTAおよび抗VISTA−Ig複合体抗体(例えば、VISTAおよびVISTA複合体に選択的に結合する抗体)は、ヒト重鎖導入遺伝子およびヒト軽鎖導入染色体を有するマウス等の導入遺伝子および導入染色体上にヒト免疫グロブリン配列を有するマウスを使用して、産生され得る。本明細書において「KMマウス(登録商標)」と称されるそのようなマウスは、国際公開第WO 02/43478号において詳細に記載される。

なおもさらに、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する代替的なトランスジェニック動物系が当該技術分野で利用可能であり、本発明の抗VISTAおよび抗VISTA−Ig複合体抗体を産生するために使用され得る。例えば、Xenomouse(Abgenix,Inc.)と称される代替的なトランスジェニック系が使用されてもよく、そのようなマウスは、例えば、米国特許第5,939,598号、同第6,075,181号、同第6,114,598号、同第6,150,584号、および同第6,162,963号に記載される。

さらに、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現する代替的なトランスクロモソミック動物系が当該技術分野で利用可能であり、本発明の抗VISTAおよび抗VISTA−Ig複合体抗体を産生するために使用され得る。例えば、「TCマウス」と称されるヒト重鎖導入染色体およびヒト軽鎖導入染色体の両方を有するマウスが使用されてもよい。Tomizuka,et al.(2000)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:722−727を参照されたい。さらに、ヒト重鎖および軽鎖導入染色体を有するウシが、当該技術分野で説明されており(Kuroiwa,et al.(2002)Nature Biotechnology 20:889−894)、本発明の抗VISTAおよび抗VISTA−Ig複合体抗体を産生するために使用され得る。

本発明のヒトモノクローナル抗体はまた、免疫グロブリン遺伝子のライブラリーをスクリーニングするためのファージディスプレイ法を使用して調製され得る。ヒト抗体を単離するためのそのようなファージディスプレイ法は、当該技術分野で確立されている。例えば、米国特許第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,580,717号、同第5,969,108号、同第6,172,197号、同第5,885,793号、同第6,521,404号、同第6,544,731号、同第6,555,313号、同第6,582,915号、および同第6,593,081号を参照されたい。

本発明のヒトモノクローナル抗体はまた、免疫付与に応じてヒト抗体応答が生成され得るように、その中にヒト免疫細胞が再構成されているSCIDマウスを使用して調製され得る。例えば、米国特許第5,476,996号および同第5,698,767号を参照されたい。

ヒトIgマウスを使用して本発明のヒト抗体を産生する場合、そのようなマウスは、Lonberg,et al.(1994)Nature 368(6474):856−859、Fishwild,et al.(1996)Nature Biotechnology 14:845−851、国際公開第WO 98/24884号、および国際 公開第WO 01/14424号で説明されるように、VISTAおよびVISTA複合体ポリペプチドの精製または富化調製物で免疫付与され得る。好ましくは、マウスは、最初の注入時に6〜16週齢であろう。例えば、VISTAおよびVISTA複合体の精製または組み換え調製物(5〜50μg)を使用して、ヒトIgマウスに、腹腔内免疫付与を行うことができる。

他者による様々な抗原を用いた先行経験は、トランスジェニックマウスは、最初に、フロイント完全アジュバント中の抗原で腹腔内(IP)免疫付与が行われ、その後、フロイント不完全アジュバント中の抗原を用いた隔週のIP免疫付与(最大で合計6回)を行うと、応答することを示している。しかしながら、フロイント以外のアジュバントもまた、有効であることが発見されている。加えて、アジュバントの不在下での全細胞は、高度に免疫原性であることが発見されている。免疫応答は、後眼窩出血から得られる血漿試料を用いた免疫付与プロトコルの過程にわたって監視され得る。血漿は、ELISA(以下に記載される)によってスクリーニングされ得、抗VISTAまたは抗VISTA−Igヒト免疫グロブリンの十分な力価を有するマウスが、融合に使用され得る。マウスは、屠殺および脾臓の除去の3日前に抗原で静脈内に追加免疫され得る。各免疫付与に対して2〜3回の融合を行う必要があり得ると予想される。典型的には、6〜24匹のマウスに、各抗原の免疫付与が行われる。通常は、HCo7およびHCo12株の両方が使用される。加えて、HCo7およびHCo12導入遺伝子の両方が、2つの異なるヒト重鎖導入遺伝子(HCo7/HCo12)を有する単一のマウスに一緒に繁殖され得る。代替または追加として、KMマウス(登録商標)株が使用されてもよい。

本発明のヒトモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマの生成 本発明のヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを生成するために、免疫付与したマウスから脾細胞および/またはリンパ節細胞が単離され、マウス骨髄腫細胞株等の適切な不死化細胞株に融合され得る。結果として生じるハイブリドーマは、抗原特異的抗体の産生に関してスクリーニングされ得る。例えば、免疫化されたマウス由来の脾臓リンパ球の単細胞懸濁液は、50%PEGの非分泌型マウス骨髄腫細胞(ATCC、CRL 1580)であるP3X63−Ag8.653の数の6分の1に融合され得る。細胞は、おおよそ2×10−5で平底マイクロタイタープレートに播種した後、20% 胎児性Clone Serum、18%「653」条件培地、5% origen(IGEN)、4mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、5mMのHEPES、0.055mMの2−メルカプトエタノール、50ユニット/mlのペニシリン、50mg/mlのストレプトマイシン、50mg/mlのゲンタマイシン、および1×HAT(Sigma;HATは、融合の24時間後に添加される)を含有する選択培地において2週間インキュベーションされ得る。おおよそ2週間後、細胞は、HATをHTと置き換えた培地で培養され得る。次いで、個々のウェルが、ELISAによってヒトモノクローナルIgMおよびIgG抗体に関してスクリーニングされ得る。いったん広範囲のハイブリドーマ成長が生じると、培地は、通常10〜14日後に観察され得る。ハイブリドーマを分泌する抗体を、再播種し、再度スクリーニングしてもよく、ヒトIgGに関して依然として陽性の場合、モノクローナル抗体は、限界希釈によって少なくとも2回サブクローニングされ得る。次いで、安定したサブクローンを、インビトロで培養して、特徴付けのための組織培養培地中で少量の抗体を生成することができる。

ヒトモノクローナル抗体を精製するために、選択されたハイブリドーマを、モノクローナル抗体精製のための2リットルのスピナーフラスコ中で成長させてもよい。タンパク質A−Sepharose(Pharmacia,Piscataway,N.J.)を用いた親和性クロマトグラフィーの前に、上清が濾過および濃縮され得る。溶出したIgGは、純度を確実にするために、ゲル電気泳動および高速液体クロマトグラフィーによって確認され得る。緩衝溶液はPBSに交換されてもよく、濃度は、1.43の吸光係数を使 用してOD280で判定され得る。モノクローナル抗体は、アリコートに分け、−80℃で保管され得る。

トランスジェニック動物 本発明の宿主細胞を用いて、非ヒトトランスジェニック動物を産生することもできる。例えば、一実施形態において、本発明の宿主細胞は、VISTAコード配列が導入された受精卵母細胞または胚幹細胞である。その後、そのような宿主細胞を用いて、外因性VISTA配列がそれらのゲノムまたは内因性VISTA配列が改変された相同組み換え動物に導入された、非ヒトトランスジェニック動物を作成することができる。そのような動物は、VISTAの機能および/または活性の研究、ならびにVISTA活性の調節剤の特定および/または評価に有用である。本明細書に使用される際、「トランスジェニック動物」は、非ヒト動物、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、ラットまたはマウス等の齧歯類であり、これらの動物の細胞のうちの1つ以上が導入遺伝子を含む。トランスジェニック動物の他の例には、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、トリ、両生類等が挙げられる。導入遺伝子は、トランスジェニック動物がそこから作成され、成熟動物のゲノム内に留まる細胞のゲノムに統合され、それによってトランスジェニック動物の1つ以上の細胞型または組織においてコードされた遺伝子産物の発現を指示する、外因性DNAである。本明細書に使用される際、「相同組み換え動物」は、非ヒト動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウスであり、これらの動物が作成される前に、内因性VISTA遺伝子が、内因性遺伝子と動物の細胞(例えば、動物の胚細胞)に導入される外因性DNA分子との間の相同組み換えによって改変されている。本発明のトランスジェニック動物は、例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染によってVISTAコード核酸を受精卵母細胞の雄前核に導入し、偽妊娠した雌里親動物における卵母細胞の成長を可能にすることによって作成され得る。配列番号1または4のVISTA cDNA配列は、導入遺伝子として非ヒト動物のゲノムに導入され得る。あるいは、サルまたはラットVISTA遺伝子等、ヒトVISTA遺伝子の非ヒト相同体を導入遺伝子として用いることができる。あるいは、別のVISTAファミリーメンバー等のVISTA遺伝子相同体は、配列番号1または3のVISTA cDNA配列へのハイブリダイゼーションに基づいて単離され、導入遺伝子として用いることができる。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルを導入遺伝子に含めて、導入遺伝子の発現の効率を高めることもできる。組織特異的制御配列(複数可)は、VISTA導入遺伝子に動作可能に連結されて、特定の細胞にVISTAポリペプチドの発現を指示することができる。胚操作およびマイクロインジェクションによってトランスジェニック動物、具体的には、マウス等の動物を生成するための方法は、当該技術分野で定着しており、例えば、米国特許第4,736,866号および同第4,870,009号(Leder,et al.)、米国特許第4,873,191号(Wagner et al.)、ならびにManipulating the Mouse Embryo(Hogan,B.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1986)に記載されている。同様の方法他のトランスジェニック動物の産生に用いられる。トランスジェニック創始動物は、そのゲノムにおけるVISTA導入遺伝子の存在および/または動物の組織もしくは細胞におけるVISTA mRNAの発現に基づいて特定され得る。その後、トランスジェニック創始動物を用いて、導入遺伝子を有するさらなる動物を繁殖させることができる。さらに、VISTAポリペプチドをコードする導入遺伝子を有するトランスジェニック動物は、他の導入遺伝子を有する他のトランスジェニック動物にさらに繁殖し得る。

相同組み換え動物を作成するために、欠失、付加、または置換を導入し、それによってVISTA遺伝子を改変、例えば、機能的に破壊した、VISTA遺伝子の少なくとも一部を含むベクターが調製される。このVISTA遺伝子は、ヒトまたはマウス遺伝子(例えば、配列番号1または3のcDNA)であり得る。

別の実施形態において、導入遺伝子の制御された発現を可能にする選択された系を含むトランスジェニック非ヒト動物を産生することができる。そのような系の一例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。cre/loxPリコンビナーゼ系の説明については、例えば、Lakso et al.(1992)Proc Natl.Acad.Sci.USA 89:6232−6236を参照されたい。リコンビナーゼ系の別の例は、サッカロマイセスセレビシエのFLPリコンビナーゼ系である(O’Gorman et al.(1991)Science 251:1351−1355)。cre/loxPリコンビナーゼ系を用いて導入遺伝子の発現を制御する場合、Creリコンビナーゼと選択されたポリペプチドの両方をコードする導入遺伝子を含む動物が必要とされる。そのような動物は、「二重」トランスジェニック動物の構築によって、例えば、一方が選択されたポリペプチドをコードする導入遺伝子を含み、他方がリコンビナーゼをコードする導入遺伝子を含む、2匹のトランスジェニック動物を交配することによって提供され得る。

本明細書に記載される非ヒトトランスジェニック動物のクローンは、Wilmut,et al.(1997)Nature 385:810−813、国際公開第WO97/07668号、および同第WO97/07669号に記載の方法に従って産生され得る。手短には、トランスジェニック動物由来の細胞、例えば、体細胞が、単離され、成長周期を出てG0期に入るよう誘導され得る。その後、静止細胞は、例えば、電気パルスを用いて、静止細胞が単離される同一の種の動物由来の除核卵母細胞に融合され得る。その後、再構築された卵母細胞は、桑実胚期または胞胚期に発育し、その後、偽妊娠した雌里親動物に移されるように培養される。この雌里親動物由来の子孫は、細胞、例えば、体細胞が単離される動物のクローンである。

標識 本明細書に記載されるポリペプチド、複合体、および抗体は、翻訳後に修飾されて、エフェクター部分、例えば、化学リンカー、検出可能部分、例えば、蛍光色素、酵素、基質、生物発光物質、放射性物質、化学発光部分、細胞毒性剤、放射性物質、または機能性部分等を付加することができる。

様々な実体、例えば、リガンドは、当該技術分野で既知のオリゴヌクレオチドにカップリングされ得る。リガンドには、天然に存在する分子、または組み換え体、または合成分子が含まれ得る。例示的なリガンドには、アビジン、ビオチン、ペプチド、ペプチド模倣体、ポリリシン(PLL)、ポリエチレングリコール(PEG)、mPEG、カチオン性基、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、サイロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、サーファクタントタンパク質A、ムチン、グリコシル化ポリアミノ酸、トランスフェリン、アプタマー、免疫グロブリン(例えば、抗体)、インスリン、トランスフェリン、アルブミン、糖、親油性分(例えば、ステロイド、胆汁酸、コレステロール、コール酸、および脂肪酸)、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキーサル、ビタミン補因子、リポ多糖、ホルモンおよびホルモン受容体、レクチン、炭水化物、多価炭水化物、放射性標識マーカー、蛍光色素、ならびにこれらの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。例えば、米国特許第6,153、737号、同第6,172,208号、同第6,300,319号、同第6,335,434号、同第6,335,437号、同第6,395,437号、同第6,444,806号、同第6,486,308号、同第6,525,031号、同第6,528,631号、および同第6,559、279号を参照されたい。

さらに、インビボにおける半減期を延長させる(例えば、血流からのクリアランスまでの時間を長くすることによって)部分が抗原またはエピトープに付加され得る。そのよう な技法には、例えば、PEG部分の付加(ペグ化とも称される)が含まれ、当該技術分野で周知である。米国特許出願公開第2003/0031671号を参照されたい。

本明細書に記載される抗原、抗体、またはその抗原結合フラグメントは、それが無作為でない化学的または物理的相互作用によって固体標識と会合されるときに、基質に「結合」され得る。この結合は、共有結合を介し得る。しかしながら、結合は、共有的または恒久的である必要はない。物質は、「スペーサー分子」または「リンカー基」を介して標識に結合され得る。そのようなスペーサー分子は、生物学的物質に結合する第1の部分と標識に結合する第2の部分とを有する分子である。したがって、標識に結合されると、スペーサー分子は、標識と生物学的物質とを分離するが、これらの両方に結合される。生物学的物質(例えば、標識)と標識を結合させる方法は、当該技術分野で周知であり、化学的カップリングが含まれるが、これに限定されない。

検出可能な標識 本明細書に記載されるVISTA−VISTA複合体は、翻訳後に修飾されて、エフェクター標識、例えば、化学リンカー、検出可能な標識、例えば、蛍光色素、酵素、基質、生物発光物質、放射性物質、および化学発光標識等、または機能標識、例えば、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、細胞毒素、細胞毒性剤、および放射性物質等を付加することができる。さらなる例示的な酵素には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、およびルシフェラーゼが含まれるが、これらに限定されない。さらなる例示的なの蛍光物質には、ローダミン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ウンベリフェロン、ジクロロトリアジニルアミン、フィコエリトリン、およびダンシルクロリドが含まれるが、これらに限定されない。さらなる例示的なの化学発光標識には、ルミノールが含まれるが、これに限定されない。さらなる例示的な生物発光物質には、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびエクオリンが含まれるが、これらに限定されない。さらなる例示の放射性物質には、ビスマス−213(213Bs)、炭素−14(14C)、炭素−11(11C)、塩素−18(Cl18)、クロム−51(51Cr)、コバルト−57(57Co)、コバルト−60(60Co)、銅−64(64Cu)、銅−67(67Cu)、ジスプロシウム−165(165Dy)、エルビウム−169(169Er)、フッ素−18(18F)、ガリウム−67(67Ga)、ガリウム−68(68Ga)、ゲルマニウム−68(68Ge)、ホルミウム−166(166Ho)、インジウム−111(111In)、ヨウ素−125(125I)、ヨウ素−123(124I)、ヨウ素−124(124I)、ヨウ素−131(131I)、イリジウム−192(192Ir)、鉄−59(59Fe)、クリプトン−81(81Kr)、鉛−212(212Pb)、ルテチウム−177(177Lu)、モリブデン−99(99Mo)、窒素−13(13N)、酸素−15(15O)、パラジウム−103(103Pd)、リン−32(32P)、カリウム−42(42K)、レニウム−186(186Re)、レニウム−188(188Re)、ルビジウム−81(81Rb)、ルビジウム−82(82Rb)、サマリウム−153(153Sm)、セレン−75(75Se)、ナトリウム−24(24Na)、ストロンチウム−82(82Sr)、ストロンチウム−89(89Sr)、硫黄−35(35S)、テクネチウム−99m(99Tc)、タリウム−201(201Tl)、トリチウム(3H)、キセノン−133(133Xe)、イッテルビウム−169(169Yb)、イッテルビウム−177(177Yb)、およびイットリウム−90(90Y)が含まれるが、これらに限定されない。

細胞毒性剤 細胞毒性剤を作製するために、本発明のVISTAポリペプチド−VISTA複合体は、当該技術分野で既知の技法を用いて毒素に連結されるか、または動作可能に結合され得る。本発明のポリペプチドまたは抗体に複合体化され得る様々な毒素が知られている。例 には、多数の有用な植物、真菌、またはさらには細菌由来の毒素が挙げられ、一例として、様々なA鎖毒素、具体的には、リシンA鎖;リボソーム不活性化タンパク質、例えば、サポリンまたはゲロニン;α−サルシン;アスペルギリン;レストリクトシン;およびリボヌクレアーゼ、例えば、胎盤リボヌクレアーゼ、血管新生、ジフテリア毒素、またはシュードモナス外毒素が挙げられる。本発明に関連した使用に好ましい毒素部分は、炭水化物残基を修飾または除去するように処理された毒素A鎖、脱グリコシル化A鎖である。米国特許第5,776,427号。

本明細書に記載されるVISTA−VISTA複合体は、メトトレキサート、アミノプテリン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジンを含むが、これらに限定されない細胞毒性剤;アルキル化剤、例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1−メチルニトロソ尿素、シクロソスファミド、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、シス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)、シスプラチン、およびカルボプラチン(パラプラチン);ダウノルビシン(かつてのダウノマイシン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、およびビサントレンを含むアントラサイクリン;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリケアマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC)を含む抗生物質;ならびに抗有糸分裂剤、例えば、ビンカアルカロイド、ビンクリスチン、およびビンブラスチンに複合体化され得る。他の細胞毒性剤には、パクリタキセル(TAXOL(登録商標))、リシン、緑膿菌外毒素、ゲムシタビン、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、エトポシド、テノポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、コルチコステロイド、マイトタン(O,P’−(DDD))、インターフェロン、およびこれらの細胞毒性剤の混合物が含まれる。

さらなる細胞毒性剤には、例えば、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、カリケアマイシン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ブレオマイシン、VEGFアンタゴニスト、EGFRアンタゴニスト、プラチン、タキソール、イリノテカン、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、ロイコボリン、ステロイド、シクロホスファミド、メルファラン、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビン)、ムスチン、チロシンキナーゼ阻害剤、放射線療法、性ホルモンアンタゴニスト、選択的アンドロゲン受容体調節剤、選択的エストロゲン受容体調節剤、PDGFアンタゴニスト、TNFアンタゴニスト、IL−1アンタゴニスト、インターロイキン(例えば、IL−12またはIL−2)、IL−12Rアンタゴニスト、毒素抱合モノクローナル抗体、腫瘍抗原特異的モノクローナル抗体、Erbitux(登録商標)、Avastin(登録商標)、ペルツズマブ、抗CD20抗体、Rituxan(登録商標)、オクレリズマブ、オファツムマブ、DXL625、Herceptin(登録商標)、またはこれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。リシン、ジフテリア毒素、およびシュードモナス毒素等の植物および細菌由来の毒性酵素は、ヒト化抗体、またはその結合フラグメントに複合体化されて、細胞型特異的殺試薬を生成することができる。Youle,et al.(1980)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5483、Gilliland,et al.(1980)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:4539、Krolick,et al.(1980)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 77:5419。他の細胞毒性剤には、細胞毒性リボヌクレアーゼが含まれる。米国特許 第6,653,104号を参照されたい。

本明細書に記載されるVISTAタンパク質は、αまたはβ粒子を放出する放射性核種(例えば、放射性免疫複合体)に複合体化され得る。そのような放射性同位体には、β放射体、例えば、リン−32(32P)、スカンジウム−47(47Sc)、銅−67(67Cu)、ガリウム−67(67Ga)、イットリウム−88(88Y)、イットリウム−90(90Y)、ヨウ素−125(125I)、ヨウ素−131(131I)、サマリウム−153(153Sm)、ルテチウム−177(177Lu)、レニウム−186(186Re)、レニウム−188(188Re)、およびα放射体、例えば、アスタチン−211(211At)、鉛−212(212Pb)、ビスマス−212(212Bi)、ビスマス−213(213Bi)、またはアクチニウム−225(225Ac)が含まれるが、これらに限定されない。

Hunter,et al(1962)Nature 144:945、David,et al.(1974)Biochemistry 13:1014、Pain,et al.(1981)J.Immunol.Meth.40:219、およびNygren(1982)Histochem and Cytochem,30:407によって説明される方法等の本明細書に記載されるVISTA−VISTA複合体を標識に複合体化するための方法が当該技術分野で既知ある。

基質 本明細書に記載されるVISTA−VISTA複合体は、基質に結合され得る。当該技術分野で既知のいくつかの基質(例えば、固体支持体)は、本明細書に記載されるVISTA−VISTA複合体との使用に好適である。この基質は、チャネルまたは他の構成を含むように修飾され得る。Fung(2004)[Ed.]Protein Arrays:Methods and Protocols Humana Press and Kambhampati(2004)[Ed.]Protein Microarray Technology John Wiley&Sonsを参照されたい。

基質物質には、アクリル、アガロース、ホウケイ酸ガラス、炭素(例えば、炭素ナノ繊維シートシートまたはペレット)、酢酸セルロース、セルロース、セラミック、ゲル、ガラス(例えば、無機、制御細孔、修飾、ソーダ石灰、または機能化ガラス)、ラテックス、電磁ビーズ、膜、金属、半金属、ニトロセルロース、NYLON(登録商標)、光ファイバー束、有機ポリマー、紙、プラスチック、ポリアクリロイルモルホリド、ポリ(4−メチルブテン)、ポリ(テレフタル酸エチレン)、ポリ(酪酸ビニル)、ポリアクリルアミド、ポリブチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、テレフタル酸ポリエチレングリコール、ポリホルムアルデヒド、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、多糖、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリビニルピロリジノン、レーヨン、樹脂、ゴム、半導体物質、セファロース(登録商標)、シリカ、シリコン、スチレンコポリマー、TEFLON(登録商標)、および様々な他のポリマーが含まれるが、これらに限定されない。

基質は、平らでなくてもよく、球形(例えば、ビーズ)または円筒形(例えば、繊維)を含む任意の種類の形状を含んでもよい。固体支持体に結合される物質は、固体支持体の任意の部分に結合し得る(例えば、多孔性固体支持体物質の内部に結合し得る)。

基質本体は、ビーズ、ボックス、カラム、円筒、ディスク、皿(例えば、ガラス皿、ペトリ皿)、繊維、フィルム、フィルター、マイクロタイタープレート(例えば、96ウェルマイクロタイタープレート)、多ブレードスティック、網、ペレット、プレート、リン グ、ロッド、ロール、シート、スライド、スティック、トレイ、管、またはバイアルの形態であり得る。基質は、単数の別個の本体(例えば、単一の管、単一のビース)、いくつもの複数の基質本体(例えば、1棚10個の管、いくつかのビーズ)、またはこれらの組み合わせ(例えば、1つのトレイが、複数のマイクロタイタープレート、ビーズを充填したカラム、ビーズを充填したマイクロタイタープレートを含む)であり得る。

VISTA−VISTA複合体は、無作為でない化学的または物理的相互作用によって固体基質と会合するときに、基質に「結合」され得る。この結合は、共有結合を介し得る。しかしながら、結合は、共有的または恒久的である必要はない。物質は、「スペーサー分子」または「リンカー基」を介して基質に結合され得る。そのようなスペーサー分子は、生物学的物質に結合する第1の部分と基質に結合する第2の部分とを有する分子である。したがって、基質に結合されるとき、スペーサー分子は、基質と生物学的物質とを分離するが、これらの両方に結合している。生物学的物質(例えば、標識)を基質に結合する方法は、当該技術分野で周知であり、化学的カップリングを含むが、これに限定されない。

固相合成反応のために固相を支持および含有するマイクロタイタープレート等のプレートが用いられ得る。マイクロタイタープレートは、固相として用いられるビーズを収容し得る。本明細書において「粒子」または「微小粒子」または「ナノ粒子」または「ビーズ」または「マイクロビーズ」または「ミクロスフェア」とは、様々な形状または大きさのいずれかを有する微粒子物体を意味する。形状は、一般に球形であり得るが、球形でなくてもよく、例えば、円筒形または多面体であり得る。当業者が理解するように、これらの粒子は、それらの用途に応じて様々な物質を含み得、架橋デンプン、デキストラン、セルロース、タンパク質、スチレンポリマー、例えば、ポリスチレンおよびメチルスチレン、ならびに他のスチレンコポリマーを含む有機ポリマー、プラスチック、ガラス、セラミック、アクリルポリマー、磁気応答物質、コロイド、トリアゾール、炭素黒鉛、二酸化チタン、ナイロン、ラテックス、およびTEFLON(登録商標)を含むが、これらに限定されない。例えば、Bangs Laboratories,Fishers,INの“Microsphere Detection Guide”を参照されたい。

本明細書に記載されるVISTA−VISTA複合体は、本明細書に記載される基質の形態(例えば、ビーズ、ボックス、カラム、シリンダー、ディスク、皿(例えば、ガラス皿、ペトリ皿)、繊維、フィルム、フィルター、マイクロタイタープレート(例えば、96ウェルマイクロタイタープレート)、多ブレードスティック、網、ペレット、プレート、リング、ロッド、ロール、シート、スライド、スティック、トレイ、管、またはバイアル)のうちのいずれかに結合され得る。具体的には、粒子またはビーズは、ゲル化物質の構成成分であり得るか、または様々な合成プラスチック(例えば、ポリスチレン)でできたラテックスビーズ等の別個の構成成分であり得る。標識(例えば、ストレプトアビジン)は、基質(例えば、ビーズ)に結合され得る。

薬学的組成物 「薬学的組成物」とは、哺乳動物への投与に好適な化学的または生物学的組成物を指す。そのような組成物は、特に、口腔、皮膚上、硬膜外、吸入、動脈内、頸動脈内、脳室内、皮内、筋肉内、鼻腔内、眼内、腹腔内、髄腔内、くも膜下腔内、静脈内、経口、非経口、かん腸または坐薬による直腸投与、皮下、真皮下、舌下、経皮、および経粘膜を含むがこれらに限定されない、いくつかの経路のうちの1つ以上による投与のために製剤化され得る。加えて、投与は、注入、粉末、液体、ゲル、ドロップ、または他の投与手段によって生じ得る。

上述のような組成物は、所望の抗原、例えば、腫瘍抗原、または別の免疫調節化合物、 例えば、Toll様受容体アゴニスト、1型インターフェロン、例えば、αおよびβインターフェロン、ならびにCD40アゴニスト、例えば、アゴニストCD40抗体および抗体フラグメント、好ましくは、抗ヒトCD40アゴニスト性抗体および抗体フラグメント、または他の免疫エンハンサーもしくはサプレッサー、例えば、PD−L1、PD−L2、CTLA4融合タンパク質、およびそれに特異的な抗体をさらに含み得る。

一実施形態において、抗原は、癌抗原または腫瘍抗原であり得る。「癌抗原」および「腫瘍抗原」という用語は、互換的に使用され、癌細胞によって差次的に発現される抗原を指す。したがって、癌細胞に対する免疫応答を差次的に標的とするために癌抗原が活用され得る。それ故に、癌抗原は、腫瘍特異的免疫応答を刺激する可能性があり得る。ある特定の癌抗原が正常細胞によってコードされるが、必ずしも発現されるわけではない。これらの抗原のうちのいくつかは、正常細胞において通常サイレントである(すなわち、発現されない)抗原、ある特定の分化段階でのみ発現される抗原、および一過的に発現される抗原(例えば、胚および胎児抗原)と見なされ得る。他の癌抗原は、例えば、癌遺伝子(例えば、活性化ras癌遺伝子)、サプレッサー遺伝子(例えば、変異体p53)、または内部欠失もしくは染色体転座に起因した融合タンパク質等の突然変異体細胞遺伝子によってコードされ得る。さらなる他の癌抗原は、RNAおよびDNA腫瘍ウイルスによって担持される遺伝子等のウイルス遺伝子によってコードされ得る。

腫瘍抗原の例として、MAGE、MART−1/Melan−A、gp100、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPUV)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、シクロフィリンb、結腸直腸結合抗原(CRC)−C017−1A/GA733、癌胎児性抗原(CEA)およびその抗原エピトープ(CAP−1およびCAP−2)、etv6、am11、前立腺特異抗原(PSA)およびその抗原エピトープ(PSA−1、PSA−2、およびPSA−3)、前立腺特異膜抗原(PSMA)、T細胞受容体/CD3−ζ鎖、腫瘍抗原のMAGEファミリー(例えば、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A5、MAGE−A6、MAGE−A7、MAGE−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、MAGE−A12、MAGE−Xp2(MAGE−B2)、MAGE−Xp3(MAGE−B3)、MAGE−Xp4(MAGE−B4)、MAGE−C1、MAGE−C2、MAGE−C3、MAGE−C4、MAGE−C5)、腫瘍抗原のGAGEファミリー(例えば、GAGE−1、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7、GAGE−8、GAGE−9)、BAGE、RAGE、LAGE−1、NAG、GnT−V、MUM−1、CDK4、チロシナーゼ、p53、MUCファミリー、HER2/neu、p21ras、RCAS1、α−フェトプロテイン、ε−カドヘリン、α−カテニン、β−カテニン、γ−カテニン、p120ctn、gp10.sup.Pmel117、PRAME、NY−ESO−1、cdc27、腺腫様結腸ポリポーシスタンパク質(APC)、フォドリン、コネキシン37、Ig−イディオタイプ、p15、gp75、GM2およびGD2ガングリオシド、ウイルス産物、例えば、ヒト乳頭腫ウイルスタンパク質、腫瘍抗原のSmadファミリー、Imp−1、PIA、EBVコード核抗原(EBNA)−1、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、SSX−1、SSX−2(HOM−MEL−40)、SSX−3、SSX−4、SSX−5、SCP−1、およびCT−7、ならびにc−erbB−2が挙げられる。

癌または腫瘍、およびそのような腫瘍に結合する特定の(排他的ではない)腫瘍抗原には、急性リンパ芽球性白血病(etv6、aml1、シクロフィリンb)、B細胞リンパ腫(Ig−idiotype)、神経膠腫(E−カドヘリン、α−カテニン、β−カテニン、γ−カテニン、p120ctn)、膀胱癌(p21ras)、胆道癌(p21ras)、乳癌(MUCファミリー、HER2/neu、c−erbB−2)、子宮頸癌腫(p53、p21ras)、結腸癌腫(p21ras、HER2/neu、c−erbB−2 、MUCファミリー)、結腸直腸癌(結腸直腸結合抗原(CRC)−CO17−1A/GA733、APC)、絨毛腫(CEA)、上皮細胞癌(シクロフィリンb)、胃癌(HER2/neu、c−erbB−2、ga733糖タンパク質)、肝細胞癌(α−フェトプロテイン)、ホジキンリンパ腫(Imp−1、EBNA−1)、肺癌(CEA、MAGE−3、NY−ESO−1)、リンパ細胞由来白血病(シクロフィリンb)、黒色腫(p5タンパク質、gp75、腫瘍胎児抗原、GM2およびGD2ガングリオシド、Melan−A/MART−1、cdc27、MAGE−3、p21ras、gp100.sup.Pmel117)、骨髄腫(MUCファミリー、p21ras)、非小細胞肺癌腫(HER2/neu、c−erbB−2)、鼻咽腔癌(Imp−1、EBNA−1)、卵巣癌(MUCファミリー、HER2/neu、c−erbB−2)、前立腺癌(前立腺特異抗原(PSA)およびその抗原エピトープPSA−1、PSA−2、およびPSA−3、PSMA、HER2/neu、c−erbB−2、ga733糖タンパク質)、腎臓癌(HER2/neu、c−erbB−2)、頸部および食道の扁平上皮細胞癌(ヒト乳頭腫ウイルスタンパク質等のウイルス産物)、精巣癌(NY−ESO−1)、ならびにT細胞性白血病(HTLV−1エピトープ)が含まれる。

「薬学的賦形剤」または「薬学的に許容される賦形剤」は、活性治療剤が製剤化される担体、通常、液体である。本発明の一実施形態において、活性治療剤は、本明細書に記載されるヒト化抗体、またはその1つ以上のフラグメントである。賦形剤は、一般に、製剤にいかなる薬理学的活性も提供しないが、化学的および/または生物学的安定性ならびに放出特性を提供し得る。例示的な製剤は、例えば、Grennaro(2005)[Ed.]Remington:The Science and Practice of Pharmacy[21st Ed.]に見出され得る。

薬学的組成物は、典型的には、製造および保管条件下で滅菌であり、かつ安定していなければならない。本発明は、薬学的組成物が凍結乾燥形態で存在することを企図する。この組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高薬物濃度に好適な他の秩序構造として製剤化され得る。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、ならびにこれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒体であり得る。本発明は、薬学的組成物中への安定剤の包含をさらに企図する。

本明細書に記載されるポリペプチド、複合体、および抗体は、様々な剤形の薬学的組成物に製剤化され得る。本発明の薬学的組成物を調製するために、活性成分として少なくとも1つのVISTA−VISTA複合体が、薬学的製剤の当業者に周知の技法に従って適切な担体および添加物と本質的に混合され得る。Grennaro(2005)[Ed.]Remington:The Science and Practice of Pharmacy[21st Ed.]を参照されたい。例えば、本明細書に記載される抗体は、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)中で製剤化され、5.0mg/mLの透明無色の液体溶液として供給され得る。

同様に、液体調製物用の組成物には、水、アルコール、油、グリコール、防腐剤、香味剤、着色剤、および懸濁化剤を含むがこれらに限定されない、好適な担体および添加物を有する溶液、エマルジョン、分散液、懸濁液、シロップ、およびエリキシル剤が含まれる。非経口投与用の典型的な調製物は、滅菌水、またはポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、ラッカセイ油、またはゴマ油を含むがこれらに限定されない、非経口的に許容される油等の担体を有する活性成分を含み、溶解性または保存を支援する他の添加物も含まれ得る。溶液の場合、これは、粉末に凍結乾燥されて、その後、使用直前に再構成され得る。分散液および懸濁液の場合、適切な担体および添加物は、水性ガム、セルロース、ケイ酸塩、または油を含む。

列挙される実施形態のそれぞれにおいて、VISTA−VISTA複合体は、様々な剤形で投与され得る。当業者に既知の任意の生物学的に許容される剤形およびそれらの組み合わせが企図される。そのような剤形の例として、再構成可能な粉末、エリキシル剤、液体、溶液、懸濁液、エマルジョン、粉末、顆粒、粒子、微小粒子、分散性顆粒、カシェ剤、吸入剤、エアロゾル吸入剤、パッチ、粒子吸入剤、インプラント、デポーインプラント、注入可能物(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)、輸液、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。

多くの場合、組成物中への等張剤、例えば、糖、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムの包含が好ましい。注入可能な組成物の持続的吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを包含することによってもたらされ得る。さらに、本明細書に記載される化合物は、徐放性製剤、例えば、持続放出ポリマーを含む組成物中で製剤化され得る。VISTA−VISTA複合体は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤等の化合物の迅速な放出を防ぐ担体とともに調製され得る。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、およびポリ乳酸ポリグリコール酸コポリマー(PLG)等の生分解性生体適合性ポリマーが用いられ得る。そのような製剤を調製するための多くの方法が当業者に既知である。

補助的な活性化合物も組成物に組み込まれ得る。

例えば、組成物は、所望の抗原、例えば、腫瘍抗原、または別の免疫調節化合物、例えば、Toll様受容体アゴニスト、1型インターフェロン、例えば、αおよびβインターフェロンおよびCD40アゴニスト、例えば、アゴニストCD40抗体および抗体フラグメント、好ましくは、抗ヒトCD40アゴニスト性抗体および抗体フラグメント、または他の免疫エンハンサーもしくはサプレッサー、例えば、PD−L1、PD−L2、CTLA4融合タンパク質、およびそれに特異的な抗体をさらに含み得る。

VISTAを含む組成物は、抗原または他の免疫アゴニストをさらに含み得る。この抗原は、組み合わせの他の成分と組み合わせて抗原に対する免疫応答を生成するのに有効な量で投与され得る。例えば、抗原は、約100μg/kg〜約100mg/kgの量で投与され得る。いくつかの実施形態において、抗原は、約10μg/kg〜約10mg/kgの量で投与され得る。いくつかの実施形態において、抗原は、約1mg/kg〜約5mg/kgの量で投与され得る。しかしながら、免疫応答を生成するのに有効な量を構成する抗原の特定の量は、ある特定の要素、例えば、投与される特定の抗原、投与される特定のアゴニストおよびその量、投与される特定のアゴニストおよびその量、免疫系の状態、アゴニストおよび抗原の投与方法および順序、製剤が投与される種、ならびに所望の治療結果等にある程度依存する。したがって、有効量の抗原を構成する量を一般に記述するのは現実的ではない。しかしながら、当業者であれば、そのような要素を考慮して適切な量を容易に決定することができる。

抗原は、例えば、CD8+T細胞応答、NK T細胞応答、γ/δT細胞応答、またはTh1抗体応答のうちの1つ以上を含み得るTh1免疫応答を引き起こすことができる任意の物質であり得る。好適な抗原には、ペプチド;ポリペプチド;脂質;糖脂質;多糖;炭水化物;ポリヌクレオチド;プリオン;生きているか、または不活性化された細菌、ウイルス、または真菌;および細菌、ウイルス、真菌、原虫、腫瘍由来、または生物由来抗原、毒素、またはトキソイドが含まれるが、これらに限定されない。

なおもさらに、ある特定の現在のところ実験的な抗原、具体的には、強力な免疫応答を 引き起こさない組み換えタンパク質、糖タンパク質、およびペプチド等の物質は、本発明のアジュバントの組み合わせとともに用いられ得る。例示的な実験的サブユニット抗原には、アデノウイルス、AIDS、水疱瘡、サイトメガロウイルス、デング熱、猫白血病、家禽ペスト、A型肝炎、B型肝炎、HSV−1、HSV−2、豚コレラ、A型インフルエンザ、B型インフルエンザ、日本脳炎、麻疹、パラインフルエンザ、狂犬病、呼吸器合胞体ウイルス、ロタウイルス、疣贅、および黄熱等のウイルス性疾患に関連した抗原が含まれる。

この抗原は、癌抗原または腫瘍抗原であり得る。「癌抗原」および「腫瘍抗原」という用語は、互換的に使用され、癌細胞によって差次的に発現される抗原を指す。したがって、癌細胞に対する免疫応答を差次的に標的とするために癌抗原が活用され得る。それ故に、癌抗原は、腫瘍特異的免疫応答を刺激する可能性があり得る。ある特定の癌抗原が正常細胞によってコードされるが、必ずしも発現されるわけではない。これらの抗原のうちのいくつかは、正常細胞において通常サイレントである(すなわち、発現されない)抗原、ある特定の分化段階でのみ発現される抗原、および一時的に発現される抗原(例えば、胚および胎児抗原)と見なされ得る。他の癌抗原は、例えば、癌遺伝子(例えば、活性化ras癌遺伝子)、サプレッサー遺伝子(例えば、変異体p53)、または内部欠失もしくは染色体転座に起因した融合タンパク質等の変異体細胞遺伝子によってコードされ得る。さらなる他の癌抗原は、RNAおよびDNA腫瘍ウイルスによって担持される遺伝子等のウイルス遺伝子によってコードされ得る。

腫瘍抗原の例として、MAGE、MART−1/Melan−A、gp100、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPUV)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、シクロフィリンb、結腸直腸結合抗原(CRC)−C017−1A/GA733、癌胎児性抗原(CEA)およびその抗原エピトープ(CAP−1およびCAP−2)、etv6、am11、前立腺特異抗原(PSA)およびその抗原エピトープ(PSA−1、PSA−2、およびPSA−3)、前立腺特異膜抗原(PSMA)、T細胞受容体/CD3−ζ鎖、腫瘍抗原のMAGEファミリー(例えば、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A5、MAGE−A6、MAGE−A7、MAGE−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、MAGE−A12、MAGE−Xp2(MAGE−B2)、MAGE−Xp3(MAGE−B3)、MAGE−Xp4(MAGE−B4)、MAGE−C1、MAGE−C2、MAGE−C3、MAGE−C4、MAGE−C5)、腫瘍抗原のGAGEファミリー(例えば、GAGE−1、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7、GAGE−8、GAGE−9)、BAGE、RAGE、LAGE−1、NAG、GnT−V、MUM−1、CDK4、チロシナーゼ、p53、MUCファミリー、HER2/neu、p21ras、RCAS1、α−フェトプロテイン、ε−カドヘリン、α−カテニン、β−カテニン、γ−カテニン、p120ctn、gp10.sup.Pmel117、PRAME、NY−ESO−1、cdc27、腺腫様結腸ポリポーシスタンパク質(APC)、フォドリン、コネキシン37、Ig−イディオタイプ、p15、gp75、GM2およびGD2ガングリオシド、ウイルス産物、例えば、ヒト乳頭腫ウイルスタンパク質、腫瘍抗原のSmadファミリー、Imp−1、PIA、EBVコード核抗原(EBNA)−1、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、SSX−1、SSX−2(HOM−MEL−40)、SSX−3、SSX−4、SSX−5、SCP−1およびCT−7、ならびにc−erbB−2が挙げられる。

癌または腫瘍、およびそのような腫瘍に結合する特定の(排他的ではない)腫瘍抗原には、急性リンパ芽球性白血病(etv6、aml1、シクロフィリンb)、B細胞リンパ腫(Ig−idiotype)、神経膠腫(E−カドヘリン、α−カテニン、β−カテニン、γ−カテニン、p120ctn)、膀胱癌(p21ras)、胆道癌(p21ras )、乳癌(MUCファミリー、HER2/neu、c−erbB−2)、子宮頸癌腫(p53、p21ras)、結腸癌腫(p21ras、HER2/neu、c−erbB−2、MUCファミリー)、結腸直腸癌(結腸直腸結合抗原(CRC)−CO17−1A/GA733、APC)、絨毛腫(CEA)、上皮細胞癌(シクロフィリンb)、胃癌(HER2/neu、c−erbB−2、ga733糖タンパク質)、肝細胞癌(α−フェトプロテイン)、ホジキンリンパ腫(Imp−1、EBNA−1)、肺癌(CEA、MAGE−3、NY−ESO−1)、リンパ細胞由来白血病(シクロフィリンb)、黒色腫(p5タンパク質、gp75、腫瘍胎児抗原、GM2およびGD2ガングリオシド、Melan−A/MART−1、cdc27、MAGE−3、p21ras、gp100.sup.Pmel117)、骨髄腫(MUCファミリー、p21ras)、非小細胞肺癌腫(HER2/neu、c−erbB−2)、鼻咽腔癌(Imp−1、EBNA−1)、卵巣癌(MUCファミリー、HER2/neu、c−erbB−2)、前立腺癌(前立腺特異抗原(PSA)およびその抗原エピトープPSA−1、PSA−2、およびPSA−3、PSMA、HER2/neu、c−erbB−2、ga733糖タンパク質)、腎臓癌(HER2/neu、c−erbB−2)、頸部および食道の扁平上皮細胞癌(ヒト乳頭腫ウイルスタンパク質等のウイルス産物)、精巣癌(NY−ESO−1)、ならびにT細胞性白血病(HTLV−1エピトープ)が含まれる。

当業者であれば、例えば、本明細書の開示、ならびにGoodman,et al.(2011)Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics[12th Ed.]、Howland,et al.(2005)Lippincott’s Illustrated Reviews:Pharmacology[2nd Ed.];およびGolan,(2008)Principles of Pharmacology:The Pathophysiologic Basis of Drug Therapy[2nd Ed.]における教示によって導かれる日常的な実験を用いて有効な投薬量および投与頻度を決定することができるであろう。Grennaro(2005)[Ed.]Remington:The Science and Practice of Pharmacy[21st Ed.]も参照されたい。

投与経路 本明細書に記載される組成物は、以下の経路、すなわち口腔、皮膚上、硬膜外、輸液、吸入、動脈内、頸動脈内、脳室内、皮内、筋肉内、鼻腔内、眼内、腹腔内、髄腔内、くも膜下腔内、静脈内、経口、非経口、肺、かん腸または坐薬による直腸投与、皮下、真皮下、舌下、経皮、および経粘膜のうちのいずれかで投与され得る。好ましい投与経路は、静脈内注入または輸液である。投与は、局所的(組成物が、疾患、例えば、腫瘍の部位(複数可)に直接、その部位に近接して、その部位の局所に、その部位の付近に、その部位に、その部位周辺に、またはその部位の近くに投与される)であり得るか、あるいは全身的(組成物が、患者に投与され、広範囲にわたって体内を通過し、それにより疾患の部位(複数可)に到達する)であり得る。局所投与(例えば、注入)は、疾患を包含する、および/もしくは疾患を患う、細胞、組織、器官、および/もしくは器官系、ならびに/または疾患兆候および/もしくは症状が活発であるか、または生じる可能性の高い部分(例えば、腫瘍部位)への投与によって達成され得る。投与は、局所的であり局所効果をもたらし得、組成物は、その作用が所望される部分(例えば、腫瘍部位)に直接適用される。

列挙される実施形態のそれぞれについて、化合物は、当該技術分野で既知の様々な剤形で投与され得る。当業者に既知の任意の生物学的に許容される剤形およびそれらの組み合わせが企図される。そのような剤形の例として、チュアブル錠剤、即溶解性錠剤、発泡錠剤、再構成可能な粉末、エリキシル剤、液体、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、多層錠剤、二層錠剤、カプセル、軟質ゼラチンカプセル、硬質ゼラチンカプセル、カプレット 、トローチ剤、チュアブルトローチ剤、ビーズ、粉末、ガム、顆粒、粒子、微小粒子、分散性顆粒、カシェ剤、潅水剤(douche)、坐薬、クリーム、局所剤、吸入剤、エアロゾル吸入剤、パッチ、粒子吸入剤、インプラント、デポーインプラント、摂取可能物、注入可能物(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)、輸液、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。

混合剤に含まれ得る他の化合物は、例えば、医学的に不活性の成分(例えば、固体および液体希釈剤)、例えば、錠剤またはカプセルの場合、ラクトース、デキストローススクロース、セルロース、デンプン、またはリン酸カルシウム、軟カプセルの場合、オリーブ油またはオレイン酸エチル、および懸濁液またはエマルジョンの場合、水または植物油;滑沢剤、例えば、シリカ、滑石、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、またはステアリン酸カルシウムおよび/またはポリエチレングリコール;ゲル化剤、例えば、コロイド粘土;増粘剤、例えば、トラガカントガムまたはアルギン酸ナトリウム、結合剤、例えば、デンプン、アラビアガム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば、デンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、またはグリコール酸ナトリウムデンプン;発泡混合物;染料;甘味料;湿潤剤、例えば、レシチン、ポリソルベート、またはラウリルサルフェート;および他の治療的に許容される副成分、例えば、保湿剤、防腐剤、緩衝剤、および抗酸化物質であり、これらは、そのような製剤の既知の添加物である。

経口投与用の液体分散剤は、シロップ、エマルジョン、溶液、または懸濁液であり得る。シロップは、担体、例えば、スクロース、またはグリセロールおよび/もしくはマンニトールおよび/もしくはソルビトールを有するスクロースとして含有され得る。懸濁液およびエマルジョンは、担体、例えば、天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを含有し得る。

さらなる実施形態において、本発明は、有効量の本発明の1つ以上の抗体およびそのフラグメントを含む薬学的投薬量単位を含む1つ以上の容器を含むキットを提供する。キットは、取扱説明書、使用法、ラベル、マーケティング情報、注意事項、または情報パンフレットを含み得る。

投薬量 本発明の任意の実施形態に従う治療組成物中のVISTAまたはVISTA複合体の量は、個体の疾患状態、年齢、性別、体重、患者病歴、危険因子、疾患素因、投与経路、既存の治療レジメン(例えば、他の薬剤との可能性のある相互作用)、および体重等の要素によって異なり得る。投薬量レジメンを調整して、最適な治療応答を提供することができる。例えば、単回ボーラスが投与され得るか、いくつかに分割した用量が経時的に投与され得るか、または用量を治療状況の緊急事態によって示されるように比例的に減少または増加させてもよい。

投与の容易さおよび投薬量の均一性のために非経口組成物を単位剤形で製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される「単位剤形」とは、哺乳動物対象を治療するのに単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、必要とされる薬学的担体に関連して所望の治療効果をもたらすように計算された所与の量の抗体およびそのフラグメントを含有する。本発明の単位剤形の仕様は、抗体およびそのフラグメントの特有の特徴、達成されるべき特定の治療効果、ならびに個体の感受性を治療するためにそのような抗体およびそのフラグメントを配合する当該技術分野に固有の制限によって決定され、それらに直接依存する。本発明の抗体およびそのフラグメントまたはその適切な薬学的組成物が効果的である哺乳動物(例えば、ヒト)における状態の治療のための治療上の使用 において、本発明の抗体およびそのフラグメントは、有効量で投与され得る。本発明に好適な投薬物は、本明細書に記載される組成物、薬学的組成物、または任意の他の組成物であり得る。

投薬量は、単回用量、二回用量、三回用量、四回用量、および/または五回用量として投与され得る。投薬量は、単独で、同時に、および連続して投与され得る。

剤形は、当業者に既知の任意の放出形態であり得る。本発明の組成物を製剤化して、活性成分の即時放出または活性成分の持続放出もしくは制御放出を提供することができる。持続放出または制御放出調製において、活性成分の放出は、長時間にわたって(例えば、4〜24時間)血中濃度が毒性量未満の治療域内で維持されるような速度で生じ得る。好ましい剤形は、即時放出、長時間放出、パルス放出、可変放出、制御放出、徐放性、持続放出、遅延放出、長時間作用型、およびこれらの組み合わせを含み、当該技術分野で既知である。

本明細書で定義されるように、タンパク質またはポリペプチドの治療有効量(すなわち、有効投薬量)は、約0.001〜30mg/体重kg、好ましくは約0.01〜25mg/体重kg、より好ましくは約0.1〜20mg/体重kg、さらにより好ましくは約1〜10mg/体重kg、2〜9mg/体重kg、3〜8mg/体重kg、4〜7mg/体重kg、または5〜6mg/体重kgの範囲である。当業者であれば、疾患または障害の重症度、以前の治療、対象の全体的な健康状態および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含むがこれらに限定されないある特定の要素が、対象を効果的に治療するのに必要とされる投薬量に影響を及ぼし得ることを理解する。さらに、治療有効量のタンパク質、ポリペプチド、または抗体での対象の治療は、単回治療を含み得るか、または好ましくは、一連の治療を含み得る。

好ましい例において、対象は、約0.1〜20mg/体重kgの範囲の抗体、タンパク質、またはポリペプチドで週1回、約1〜10週間、好ましくは2〜8週間、より好ましくは約3〜7週間、さらにより好ましくは約4、5、または6週間治療される。治療に用いられる抗体、タンパク質、またはポリペプチドの有効投薬量が特定の治療にわたって増加または減少し得ることも理解される。投薬量の変化は、本明細書に記載される診断アッセイの結果に起因し、かつそれから明らかになり得る。

組成物の薬理学的活性を当該技術分野で既知の標準の薬理学的モデルを用いて監視することができることが理解される。なおもさらに、VISTA−VISTA複合体、抗体、またはその抗原結合フラグメントを含む組成物を、部位特異的送達に好適なポリマーマトリックスまたは膜に組み込むか、またはカプセル封入することができ、あるいは部位特異的送達を達成することができる特異的標的剤で機能化することができることが理解される。これらの技法、ならびに他の薬物送達技法は、当該技術分野で周知である。特定の状況における最適な投薬量の決定は、当業者の能力の範囲内である。例えば、Grennaro(2005)[Ed.]Remington:The Science and Practice of Pharmacy[21st Ed.]を参照されたい。

治療方法 本明細書に記載されるVISTA−VISTA複合体を、炎症性障害、自己免疫疾患を治療し、CD4+T細胞増殖を抑制し、CD8+T細胞増殖を抑制し、CD4+T細胞サイトカイン産生を抑制し、CD8+T細胞サイトカイン産生を抑制するための方法で用いることができ、この方法は、有効量のVISTA−VISTA複合体を、それを必要とする対象に投与することを含む。さらに、本明細書に記載されるVISTA−VISTA複合体を用いて、自己免疫疾患の治療、CD4+T細胞増殖の抑制、CD8+T細胞増殖の 抑制、CD4+T細胞サイトカイン産生の抑制、およびCD8+T細胞サイトカイン産生の抑制に用いるための医薬品を製造することができ、この医薬品は、有効量の本明細書に記載されるVISTA−VISTA複合体を含む。本明細書に記載されるVISTA−VISTA複合体を薬学的に許容される担体と混合して、自己免疫疾患を治療し、CD4+T細胞増殖を抑制し、CD8+T細胞増殖を抑制し、CD4+T細胞サイトカイン産生を抑制し、CD8+T細胞サイトカイン産生を抑制するための組成物を製造することができ、この組成物は、有効量の本明細書に記載されるVISTAまたはVISTA複合体を含む。

本明細書に記載される治療方法は、PD−L3またはVISTAの投与を含み得、新規な構造的に異なるIgスーパーファミリー阻害リガンドであり、その細胞外ドメインは、B7ファミリーリガンドPD−L1との相同性を有する。この分子は、本明細書において互換的に、PD−L3もしくはVISTA、またはT細胞活性化のVドメイン免疫グロブリン抑制因子(VISTA)と称される。VISTAは、主に造血コンパートメント内で発現し、骨髄性APCおよびT細胞上では高度に制御される。VISTA阻害性経路の治療的介入は、T細胞媒介性免疫を調節して様々な癌を治療するための新規のアプローチを示す。VISTAポリペプチド、複合体、核酸、リガンド、およびその調節剤は、免疫、特にT細胞免疫を制御して、自己免疫障害および炎症性障害を治療する際に有用であり得る。

VISTA、VISTA複合体(例えば、VISTA−Ig)、および抗VISTA抗体を用いて、結腸直腸癌、膀胱癌、卵巣癌、ならびに黒色腫、自己免疫障害、および炎症性障害を含むが、これらに限定されない癌を治療する。加えて、本発明は、具体的には、アレルギー、自己免疫障害、および炎症性状態等の免疫抑制が治療的に所望される状態を治療するための、VISTAタンパク質、特に多量体VISTAタンパク質およびそれを発現するウイルスベクター(例えば、アデノウイルス)の使用に関する。

患者は、自己免疫疾患の症状を示し得るか、または患者は、症状を有さない。本明細書に記載される方法は、細胞、例えば、ヒト細胞上で、インビトロまたはエキソビボで用いることができる。あるいは、これらの方法を、インビボ(例えば、治療的)プロトコルの一環として対象に存在する細胞上で実施することができる。

本発明は、VISTA(PD−L3)タンパク質の不十分な産生もしくは過剰な産生、またはVISTA(PD−L3)野生型タンパク質と比較して減少した活性もしくは異常な活性を有するVISTA(PD−L3)タンパク質形態の産生を特徴とする障害を有する危険性のある(またはそれにかかりやすい)対象を治療する予防的方法および治療的方法の両方を提供する。さらに、本発明の抗VISTA(PD−L3)抗体を用いて、VISTA(PD−L3)タンパク質を検出および単離し、VISTA(PD−L3)タンパク質の生物学的利用能を制御し、(例えば、VISTA(PD−L3)とその対応する受容体との相互作用を調節することによって)VISTA(PD−L3)活性を調節することができる。

本発明の使用および方法 VISTA分子、例えば、VISTA核酸分子、ポリペプチド、ポリペプチド相同体、ならびに本明細書に記載される抗体および抗体フラグメントを、以下の方法、すなわちa)スクリーニングアッセイ、b)予測医学(例えば、診断アッセイ、予後アッセイ、および監視臨床試験)、ならびにc)治療方法(例えば、治療的および予防的(例えば、免疫応答を上方または下方調節することによる))のうちの1つ以上で用いることができる。本明細書に記載されるとき、本発明のVISTA(PD−L3)ポリペプチドは、以下の活性、すなわち1)その天然の結合パートナー(複数可)への結合、および/またはその 活性の調節、2)細胞内または細胞間シグナル伝達の調節、3)Tリンパ球の活性化の調節、4)生物、例えば、マウスまたはヒト等の哺乳類生物の免疫応答の調節のうちの1つ以上を有する。以下にさらに記載されるように、本発明の単離された核酸分子を用いて、例えば、VISTA(PD−L3)ポリペプチドを発現し(例えば、遺伝子療法用途において宿主細胞中の組み換え発現ベクターにより)、VISTA(PD−L3)mRNA(例えば、生体試料中の)またはVISTA(PD−L3)遺伝子の遺伝子変化を検出し、VISTA(PD−L3)活性を調節することができる。VISTA(PD−L3)ポリペプチドを用いて、VISTA(PD−L3)ポリペプチドの不十分な産生もしくは過剰な産生、またはVISTA(PD−L3)阻害剤の産生を特徴とする状態または障害を治療することができる。加えて、VISTA(PD−L3)ポリペプチドを用いて、天然のVISTA(PD−L3)結合パートナー(複数可)をスクリーニングし、VISTA(PD−L3)活性を調節する薬物または化合物をスクリーニングし、VISTA(PD−L3)ポリペプチドの不十分な産生もしくは過剰な産生、あるいはVISTA(PD−L3)野生型ポリペプチドと比較して減少した、異常な、または望ましくない活性を有するVISTA(PD−L3)ポリペプチド形態の産生を特徴とする状態または障害(例えば、重症複合免疫不全、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、I型真性糖尿病、リンパ球増殖性症候群、炎症性腸疾患、アレルギー、喘息、移植片対宿主疾患、および移植片拒絶反応等の免疫系障害;細菌およびウイルス等の感染病原体への免疫応答;ならびにリンパ腫および白血病等の免疫系癌)を治療することができる。さらに、本発明の抗VISTA(PD−L3)抗体を用いて、VISTA(PD−L3)ポリペプチドを検出および単離し、VISTA(PD−L3)ポリペプチドの生物学的利用能を制御し、(例えば、VISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用を調節することによって)VISTA(PD−L3)活性を調節することができる。

治療薬として用いる抗VISTA(PD−L3)抗体は、可溶性VISTA(PD−L3)タンパク質(例えば、VISTA(PD−L3)Ig融合タンパク質)の存在下において、抗VISTA抗体がVISTA(PD−L3)のVISTA(PD−L3)関連免疫機能への抑制効果を高めるという事実に基づいて選択され得る。これらの抗VISTA抗体が、インビボでは、免疫に対するそれらのインビトロ効果からの予想に反して挙動する(すなわち、これらの抗VISTAモノクローナル抗体が免疫抑制性である)ため、これは、極めて予想外のことである。

本発明の重要な態様は、VISTA(PD−L3)発現もしくは活性、またはその天然の結合パートナーとの相互作用を調節する方法に関し、治療に関連して、VISTA(PD−L3)が、CD28共刺激を阻害し、免疫細胞のTCR活性化を阻害し、活性化免疫細胞(CD4+およびCD8+T細胞)の増殖を阻害し、T細胞(IL−2、γインターフェロン)によってサイトカイン産生を阻害し、阻害性シグナルを免疫細胞に伝送することを実証している。したがって、VISTA(PD−L3)の活性および/または発現、ならびにT細胞上でのVISTA(PD−L3)とその結合パートナーとの間の相互作用を調節して、免疫応答を調節することができる。VISTA(PD−L3)が阻害性受容体(T細胞上)に結合するため、VISTA(PD−L3)活性の上方制御が免疫応答の下方制御をもたらすはずであり、その一方で、VISTA(PD−L3)活性の下方制御が免疫応答の上方制御をもたらすはずである。ある実施形態において、VISTA(PD−L3)は、阻害性受容体に結合する。前述のように、直観に反して、インビトロでは(VISTA(PD−L3)−Igの存在下において)VISTA(PD−L3)−Ig融合タンパク質の抑制活性を高める(すなわち、これらの抗体が、サイトカイン産生、T細胞増殖、分化、または活性化、および前述の他の機能へのVISTA(PD−L3)の効果等のVISTA(PD−L3)関連活性の抑制を高める)、本出願者によって産生されたVISTA(PD−L3)特異的抗体は、インビボでは予想に反して挙動する(すなわち、これらの抗体がインビボでは免疫抑制性であることが見出された)。

本発明の調節方法は、細胞と、その細胞に関連したVISTA(PD−L3)ポリペプチド活性の活性のうちの1つ以上を調節するVISTA(PD−L3)ポリペプチドまたは薬剤、例えば、VISTA(PD−L3)の発現もしくは活性を調節する、および/またはVISTA(PD−L3)とその天然の結合パートナー(複数可)との相互作用を調節する薬剤とを接触させることを含む。VISTA(PD−L3)ポリペプチド活性を調節する薬剤は、核酸もしくはポリペプチド、VISTA(PD−L3)ポリペプチドの天然の結合パートナー、VISTA(PD−L3)抗体、VISTA(PD−L3)アゴニストもしくはアンタゴニスト、VISTA(PD−L3)アゴニストもしくはアンタゴニストのペプチド模倣体、VISTA(PD−L3)ペプチド模倣体、または他の小分子等の本明細書に記載される薬剤であり得る。VISTA(PD−L3)の可溶性形態を用いて、その天然の結合パートナー(複数可)またはリガンドのうちのいずれかへのVISTA(PD−L3)の結合を妨害することもできる。

VISTA(PD−L3)の発現を調節する薬剤は、例えば、VISTA(PD−L3)ポリペプチドを発現するためのアンチセンス核酸分子、三重オリゴヌクレオチド、リボザイム、または組み換えベクターであり得る。例えば、VISTA(PD−L3)ポリペプチド翻訳開始部位周辺の領域に相補的なオリゴヌクレオチドが合成され得る。1つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、典型的には200μg/mLで細胞培地に添加することができるか、または患者に投与してVISTA(PD−L3)ポリペプチドの合成を防止することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞によって取り込まれ、VISTA(PD−L3)mRNAにハイブリダイズして翻訳を防止する。あるいは、二重鎖DNAに結合して三重鎖構築物を形成してDNA巻き戻しおよび転写を防止するオリゴヌクレオチドを用いることができる。これらいずれかの結果として、VISTA(PD−L3)ポリペプチドの合成が遮断される。VISTA(PD−L3)発現が調節されるとき、好ましくは、そのような調節は、VISTA(PD−L3)遺伝子のノックアウト以外の手段によって生じる。

発現を調節する薬剤が細胞中のVISTA(PD−L3)の量を制御するといった事実に基づいて、この薬剤は、細胞におけるVISTA(PD−L3)活性の総量も調節する。一実施形態において、VISTA(PD−L3)を調節する薬剤は、1つ以上のVISTA(PD−L3)活性を刺激する。そのような刺激剤の例として、細胞に導入されたVISTA(PD−L3)をコードする活性VISTA(PD−L3)ポリペプチドおよび核酸分子が挙げられる。別の実施形態において、この薬剤は、1つ以上のVISTA(PD−L3)活性を阻害する。そのような阻害剤の例として、アンチセンスVISTA(PD−L3)核酸分子、抗VISTA(PD−L3)抗体、VISTA(PD−L3)阻害剤、および本主題のスクリーニングアッセイで特定される化合物が挙げられる。さらなる実施形態において、阻害剤は、抗VISTA(PD−L3)抗体と抗PD−L1または抗PD−L2抗体の組み合わせである。これらの調節方法を、インビトロで(例えば、細胞をこの薬剤と接触させることによって)実施することができるか、または代替として、ある薬剤をインビボで細胞と接触させることによって(例えば、この薬剤を対象に投与することによって)実施することができる。したがって、本発明は、VISTA(PD−L3)ポリペプチドの上方または下方調節により利益を得る状態または障害、例えば、VISTA(PD−L3)ポリペプチドまたは核酸分子の望ましくない、不十分な、または異常な発現もしくは活性を特徴とする障害に罹患している個体を治療する方法を提供する。一実施形態において、この方法は、薬剤(例えば、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイによって特定される薬剤)、またはVISTA(PD−L3)発現もしくは活性を調節する(例えば、上方制御もしくは下方制御する)薬剤の組み合わせを投与することを含む。別の実施形態において、この方法は、低減した、異常な、または望ましくないVISTA(PD−L3)発現または活性を補う治療薬としてVISTA(PD−L3)ポリ ペプチドまたは核酸分子を投与することを含む。

本発明は、VISTA(PD−L3)発現または少なくとも1つのVISTA(PD−L3)活性を調節するVISTA(PD−L3)ポリペプチドまたは薬剤を対象に投与することによって、異常なまたは望ましくないVISTA(PD−L3)発現または活性に関連した対象にける疾患または状態を予防するための方法を提供する。異常なまたは望ましくないVISTA(PD−L3)発現または活性によって引き起こされるか、またはそれに寄与する疾患または障害を有する危険性のある対象を、例えば、本明細書に記載される診断または予後アッセイのうちのいずれかまたはその組み合わせによって特定することができる。予防薬の投与は、疾患または障害が予防されるか、またはあるいは、その進行を遅延させるように、VISTA(PD−L3)異常を特徴とする症状が出現する前に生じ得る。VISTA(PD−L3)異常の種類に応じて、例えば、VISTA(PD−L3)ポリペプチド、VISTA(PD−L3)アゴニスト、またはVISTA(PD−L3)アンタゴニスト(例えば、抗VISTA(PD−L3)抗体)剤を用いて対象を治療することができる。適切な薬剤は、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイに基づいて決定され得る。

VISTA−VISTA複合体は、追加の化学療法剤、細胞毒性剤、抗体(例えば、抗PD−L1、PD−L2、またはCTLA−4抗体)、リンフォカイン、または造血成長因子と混合され得る。VISTA−VISTA複合体を、別の抗体、リンフォカイン、細胞毒性剤(例えば、DNA、RNA、もしくはタンパク質合成を阻害する部分、放射性核種、またはリボソーム阻害タンパク質、例えば、212Bi、131I、188Re、90Y、ビンデシン、メトトレキサート、アドリアマイシン、シスプラチン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、緑膿菌外毒素A、リシン、ジフテリア毒素、リシンA鎖、または細胞毒性ホスホリパーゼ酵素)、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、レフルノミド、メトトレキサート、アゾチプリン、メルカプトプリン、ダクチノマイシン、タクロリムス、もしくはシロリムス)、または造血成長因子と組み合わせて投与することもできる。VISTA−VISTA複合体は、化学発光標識、常磁性標識(例えば、アルミニウム、マンガン、白金、酸素、ランタン、ルテチウム、スカンジウム、イットリウム、もしくはガリウム)、MRI造影剤、蛍光性標識、生物発光標識、または放射性標識で標識され得る。本明細書に記載される方法において、第2の薬剤は、抗体と同時に、または連続して投与され得る。例えば、第2の薬剤は、免疫応答を下方制御する薬剤(例えば、それに特異的なPD−L1、PD−L2、またはCTLA−4融合タンパク質または抗体)であり得る。

一実施形態において、自己免疫疾患を有する対象を治療する方法は、VISTA−VISTA複合体を、二次療法を受け得る対象に投与することを含む。二次療法の例として、化学療法、放射線療法、免疫療法、光線療法、凍結療法、毒素療法、ホルモン療法、または手術が挙げられる。したがって、本発明は、標準の抗癌療法と併せた方法および組成物の使用を企図する。治療される患者は、任意の年齢であり得る。当業者であれば、VISTAまたはVISTA複合体と併せて用いられ得る他の抗癌療法の存在および開発を認識するであろう。

用量の決定は、当業者のレベルの範囲内である。VISTA−VISTA複合体は、短期治療のために1週間以下、多くの場合、1〜3日間の期間にわたって投与され得るか、または長期治療において数ヶ月または数年にわたって用いられ得る。一般に、VISTA−VISTA複合体の治療有効量は、自己免疫疾患において臨床的に有意な変化をもたらすのに十分な量である。

阻害性受容体によって形質導入されるとき、共刺激性受容体(例えば、CD28または ICOS)が免疫細胞上に存在せず、それ故に、単に共刺激性分子の結合に関する阻害性受容体および共刺激性受容体との間の競合の機能ではない場合でさえも、阻害性シグナルが生じ得る(Fallarino,et al.(1998)J.Exp.Med.188:205)。阻害性シグナルの免疫細胞への伝送は、免疫細胞に無応答性、アネルギー、またはプログラム細胞死をもたらし得る。好ましくは、阻害性シグナルの伝送は、アポトーシスを含まない機序によって動作する。

自己免疫疾患 VISTAポリペプチド、多量体VISTAポリペプチド、VISTA融合タンパク質(例えば、VISTA−Ig)、および本明細書に記載される抗VISTA抗体は、自己免疫疾患を治療するための組成物、使用、および方法において用いられ得る。

T細胞活性化のVドメイン免疫グロブリン含有抑制因子(V−domain Immunoglobulin containing Suppressor of T cell Activation)(VISTA)は、免疫系に顕著な影響を与える免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーに関連したファミリーのメンバーである。Igスーパーファミリーは、B7ファミリーリガンドおよび受容体といった多くの重要な免疫制御因子からなる。最もよく特徴付けられている共刺激性リガンドは、B7.1およびB7.2であり、これらは、Igスーパーファミリーに属し、プロフェッショナルAPC上に発現し、それらの受容体は、CD28およびCTLA−4である。

B7ファミリーリガンドは、共刺激性B7−H2(ICOSリガンド)およびB7−H3、ならびに共阻害性B7−H1(PD−L1)、B7−DC(PD−L2)、B7−H4(B7S1もしくはB7x)、およびB7−H6を含むまでに拡張している。Brandt,et al.(2009)J Exp Med 206,1495−1503、Greenwald,et al.(2005)Annu Rev Immunol 23:515−548。したがって、さらなるCD28ファミリー受容体が特定されている。ICOSは、活性化T細胞上に発現し、B7−H2に結合する。ICOSは、T細胞の活性化、分化、および機能に重要な、正の共制御因子である。Dong,et al.(2001)Nature 409,97−101。一方で、プログラム細胞死(programmed death)1(PD−1)は、T細胞応答を負に制御する。PD−1−/−マウスは、ループス様自己免疫疾患または自己免疫拡張型心筋症を発症する。Nishimura,et al.(2001)Science 291:319−322。最近、CD80が、T細胞に阻害性シグナルを伝達するPD−L1の第2の受容体として特定された。Butte,et al.(2007)Immunity 27,111−122。2つの阻害性B7ファミリーリガンドPD−L1およびPD−L2は、異なる発現パターンを有する。PD−L2は、DCおよびマクロファージ上に誘導可能に発現され、一方でPD−L1は、造血細胞と非造血細胞型の両方で広範に発現される。PD−1受容体の免疫抑制的な役割に一致して、PD−L1−/−およびPD−L2−/−マウスを用いた研究は、両方のリガンドが、T細胞増殖およびサイトカイン産生の阻害において重複する役割を有することを示している。現時点で、VISTAは、選択的に発現される造血細胞であるとみられ、これにより、分布しているPD−L1と区別され、これは自己免疫疾患の発症の負の制御において重要な役割を果たす可能性が高い。

新規な構造的に異なるIg−スーパーファミリー阻害性リガンドであり、その細胞外ドメインは、B7ファミリーリガンドPD−L1に対して最も高い相同性を有する。その系統発生学的に最も近い類縁体は、PD−L1であるが、その低レベルの類似性(20%)のため、PD−L名を指定されていない。これは、可能性のあるタンパク質キナーゼC結合部位を除いて明らかなシグナル伝達モチーフを有さない93アミノ酸の細胞質ドメインを有する。図4を参照されたい。VISTAは、負の制御性リガンドであり、これは、以 下の事実に基づいている:

可溶性VISTA−Ig融合タンパク質は、インビトロCD4+およびCD8+T細胞増殖およびサイトカイン産生を抑制する。抑制は、PD−1−/−T細胞で観察され、PD−1がVISTA受容体ではないことを示す。

APCでのVISTAの過剰発現は、インビトロCD4+およびCD8+T細胞増殖を抑制する。

腫瘍細胞でのVISTA過剰発現は、腫瘍ワクチン宿主における防御的抗腫瘍免疫を低下させた。

VISTA−/−マウスは、炎症性表現型を発症し、VISTAが免疫抑制機能を有することを確証する。VISTA−/−DCは、野生型DCよりもT細胞増殖を刺激する。

抗VISTAモノクローナル抗体(13F3)は、インビトロでVISTA+APCによってT細胞応答のVISTA誘導性抑制を遮断し、T細胞活性化を高めた。

抗VISTAモノクローナル抗体は、EAEを悪化させ、インビボでの脳炎誘発性Th17細胞の頻度を増加させた。

抗VISTAモノクローナル抗体は、複数の(6匹の)マウス腫瘍モデルにおいて腫瘍寛解を誘導し、これらのモデルにおける骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)でのVISTA発現は、非常に高く、VISTA+MDSCが腫瘍特異的免疫を抑制することを示唆する。

癌の治療 VISTAポリペプチド、多量体VISTAポリペプチド、VISTA融合タンパク質(例えば、VISTA−Ig)、配列番号38〜67の核酸配列のうちのいずれか1つからなるsiRNA分子、および本明細書に記載される抗VISTA抗体を、癌(例えば、腫瘍)を治療するための組成物、使用、および方法において用いることができる。

癌の例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病が挙げられるが、これらに限定されない。そのような癌のより具体的な例としては、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、および肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化管癌を含む)、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney cancer)または腎臓癌(renal cancer)、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、および様々な種類の頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度/びまん性NHL、高悪性度免疫芽細胞性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非開裂細胞性NHL、巨大病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、および、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞性白血病、慢性骨髄芽球性白血病、多発性骨髄腫、および移植後リンパ増殖性障害(PTLD)が挙げられる。

「本発明による治療に適した癌」という用語には、結腸直腸癌、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病、またはリンパ性悪性疾患が挙げられるが、これらに限定され ない。そのような癌のより具体的な例としては、結腸直腸癌、膀胱癌、卵巣癌、黒色腫、扁平上皮細胞癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、および肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化管癌を含む)、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney cancer)または腎臓癌(renal cancer)、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、および様々な種類の頭頸部癌、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度/びまん性NHL、高悪性度免疫芽細胞性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非開裂細胞性NHL、巨大病変性NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、および、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞性白血病、慢性骨髄芽球性白血病、多発性骨髄腫、および移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症と関連する異常な血管増殖、浮腫(脳腫瘍と関連するもの等)、およびメイグス症候群が挙げられる。好ましくは、癌は、結腸直腸癌、乳癌、結腸直腸癌、直腸癌、非小細胞肺癌、非ホジキンリンパ腫(NHL)、腎細胞癌、前立腺癌、肝臓癌、膵臓癌、軟組織肉腫、カポジ肉腫、カルチノイド癌腫、頭頸部癌、黒色腫、卵巣癌、中皮腫、および多発性骨髄腫からなる群から選択される。癌は、初期進行性(転移性を含む)結腸直腸癌、膀胱癌、卵巣癌、または黒色腫であり得る。癌は、結腸直腸癌であり得る。本発明の治療に適した癌性状態には、転移性癌が含まれ、骨髄系由来サプレッサー細胞によるVISTA発現が、抗腫瘍応答および抗浸潤免疫応答を抑制する。本発明の方法は、血管新生腫瘍の治療に特に好適である。

本発明は、化学療法もしくは放射線療法または他の生物製剤と組み合わせた癌の治療、およびその活性の強化、すなわち、個体におけるその活性の強化にも好適であり、骨髄由来サプレッサー細胞によるVISTA発現が、抗腫瘍応答および化学療法もしくは放射線療法の有効性または生物学的有効性を抑制する。抗癌活性を呈する任意の化学療法剤を、本発明に従って使用することができる。好ましくは、化学療法剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体、および関連阻害剤、ビンカアルカロイド、エピポドピロトキシン、抗生物質、L−アスパラギナーゼ、トポイソメラーゼ阻害剤、インターフェロン、白金配位錯体、アントラセンジオン置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、副腎皮質抑制物質、副腎皮質ステロイド、プロゲスチン、エストロゲン、抗エストロゲン、アンドロゲン、抗アンドロゲン、およびゴナドトロピン放出ホルモン類似体からなる群から選択され得る。より好ましくは、化学療法剤は、5−フルオロウラシル(5−FU)、ロイコボリン(LV)、イレノテカン、オキサリプラチン、カペシタビン、パクリタキセル、およびドセタキセルからなる群から選択され得る。2つ以上の化学療法剤を、抗VEGF抗体の投与と組み合わせて投与される混合液中に使用することができる。1つの好ましい組み合わせ化学療法は、5−FUと1つ以上の他の化学療法剤(複数可)とを含む、フルオロウラシルに基づくものである。組み合わせ化学療法の好適な投薬レジメンは、当該技術分野で既知であり、例えば、Saltz,et al.(1999)Proc ASCO 18:233aおよびDouillard,et al.(2000)Lancet 355:1041−7に記載されている。生物製剤は、PD−L1、PD−L2、CTLA−4、およびPD−L1、PD−L2、CTLA−4融合タンパク質に対する抗体、ならびにサイトカイン、成長因子アンタゴニストおよびアゴニスト、ホルモン、ならびに抗サイトカイン抗体等の別の免疫増強物質であり得る。

移植片対宿主疾患 VISTAポリペプチド、多量体VISTAポリペプチド、VISTA融合タンパク質(例えば、VISTA−Ig)、配列番号38〜67の核酸配列のうちのいずれか1つからなるsiRNA分子、および本明細書に記載される抗VISTA抗体を、移植片対宿主 疾患(GVHD)を治療するための組成物、使用、および方法において用いることができる。

本発明は、移植片対宿主疾患(GVHD)を治療する方法も提供し、この方法は、有効量のVISTA融合タンパク質、任意にVISTA−Ig融合タンパク質、または多量体VISTAタンパク質の投与を含む。移植片対宿主疾患(GVHD)、急性移植片対宿主疾患、慢性移植片対宿主疾患、幹細胞移植に関連した急性移植片対宿主疾患、幹細胞移植に関連した慢性移植片対宿主疾患、骨髄移植に関連した急性移植片対宿主疾患、同種造血幹細胞移植(HSCT)に関連した急性移植片対宿主疾患、または骨髄移植に関連した慢性移植片対宿主疾患を治療するための方法は、有効量のVISTA融合タンパク質、任意にVISTA−Ig融合タンパク質、または多量体VISTAタンパク質の投与を含み得る。

移植片対宿主疾患(GVHD)は、移植片対宿主疾患(GVHD)、急性移植片対宿主疾患、慢性移植片対宿主疾患、幹細胞移植に関連した急性移植片対宿主疾患、幹細胞移植に関連した慢性移植片対宿主疾患、骨髄移植に関連した急性移植片対宿主疾患、同種造血幹細胞移植(HSCT)に関連した急性移植片対宿主疾患、または骨髄移植に関連した慢性移植片対宿主疾患であり得る。治療されるために治療される患者は、移植片対宿主疾患(GVHD)の少なくとも1つの症状を有し得、任意に、患者は、急性GVHDを呈し、腹痛、腹部痙攣、下痢、発熱、黄疸、皮膚発疹、嘔吐、および体重減少を含むが、これらに限定されない。患者は、ドライアイ、口内乾燥、脱毛、肝炎、肺障害、消化管障害、皮膚発疹、および皮膚肥厚を含むが、これらに限定されない慢性移植片対宿主疾患(GVHD)の少なくとも1つの症状を有し得る。患者は、同種幹細胞または骨髄移植を受けたか、または受ける予定であり得る。患者は、自己幹細胞または骨髄移植を受けたか、または受ける予定であり得る。

診断方法 VISTA−VISTA複合体、配列番号38〜67の核酸配列のうちのいずれか1つからなるsiRNA分子、およびその抗原結合フラグメントに選択的に結合する抗VISTAおよび抗VISTA複合体抗体を、VISTA−VISTA複合体の存在または不在を検出するための診断方法において用いることができる。抗VISTAおよび抗VISTA複合体抗体を、(a)試験試料をVISTAまたはVISTA複合体に結合する抗体またはそのフラグメントと接触させることと、(b)抗体−エピトープ複合体についてアッセイすることとを含む方法において用いることができる。抗体−エピトープ複合体は、ウエスタンブロット法、放射性免疫測定法、ELISA(酵素結合免疫吸着法)、「サンドイッチ」免疫測定法、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫組織化学的アッセイ、蛍光免疫測定法、およびタンパク質A免疫測定法によって検出され得る。試料は、組織生検、リンパ液、尿、脳脊髄液、羊水、炎症性滲出液、血液、血清、大便、または結腸直腸管から収集された液体である試料であり得る。

VISTA−VISTA複合体に選択的に結合する抗体は、組み換え体であり得る。VISTA−VISTA複合体に選択的に結合する抗体のフラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、CDR、パラトープ、または抗原に結合することができる抗体の一部であり得る。VISTA−VISTA複合体に選択的に結合する抗体は、キメラ、ヒト化、抗イディオタイプ、一本鎖、二機能性、または共特異的であり得る。VISTA−VISTA複合体に選択的に結合する抗体は、またはフラグメントは、化学発光標識、常磁性標識(例えば、アルミニウム、マンガン、白金、酸素、ランタン、ルテチウム、スカンジウム、イットリウム、もしくはガリウム)、MRI造影剤、蛍光性標識、生物発光標識、または放射性標識を含むが、これらに限定されない標識に複合体化され得る。

さらに、VISTA−VISTA複合体、VISTA−VISTA複合体に選択的に結合する抗体、およびその抗原結合フラグメントは、アレイ等の固体支持体(例えば、ビーズ、試験管、シート、培養皿、または試験紙)に結合され得る。

本方法は、陽電子放出断層撮影(PET)、CCD高感度モニタリングシステム、X線、CTスキャン、シンチグラフィー、光音響映像、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)、磁気共鳴映像法(MRI)、超音波、常磁性映像法、および内視鏡的光コヒーレンス断層撮影によるVISTAポリペプチドまたはVISTA複合体の造影を含み得る。

スクリーニングアッセイ 本発明は、調節剤、すなわち、VISTAポリペプチドに結合するか、例えばVISTA発現もしくはVISTA活性に刺激性もしくは阻害性効果を有するか、またはVISTAとその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用に刺激性もしくは阻害性効果を有する、候補または試験化合物または試験薬(例えば、ペプチド、ペプチド模倣体、小分子、または他の薬物)を特定するための方法(「スクリーニングアッセイ」)を提供する。

VISTAポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分に結合する(例えば、その天然の結合パートナー(複数可)と相互作用するVISTAポリペプチドの能力を調節する)候補または試験化合物をスクリーニングためのアッセイは、候補化合物をVISTAポリペプチドと接触させることと、その天然の結合パートナーと相互作用するVISTAポリペプチドの能力の調節について試験することとを含み得る。VISTAタンパク質またはポリペプチドもしくはその生物学的に活性な部分に結合するか、あるいはその活性を調節する候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイは、VISTAポリペプチドを接触させること、およびVISTAポリペプチドと候補薬との間の結合について試験することを含み得る。VISTAによって負に制御される免疫機能に刺激性または阻害性効果のある候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイは、本明細書において特定されるか、またはVISTAとその天然の結合パートナー(複数可)との間の相互作用に対するその効果に基づいて特定される。これらのVISTA関連機能は、一例として、サイトカイン産生の阻害(例えば、Il−2、T細胞によるγインターフェロン、中程度のCD28共刺激の抑制、CD4+およびCD8+T細胞増殖の阻害、ナイーブおよびメモリーCD4+T細胞の増殖の抑制、ならびにアポトーシスの誘導なしでのTCR活性化の抑制)を含む。本発明の試験化合物を、生物学的ライブラリー、空間的にアドレス可能な並列固相または溶液相ライブラリー、デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法、「1ビーズ1化合物」ライブラリー法、および親和性クロマトグラフィー選択を用いた合成ライブラリー法を含む当該技術分野で既知のコンビナトリアルライブラリー法における多数のアプローチのうちのいずれかを用いて得ることができる。生物学的ライブラリーアプローチは、ペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチは、ペプチド、非ペプチドオリゴマー、または化合物の小分子ライブラリーに適用される。Lam(1997)Anticancer Drug Des.12:145.

アッセイは、細胞がVISTAポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分を発現する細胞ベースのアッセイであり得、VISTAポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分を試験化合物と接触させること、およびVISTA活性を調節する試験化合物の能力を判定することを含む。VISTA活性を調節する試験化合物の能力を判定することは、例えば、その天然の結合パートナー(複数可)に結合し、免疫細胞活性を調節するVISTAの能力を監視することによって達成され得る。免疫細胞は、T細胞、B細胞、または骨髄性細胞であり得る。VISTAとその対応する受容体との結合を調節する試験化合物 の能力を判定することは、例えば、VISTAを放射性同位体または酵素標識とカップリングさせ、VISTAとVISTAの対応する受容体を発現するT細胞との結合を調節する試験化合物の能力を監視することによって達成され得る。VISTAに結合する試験化合物の能力を判定することは、例えば、化合物とVISTAとの結合が、複合体において標識VISTA化合物を検出することによって判定され得るように、化合物と放射性同位体または酵素標識とをカップリングさせることによって達成され得る。

アッセイを用いて、相互作用物のうちのいずれも標識することなくVISTAと相互作用する化合物の能力を判定することができる。例えば、マイクロフィジオメータを用いて、化合物もVISTAもいずれも標識することなく化合物とVISTAとの相互作用を検出することができる。McConnell,H.M.et al.(1992)Science 257:1906−1912。マイクロフィジオメータ(例えば、Cytosensor)は、細胞が光アドレス可能な電位差測定センサ(LAPS)を用いてその環境を酸性化する速度を測定する分析器具である。この酸性化速度の変化を化合物とVISTAとの間の相互作用の指標として用いることができる。

アッセイは、細胞に基づくアッセイであり得、VISTA結合パートナーを発現するT細胞を試験化合物と接触させること、およびVISTA結合パートナーの活性を調節する(例えば、刺激または阻害する)試験化合物の能力を判定することを含む。VISTA結合パートナーの活性を調節する試験化合物の能力を判定することは、例えば、VISTA結合パートナーに結合するか、またはそれと相互作用するVISTAポリペプチドの能力を判定することによって達成され得る。

VISTA結合パートナーに結合するか、またはそれと相互作用するVISTAポリペプチドまたはその生物学的に活性なフラグメントの能力を判定することは、直接結合を判定するための上述の方法のうちの1つによって達成され得る。ある実施形態において、VISTA結合パートナーに結合するか、またはそれと相互作用するVISTAポリペプチドの能力を判定することは、結合パートナーの活性を判定することによって達成され得る。例えば、結合パートナーの活性は、細胞二次メッセンジャー(例えば、チロシンキナーゼまたはホスファターゼ活性)の誘導を検出するか、適切な基質の触媒/酵素活性を検出するか、レポーター遺伝子(検出可能なマーカーをコードする核酸に動作可能に連結される標的応答性制御要素、例えば、ルシフェラーゼを含む)の誘導を検出するか、または標的制御細胞応答を検出することによって判定され得る。例えば、天然のVISTA結合パートナーに結合するか、またはそれと相互作用するVISTAポリペプチドの能力を判定することは、増殖アッセイにおいて免疫細胞共刺激または阻害を調節する化合物の能力を測定するか、またはVISTAポリペプチドの一部を認識する抗体に結合するVISTAポリペプチドの能力を妨害することによって達成され得る。一実施形態において、T細胞活性化を調節する化合物は、T細胞増殖またはサイトカイン産生を調節する化合物の能力を判定することによって特定され得る。ある実施形態において、T細胞活性化を調節する化合物は、2つ以上の抗原濃度でT細胞増殖またはサイトカイン産生を調節する化合物の能力を判定することによって特定され得る。

アッセイは、細胞を含まないアッセイであり得、このアッセイにおいて、VISTAポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分が試験化合物と接触し、VISTAポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分に結合する試験化合物の能力が判定される。本発明のアッセイで用いられるVISTAポリペプチドの好ましい生物学的に活性な部分は、非VISTA分子、例えば、VISTA結合パートナーに結合する細胞外ドメインの少なくとも一部分との相互作用に関与するフラグメントを含む。試験化合物のVISTAポリペプチドへの結合は、上述のように直接的または間接的に判定され得る。

アッセイは、細胞を含まないアッセイであり得、このアッセイにおいて、VISTAポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分が試験化合物と接触し、VISTAポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分の活性を調節する(例えば、刺激または阻害する)試験化合物の能力が判定される。VISTAポリペプチドの活性を調節する試験化合物の能力を判定することは、例えば、直接結合を決定するための上述の方法のうちの1つを用いてVISTA結合パートナーに結合するVISTAポリペプチドの能力を判定することによって達成され得る。本発明の細胞を含まないアッセイは、ポリペプチド(例えば、VISTAポリペプチドもしくはその生物学的に活性な部分、またはVISTAが結合する結合パートナー)の可溶性および/または膜結合形態の両方の使用に適している。ポリペプチドの膜結合形態(例えば、細胞表面VISTA)が用いられる細胞を含まないアッセイの場合、ポリペプチドの膜結合形態が溶液中で維持されるように可溶化剤を利用することが望ましくあり得る。そのような可溶化剤の例として、非イオン性界面活性剤、例えば、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−114、Thesit、イソトリデシポリ(エチレングリコールエーテル)n、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンミニオ]−1−プロパンスルホネート(CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンミニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(CHAPSO)、またはN−ドデシル.dbd.N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネートが挙げられる。

アッセイ方法において、VISTAまたはその結合パートナーのいずれかを固定して、ポリペプチドのうちの一方または両方の複合形態と非複合形態の分離を促進すること、ならびにアッセイの自動化を提供することが望ましくあり得る。候補化合物の存在下および不在下での試験化合物のVISTAポリペプチドへの結合またはVISTAポリペプチドのその結合パートナーとの相互作用は、反応物質の含有に好適な任意の容器内で達成され得る。そのような容器の例として、マイクロタイタープレート、試験管、および微小遠心管が挙げられる。一実施形態において、ポリペプチドのうちの一方または両方がマトリックスに結合されることを可能にするドメインを付加する融合タンパク質が提供され得る。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/VISTA融合タンパク質またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/結合パートナー融合タンパク質は、グルタチオンSEPHAROSE(登録商標)ビーズ(Sigma Chemical,St.Louis,Mo.)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレートに吸着され得、その後、これは、試験化合物または試験化合物および非吸着結合パートナーポリペプチドもしくはVISTAポリペプチドのいずれかと混合され、この混合物は、複合体形成につながる条件下(例えば、塩およびpHに関する生理学的条件)でインキュベートされる。インキュベーション後、このビーズまたはマイクロタイタープレートウェルは、洗浄されてあらゆる結合されていない成分を除去し、マトリックスは、ビーズの場合、固定され、複合体形成は、例えば、上述のように、直接的または間接的にのいずれかで判定される。あるいは、複合体は、マトリックスから解離され得、VISTA結合または活性のレベルは、標準の技法を用いて判定される。マトリックス上でポリペプチドを固定するための他の技法も本発明のスクリーニングアッセイにおいて用いることができる。VISTAポリペプチドの活性を調節する試験化合物の能力を判定することは、VISTAの下流として機能する分子の活性を調節する試験化合物の能力を判定することによって、例えば、VISTA結合パートナーの細胞質ドメインと相互作用することによって達成され得る。例えば、二次メッセンジャーのレベル、適切な標的上での相互作用分子の活性、または相互作用物の適切な標的への結合は、前述のように判定され得る。

VISTA発現の調節剤は、細胞が候補化合物と接触し、その細胞におけるVISTA mRNAまたはポリペプチドの発現が判定される方法において特定され得る。候補化合 物の存在下でのVISTA mRNAまたはポリペプチドの発現レベルを、候補化合物の不在下でのVISTA mRNAまたはポリペプチの発現レベルと比較する。その後、この候補化合物は、変化が統計的に有意である場合、この比較に基づいてVISTA発現の調節剤として特定され得る。

VISTAポリペプチドを、2ハイブリッドアッセイまたは3ハイブリッドアッセイ(例えば、米国特許第5,283,317号、Zervos,et al.(1993)Cell 72:223−232、Madura,et al.(1993)J.Biol.Chem.268:12046−12054、Bartel,et al.(1993)Biotechniques 14:920−924、Iwabuchi,et al.(1993)Oncogene 8:1693−1696、および国際公開第WO94/10300号を参照されたい)において「おとりタンパク質」として用いて、VISTA(「VISTA結合タンパク質」、「VISTA結合パートナー」、または「VISTA−bp」)に結合するか、またはそれと相互作用する、VISTA活性に関与する他のポリペプチドを特定することができる。そのようなVISTA結合タンパク質は、例えば、VISTA媒介性シグナル伝達経路の下流要素としてVISTAポリペプチドまたはVISTA標的によるシグナルの伝播に関与する可能性も高い。あるいは、そのようなVISTA結合ポリペプチドは、VISTA阻害剤であり得る。2ハイブリッド系は、分離可能なDNA結合および活性化ドメインからなる多くの転写因子のモジュール性質に基づく。手短に言えば、このアッセイは、2つの異なるDNA構築物を利用する。一方の構築物において、VISTAポリペプチドをコードする遺伝子が、既知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合される。もう一方の構築物においては、特定されていないポリペプチド(「獲物」または「試料」)をコードするDNA配列のライブラリー由来のDNA配列が、既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合される。「おとり」および「獲物」ポリペプチドがインビボで相互作用して、VISTA依存複合体を形成することができる場合、転写因子のDNA結合および活性化ドメインは、近接近になる。この近接性は、転写因子に応答する転写制御部位に動作可能に連結されるレポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写を可能にする。レポーター遺伝子の発現を検出することができ、機能的転写因子を含有する細胞コロニーを単離して、VISTAポリペプチドと相互作用するポリペプチドをコードするクローン化遺伝子を得ることができる。

本明細書に記載されるアッセイのうちの2つ以上の組み合わせ。例えば、調節剤を、細胞に基づくか、または細胞を含まないアッセイを用いて特定することができ、VISTAポリペプチドの活性を調節する調節剤の能力を、細胞形質転換および/または腫瘍形成についてインビボで、例えば、動物モデル等の動物において確認することができる。

本発明はさらに、上述のスクリーニングアッセイによって特定される新規の薬剤に関する。本明細書に記載される方法で特定される薬剤は、適切な動物モデルにおけるものである。例えば、本明細書に記載されるように特定される薬剤(例えば、VISTA調節剤、アンチセンスVISTA核酸分子、VISTA特異的抗体、またはVISTA結合パートナー)を動物モデルで用いて、そのような薬剤による治療の有効性、毒性、または副作用を判定することができる。あるいは、本明細書に記載されるように特定される薬剤を動物モデルで用いて、そのような薬剤の作用機序を判定することができる。なおもさらに、本発明は、本明細書に記載される治療についての上述のスクリーニングアッセイで特定される新規の薬剤の使用に関する。

検出アッセイ 本明細書において特定されるcDNA配列(および対応する完全遺伝子配列)の部分またはフラグメントを、ポリヌクレオチド試薬として多数の方法で用いることができる。例 えば、これらの配列を用いて、(i)染色体上のそれらの各遺伝子をマッピングし、それ故に、遺伝的疾患に関連する遺伝子領域を見出し、(ii)微量生体試料から個体を特定し(組織型判定)、(iii)生体試料の法医学的特定を支援することができる。これらの用途は、以下の小節に記載される。

染色体マッピング 遺伝子の配列(または配列の一部)が単離された時点で、この配列を用いて、染色体上の遺伝子の位置をマッピングすることができる。このプロセスは、染色体マッピングと呼ばれる。したがって、本明細書に記載されるVISTAヌクレオチド配列の部分またはフラグメントを用いて、染色体上のVISTA遺伝子の位置をマッピングすることができる。VISTA配列の染色体へのマッピングは、これらの配列を疾患に関連した遺伝子と相関させる重要な第一のステップである。手短に言えば、VISTAヌクレオチド配列からPCRプライマー(好ましくは、15〜25塩基対長)を調製することによって、VISTA遺伝子を染色体にマッピングすることができる。VISTA配列のコンピュータ分析を用いて、ゲノムDNAにおいて2個以上のエクソンに及ばず、それ故に増幅プロセスを複雑にするプライマーを予測することができる。その後、これらのプライマーを、個々のヒト染色体を含有する体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングに用いることができる。VISTA配列に対応するヒト遺伝子を含有するハイブリッドのみが増幅フラグメントをもたらすことができる。体細胞ハイブリッドが、異なる哺乳動物由来の体細胞(例えば、ヒトおよびマウス細胞)を融合させるによって調製される。ヒトおよびマウス細胞のハイブリッドが増殖および分裂すると、それらは、ヒト染色体をランダムな順序で徐々に喪失するが、マウス染色体を保持する。特定の酵素を欠くためマウス細胞は成長することができないが、ヒト細胞は成長することができる培地を用いることにより、必要とされる酵素をコードする遺伝子を含有するヒト染色体が保持される。様々な培地を用いることにより、ハイブリッド細胞株のパネルを構築することができる。パネル内の各細胞株は、単一のヒト染色体または少数のヒト染色体のいずれか、および完全な組のマウス染色体を含有し、個々の遺伝子の特定のヒト染色体への容易なマッピングを可能にする。D’Eustachio,et al.(1983)Science 220:919−924。ヒト染色体のフラグメントのみを含有する体細胞ハイブリッドを、転座および欠失を有するヒト染色体を用いて産生することもできる。

体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは、特定の配列を特定の染色体に割り当てるための迅速な方法である。単一のサーマルサイクラーを用いて1日3つ以上の配列を割り当てることができる。VISTAヌクレオチド配列を用いてオリゴヌクレオチドプライマーを設計することにより、特定の染色体由来のフラグメントのパネルを用いて亜局在化を達成することができる。VISTA配列をその染色体にマッピングするために同様に用いられ得る他のマッピング戦略には、インサイツハイブリダイゼーション(Fan,et al.(1990)Proc Natl.Acad.Sci.USA 87:6223−27に記載されている)、標識フロー分類染色体を用いた事前スクリーニング、および染色体特異的cDNAライブラリーへのハイブリダイゼーションによる事前選択が含まれる。

分裂中期の染色体を分散させるためのDNA配列の蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)をさらに用いて、1ステップで正確な染色体位置を提供することができる。染色体分散を、紡錘体を崩壊させるコルセミド等の化学物質によって分裂が分裂中期で遮断された細胞を用いて行うことができる。染色体をトリプシンで短期間処理し、その後、ギムザで染色することができる。明帯および暗帯のパターンが各染色体上に生じ、それにより染色体を個別に特定することができる。FISH技法を最短で500または600塩基のDNA配列とともに用いることができる。しかしながら、1,000塩基よりも大きいクローンは、単純な検出に十分なシグナル強度で独特の染色体位置に結合する可能性がより高い。好ましくは1,000塩基、より好ましくは2,000塩基が、妥当な時 間内に良好な結果を得るのに十分である。この技法の概説については、Verma,et al.Human Chromosomes:A Manual of basic Techniques(Pergamon Press,New York 1988)を参照されたい。染色体マッピング用の試薬を個別に用いて、その染色体上の単一の染色体または単一の部位をマーキングすることができるか、または試薬のパネルを用いて、複数の部位および/または複数の染色体をマーキングすることができる。遺伝子の非コード領域に対応する試薬は、実際には、マッピング目的に好ましい。コード配列は、遺伝子ファミリー内に保存される可能性が高く、それ故に染色体マッピング中に交差ハイブリダイゼーションの機会を増加させる。

配列が正確な染色体位置にマッピングされた時点で、染色体上の配列の物理的位置を遺伝子マッピングデータと相関させることができる。最終的に、いくつかの個体由来の遺伝子の完全な配列決定を実施して、突然変異の存在を確認し、突然変異と多型を区別することができる。

組織型判定 本発明のVISTA配列を用いて、微量生体試料から個体を特定することもできる。なおもさらに、本発明の配列を用いて、個体のゲノムの選択された部分の実際の塩基毎のDNA配列を決定する代替の技法を提供することができる。したがって、本明細書に記載されるVISTAヌクレオチド配列を用いて、配列の5’および3’末端から2つのPCRプライマーを調製することができる。その後、これらのプライマーを用いて、個体のDNAを増幅し、その後、それを配列決定することができる。

この様式で調製された個体由来の対応するDNA配列のパネルは、対立遺伝子が違うといった理由から各個体が特有の組のそのようなDNA配列を有するため、特有の個体特定を提供することができる。本発明の配列を用いて、個体および組織からそのような特定配列を得ることができる。本発明のVISTAヌクレオチド配列は、ヒトゲノムの部分を独特に表す。対立遺伝子変化は、これらの配列のコーディング領域である程度生じ、非コード領域でより著しい程度生じる。個別のヒト間の対立遺伝子変化が500塩基毎に約1回の頻度で生じると推定される。本明細書に記載される配列のそれぞれを、ある程度、個体由来のDNAが特定目的で比較され得る標準物として用いることができる。より多くの多型が非コード領域で生じるため、個体を区別するのに少数の配列しか必要ではない。配列番号1または4の非コード配列は、それぞれが100塩基の非コード増幅配列をもたらす恐らく10〜1,000個のプライマーのパネルでの正の個体特定を十分に提供することができる。予測されるコード配列、例えば、配列番号3または6のコード配列が用いられる場合、正の個体特定により適切なプライマーの数は、500〜2000個である。

本明細書に記載されるVISTAヌクレオチド配列からの試薬のパネルを用いて個体の特有の特定データベースを生成する場合、後にこれらの同一の試薬を用いて、その個体由来の組織を特定することができる。特有の特定データベースを用いて、非常に小さい組織試料から個体(生きている個体または死んだ個体)の正の特定を行うことができる。

法医学的生物学におけるVISTA配列の使用 DNAに基づく特定技法も法医学的生物学で用いることができる。本発明の配列を用いて、ヒトゲノムにおける特定の遺伝子座を標的とするポリヌクレオチド試薬、例えば、PCRプライマーを提供することができ、これは、例えば、別の「特定マーカー」(すなわち、特定の個体に特有の別のDNA配列)を提供することによってDNAに基づく法医学的特定の信頼度を高めることができる。上述のように、実際の塩基配列情報を用いて、制限酵素生成フラグメントによって形成されるパターンの正確な代替物として特定することができる。配列番号1または3の非コード領域を標的とした配列は、より多くの多型が非 コード領域で生じるため、この使用に特に適切であり、この技法を用いた個体の区別を容易にする。ポリヌクレオチド試薬の例として、VISTAヌクレオチド配列またはその部分、例えば、少なくとも20塩基長、好ましくは少なくとも30塩基長の配列番号1または3の非コード領域由来のフラグメントが挙げられる。本明細書に記載されるVISTAヌクレオチド配列をさらに用いて、ポリヌクレオチド試薬、例えば標識プローブまたは標識可能なプローブ(例えば、インサイツハイブリダイゼーション技法で用いられ得るもの)を提供し、特定の組織、例えば、リンパ球を特定することができる。これは、法医学的病理学者が出所不明の組織を提示される場合に非常に有用であり得る。そのようなVISTAプローブのパネルを用いて、種および/または器官の種類別に組織を特定することができる。同様の様式で、これらの試薬、例えば、VISTAプライマーまたはプローブを用いて、混入について組織培養をスクリーニングする(すなわち、培養中の異なる細胞型の混合物の存在についてスクリーニングする)ことができる。

診断アッセイ 生体試料中のVISTAポリペプチドまたは核酸の存在または不在を検出するための例示の方法は、試験対象から生体試料を得ること、およびVISTAポリペプチドまたは核酸の存在が生体試料中で検出されるように、生体試料を、VISTAポリペプチドをコードするVISTAポリペプチドまたは核酸(例えば、mRNAまたはゲノムDNA)を検出することができる化合物または薬剤と接触させることを含む。VISTA mRNAまたはゲノムDNAの検出に好ましい薬剤は、VISTA mRNAまたはゲノムDNAにハイブリダイズすることができる標識核酸プローブである。核酸プローブは、例えば、配列番号1もしくは3に記載されるVISTA核酸、またはその部分、例えば、少なくとも15、30、50、100、250、もしくは500ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり得、ストリンジェントな条件下でVISTA mRNAまたはゲノムDNAに特異的にハイブリダイズするのに十分であり得る。本発明の診断アッセイでの使用に他の好適なプローブは、本明細書に記載されている。VISTAポリペプチドの検出に好ましい薬剤は、VISTAポリペプチドに結合することができる抗体、好ましくは検出可能な標識を有する抗体である。抗体は、ポリクローナル、またはより好ましくはモノクローナルであり得る。無傷の抗体またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab’)2)を用いることができる。プローブまたは抗体に関して「標識される」という用語は、検出可能な物質をプローブまたは抗体にカップリングする(すなわち、物理学的に連結する)ことによるプローブまたは抗体の直接標識、ならびに直接標識される別の試薬との反応によるプローブまたは抗体の間接標識を包含することを意図する。間接標識の例として、蛍光標識二次抗体を用いた一次抗体の検出、および蛍光標識ストレプトアビジンで検出され得るようなビオチンでのDNAプローブの末端標識が挙げられる。「生体試料」という用語は、対象から単離された生組織、細胞、および体液、ならびに対象内に存在する組織、細胞、および体液を包含することを意図する。すなわち、本発明の検出方法を用いて、生体試料中のVISTA mRNA、ポリペプチド、またはゲノムDNAをインビトロでもインビボでも検出することができる。例えば、PD−L2 mRNAを検出するためのインビトロ技法には、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイツハイブリダイゼーションが含まれる。VISTAポリペプチドを検出するためのインビトロ技法には、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ウエスタンブロット法、免疫沈降、および免疫蛍光が含まれる。VISTAゲノムDNAを検出するためのインビトロ技法には、サザンハイブリダイゼーションが含まれる。なおもさらに、VISTAポリペプチドを検出するためのインビボ技法には、標識抗VISTA抗体の対象への導入が含まれる。例えば、抗体は、放射性マーカーで標識され得、対象におけるその存在および位置は、標準の撮像技法によって検出され得る。一実施形態において、生体試料は、試験対象由来のポリペプチド分子を含有する。あるいは、生体試料は、試験対象由来のmRNA分子または試験対象由来のゲノムDNA分子を含有し得る。好ましい生体試料は、従来の手段により対象から単離された血清試料である。別の実施形態において、この方法は、対照対象から対照生体試料を 得ること、VISTAポリペプチド、mRNA、またはゲノムDNAの存在が生体試料中に検出されるように、対照試料を、VISTAポリペプチド、mRNA、またはゲノムDNAを検出することができる化合物または薬剤と接触させること、ならびに対照試料中のVISTAポリペプチド、mRNA、またはゲノムDNAの存在を、試験試料中のVISTAポリペプチド、mRNA、またはゲノムDNAの存在と比較することをさらに含む。

本発明は、生体試料中のVISTAの存在を検出するためのキットも包含する。例えば、キットは、生体試料中のVISTAポリペプチドまたはmRNAを検出することができる標識化合物または薬剤、試料中のVISTAの量を判定するための手段、および試料中のVISTAの量を標準物と比較するための手段を含み得る。化合物または薬剤は、好適な容器内に包装され得る。キットは、キットを用いてVISTAポリペプチドまたは核酸を検出するための取扱説明書をさらに含み得る。

予後アッセイ 本明細書に記載される診断方法をさらに利用して、異常なまたは望ましくないVISTA発現または活性に関連した疾患または障害を有するか、あるいはそれを発症する危険性のある対象を特定することができる。本明細書に使用される際、「異常な」という用語は、野生型VISTA発現または活性から逸脱するVISTA発現または活性を含む。異常な発現または活性には、増加または減少した発現または活性、ならびに発現の野生型発生パターンまたは発現の細胞内パターンに従わない発現または活性が含まれる。例えば、異常なVISTA発現または活性は、VISTA遺伝子における突然変異がVISTA遺伝子に過小発現または過剰発現させる事例、およびそのような突然変異が、野生型様式では機能しない非機能的VISTAポリペプチドまたはポリペプチド、例えば、VISTA結合パートナーと相互作用しないポリペプチドまたは非VISTA結合パートナーと相互作用するポリペプチドをもたらす状況を含むよう意図されている。本明細書に使用される際、「望ましくない」という用語は、免疫細胞活性化等の生物学的応答に関与する望ましくない現象を含む。例えば、「望ましくない」という用語は、対象において望ましくないVISTA発現または活性を含む。

前述の診断アッセイまたは以下のアッセイ等の本明細書に記載されるアッセイを利用して、VISTAポリペプチド活性または核酸発現の誤制御に関連する障害、例えば、自己免疫障害、免疫不全障害、免疫系障害、例えば、自己免疫、アレルギー、もしくは炎症性障害、または癌を有するか、あるいはそれを発症する危険性のある対象を特定することができる。したがって、本発明は、異常なまたは望ましくないVISTA発現または活性二関連した疾患または障害を特定するための方法を提供し、この方法において、試験試料が対象から得られ、VISTAポリペプチドまたは核酸(例えば、mRNAまたはゲノムDNA)が検出され、VISTAポリペプチドまたは核酸の存在は、異常なもしくは望ましくないVISTA発現もしくは活性に関連する疾患もしくは障害を有するか、またはそれを発症する危険性のある対象の診断である。本明細書に使用される際、「試験試料」とは、目的とする対象から得られた生体試料を指す。例えば、試験試料は、生体液(例えば、脳脊髄液もしくは血清)、細胞試料、または組織であり得る。

なおもさらに、本明細書に記載される予後アッセイを用いて、対象に薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣体、ポリペプチド、ペプチド、核酸、小分子、または他の薬物候補)を投与して、異常なまたは望ましくないVISTA発現または活性に関連した疾患または障害を治療することができるかを判定することができる。例えば、そのような方法を用いて、対象を自己免疫障害、免疫不全障害、免疫系癌、またはアレルギー性もしくは炎症性障害用の薬剤で効果的に治療することができるかを判定することができる。したがって、本発明は、対象を異常なまたは望ましくないVISTA発現または活性に関連する障害のための薬剤で効果的に治療することができるかを判定するための方 法を提供し、この方法において、試験試料が得られ、VISTAポリペプチドまたは核酸の発現または活性が検出される(例えば、豊富なVISTAポリペプチドまたは核酸の発現または活性は、異常なまたは望ましくないVISTA発現または活性に関連する障害を治療するための薬剤が投与され得る対象の診断である)。本発明の方法を用いて、VISTA遺伝子における遺伝子変化を検出し、それにより変化した遺伝子を有する対象がVISTAポリペプチド活性または核酸発現の誤制御を特徴とする障害、例えば、自己免疫障害、免疫不全障害、免疫系癌、アレルギー性障害、または炎症性障害の危険性があるかを判定することもできる。本明細書に記載される方法を、例えば、VISTA遺伝子に関連した疾患または病気の症状または家族歴を示す患者を診断するために例えば臨床状況下で好都合に用いることができる本明細書に記載される少なくとも1つのプローブ核酸または抗体試薬を含む包装済みの診断キットを利用することによって実施することができる。なおもさらに、VISTAが発現する任意の細胞型または組織を本明細書に記載される予後アッセイで利用することができる。

免疫測定法 VISTA−VISTA複合体、VISTA−VISTA複合体に結合する抗体および抗原結合フラグメントを免疫測定法で用いて、試料中のマーカーを定性的または定量的に検出および分析することができる。この方法は、VISTAまたはVISTA複合体に特異的に結合する抗体を提供すること、試料を抗体と接触させること、および試料中のマーカーに結合された抗体の複合体の存在を検出することを含む。

いくつかの十分に認識されている免疫学的結合アッセイのうちのいずれかを用いてVISTA−VISTA複合体を検出および/または定量することができる。有用なアッセイには、例えば、酵素免疫アッセイ(EIA)、例えば、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、放射性免疫測定法(RIA)、ウエスタンブロットアッセイ、またはスロットブロットアッセイが含まれる。例えば、、米国特許第4,366,241号、同第4,376,110号、同第4,517,288号、および同第4,837,168号を参照されたい。一般に、対象から得られた試料をVISTAまたはVISTA複合体に特異的に結合する抗体と接触させることができる。

任意に、抗体を固体支持体に固定して、複合体の洗浄およびその後の単離を促進した後に、抗体を試料と接触させることができる。固体支持体の例として、例えば、マイクロタイタープレート、スティック、ビーズ、またはマイクロビーズの形態のガラスまたはプラスチックが挙げられるが、これらに限定されない。抗体は、固体支持体に結合され得る。

試料を抗体とインキュベートした後、混合物を洗浄し、形成される抗体マーカー複合体を検出することができる。これは、洗浄された混合物を検出試薬とインキュベートすることによって達成され得る。あるいは、試料中のマーカーは、間接アッセイを用いて検出され得、このアッセイにおいて、例えば、二次標識抗体を用いて、結合されたマーカー特異的抗体を検出する、および/または競合もしくは阻害アッセイにおいて、例えば、マーカーのはっきりと異なるエピトープに結合するモノクローナル抗体が混合物と同時にインキュベートされる。

アッセイを通じて、試薬の各組み合わせの後にインキュベーションおよび/または洗浄ステップが必要であり得る。インキュベーションステップは、約5秒間〜数時間、好ましくは約5分間〜約24時間と異なり得る。しかしながら、インキュベーション時間は、アッセイ形式、マーカー、溶液体積、濃度に依存する。通常、アッセイは、周囲温度で行われるが、ある温度範囲(例えば、10℃〜40℃)にわたって行われてもよい。

免疫測定法を用いて、対象由来の試料中のマーカーの試験量を判定することができる。 最初に、試料中のマーカーの試験量が上述の免疫測定法を用いて検出され得る。マーカーが試料中に存在する場合、それは、上述の好適なインキュベーション条件下でそのマーカーに特異的に結合する抗体で抗体マーカー複合体を形成する。抗体マーカー複合体の量は、任意に標準物と比較することによって判定され得る。上述のように、マーカーの試験量は、測定単位を対照量および/またはシグナルと比較することができる限り、絶対単位で測定されなくてもよい。いくつかの免疫測定法が当該技術分野で既知であり、本明細書に記載されるVISTAポリペプチドまたはVISTA複合体が、放射免疫測定法(RIA)、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、磁気免疫測定法、免疫ブロット法、ウエスタンブロット法、免疫沈降アッセイ、免疫組織化学分析、および蛍光活性化細胞選別(FACS)を含むが、これらに限定されない免疫測定法で用いられ得る。Wild,(2008)[Ed.]The Immunoassay Handbook[3rd Ed.]Elsevierを参照されたい。

放射撮影法 VISTA−VISTA複合体を放射撮影法で用いて、膵臓癌および結腸直腸癌を含む癌を診断することができるか、または腫瘍の進行を監視することができる。これらの方法には、陽電子放出断層撮影(PET)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)が含まれるが、これらに限定されない。これらの技法はいずれも非侵襲性であり、例えば癌性細胞の検出等の様々な組織事象および/または機能を検出および/または測定するために用いられ得る。SPECTは、任意に2つの標識を同時に用い得る。米国特許第6,696,686号を参照されたい。

商業的応用および方法 本発明は、商業的量に達するVISTA−VISTA複合体の産生をさらに提供する。VISTA−VISTA複合体は、大規模に産生され、必要な場合、保管され、病院、臨床医、または他の保健施設に供給され得る。

VISTA−VISTA複合体の産生、保管、および流通方法は、本明細書に開示される方法によってもたらされ得る。産生後、VISTA−VISTA複合体は、患者の治療前に収集、精製、および任意に保管され得る。例えば、患者が、例えば、癌、自己免疫疾患、または炎症性状態等の兆候を示した時点で、VISTA−VISTA複合体が発注され、タイミング良く提供され得る。したがって、本発明は、VISTA−VISTA複合体を産生して、商業規模で抗体、すなわち、VISTA−VISTA複合体に選択的に結合する抗体およびその抗原結合フラグメントを含む薬学的組成物を得る方法、ならびにVISTA−VISTA複合体を病院および臨床医に提供する(すなわち、産生、場合によっては保管、および販売する)方法に関する。VISTA−VISTA複合体の産生を商業的用途のために規模拡大することができる。

本発明は、調製物を流通させて販売するための流通システムの確立を含むか、または薬学的調製物を市販する販売グループの確立を含み得る薬品事業を行う方法も提供する。

核酸のライブラリー VISTA(PD−L3)変異体の変化に富んだライブラリーが、核酸レベルでのコンビナトリアル突然変異生成によって生成することができ、変化に富んだ遺伝子ライブラリーによってコードされる。VISTA(PD−L3)変異体の変化に富んだライブラリーは、縮重組の潜在的VISTA(PD−L3)配列が、個々のポリペプチドとして、または代替として、その中に前述の組のVISTA(PD−L3)配列を含有する一組のより大きい融合タンパク質(例えば、ファージディスプレイのために)として発現可能であるように、例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を遺伝子配列に酵素的にライゲーションすることによって産生され得る。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的VISTA( PD−L3)変異体のライブラリーを産生するために用いられ得る様々な方法が存在する。縮重遺伝子配列の化学合成は、自動DNA合成装置で実施され得、その後、合成遺伝子が適切な発現ベクターにライゲーションされ得る。縮重組の遺伝子の使用により、1つの混合物において、所望の組の潜在的VISTA(PD−L3)配列をコードする配列のすべての提供が可能になる。縮重オリゴヌクレオチドを合成するための方法が当該技術分野で既知である。例えば、、Narang(1983)Tetrahedron 39:3、Itakura,et al.(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323、Itakura,et al.(1984)Science 198:1056、Ike,et al.(1983)Nucleic Acids Res.11:477を参照されたい。

加えて、VISTA(PD−L3)ポリペプチドコード配列のフラグメントのライブラリーを用いて、VISTA(PD−L3)ポリペプチドの変異体のスクリーニングおよびその後の選択のために変化に富んだVISTA(PD−L3)フラグメントの集団を生成することができる。コード配列フラグメントのライブラリーは、ニッキングが1分子当たり約1回のみ生じる条件下でVISTA(PD−L3)コード配列の二本鎖PCRフラグメントをヌクレアーゼで処理し、二本鎖DNAを変性させ、DNAを復元して異なるニッキング産物由来のセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成し、S1ヌクレアーゼでの処理によって再形成された二本鎖から一本鎖部分を除去し、結果として生じたフラグメントライブラリーを発現ベクターにライゲーションすることによって生成され得る。この方法により、様々な大きさのVISTA(PD−L3)ポリペプチドのN末端、C末端、および内部フラグメントをコードする発現ライブラリーを導出することができる。

点突然変異または切断によって作製されるコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングし、選択された特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするためのいくつかの技法が当該技術分野で既知である。そのような技法は、VISTA(PD−L3)ポリペプチドのコンビナトリアル突然変異生成によって生成される遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適応可能である。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするための高スループット分析に適している最も広く用いられている技法は、典型的には、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローニングし、適切な細胞に結果として生じるベクターのライブラリーで形質転換を行い、所望の活性の検出が、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離を促進する条件下で、コンビナトリアル遺伝子を発現することを含む。ライブラリーにおける機能的突然変異体の頻度を高める新たな技法である再帰的アンサンブル突然変異生成(REM)をスクリーニングアッセイと組み合わせて用いて、VISTA(PD−L3)変異体を特定することができる。Arkin and Youvan(1992)Proc Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815、Delagrave et al.(1993)Protein Eng.6(3):327−331。

予測医学 本発明は、診断アッセイ、予後アッセイ、および監視臨床試験を予後(予測)目的で用いて、それにより個体を予防的に治療する予測医学の分野にも関する。したがって、本発明の一態様は、生体試料(例えば、血液、血清、細胞、または組織)の文脈において、VISTAポリペプチドおよび/または核酸の発現ならびにVISTA活性を判定し、それにより個体が疾患もしくは障害に罹患しているか、または異常なもしくは望ましくないVISTA発現もしくは活性に関連する障害を発症する危険性があるかを判定するための診断アッセイに関する。本発明は、個体がVISTAポリペプチド、核酸発現、または活性に関連する障害を発症する危険性があるかを判定するための予後(または予測)アッセイも提供する。例えば、VISTA遺伝子における突然変異を生体試料においてアッセイす ることができる。そのようなアッセイを予後または予測目的で用いることにより、VISTAポリペプチド、核酸発現、もしくは活性を特徴とするか、またはそれに関連する障害の発病前に個体を予防的に治療することができる。

本発明の別の実施形態は、臨床試験における薬剤(例えば、薬物、化合物)のVISTA発現または活性への影響を監視することに関する。これらおよび他の薬剤は、以下の節でさらに詳細に記載される。

臨床試験中の効果の監視 VISTAポリペプチド発現または活性(例えば、細胞増殖および/または移動の調節)に対する薬剤(例えば、薬物)の影響の監視は、基本的な薬物スクリーニングのみならず、臨床試験でも適用され得る。例えば、VISTA遺伝子発現を増加させるか、ポリペプチドレベルを増加させるか、またはVISTA活性を上方制御するための本明細書に記載されるためのスクリーニングアッセイによって判定される薬剤の有効性を、減少したVISTA遺伝子発現の低下、ポリペプチドレベルの低下、またはVISTA活性の下方制御を呈する対象の臨床試験において監視することができる。あるいは、VISTA遺伝子発現を低下させるか、ポリペプチドレベルを低下させるか、またはVISTA活性を下方制御するためのスクリーニングアッセイによって判定される薬剤の有効性を、VISTA遺伝子発現の増加、ポリペプチドレベルの増加、またはVISTA活性の増加を呈する対象の臨床試験において監視することができる。上述のように、VISTAは、APC(マクロファージおよび骨髄性樹状細胞)を含む多くの造血細胞型、ならびにCD4+T細胞上で発現され、より具体的には、CD11c+DC、CD4+T細胞(Foxp3エフェクターT細胞およびFoxp3+nTregsの両方を含む)、CD8+T細胞、およびGr1+顆粒球上で発現され、B細胞およびNK細胞上では低レベルで発現される。そのような臨床試験において、VISTA遺伝子、好ましくは、例えばVISTA関連障害に関係する他の遺伝子の発現または活性を、特定の細胞の表現型の「読み出し」またはマーカーとして用いることができる。

例であり、制限するものではなく、(例えば、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイにおいて特定される)VISTA活性を調節する薬剤(例えば、化合物、薬物、または小分子)での処理によって細胞において調節される、VISTAを含む遺伝子が特定され得る。したがって、例えば臨床試験において、VISTA関連障害への薬剤の効果を試験するために、細胞を単離し、RNAを調製し、それぞれ、VISTAおよびVISTA関連障害に関係する他の遺伝子の発現レベルについて分析することができる。遺伝子発現のレベル(例えば、遺伝子発現パターン)を、本明細書に記載されるようにノーザンブロット分析またはRT−PCRによって定量することができ、あるいは代替として、産生されたポリペプチドの量を測定することによって、本明細書に記載される方法のうちの1つによって、またはVISTAもしくは他の遺伝子の活性レベルを測定することによって定量することができる。この方法において、遺伝子発現パターンは、薬剤に対する細胞の生理学的応答を示すマーカーとしての役目を果たし得る。したがって、この応答状態を、薬剤での個体の治療前、およびその間の様々な時点で判定することができる。ある実施形態において、本発明は、薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣体、ポリペプチド、ペプチド、核酸、小分子、または本明細書に記載されるスクリーニングアッセイによって特定される他の薬物候補)での対象の治療の有効性を監視するための方法を提供し、この方法は、(i)薬剤の投与前に対象から投与前試料を得るステップ、(ii)投与前試料中のVISTAポリペプチド、mRNA、またはゲノムDNAの発現レベルを検出するステップ、(iii)対象から1つ以上の投与後試料を得るステップ、(iv)投与後試料中のVISTAポリペプチド、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性レベルを検出するステップ、(v)投与前の試料中のVISTAポリペプチド、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性レベルを、投与後の試料(複数可)中のV ISTAポリペプチド、mRNA、またはゲノムDNAと比較するステップ、ならびに(vi)必要に応じて対象への薬剤の投与を変更するステップを含む。例えば、薬剤の投与の増加は、VISTAの発現または活性を検出されたレベルよりも高いレベルへの増加、すなわち、薬剤の有効性の増加に望ましくあり得る。あるいは、薬剤の投与の低減は、VISTAの発現または活性を検出されたレベルよりも低いレベルへの低下、すなわち、薬剤の有効性の低下に望ましくあり得る。そのような実施形態に従って、VISTA発現または活性を、観察可能な表現型応答が不在の場合であっても薬剤の有効性の指標として用いることができる。

本明細書で言及されるすべての出版物(例えば、非特許文献)、特許、特許出願公開、および特許出願は、本発明が属する当業者の技能のレベルを示す。すべてのそのような出版物(例えば、非特許文献)、特許、特許出願公開、および特許出願は、各個々の出版物、特許、特許出願公開、および特許出願が参照により組み込まれると具体的かつ個別に示されるかのように同一程度に、参照により本明細書に組み込まれる。

本明細書に記載される本発明が完全に理解され得るように、前述の発明を実施するための形態が説明される。本発明の様々な実施形態は、詳細に記載されており、提供される実施例によってさらに例証され得る。

ここで一般に説明されている本発明は、以下の実施例を参照することによりより容易に理解され、これらの実施例は、単に本発明のある特定の態様および実施形態の例証目的のために包含されており、本発明を限定するようには意図されていない。

実施例1 VISTA(PD−L3)のクローニングおよび配列分析 静止Treg、αCD3で活性化したTreg、およびαCD3/αGITRで活性化したTregの包括的転写プロファイリングによってVISTA(PD−L3)およびTreg−sTNFを特定した。Treg上でGITRをトリガすることでそれらの接触依存性抑制活性が失われることが示されたため、αGITRをこの分析に選択した(Shimizu,et al.(2002)(上記))。それらの特有の発現パターン(表2)に基づいてAFFIMETRIX(登録商標)DNAアレイ上でVISTA(PD−L3)およびTreg−sTNFを特定した。VISTA(PD−L3)は、αCD3活性化Tregにおける発現の増加およびαGITRの存在下での発現の減少を示し、Treg−sTNFは、αCD3/αGITR依存性の発現の増加を示した。

精製したCD4+CD25+T細胞を刺激しないか、または培養物中でαCD3もしくはαCD3/αGITRで一晩刺激し、リアルタイムPCR分析のためにRNAを単離した。列記される発現は、アクチンに対するものである。

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活性化CD25+CD4+nTregs対静止CD25+CD4+nTregsのAFFIMETRIX(登録商標)分析は、未知の機能を有するが、Igスーパーファミリーとの配列相同性を有しない遺伝子産物(RIKEN cDNA 4632428N05、または4632428N05Rik)の発現を明らかにした。

より具体的には、930塩基対の遺伝子産物をCD4+T細胞cDNAライブラリーからクローニングし、これは、予測した大きさおよび配列と一致した。コンピュータ上の配列および構造分析は、成熟時に309個のアミノ酸の膜貫通タンパク質、159個のアミノ酸の細胞外ドメイン、22個のアミノ酸の膜貫通ドメイン、および95個のアミノ酸の細胞質尾部を予測する(図1A)。アミノ酸配列アライメントは、PD−L1、PD−L2、B7−H3、およびB7−H4等のB7ファミリーリガンド、ならびにB7ファミリー受容体(すなわち、PD−1、CTLA−4、CD28、BTLA、ICOS)に相同な細胞外免疫グロブリン(Ig)−V様ドメインを明らかにする(図1B〜C)。B7ファミリーリガンドと受容体との間のIg−Vドメインの配列同一性は一般にあまり高くないが(40%未満)、4632428N05RikのIg−Vドメインは、B7ファミリーリガンドPD−L1およびPD−L2と最も高い相同性を有する。配列アライメントは、鎖内ジスルフィド結合形成に重要ないくつかの高度に保存されたシステイン(図1B)も明らかにし、これは、B7ファミリーリガンドの特徴である。図23、Sica,et al.(2003)Immunity 18:849−861も参照されたい。

4632428N05Rikの細胞外ドメインは、Ig−Vドメインのみを含有し、Ig−Cドメインを欠く(図1B〜C)。この特有の特徴は、B7ファミリー受容体の特徴であり、4632428N05Rikを、Ig−VとIg−Cドメインの両方を含有するすべての他のB7ファミリーリガンドと区別する。Freeman(2008)Proc Natl Acad Sci USA 105:10275−10276、Lazar−Molnar,et al.(2008)Proc Natl Acad Sci USA 105:10483−10488、Lin,et al.(2008)Proc Natl Acad Sci USA 105:3011−3016、Schwartz,et al.(2001)Nature 410:604−608、Stamper,et al.(2001)Nature 410:608−61。一貫して、PhyMLアルゴリズムを用いた系統発生学的分析(系統発生学的最大尤度)は、4632428N05Rikを、B7ファミリーリガンドよりもB7ファミリー受容体、具体的には、PD−1に近い進化距離に置いた(図2)。Guindon&Gascuel(2003)Syst Biol 52:696−704。しかしながら、VISTA(PD−L3)の細胞質尾部は、いかなるシグナル伝達ドメイン(例えば、ITIM、ITAM、またはITSM)も含有せず、これは、B7ファミリー受容体のシグネチャドメインである。Sharpe&Freeman(2002)Nat Rev Immunol.2:116−126。阻害性受容体PD−1とのその緊密な進化的関係にもかかわらず、4632428N05Rikは、新規の数のB7リガンドファミリーを表す。これらの構造的および系統発生学的特徴に基づいて、この分子をリガンドとしてPD−1発現(VISTA(PD−L3))と名付けた。VISTA(PD−L3)はまた、マウスオルソログとヒトオルソログとの間で高度に保存され、77%の配列同一性を共有する(図1D)。

マウスVISTA(PD−L3)をコードする核酸配列を本明細書において配列番号1とし、マウスVISTA(PD−L3)タンパク質配列を配列番号2とする。

VISTA(PD−L3)のヒト相同体は、染色体10(72.9Mb)上に位置し、6個のエクソンからなり、それにより311残基タンパク質をコードする4689塩基長の転写物を生成する。ヒト相同体mRNAコード配列は、GENBANK受入番号NM_022153で示され、タンパク質配列をNP_071436とする。ヒトVISTA(PD−L3)をコードする核酸配列を本明細書において配列番号3とし、ヒトVISTA(PD−L3)タンパク質配列を配列番号4とする。マウスおよびヒト遺伝子は、74%の相同性を共有し、タンパク質レベルで68%同一である。相同体が、染色体20(27.7Mb、GENBANK受入番号BC098723)上でドブネズミ、ならびにトラフグおよびゼブラフィッシュにおいて特定された。一実施形態において、本発明のVIST A(PD−L3)タンパク質は、配列番号5に示される共通のアミノ酸配列を共有する。VISTAのさらなるオルソログが特定され、図23Dに示される(例えば、(配列番号17)、ヒト(配列番号16)、カンガルー(配列番号18)、イルカ(配列番号19)、トリ(配列番号20)、アフリカツメガエル(配列番号21)、キンカチョウ(配列番号22)、ゼブラフィッシュ、およびフグ(配列番号23))。

実施例2 RT−PCR分析およびフローサイトメトリーによるVISTA(PD−L3)の発現研究 RT−PCR分析を用いて、マウス組織におけるVISTA(PD−L3)のmRNA発現パターンを判定した(図3A)。VISTA(PD−L3)は、造血組織(脾臓、胸腺、骨髄)、または十分に浸潤した白血球の組織(すなわち、肺)に主に発現する。非造血組織(すなわち、心臓、腎臓、脳、および卵巣)で弱発現も検出された。いくつかの造血細胞型の分析は、腹腔マクロファージ、脾臓CD11b+単球、CD11c+DC、CD4+T細胞、およびCD8+T細胞でのVISTA(PD−L3)の発現を明らかにするが、B細胞での発現レベルは低い(図3B)。この発現パターンは、GNF(Genomics Institute of Novartis Research Foundation)遺伝子アレイデータベース、ならびにNCBI GEO(遺伝子発現オムニバス)データベース(図4A〜D)とも大いに一致している。Su,et al.(2002)Proc Natl Acad Sci USA 99:4465−4470を参照されたい。

タンパク質発現を研究するために、VISTA(PD−L3)特異的ハムスター8D8および6E7モノクローナル抗体を産生した。特異性は、陽性染色法によってVISTA(PD−L3)過剰発現マウスEL4 T細胞上で実証され、陰性染色法によってPD−L1過剰発現EL4細胞上で実証される(図5)。

ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体の両方をVISTA(PD−L3)に対して産生した。ウサギ抗VISTA(PD−L3)抗体を用いて、VISTA(PD−L3)タンパク質はリンパ器官に局在し、脳組織で顕著に見られた。特定されたモノクローナル抗体のうち、αVISTA(PD−L3)クローン8D8の特異性をさらに評価した。この分析において、クローン8D8を、CTLA−4、PD−1、PD−L1、PD−L2、B7−1、B7−2、VISTA(PD−L3)、およびhlgを含むPD−L様Ig融合タンパク質分子のパネルに対する結合について試験した。この分析の結果は、8D8αPDL−3がVISTA(PD−L3)に対して高度に特異的であることを示した。

具体的には、抗VISTA(PD−L3)モノクローナル抗体クローン8D8を用いて、VISTA(PD−L3)発現をフローサイトメトリーによって造血細胞上で分析した。Foxp3GFPノックインレポーターマウスを用いてCD4+nTregを区別した。末梢リンパ器官(脾臓およびリンパ節)において、すべてのCD4+T細胞サブセット(総CD4+T細胞、またはFoxp3−ナイーブT細胞およびFoxp3+nTreg細胞、ならびにメモリーCD4+T細胞を参照されたい)上で著しい発現が見られる一方で、CD8+T細胞発現は、著しく少ない量の表面VISTA(PD−L3)を発現する(図3C)。胸腺において、VISTA(PD−L3)発現は、CD4+CD8+ダブル陽性胸腺細胞では陰性であり、CD4シングル陽性細胞では低く、CD8シングル陽性細胞では検出可能である。次に、高VISTA(PD−L3)発現のCD11bマーカーとの強い相関関係を、F4/80マクロファージと骨髄性CD11c+DCの両方を含む脾臓細胞と腹膜細胞の両方で見ることができる(図3D〜E)。その一方で、B細胞およびNK細胞は、VISTA(PD−L3)発現に対してほぼ陰性である。わずかな割合のGr−1+顆粒球もVISTA(PD−L3)を発現する(図3F)。

差次的発現パターンが異なるリンパ器官由来の細胞の同一系列で示される(図3G)。CD4+T細胞およびCD11b中間単球について、発現レベルは、腸間膜リンパ節>末梢リンパ節および脾臓>腹膜腔および血液のパターンに従う。このパターンは、CD11b高細胞ではあまり顕著ではない。このデータは、ある特定の細胞型におけるVISTA(PD−L3)発現が細胞成熟および/または組織微小環境によって制御され得ることを示唆する。

新たに単離された細胞に加えて、VISTA(PD−L3)発現を、活性化を伴うインビトロ培養時および活性化を伴わないインビトロ培養時に、脾臓CD4+T細胞、CD11b高単球、およびCD11c+DC上で分析した(図6)。脾臓細胞を、培地、または抗CD3(T細胞を活性化するため)もしくはIFNγおよびLPS(単球およびDCを活性化するため)のいずれかで24時間培養した後に、VISTA(PD−L3)および他のB7ファミリーリガンド(例えば、PD−L1、PD−L2、B7−H3、およびB7−H4)の発現について分析した。この比較は、これらの分子間の特徴的な発現パターンを明らかにした。VISTA(PD−L3)発現は、活性化状態にかかわらず、インビトロ培養時にすべての細胞型ですぐに失われる。対照的に、PD−L1発現は、刺激時にCD4+T細胞上で、または培地単独での培養時にCD11b高単球およびCD11c+DC上で上方制御され、刺激時にさらに強化される。PD−L2、B7−H3、およびB7−H4の発現は、用いた培養条件下では顕著ではない。インビトロでのVISTA(PD−L3)発現の喪失は、他のB7ファミリーリガンドと比較すると特有であるが、組織微小環境を模倣し損なう最適ではない培養条件を反映し得る。

VISTA(PD−L3)発現が、どのようにインビボで制御されるかを考慮するために、CD4 TCRトランスジェニックマウスDO11.10を、フロイント完全アジュバント(CFA)中で乳化された同族抗原トリ卵白アルブミン(OVA)で免疫した。免疫後24時間時点で、流入領域リンパ節由来の細胞をVISTA(PD−L3)発現について分析した(図7A)。アジュバント単独ではなく抗原(CFA/OVA)での免疫は、F4/80+マクロファージおよびCD11c+DCの混合集団を含有したCD11b+VISTA(PD−L3)+骨髄性細胞集団を劇的に増加させた。PD−L1およびPD−L2とのさらなる比較は、PD−L1が最も高い構成的発現レベルを有するが、VISTA(PD−L3)がそのような炎症性免疫応答中に最も高度に上方制御されることを明らかにする(図7B)。集合的に、これらのデータは、骨髄性APCでのVISTA(PD−L3)の発現が、免疫系によって厳重に制御されており、免疫応答を制御し、T細胞免疫を調整するその役割に寄与し得ることを強く示唆する。

そのAPCでの発現の増加とは対照的に、VISTA(PD−L3)発現は、免疫時のより遅い時点で(すなわち、24時間時点ではなく、48時間時点で)活性化DO11.10 CD4+T細胞で減少する(図8)。この結果は、インビボにおけるCD4 T細胞でのVISTA(PD−L3)発現が、能動免疫応答中に、その活性化状態およびサイトカイン微小環境によって制御されている可能性があることを示唆する。

実施例3 VISTA(PD−L3)シグナル伝達のCD4+およびCD8+T細胞応答への機能的影響 VISTA(PD−L3)−Ig融合タンパク質を産生して、CD4+T細胞応答におけるVISTA(PD−L3)の制御的役割を試験した。VISTA(PD−L3)−Ig融合タンパク質は、ヒトIgG1 Fc領域に融合されたVISTA(PD−L3)の細胞外ドメインを含有する。マイクロプレート上に固定化したとき、VISTA(PD−L3)−Igは、停止細胞分裂によって判定すると、プレート結合された抗CD3刺激に 応答して、バルク精製されたCD4+およびCD8+T細胞の増殖を抑制したが、対照−Igは抑制しなかった(図9A〜B)。VISTA(PD−L3)Ig融合タンパク質は、ELISAによって判定すると、プラスチックウェルへの抗CD3抗体の吸収に影響を及ぼさず、それ故に非特異的阻害効果の可能性を排除した。PD−1 KO CD4+T細胞も抑制され(図9C)、PD−1がVISTA(PD−L3)の受容体ではないことを示す。PD−L1−IgおよびVISTA(PD−L3)−Igの阻害効果も直接比較した(図10)。滴定量のIg融合タンパク質がαCD3とともにマイクロプレートに吸収されてCD4+T細胞を刺激したときに、VISTA(PD−L3)−Igは、PD−L1−Ig融合タンパク質と同様の阻害的有効性を示した。

バルク精製されたCD4+T細胞が様々なサブセットを含有するため、分類されたナイーブ(CD25−CD44低CD62L高い)およびメモリー(CD25−CD44高CD62L低)CD4+T細胞サブセットへのVISTA(PD−L3)−Igの影響を評価した(図11)。メモリー細胞上での有効性ははるかに低いが、VISTA(PD−L3)は、両方のサブセットの増殖を抑制することができる。

VISTA(PD−L3)媒介性抑制の機序をさらに理解するために、初期のTCR活性化マーカーの発現およびアポトーシスを、VISTA(PD−L3)−Igの存在下または不在下でT細胞活性化後に測定した。細胞増殖への負の影響と一致して、初期の活性化マーカーCD69、CD44、およびCD62Lの発現における包括的な抑制が存在する(補足図12A)。その一方で、VISTA(PD−L3)−Ig融合タンパク質は、アポトーシスを誘導しなかった。それとは逆に、TCR活性化の早期(24時間)および後期(48時間)の両方で、対照−Igよりも少ないアポトーシス(アネキシンV+7AAD細胞の割合によって判定される)がVISTA(PD−L3)またはVISTA−Igの存在下で見られた(図12B)。例えば、24時間時点で、全体の「非ゲート化」集団において、約27%の細胞がVISTA(PD−L3)またはVISTA−Igの存在下でアポトーシスであり、約39%の対照細胞がアポトーシスであった。生細胞R1ゲート内の細胞を試験した際、VISTA(PD−L3)またはVISTA−Igで処理したときに、約72.6%の対照細胞がアポトーシスになった一方で、43.5%の細胞のみがアポトーシスになったという理由から、VISTA(PD−L3)またはVISTA−Igが活性化誘導細胞死(ACID)を強力に阻害したことが明らかである。同様の結果が48時間時点でも見られた。したがって、VISTA(PD−L3)またはVISTAが初期TCR活性化および停止細胞分裂を抑制することによってCD4+T細胞応答を負に制御するが、アポトーシスに最小限の直接影響しか及ぼさないようである。この抑制機序は、B7−H4のものに類似している。Sica,et al.(2003)Immunity 18:849−861。

2段階アッセイを開発して、VISTA(PD−L3)またはVISTA−Igが活性化前のCD4 T細胞を抑制することができるか、およびその抑制効果がどの程度持続するかを判定した。VISTA(PD−L3)またはVISTA−Ig融合タンパク質の抑制効果が、活性化後24時間時点でそれを除去した後に持続することが示される(図9D)。加えて、ナイーブと活性化前CD4+T細胞の両方ともに、VISTA(PD−L3)またはVISTA−Igによって抑制することができた。図9D(i)、9D(iii)、および9D(iv)を参照されたい。

次に、CD4+T細胞サイトカイン産生へのVISTA(PD−L3)またはVISTA−Igの影響を分析した。VISTA(PD−L3)またはVISTA−Igは、バルク精製されたCD4+T細胞培養からのTh1サイトカインIL−2およびIFNαの産生を抑制した(図13A〜B)。別個のナイーブ(CD25−CD44低CD62L高)およびメモリー(CD25−CD44高CD62L低)CD4+T細胞集団へのVIST A(PD−L3)またはVISTAの影響をさらに試験した。メモリーCD4+T細胞が、CD4+T細胞コンパートメント内のサイトカイン産生の主な供給源であり、VISTA(PD−L3)またはVISTAがこの産生を抑制することができることが示される(図13C〜D)。CD8+T細胞からのVISTA(PD−L3)またはVISTAのIFNα産生への同様の阻害効果も示された(図13E)。CD4+およびCD8+T細胞によるサイトカイン産生へのVISTA(PD−L3)またはVISTAのこの阻害効果は、VISTA(PD−L3)またはVISTAが免疫応答を下方制御する阻害性リガンドであるという仮説と一致する。

次に、VISTA(PD−L3)またはVISTAの阻害効果を克服することができる因子を判定する研究を設計した。VISTA(PD−L3)またはVISTAがIL−2産生を抑制し、IL−2がT細胞生存および増殖に不可欠であることを前提に、IL−2は、VISTA(PD−L3)またはVISTAの阻害活性を回避し得る。図14Aに示されるように、外因性IL−2は、細胞増殖へのVISTA(PD−L3)またはVISTA−Igの抑制効果を部分的に逆転させたが、IL−15、IL−7、またはIL−23は逆転させなかった。高レベルのIL−2による不完全な救出は、VISTA(PD−L3)またはVISTAシグナル伝達が単にIL−2産生よりも広範のT細胞活性化経路を標的とすることを示す。その一方で、抗CD28アゴニスト性抗体によって提供された強力な共刺激シグナルが、VISTA(PD−L3)またはVISTA−Ig媒介性抑制を完全に逆転させた(図14B)のに対して、中程度のレベルの共刺激は、VISTA(PD−L3)またはVISTAシグナル伝達によって引き続き抑制される(図14C)。この結果は、VISTA(PD−L3)またはVISTA媒介性免疫抑制が、炎症程度の低い状態下でより効果的であるが、強力な正の共刺激性シグナルによって必然的に圧倒されることを示唆する。この点において、VISTA(PD−L3)またはVISTAは、この特徴をPD−L1およびB7−H4等の他の抑制性B7ファミリーリガンドと共有する。Sica,et al.(2003)Immunity 18:849−861、Carter,et al.(2002)Eur J Immunol.32:634−643。

VISTA(PD−L3)またはVISTA−Ig融合タンパク質に加えて、APCで発現されるVISTA(PD−L3)またはVISTAが、APCとT細胞との間の同族相互作用中に、抗原特異的T細胞活性化を抑制することができることを確認することが必要である。この目的のために、VISTA(PD−L3)またはVISTA−RFPまたはRFP対照タンパク質を、MHCIIおよびB7−2分子を安定的に発現する人工抗原提示細胞株(CHO−APC)においてレトロウイルス形質導入によって過剰発現させた(Latchman,et al.(2001)Nat Immunol 2:261−268)。CHOにおけるVISTA(PD−L3)またはVISTAを発現させる際の1つの課題は、恐らくVISTA(PD−L3)またはVISTA表面局在化への支援を欠く未知の環境のため、VISTA(PD−L3)またはVISTAの大半が細胞表面に局在化し損なったことである。制御モードを示唆するVISTA(PD−L3)またはVISTAの細胞質尾部上に存在する明確なモチーフが存在しないが、この尾部は、その細胞内局在化に貢献し得る。したがって、尾部のないVISTA(PD−L3)またはVISTA変異体を設計し、CHO細胞表面にうまく局在化することを見出した。

T細胞応答を刺激するために、CHO−VISTA(PD−L3)またはVISTAまたはCHO−RFP細胞を、抗原OVAペプチドの存在下でDO11.10 CD4+T細胞とともにインキュベートした。図15A〜Cに示されるように、CHO−VISTA(PD−L3)またはVISTAは、CHO−RFP細胞よりも少ないDO11.10細胞の増殖を誘導した。この抑制効果は、より低いペプチド濃度においてより顕著であり、より強力な刺激性シグナルがVISTA(PD−L3)またはVISTAの抑制効果を克 服するといった概念と一致する。

加えて、天然APCへの全長VISTA(PD−L3)またはVISTAの阻害効果が確認された。インビトロで培養された骨髄由来樹状細胞(BMDC)は、高レベルのVISTA(PD−L3)またはVISTAを発現しない(図16)。VISTA(PD−L3)またはVISTA−RFPまたはRFPを、10日間の培養期間中にレトロウイルス形質導入によってBMDCで発現させた。形質導入された細胞を、RFP発現に基づいて同種に分類した。形質導入されたDCでのVISTA(PD−L3)またはVISTAの発現レベルを、抗VISTA(PD−L3)またはVISTAモノクローナル抗体での染色によって推定し、新たに単離された腹腔マクロファージでの発現レベルに類似しており、それ故に生理学的発現範囲内であることが見出された(図16)。その後、分類されたBMDCを用いて、OVAペプチドの存在下でOVA特異的トランスジェニックCD4+T細胞(OTII)を刺激した(図15D)。BMDCでのVISTA(PD−L3)またはVISTAの発現は、同族CD4+T細胞増殖応答を抑制した。この結果は、VISTA(PD−L3)またはVISTA−Ig融合タンパク質およびCHO−APC細胞を用いた先のデータと一致し、VISTA(PD−L3)またはVISTAがT細胞媒介性免疫応答を抑制することができることを示唆する。

実施例4 VISTA(PD−L3)またはVISTAトランスジェニックおよびノックアウトマウス 胚のレンチウイルス感染を用いて、VISTA(PD−L3)またはVISTAを遍在的に発現する4匹のトランスジェニックマウスを産生した。これらのマウスは、ヒト伸長因子1プロモーターの制御下で全長VISTA(PD−L3)またはVISTAを発現する。これらのマウスを、レンチウイルスベクターpWPTを用いて生成した。他のPD−L1ファミリーメンバーと同様に(Appay,et al.(2002)J.Immunol.168:5954−8)、VISTA(PD−L3)またはVISTAがインビボで負の制御因子として機能する一方で、αCD3T細胞増殖をインビトロで共刺激する機能を果たすことが企図される。この点において、これらのマウスが自己免疫を自然発生的に発症することが見込まれ、VISTA(PD−L3)またはVISTAトランスジェニックマウスにおけるインビボでの免疫応答(すなわち、体液性免疫応答、T細胞プライミング)を評価して、全身性自己免疫疾患の発症を評価する。

ノックアウトマウスでは、VISTA(PD−L3)またはVISTAは、相同組み換えによって不活性化される。全長VISTA(PD−L3)またはVISTA配列を含有するBACクローンをINVITROGEN(登録商標)(Carlsbad,CA)から購入した。VISTA(PD−L3)またはVISTA標的ベクターを、VISTA(PD−L3)またはVISTA遺伝子の2番目のエクソンの5’側にある1.6kbフラグメントをネオマイシン遺伝子上流に挿入し、VISTA(PD−L3)またはVISTA遺伝子の3番目のエクソンの3’側にある5kbフラグメントを、ネオマイシン遺伝子下流に挿入することによって生成した。B6由来胚幹(ES)細胞を、VISTA(PD−L3)またはVISTA標的ベクターとともに電気穿孔し、組み換えられたクローンを選択する。その後、選択されたクローンをC57BL/6胚盤胞に注入し、結果として生じるキメラ雄性子孫をFLP欠失マウスと交配させて、ネオマイシンカセットを除去する。子孫における標的対立遺伝子の伝送をゲノムDNA由来のPCRによって判定する。2番目および3番目のエクソンは、VISTA(PD−L3)またはVISTAドメインを含有し、それ故に結果として生じるマウスは、VISTA(PD−L3)またはVISTA分子の不活性化形態のみを有する。

抗原に対するT細胞応答、体液性免疫応答、顕性自己免疫(例えば、全身性エリテマト ーデス、炎症性腸疾患)、および誘発性自己免疫疾患(実験的自己免疫性脳脊髄炎)に対する感受性の増大の評価を含む、VISTA(PD−L3)またはVISTA欠損マウスの全体的な免疫能力を、他のPD−L−/−マウスと同様に判定する(Chen(2004)(上記))。

実施例6 特定のVISTAによるVISTA封鎖モノクローナル抗体は、インビトロでT細胞応答を高める。 VISTA媒介性抑制を中和するVISTA特異的モノクローナル抗体(13F3)を特定した(図18)。CD11b骨髄性APCをナイーブマウスから精製して、13F3の存在下または不在下でOT−IIトランスジェニックCD4+T細胞を刺激した。その中和作用と一致して、13F3は、CD11b骨髄性細胞によって刺激されたT細胞増殖を高め、高レベルのVISTAを発現することを示した。

実施例7 抗VISTAは、抗腫瘍免疫を高める。 T細胞活性化を高める抗VISTAの能力のため、抗VISTAが免疫原性腫瘍に対する防御的免疫応答を高めるかを評価した。我々が多くの経験を有するモデルは、膀胱癌、MB49である。MB49は、雄性抗原を発現し、それ故に雌マウスにおいて適度に免疫原性であるが、免疫介入がなければ、増殖し、雌マウスを死滅させる。αVISTA治療の有効性を試験するために、雌マウスにMB49腫瘍細胞を皮下(sq)投与し、αVISTAで処理した。その数日後、マウスを安楽死させるまで腫瘍サイズを測定した。図19は、抗VISTA治療が腫瘍成長を大いに低下させることを示す。これは、細胞媒介性免疫(CMI)応答を強化させる抗VISTAの能力に起因する。

実施例8 4匹のマウス腫瘍モデルにおける腫瘍退縮に対するVISTAの効果 免疫原性膀胱癌腫瘍MB49における実験は、モノクローナル抗体13F3を用いたVISTAの中和が腫瘍成長から宿主を保護することを示している。このデータは、VISTAが、MDSCを非常に高度に発現するため、腫瘍の微小環境においてかなりの負の免疫制御役割を果たすことを示す。免疫原性(MB49)および高度に非免疫原性(B16)の腫瘍モデルへの抗マウスVISTAの効果を試験する研究は、αVISTA治療の有効性をさらに確認し、作用機序を明らかにし、最適な用量およびタイミングを選択するための基準を提供する。各腫瘍モデルの論理的根拠が以下に詳述される。

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雌マウスにおけるMB49:このマウスモデルにおける有効性が実証されている。このモデルにおけるMDSCは、上昇したレベルのVISTAも発現する。このモデルにおいて、H−Y抗原の存在のため、MB49腫瘍は、適度に免疫原性である。抗VISTA治療が効果的であることが判明しているため、このモデルを「正の」対照とし、抗VISTA治療の投薬(1〜100μg/マウス)およびタイミング(腫瘍接種当日、または腫瘍接種の4、7、10日後;治療的介入)を決定する。

雄マウスにおけるMB49:雌マウスに有効な用量およびタイミングを用いて、(腫瘍 の免疫原性がより低い)雄マウスにおける抗VISTA治療の有効性を判定する。

B16黒色腫:抗CTLA−4モノクローナル抗体がこのモデルにおいて非常に有効であることが示され、マウスモデルがヒトにおける成功の予測に有益であった非免疫原性腫瘍を表す。投与計画およびタイミングは、MB49モデルにおいて有効であると示される投与計画およびタイミングに類似している。

ID8卵巣癌:VISTA発現がMDSCにおいて非常に高度であることが示されたのは、このモデルにおいてである。ID8腫瘍を有するマウスを、腫瘍接種時に、または接種後5、15、25日目にαVISTAで処理する。

方法。B6野生型マウスを用いて、上記のすべてのマウス腫瘍モデルの寛解に最適な抗VISTA治療の用量およびタイミングを決定する。用いたモデルが表3に列記される。

この用量およびタイミングアッセイの読み出しは、腫瘍成長動態である。MB49およびB16研究について、すべての腫瘍研究を皮内(i.d.)接種によって行い、それ故に腫瘍サイズを容易に判定することができる。腫瘍測定結果を、カリパスを用いて2〜3日毎に収集する。これらのモデルのそれぞれにおいて、抗VISTAまたは対照抗体の影響を、腫瘍成長を遅延させるか、または腫瘍退縮を促進するその能力について試験する。その後、ルシフェラーゼ形質導入ID8を用いてID8の成長を行い、IVIS Workstationを用いて全身撮像を行う。加えて、宿主生存もまた判定する。

腫瘍成長におけるデータを平均腫瘍体積±標準誤差として表し、群間の差を両側ANOVAによって分析する。0.05未満の可能性(p)値を、統計的に有意であると見なす。生存データを、群間の生存差のの有意性を確証するために用いられるウィルコクソン順位検定およびlog順位検定を伴うカプラン・マイヤー法を用いて分析する。B16モデルにおいて、マウスが白斑を発症する頻度を判定する。

これらの方法を用いることにより、非免疫原性腫瘍モデルのうちのいくつかにおける対照抗体で処理されたマウスと比較して、抗VISTAモノクローナル抗体で処理されたマウスにおいて腫瘍成長が遅延する、および/または腫瘍退縮がもたらされる。抗VISTA治療が免疫原性腫瘍モデルにおける腫瘍成長を遅延させることが既に示されている。これらの腫瘍モデルのそれぞれがそれら独自の特定の成長動態を有し、腫瘍成長をもたらして免疫を抑制するVISTAへの予測される依存を有するため、マウスに、腫瘍接種時またはその後の時点のいずれかの時点でモノクローナル抗体を投与する。さらに、少なくとも3つの異なる濃度の抗VISTAモノクローナル抗体を試験して、治療効果に最適な用量を判定する。

図20A〜Eに示されるように、VISTAモノクローナル抗体での処置は、(A)MB49、(B)MCA105、(C)EG7腫瘍細胞を皮下(sq)接種するか、または(D)ID8ルシフェラーゼ腫瘍細胞を腹腔内(ip)接種するかのいずれかを行い、1日目から始めて1日おきにVISTAモノクローナル抗体13F3で処理した(300μg)これらの4つすべてのマウス腫瘍モデルにおける腫瘍成長を低下させた。皮下腫瘍成長を監視した。ID8−ルシフェラーゼ腫瘍について、マウスを、Xenogen IVISを用いて30日目に撮像した。(E)腫瘍を有するマウスにおける骨髄性白血球でのVISTA発現もまた判定した。流入領域リンパ節および腫瘍組織(腹水)を、VISTA発現について分析した。これらの所見は、MDSCで発現されたVISTAが防御的抗腫瘍免疫の発達を妨害する主な抑制分子であり、αVISTAがこの抑制活性を解除して、免疫介入を可能にし、腫瘍成長を遅延させることを示す。これらの所見は、自己免疫疾患における骨髄性細胞上のVISTAが炎症程度を制御する際に極めて重要な役割を果た すという結論も支持する。

実施例9 オリゴマーVISTAおよびVISTA融合タンパク質の合成 インビトロでの可溶性VISTA−Igは、抑制性でなく、その細胞への結合を容易に検出することができない。対照的に、プラスチックに結合されるこの分子は、大いに抑制性である。加えて、インビボでのVISTA−Igを用いた研究は、明白な活性を示さなかった。これらの研究に関して、作成されたVISTA−Igは、FcR結合を妨げるCH2−CH3ドメインで突然変異を有し、それ故にインビボでは細胞親和性ではない。最近の研究は、四量体PD−L1が、単量体PD−L126よりも100倍高く(Kd6×10−8M)PD−1に結合し、細胞への結合が容易に検出可能であったことを示している。四量体PD−L1をインビボで試験しなかったが、インビトロで、四量体PD−L1が天然PD−L1による機能的抑制を遮断することを示した。同様の方法を用いて、VISTA経路を標的とし、インビトロおよびインビボで強力な免疫抑制活性を誘起するオリゴマーを作製する。

そのようなオリゴマーを、VISTAまたはそのフラグメント、例えば、細胞外ドメインまたはその部分がオリゴマーの構成要素として用いられる少なくとも50、75、100、125、150、175、または200アミノ酸長の単量体細胞外ドメインを用いて構築する。これらの方法において、本発明者らは、十分に確立されたMHC四量体技術を利用する。これらの方法において、二価から七価に及ぶ結合価を有する一連のVISTA複合体を生成するために、VISTA細胞外ドメイン構築物またはフラグメントを、(本明細書で特定された)様々なオリゴマー形成ドメインのN末端に連結させる。

これによって、二量体、三量体、四量体、五量体、および七量体アセンブリの安定した形成をもたらす高親和性コイルドコイルドメインに基づいて、一連の非共有結合オリゴマーを作成する。これらのオリゴマー構築物を、宿主細胞(例えば、大腸菌)で発現させる。発現が大腸菌で達成されると、発現されたオリゴマーを再び折り畳み、標準の研究室プロトコルを用いて封入体から精製する。このアプローチは、MHCペプチド複合体および三量体GITRL66を含む生物学的および構造的分析用の質の高い物質を日常的に産生している。その後、単離されたオリゴマータンパク質を、SDS−PAGE、分析ゲル濾過、分析超遠心、および質量分析によって評価する。これらの品質管理手段は、インビトロおよびインビボ研究における十分に特徴付けられた均質の物質の利用能を確実にする。各個別のVISTA複合体が細胞表面結合VISTA受容体と生産的に相互作用するように位置付けられるため、これらの構築物の並列構成は、結合価がオリゴマー状態に等しい分子をもたらす。上述の構築物は、オリゴマー状態の極度の安定性および均質性を有する。(非共有結合コイルドコイルオリゴマー形成ドメインは、典型的には、95℃の融解温度を示す七量体配列を除いて、100℃を超える融解温度を示す。

加えて、細胞親和性であるか、または細胞親和性ではない二量体VISTA−Igを四量体化する。IgG1 Fc(野生型IgG1および既存の非FcR−結合IgG1の両方)とインフレームのVISTAのFc融合構築物を、N末端BirA部位で修飾して酵素をビオチン化し、pIRES2−EGFPベクターにクローニングした。酵素ビオチン化は、アビジン多量体化時に特定の単一残基修飾および配向を可能にする。このアプローチは、B7−1、PD−L1、PD−L2、およびTIM−3を含む多数のIg融合タンパク質の生成に用いられている。その後、発現されたタンパク質をインビトロで酵素的にビオチン化し、サイズ排除HPLCによって精製し、PE−アビジンを用いて四量体化する。結果として生じる細胞親和性または非細胞親和性の四量体をインビボで評価する。

これらの操作された多量体VISTAタンパク質は、VISTA経路および免疫抑制に おける介入が治療的に正当化される自己免疫および他の状態の治療において有用である。

実施例10 免疫抑制を誘導するためのVISTAアデノウイルスベクター 組み換えアデノ関連ウイルス(AAV)を用いた遺伝子導入は、遺伝子療法において大きな技術開発となっている。具体的には、PD−L1遺伝子またはCTLA4−IgおよびCD40−IgのAAV媒介遺伝子送達は、ループス(Kyttaris et al.,2005)および心臓移植の自己免疫疾患モデルにおける治療的有効性を達成している。これらの方法を用いて全長VISTAまたはオリゴマーVISTA細胞外ドメインのいずれかを送達し、およびそれらの治療効果をEAEモデルにおいて評価する。全長マウスVISTAまたはオリゴマーVISTA細胞外ドメインのいずれかを発現する組み換えアデノウイルスベクターを、製造業者の取扱説明書に従ってアデノ−XTM発現系(Clontech)を用いて作成する。手短に言えば、VISTAを、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの制御下で、E1およびE3を欠失したpAdDEST系発現ベクターにクローニングする。その後、アデノウイルスを発現するVISTAおよび対照lacZを細胞溶解物から精製する。VISTAの全身性過剰発現の場合、アデノウイルスを、免疫化による疾患誘導の前もしくは直後、または疾患発症後のいずれかの時点で、静脈内尾静脈注入(1×109プラーク形成単位[Pfu])によってマウスに投与する。対照マウスは、100μLのPBSを受ける。疾患の発症および変化をSJLマウスおよびC57BL/6マウスの両方で監視し、これらは、異なる疾患進行パターンを示し、ヒトMS患者の臨床症状の2つのはっきりと異なる形態を表す。

実施例11 VISTAの構造研究およびVISTA機能を有する分子決定基の決定 組織化されたシグナル伝達複合体の親和性、特異性、オリゴマー状態、ならびに形成および局在化は、免疫機能への重要な寄与因子である。受容体−リガンド細胞外ドメインの組織化が、非共有結合した細胞質シグナル伝達および足場分子の動員、組織化、および機能を直接制御するため、これらの特徴はすべて、シグナル伝達および免疫を制御に影響を与える。VISTAの高分解能結晶構造を、細菌、昆虫、および哺乳動物発現系を含む技法、ならびにハイスループット結晶化および構造決定アプローチを用いて判定する。結晶学的に観察されたジスルフィド結合パターンを確証するために、TIM−3およびヒトDcR359の研究の支持に成功したアプローチを用いた高分解能質量分析を用いる。これらの構造的結果に基づいて、変化したオリゴマー特性を有する一連の突然変異体、ならびにVISTA−IgVドメインの任意の摂動領域付近の突然変異体を設計する。これらの変異体タンパク質は、VISTA機能に対するさらなる直接的な機構的洞察を提供し、本明細書で特定される自己免疫、アレルギー性、および炎症性疾患等の免疫抑制が所望される治療薬に有用であるはずである。これらの突然変異体、特にオリゴマーをインビトロ系で試験し、疾患進行、疾患寛解、または自己免疫もしくは炎症性状態の発症からの動物の防御への免疫抑制効果を評価するために、自己免疫および炎症性疾患動物モデルを評価する。

これらのオリゴマーVISTAタンパク質は、自己免疫における免疫介入の標的として、VISTA経路および機能を活性化する。この介入は、免疫を抑制し、自己免疫抑制が所望される自己免疫疾患および他の状態に治療的利益を与える。これは、EAEおよびコラーゲン誘導関節炎動物モデル等の異なる自己免疫および炎症性モデルにオリゴマー化VISTAタンパク質を投与することによって達成される。加えて、上述のように、全長VISTAまたはVISTAオリゴマーを過剰発現するアデノウイルスベクターをインビボで構築および試験する。これらの研究は、VISTAオリゴマーの免疫抑制効果を確認する。

実施例12 条件付き過剰発現VISTAを用いた実験 トランスジェニックマウス株(VISTAトランスジェニックマウス株: R26STOPFLVISTA(VISTA) loxP隣接STOPカセットに先導されたVISTAの全長cDNAを含有する標的構築物は、遍在的に発現したROSA26遺伝子座を標的としている。複数の正しく標的されたR26StopFL/−VISTA小マウスが生まれ、CMV−Cre欠失株60上で繁殖させる。VISTA×CMV−creにおける予備データは、GFPおよびVISTA発現の高まりを確認する。これらのマウスの免疫状態の研究(抗原、抗体力価へのT細胞応答)は、表現型の抑制を確認する。VISTA株を、CD4−cre、CD11c−cre、およびLys−Creとを異種交配させて、VISTA発現の系統位置が抑制に影響を及ぼすかを判定する。T細胞の表現型および機能もまた判定し、VISTAの過剰発現がaTregの生成をもたらすかを判定する。これらの研究において、OVA−免疫cre×VISTA株由来のTregを野生型宿主に養子導入して、抗原免疫化が、過剰発現されたVISTAの存在下で、抗原特異的Tregを誘導するかを確かめる。これは、VISTAがTreg分化に影響を与えることを確証するはずである。

加えて、研究は、EAEモデルにおいて達成され、これにより疾患発症に関する異なる系統へのVISTAタンパク質の効果(CD4−、CD11c−、Lys−creと異種交配させることによって)を評価する。疾患を、VISTA突然変異体の系統制限過剰発現によって、またはCMV×VISTA突然変異体において抑制することができると想定して、疾患発症の一時制御もCre−ERT2×VISTAηを用いている。タモキシフェンの投与により、VISTAの過剰発現を、疾患発症前、疾患発症時、または疾患ピーク時に誘導して、VISTAが、免疫の誘導および/またはエフェクター相に影響を与えることができるかを決定することができる。BMキメラマウスを用いて、VISTAの一時的に制限された過剰発現を造血コンパートメントに制限することができる。時間窓の制御を理解するために、VISTAを過剰発現させ、VISTAを遺伝的にオンにし、その後、抗VISTAモノクローナル抗体の投与で血清学的にオフにする。これらの研究は、自己免疫疾患の発症および進行を制御するためにVISTAがいつどこで作用すべきかを判定する。

実施例13 CD40/TLRアゴニストワクチンの有効性への抗VISTA抗体の効果 図21に示されるように、ワクチン有効性への抗VISTA抗体の効果をアッセイする実験を行った。これらの結果は、抗VISTAがCD40/TLRワクチンの治療的有効性を高めることを示す。C57BL/6マウスの皮下に、1X105転移性B16.F10黒色腫細胞でチャレンジを行った。4日後、マウスに、抗VISTA(200μg×3/週)を伴って、または伴わずに、100μgの腫瘍関連抗原ΔV、100μgのαCD40 FGK45(CD40アゴニスト性抗体)、および100μgのS−27609(TLR7アゴニスト)をワクチン接種した。カリパス測定によって腫瘍の成長を監視した。

実施例14 発現プロファイリング Treg細胞の確立した発現プロファイルとの比較を容易にするために、標準の増殖および活性化条件を採用した(McHugh,et al.(2002)(上記))。手短に言えば、新たに単離したTreg細胞(約96%陽性)を、106/mLで、10%ウシ胎児血清を補充した完全RPMI培地に、抗GITR(DTA−1)で処理したか、または処理していない抗CD3で事前にコーティングした24ウェルプレート中の100単位IL−2に接種した(Shimizu,et al.(2002)(上記))。これら の細胞を37℃で0および12時間培養し、RNAを精製し、その後、AFFYMETRIX(登録商標)マウスゲノムA430オリゴヌクレオチドアレイを用いて分析した。

静止または活性化CD4+CD25+T細胞群のデータを比較することにより、遺伝子発現パターンが当該技術分野で確立された遺伝子発現パターンに類似していることが見出された(Gavin,et al.(2002)(上記)、McHugh,et al.(2002)(上記))。GITRシグナル伝達によって制御される遺伝子を特定するために、抗GITRで処理したか、または処理していない異なる細胞集団間の遺伝子発現プロファイルを比較した。以前に特徴付けられていないVISTAおよびTreg−sTNFを含む、既知の遺伝子のリストおよび未知の遺伝子のリストを作成した。

実施例15 VISTAの分子クローニング、レトロウイルス産生、および細胞のレトロウイルス形質導入 全長VISTAを、精製されたマウスCD4+T細胞からクローニングした。Qiagen RNAminiキットを用いて全RNAをCD4+T細胞から単離した。Bio−Rad iScriptTM cDNA合成キットを用いてcDNAを生成した。全長VISTAを増幅し、レトロウイルスベクターpMSCV−IRES−GFPのECorI−XhoI部位(Zhang&Ren(1998)Blood 92:3829−3840)にクローニングし、ここでIRES−GFPフラグメントがRFPに置き換えられ、それ故にRFPのN末端に融合されたVISTAの融合タンパク質をもたらした。VISTA−RFPレトロウイルスベクターをエコトロピックパッケージングベクターpCL−Eco(IMGENEX Corp.)で一緒に一過性にトランスフェクトすることにより、ヘルパーを含まないレトロウイルスをHEK293T細胞に生成した。8μg/mLのポリブレン(Sigma)の存在下で、2000rpmで室温にて45分間スピン感染させることにより、マウスT細胞株EL4細胞または骨髄由来DCのレトロウイルス形質導入を行った。

実施例16 VISTA−IG融合タンパク質の産生 VISTAの細胞外ドメイン(アミノ酸32〜190)を増幅し、親ベクターCDM7BのSpeI−BamHI部位にクローニングした。Hollenbaugh,et al.(1995)J Immunol Methods 188:1−7。このベクターは、ヒトIgG1の定常およびヒンジ領域の突然変異型を含有し、Fc受容体への結合がはるかに低い。結果として生じたベクターCDM7B−VISTAを、DHFR発現ベクターpSV−dhfr(McIvor&Simonsen(1990)Nucleic Acids Res 18:7025−7032)でCHO(dhfr−)細胞株(ATCC番号CRL−9096)にコトランスフェクトした。ヌクレオチドを有しない培地MEM−α(INVITROGEN(登録商標))中のVISTA−Igを発現する安定したCHO細胞クローンを選択した。0.5〜1μMのメトトレキサート(SIGMA(登録商標)M9929)でのさらなる増幅により、高レベルの可溶性VISTA−Ig融合タンパク質を発現するクローンを得た。標準のタンパク質Gカラム親和性クロマトグラフィーを用いて、この融合タンパク質を培養上清からさらに精製した。

実施例17 VISTAモノクローナル抗体の生成 アルメニアンハムスターを、VISTA−RFPを過剰発現するEL4細胞で週に4回免疫し、その後、CFA中で乳化されたVISTA−Ig融合タンパク質で追加免疫した。追加免疫の4週間後、ハムスターを可溶性VISTA−Ig融合タンパク質で再度追加免疫した。最後の追加免疫の4日後、ハムスターの脾臓細胞を収集し、標準のハイブリド ーマ融合技法(Shulman,et al.(1978)Nature 276:269−270)を用いて、骨髄腫細胞株SP2/0−Ag14(ATCC番号CRL−1581)に融合させた。希釈の制限後にVISTA特異的抗体を分泌するハイブリドーマクローンを選択し、ELISAおよびフローサイトメトリー法の両方でスクリーニングした。

実施例18 VISTAの阻害活性 CD4+およびCD8+T細胞抗原受容体トランスジェニックT細胞および抗原刺激を伴ってインビトロでPD−L1を過剰発現する抗原提示細胞を用いて、PD−L1の阻害活性を明らかにした(Carter,et al.(2002)Eur.J.Immunol.32:634−43)。同様に、全長VISTAを発現する本明細書に開示されるレンチベクターを、クラスIIの主要組織適合複合体(MHC)およびクラスIのMHCを発現する細胞株に形質導入する。確立された方法に従って空ベクター形質導入またはVISTA形質導入抗原提示細胞によって提示される抗原へのTEa Tgまたは2CトランスジェニックT細胞の応答を判定する。

実施例19 モノクローナル抗体産生 VISTAをマウスB細胞株A20で過剰発現させ、組み換え細胞株を用いてアルメニアンハムスターを免疫した。細胞で5回免疫した後、ハムスターを、CFA中で乳化された精製されたVISTA−Ig融合タンパク質で追加免疫した。4週後、可溶性VISTA−Igで最後の追加免疫を与えた。その後、ハムスター脾細胞のSP2/0細胞との融合を4日目に実施した。ELISAによってVISTA−Ig融合タンパク質を認識し、VISTAを染色したが、マウスT細胞株EL4で過剰発現されたPD−L1は染色しなかった16個の異なるクローンを特定した。これらのクローンのうち11個をうまくサブクローニングし、細胞および組織上の内因性VISTAを染色し、VISTA機能を遮断するそれらの能力の評価のために調製した。

実施例20 VISTA−IG複合体はT細胞応答を負に制御する。 免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリーは、B7ファミリーリガンドおよび受容体を含む、多数の極めて重要な免疫制御因子からなる。VISTAは、新規な構造的に異なるIgスーパーファミリー阻害性リガンドであり、その細胞外ドメインは、B7ファミリーリガンドPD−L1に対する相同性を有する。この分子は、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)として指定される。VISTAは、主に造血細胞に発現し、VISTA発現は、骨髄性抗原提示細胞(APC)およびT細胞では高く制御される。APCでの可溶性VISTA−Ig融合タンパク質またはVISTA発現は、インビトロでのT細胞増殖およびサイトカイン産生を阻害する。VISTA特異的モノクローナル抗体は、インビトロでのVISTA発現APCによりT細胞応答のVISTA誘導抑制を妨害する。さらに、抗VISTA処置は、マウスにおいてT細胞媒介性自己免疫疾患実験的自己免疫性脳脊髄炎の発症を悪化させる。最終的に、腫瘍細胞でのVISTA過剰発現は、マウスにおけるインビボでの防御的抗腫瘍免疫を妨害する。これらの発見は、新規な免疫制御性分子であるVISTAが、他のIgスーパーファミリーのメンバーと重複しない機能的活性を有し、自己免疫の発達および癌における免疫監視に役割を果たし得ることを示す。Wang,et al.(2011)The Journal of Experimental Medicine 208(3):577−592を参照されたい。この実施例において、VISTAは、「PD−XL」とも称され得る。

材料および方法 マウス。C57BL/6マウス、OT−II CD4トランスジェニックマウス、およびSJL/JマウスをJackson Laboratoryから購入した。FoxP3−GFPレポーターマウスは、前述のものであり(Fontenot,et al.2005)、A.Rudensky(University of Washington School of Medicine,Seattle,WA)によって提供された。PD−1 KOマウスは、T.Honjo(Kyoto University,Kyoto,Japan、Nishimura,et al.1999,2001)によって提供された。すべての動物を、Dartmouth Medical Schoolの病原体フリーの施設で維持した。すべての動物プロトコルは、Institutional Animal CareおよびUse Committee of Dartmouth Collegeの承認を受けたものであった。

抗体、細胞株、および試薬。抗体α−CD3(2C11)、α−CD28(PV−1)、α−CD4(GK1.5)、α−CD8(53−6.7)、α−CD11b(M1/70)、α−F4/80(BM8)、α−CD11c(N418)、α−NK1.1(PK136)、α−Gr1(RB6−8C5)、α−PD−L1(MIN5)、α−PD−L2(TY25)、α−B7−H3(M3.2D7)、およびα−B7−H4(188)を、eBioscienceから購入した。LPS(Sigma−Aldrich)、組み換えマウスIFN−γ(PeproTech)、ヒトIL−2(PeproTech)、および可溶性PD−L1−Ig融合タンパク質(R&D Systems)を、指示された濃度で用いた。CFAおよびトリOVAをSigma−Aldrichから購入した。B細胞リンパ腫細胞株A20(BALB/c由来)を、American Type Culture Collectionから得た。

VISTAの分子クローニング、レトロウイルス産生、および細胞のレトロウイルス形質導入。全長VISTAを、精製されたマウスCD4+T細胞からクローニングした。RNAminiキット(QIAGEN)を用いて、全RNAをCD4+T細胞から単離した。iScript cDNA合成キット(Bio−Rad Laboratories)を用いて、cDNAを生成した。全長VISTAを増幅し、レトロウイルスベクターpMSCV−IRES−GFPのECORI−XhoI部位(Zhang and Ren,1998)にクローニングし、ここでIRES−GFPフラグメントがRFPに置き換えられ、それ故にRFPのN末端に融合されたVISTA融合タンパク質をもたらした。VISTA−RFPレトロウイルスベクターをエコトロピックパッケージングベクターpCL−Eco(Imgenex Corp.)で一緒に一過性にトランスフェクトすることにより、ヘルパーを含まないレトロウイルスをHEK293T細胞で生成した。8μg/mLのポリブレン(Sigma−Aldrich)の存在下で、2,000rpmで室温にて45分間スピン感染させることにより、マウスT細胞株EL4細胞またはBMDCのレトロウイルス形質導入を実施した。

VISTAの生物情報学分析。VISTA−Ig−V配列に進化的に関連したタンパク質を、BLASTアルゴリズム(Altschul,et al.1990)で特定した。Protein Data Bank(Berman,et al.2000)からの最も好適な構造テンプレートを、mGenTHREADERアルゴリズム(Lobley,et al.2009)で特定した。上位のスコアリングヒットのうちの1つであるPD−L1(Protein Data Bank受託番号3BIS)を、比較タンパク質構造モデルリングのテンプレートとして選択した。2つのアライメント法の最適な組み合わせ、MUSCLEおよびHHalign(Rai and Fiser,2006、Rai,et al.2006)の最適な組み合わせを用いて、VISTAの構造モデルをMMMサーバで構築した。36個のVISTAオルソロガスタンパク質をENSEMBLデータベース(Flicek,et al.2008)から収集した。構造および配列ア ライメントを、それぞれ、DALI(Holm and Park,2000)およびClustalw(Larkin,et al.2007)で計算し、ESPript 2.2サーバ(Gouet,et al.1999)を用いて提示した。BLAST一対比較ネットワークを、以前に説明されたように構築し(Atkinson,et al.2009)、Cytoscape(Shannon,et al.2003)を用いて分析した。

VISTA−Ig融合タンパク質の産生。VISTAの細胞外ドメイン(アミノ酸32〜190)を増幅し、親ベクターCDM7BのSpeI−BamHI部位(Hollenbaugh,et al.1995)にクローニングした。このベクターは、ヒトIgG1の定常およびヒンジ領域の突然変異型を含有し、Fc受容体への結合がはるかに低い。結果として生じたベクターCDM7B−VISTAを、ジヒドロ葉酸還元酵素発現ベクターSV−dhfr(McIvor and Simonsen,1990)でチャイニーズハムスター卵巣(dhfr)細胞株(番号CRL−9096、American Type Culture Collection)にコトランスフェクトした。ヌクレオチドを有しない培地MEM−α(Invitrogen)中のVISTA−Igを発現する安定したチャイニーズハムスター卵巣細胞クローンを選択した。0.5〜1μMのメトトレキサート(M9929、Sigma−Aldrich)でのさらなる増幅により、高レベルの可溶性VISTA−Ig融合タンパク質を発現するクローンを得た。標準のタンパク質Gカラム親和性クロマトグラフィーを用いて、この融合タンパク質を培養上清からさらに精製した。

VISTAモノクローナル抗体(mAb)の生成。アルメニアンハムスターを、VISTA−RFPを過剰発現するEL4細胞で免疫し、その後、CFA中で乳化されたVISTA−Ig融合タンパク質で追加免疫した。追加免疫の4週間後、ハムスターを可溶性VISTA−Ig融合タンパク質で再度追加免疫した。最後の追加免疫の4日後、ハムスターの脾臓細胞を収集し、標準のハイブリドーマ融合技法(Shulman,et al.1978)を用いて、骨髄腫細胞株SP2/0−Ag14(番号CRL−1581、American Type Culture Collection)に融合させた。希釈の制限後にVISTA特異的抗体を分泌するハイブリドーマクローンを選択し、ELISAおよびフローサイトメトリー法の両方でスクリーニングした。

RNAおよびRT−PCR。Invitrogen社の取扱説明書に従ってTRIZOL(登録商標)(Invitrogen)を用いて、様々なマウス組織試料または精製された造血細胞型由来の全RNAを収集した。iScript cDNA合成キット(Bio−Rad Laboratories)を用いて、cDNAを調製した。等量の組織cDNA(10ng)をRT−PCR反応に用いて、全長VISTAを増幅した。1%のアガロースゲル中で泳動させた後に、PCR産物が見られた。

フローサイトメトリーおよび分析。フローサイトメトリー分析を、CellQuestソフトウェア(BD)を用いてFACScan上で実施した。データ分析をFlowJoソフトウェア(Tree Star,Inc.)を用いて実施した。細胞増殖を定量するために、CFSE分割のヒストグラムプロファイルを分析し、Prism 4(GraphPad Software,Inc.)を用いて増殖性CFSE細胞の割合をグラフにした。

細胞調製。全CD4+T細胞を、全CD4+T細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を用いてナイーブマウスから単離した。指示される場合、濃縮されたCD4+T細胞を、ナイーブ集団(CD44CD25CD62L)およびメモリー集団(CD44CD25CD62L)にフロー分類した。インビトロ増殖アッセイの場合 、CD4+T細胞を、37℃で10分間、5μMのCFSE(Invitrogen)で標識化し、2回洗浄した後に刺激した。

A20アッセイの場合、A20−RFPまたはA20−PD−XL細胞(20,000個)を100μg/mLのマイトマイシンCで事前処理し(1時間)、その後、OVAペプチドの存在下で、FSE標識化DO11.10 CD4+T細胞(100,000個)でインキュベートした。対照Igまたは13F3モノクローナル抗体を指示されるように添加した。細胞増殖をCFSE希釈によって72時間時点で分析した。CD11b骨髄性APCを分類するために、CD11b電磁ビーズ(Miltenyi Biotec)を用いてCD11b+単球をナイーブ脾細胞から濃縮した。全CD11b骨髄性APC、またはCD11bCD11c単球およびCD11bCD11c+骨髄性DCを分類し、照射し(2,500ラド)、これを用いてOVAペプチドの存在下でOT−IIトランスジェニックCD4+T細胞を刺激した。対照Igまたは13F3モノクローナル抗体を指示されるように添加した。72時間アッセイの最後の8時間にわたってトリチウムを取り込むことによって細胞増殖を測定した。

インビトロプレート結合T細胞活性化アッセイ。精製されたCD4+T細胞(100,000細胞/ウェル)を、抗CD3(クローン2C11)および指示された濃度比のVISTA−Igまたは対照−Igのいずれかの存在下で、96ウェル平底プレートに培養した。例えば、あらゆる種類の滴定について、96ウェルプレートを、PBS中で1.25μg/mL(2:1の比率)、2.5μg/mL(1:1の比率)、5μg/mL(1:2の比率)、または10μg/mL(1:4の比率)のVISTA−Igまたは対照−Igタンパク質と一緒に4℃で一晩混合した2.5μg/mLのα−CD3でコーティングした。ウェルをPBSで3回洗浄した後に、CD4+T細胞を添加した。同型培養物は、10%FBS、10mM Hepes、50μM β−ME、およびペニシリン/ストレプトマイシン/L−グルタミンを補充した完全RPMI1640培地中に存在した。指示される場合、100U/mLのヒトIL−2(PeproTech)または滴定量のα−CD28(クローンPV−1、Bio X Cell)のいずれかをα−CD3でコーティングして、VISTA−Igの阻害効果を救出した。培養物を3日目にCFSEプロファイルについて、または指示される時間的経過に従って分析した。

BMDCの培養、レトロウイルス形質導入、およびトランスジェニックCD4+T細胞の刺激。BMDCを、いくつかの修飾を伴って、以前に説明されたように生成した(Lutz,et al.1999、Son,et al.2002)。手短に、0日目に、BM細胞を、27ゲージ針で洗い流すことによって脛骨および大腿から単離した。赤血球溶解後、1〜2×106BM細胞を、20ng/mLのGM−CSF(PeproTech)を含有する1mLの完全RPMI1640培地中に再度懸濁した。細胞を、8μg/mLのポリブレン(Sigma−Aldrich)の存在下で、RFPまたはVISTA−RFPレトロウイルスに感染させた。プレートを2,000rpmで室温にて45分間回転させることによって感染を実施した。その後、細胞をさらに2時間培養した後に、新たな培地を添加した。同様の感染手順を1、3、および5日目に繰り返した。緩く付着した細胞(90%はCD11c+であった)を10日目に収集し、CD11c+RFP+二重陽性細胞を分類し、これを用いてOT−IIトランスジェニックCD4+T細胞を刺激した。OT−II T細胞増殖アッセイについて、100,000個のCFSE標識化OT−II CD4+T細胞を、30,000個の分類されたRFP+またはVISTA−RFP+BMDCを有する96ウェル丸底プレートにおいて、滴定量の合成OVA323−339ペプチド(AnaSpec)で培養した。CFSEプロファイルを試験することによって、72時間時点のOT−II T細胞の増殖を分析した。

腫瘍実験。親MCA105腫瘍細胞を、VISTA−RFPまたはRFP対照でレトロ ウイルス的に形質導入し、RFP発現に基づいて同種に分類した。腫瘍ワクチン接種について、ナイーブC57BL/6マウスを、左脇腹に皮下接種した1,000,000個の照射MCA105(10,000ラド)細胞で付与した。14日目に、ワクチン接種したマウスに、右脇腹に皮下接種した生MCA105腫瘍細胞でチャレンジを行った。腫瘍成長を2日毎に監視した。腫瘍サイズが150mm2に達したときにマウスを安楽死させた。T細胞枯渇の場合、生腫瘍細胞チャレンジの2日前に、ワクチン接種したマウスを、腹腔内(250μg)で、CD4+T細胞(クローンGK1.5)およびCD8+T細胞(クローン53.6.72)に対して特異的なモノクローナル抗体で事前処理し、実験が終了するまでこの処理を3〜4日毎に繰り返した。腫瘍サイズが160mm2に達したときにマウスを安楽死させた。

EAEの受動誘導および中枢神経系浸潤CD4+T細胞の特徴付け。EAEの受動伝達のために、雌SJLマウス(6週齢)を、400μgのヒト結核菌H37Raおよび100μgのPLPペプチドを含有する200μLのエマルジョンで皮下免疫した。インビトロ刺激のために流入領域リンパ節細胞を10日目に収集した。赤血球を溶解した。単一細胞懸濁液(10,000,000/マイクロリットル)を、10%FBS、50μM 2−ME、1mMグルタミン、1%ペニシリン/ストレプトアビジン、1mM非必須アミノ酸、20ng/mL IL−23、10ng/mL IL−6、10ng/mL IL−1β、20μg/mL抗IFN−γ、および20μg/mL PLPペプチドを有する完全IMDM培地中で培養した。4日目に、細胞を収集し、CD4電磁ビーズ(Miltenyi Biotec)を用いて生CD4 T細胞を精製した。1,500,000〜2,000,000個の精製された生CD4 T細胞をナイーブSJLマウスに養子導入して、EAEを誘導した。マウスを非特異的ハムスター対照−Igまたは400μgのVISTA特異的モノクローナル抗体のいずれかで3日毎に処理した。疾患を以下のようにスコア化した:0:疾患なし、1:後肢虚弱または尾色調の喪失、2:弛緩した尾および後肢不全麻痺、2.5:一方の後肢麻痺、3:両方の後肢麻痺、4:前肢虚弱、5:瀕死。マウスをスコア4の時点で安楽死させた。

VISTAのクローニングおよび配列および構造分析 活性化対静止マウスCD25+CD4+天然Treg細胞(nTreg細胞)のAffymetrix(登録商標)分析は、未知の機能を有するが、Igスーパーファミリーとの配列相同性を有する遺伝子産物(RIKEN cDNA 4632428N05または4632428N05Rik)の発現を明らかにした。930塩基対の遺伝子産物をマウスCD4+T細胞cDNAライブラリーからクローニングし、予測した大きさおよび配列と一致した。シリカ配列および構造分析は、成熟時に309アミノ酸のI型膜貫通タンパク質を予測する。その細胞外ドメインは、136アミノ酸の単一の細胞外Ig−Vドメインを含有し、これは、23アミノ酸のストーク領域、21残基膜貫通セグメント、および97アミノ酸の細胞質ドメイン(図23A)に連結される。4632428N05Rikの細胞質尾部は、いかなるシグナル伝達ドメインも含有しない。Ig−Vドメインの構造的特徴および本明細書に示されるその免疫抑制性機能に基づいて、この分子をVISTAと名付けた。

VISTA−Ig−VドメインでのBLAST(Altschul,et al.1990)配列検索は、B7ファミリーのPD−L1を、10−4のボーダーラインの有意なe値スコアおよび24%の配列同一性を有する最も近い進化的に関連したタンパク質と特定した。

B7ファミリーリメンバーPD−L1、PD−L2、B7−H3、およびB7−H4との構造に基づいたVISTAの配列アライメントは、すべてのIg−Vドメインタンパク質において系統的に保存されることが知られており、Ig−V折り畳みの安定性に重要で あると考えられるいくつかのアミノ酸を明らかにする(図23C)。例には、これらの2つのβシート間にジスルフィド結合を形成するBおよびFβ鎖における2つのシステインが挙げられ、これは、Igスーパーファミリータンパク質の顕著な特徴である(図23C)。この多配列アライメントは、VISTAに特有のさらなる配列特徴も明らかにする。

RT−PCR分析およびフローサイトメトリーによるVISTAの発現実験RT−PCR分析を用いて、マウス組織におけるVISTAのメッセンジャーRNA発現パターンを判定した(図3A)。VISTAは、造血組織(脾臓、胸腺、およびBM)または白血球の十分な浸潤を伴う組織(すなわち、肺)で主に発現される。弱発現が、非造血組織(すなわち、心臓、腎臓、脳、および卵巣)でも検出された。いくつかの造血細胞型の分析は、腹腔マクロファージ、脾臓CD11b+単球、CD11c+DC、CD4+T細胞、およびCD8+T細胞でのVISTAの発現を明らかにしたが、B細胞ではより低い発現レベルであった(図3B)。この発現パターンは、大部分は、GNF(Genomics Institute of the Novartis Research Foundation)遺伝子アレイデータベース(記号4632428N05Rik、Su,et al.2002)、ならびにNational Center for Biotechnology Information GEO(遺伝子発現オムニバス)データベース(受入番号GDS868)とも一致している。

タンパク質発現を研究するために、VISTA特異的ハムスターモノクローナル抗体を産生した。特異性を、VISTA過剰発現マウスEL4T細胞上では陽性染色法で実証するが、PD−L1過剰発現EL4細胞上では陰性染色法で実証する。

α−VISTAモノクローナル抗体クローン8D8を用いて、造血細胞でのVISTA発現をフローサイトメトリーによって分析した。Foxp3−GFPノックインレポーターマウスを用いてCD4+nTreg細胞を区別した(Fontenot,et al.2005)。末梢リンパ器官(脾臓およびリンパ節)において、有意な発現がすべてのCD4+T細胞サブセットで見られた(CD4+T細胞またはFoxp3ナイーブT細胞およびFoxp3+nTreg細胞およびメモリーCD4+T細胞の合計を参照されたい)一方で、CD8+T細胞は、著しくより低い量の表面VISTAを発現した(図3C)。胸腺において、VISTA発現は、CD4+CD8+−ダブル陽性胸腺細胞では陰性であり、CD4−シングル陽性細胞では低く、CD8−シングル陽性細胞では検出可能であった。次に、高VISTA発現のCD11bマーカーとの強い相関関係が、F4/80マクロファージと骨髄性CD11c+DCの両方を含む脾臓細胞と腹膜細胞の両方で見られた(図3Dおよび3E)。対照的に、B細胞およびNK細胞は、VISTA発現に対してほぼ陰性であった。わずかな割合のGr−1+顆粒球もVISTAを発現した(図3F)。

差次的発現パターンが異なるリンパ器官由来の細胞の同一系統で示された(図3G)。CD4+T細胞およびCD11b中間単球について、発現レベルは、腸間膜リンパ節>末梢リンパ節および脾臓>腹膜腔および血液のパターンに従った。このパターンは、CD11b細胞ではあまり顕著ではなかった。これらのデータは、ある特定の細胞型におけるVISTA発現が細胞成熟および/または組織微小環境によって制御され得ることを示唆する。

新たに単離された細胞に加えて、VISTA発現を、活性化を伴うインビトロ培養時および活性化を伴わないインビトロ培養時に、脾臓CD4+T細胞、CD11b単球、およびCD11c+DC上で分析した(図6)。脾臓細胞を、培地、α−CD3(T細胞を活性化するため)、またはIFN−γおよびLPS(単球およびDCを活性化するため)で24時間培養した後に、VISTAおよび他のB7ファミリーリガンド(例えば、PD −L1、PD−L2、B7−H3、およびB7−H4)の発現について分析した。この比較は、これらの分子間の特徴的な発現パターンを明らかにした。VISTA発現は、活性化状態にかかわらず、インビトロ培養時にすべての細胞型ですぐに失われた。対照的に、PD−L1発現は、培地単独での培養後に活性化CD4+T細胞またはCD11b単球およびCD11c+DC上で上方制御され、刺激時にさら強化された。PD−L2、B7−H3、およびB7−H4の発現は、用いた培養条件では顕著ではなかった。インビトロでのVISTA発現の喪失は、他のB7ファミリーリガンドと比較すると特有であるが、組織微小環境を模倣し損なう最適ではない培養条件を反映し得る。

VISTA発現がインビボで、どのように制御されるかを考慮するために、CD4 TCRトランスジェニックマウスDO11.10を、CFA中で乳化された同族抗原トリOVAで免疫した。免疫化後24時間時点で、流入領域リンパ節由来の細胞をVISTA発現について分析した(図7A)。アジュバント単独ではなく抗原(CFA/OVA)での免疫化は、F4/80+マクロファージおよびCD11c+DCの混合集団を含有したCD11b+VISTA+骨髄性細胞集団を劇的に増加させた。PD−L1およびPD−L2とのさらなる比較は、PD−L1が最も高い構成的発現レベルを有したが、VISTAがそのような炎症性免疫応答中に最も高度に上方制御されたことを明らかにした(図7B)。集合的に、これらのデータは、骨髄性APCでのVISTAの発現が、免疫系によって厳重に制御され、免疫応答を制御するその役割に寄与し得ることを強く示唆する。そのAPCでの発現増加とは対照的に、VISTA発現は、免疫時のより遅い時点で(すなわち、24時間時点ではなく48時間時点で)活性化DO11.10 CD4+T細胞で減少した。

インビトロでのCD4+およびCD8+T細胞応答へのVISTAシグナル伝達の機能的影響VISTA−Ig融合タンパク質(VISTA−Ig)を産生して、CD4+T細胞応答におけるVISTAの制御的役割を試験した。VISTA−Igは、ヒトIgG1 Fc領域に融合されたVISTAの細胞外ドメインを含有した。マイクロプレート上に固定化したとき、VISTA−Igは、α−CD3刺激に応答してバルク精製されたCD4+およびCD8+T細胞の増殖を抑制したが、対照−Igは抑制しなかった(図9Aおよび9B)。VISTA−Igは、ELISAによって判定すると、プラスチックウェルへの抗CD3抗体の吸収に影響を及ぼさず、それ故に非特異的阻害効果の可能性を排除した。PD−L1−IgおよびVISTA−Igの阻害効果も直接比較した。滴定量のIg融合タンパク質がα−CD3とともにマイクロプレートに吸収されてCD4+T細胞を刺激したとき、VISTA−Igは、PD−L1−Ig融合タンパク質と同様の強力な阻害性有効性を示した。PD−1 KO CD4+T細胞も抑制され(図9C)、PD−1がVISTAの受容体ではないことを示す。

バルク精製されたCD4+T細胞が様々なサブセットを含有するため、分類されたナイーブ(CD25CD44CD62L)およびメモリー(CD25CD44CD62L)CD4+T細胞サブセットへのVISTA−Igの影響を評価した。メモリー細胞上での有効性ははるかに低いが、VISTAは、両方のサブセットの増殖を抑制した。

VISTA媒介性抑制の機序をさらに理解するために、初期のTCR活性化マーカーの発現およびアポトーシスをT細胞活性化後に測定した。細胞増殖への負の効果と一致して、初期の活性化マーカーCD69、CD44、およびCD62Lの発現における包括的な抑制が存在した(図12A)。対照的に、VISTA−Igは、アポトーシスを誘導しなかった。TCR活性化の初期(24時間)および後期(48時間)の両方で、対照−Igよりも少ないアポトーシス(アネキシンV+7AAD細胞の割合によって判定される)がVISTA−Igの存在下で見られた(図12B)。例えば、24時間時点で、全体の 非ゲート化集団において、約27%の細胞がVISTA−Igの存在下でアポトーシスであったが、約39%の細胞が対照−Igの存在下でアポトーシスであった。同様に、生細胞R1ゲート内の細胞のうち、約72.6%の細胞が対照−Igの存在下でアポトーシスになった一方で、約43.5%のみの細胞がVISTA−Igの存在下でアポトーシスになった。同様の結果が48時間時点でも見られた。したがって、VISTAが初期TCR活性化および停止細胞分裂を抑制することによってCD4+T細胞応答を負に制御するが、アポトーシスに最小限の直接影響しか及ぼさないようである。この抑制機序は、B7−H4のものに類似している(Sica,et al.2003)。

2段階アッセイを開発して、VISTA−Igが活性化前のCD4 T細胞を抑制することができるか、およびその抑制効果がどの程度持続するかを判定した。VISTA−Ig融合タンパク質の抑制効果は、活性化後24時間時点でそれを除去した後に持続した(図9D、ii)。加えて、ナイーブと活性化前のCD4+T細胞の両方ともに、VISTA−Igによって抑制された(図9D、i、iii、およびiv)。

次に、CD4+T細胞サイトカイン産生へのVISTA−Igの効果を分析した。VISTA−Igは、バルク精製されたCD4+T細胞培養からのTh1サイトカインIL−2およびIFN−γの産生を抑制した(図13Aおよび13B)。別個のナイーブ(CD25CD44CD62L高)およびメモリー(CD25CD44CD62L)CD4+T細胞集団へのVISTAの影響をさらに試験した。メモリーCD4+T細胞は、CD4+T細胞コンパートメント内のサイトカイン産生の主な供給源であり、VISTAは、この産生を抑制した(図13Cおよび13D)。CD8+T細胞からのIFN−γ産生もVISTA−Igによって阻害された(図13E)。CD4+およびCD8+T細胞によるサイトカイン産生へのVISTAのこの阻害効果は、VISTAがT細胞媒介性免疫応答を下方制御する阻害性リガンドであるという仮説と一致する。

VISTAの阻害効果を克服することができる因子を判定するさらなる実験を設計した。VISTAがIL−2産生を抑制し、IL−2がT細胞生存および増殖に不可欠であることを前提に、IL−2がVISTAの阻害活性を回避し得ると仮定した。図14Aに示されるように、外因性IL−2は、細胞増殖へのVISTA−Igの抑制効果を部分的に逆転させたが、IL−15、IL−7、またはIL−23は逆転させなかった。高レベルのIL−2による不完全な救出は、VISTAシグナル伝達が単にIL−2産生よりも広範のT細胞活性化経路を標的とすることを示す。対照的に、α−CD28アゴニスト性抗体によって提供された強力な共刺激シグナルが、VISTA−Ig媒介性抑制を完全に逆転させた(図14B)のに対して、中程度のレベルの共刺激は、VISTAシグナル伝達によって引き続き抑制された(図14C)。この点において、VISTAは、この特徴をPD−L1およびB7−H4等の他の抑制性B7ファミリーリガンドと共有する(Carter,et al.2002、Sica,et al.2003)。

VISTA−Ig融合タンパク質に加えて、APCで発現されたVISTAが、APCとT細胞との間の同族相互作用中に、抗原特異的T細胞活性化を抑制することができることを確認することが必要であった。2つの独立した細胞株を用いて、この問題に対処した。最初に、VISTA−RFPまたはRFP対照タンパク質を、B細胞株A20においてレトロウイルス形質導入によって過剰発現させた。VISTA−RFP融合タンパク質の正しい細胞表面局在化を蛍光顕微鏡検査法で確認した。T細胞応答を刺激するために、A20−VISTAまたはA20−RFP細胞を、抗原OVAペプチドの存在下でDO11.10 CD4+T細胞とともにインキュベートした。図15AおよびCに示されるように、A20−VISTAは、A20−RFP細胞の増殖よりも低いDO11.10細胞の増殖を誘導した。この抑制効果は、より低いペプチド濃度でより顕著であり、より強力な刺激性シグナルがVISTAの抑制効果を克服するといった概念と一致する。

次に、天然APCへの全長VISTAの阻害効果を確認した。インビトロで培養したBM由来DC(BMDC)は、高レベルのVISTAを発現しなかった(図16)。VISTA−RFPまたはRFPを、10日間の培養期間中にレトロウイルス形質導入によってBMDCで発現させた。形質導入された細胞を、RFP発現に基づいて同種に分類した。形質導入されたDCでのVISTAの発現レベルを、α−VISTAモノクローナル抗体での染色によって推定し、新たに単離された腹腔マクロファージでの発現レベルに類似しており、それ故に生理学的発現範囲内であることが見出された(図16)。その後、分類されたBMDCを用いて、OVAペプチドの存在下でOVA特異的トランスジェニックCD4+T細胞(OT−II)を刺激した。BMDCでのVISTAの発現は、同族CD4+T細胞増殖を抑制した(図15D)。この結果は、VISTA−Ig融合タンパク質またはVISTA発現A20細胞を用いたデータ(図5)と一致し、APCで発現されたVISTAがT細胞媒介性免疫応答を抑制することができることを示唆する。

インビボでのVISTA発現の影響を確証するために、腫瘍細胞でのVISTA過剰発現が抗腫瘍免疫応答を損なうかを試験した。MCA105(メチルコラントレン105)線維肉腫は、VISTAを発現しない。2つのMCA105腫瘍株を、レトロウイルス形質導入によってVISTA−RFPまたはRFP対照ウイルスのいずれかで確立した。MCA105腫瘍が免疫原性であり、照射MCA105細胞で予め免疫付与した宿主で容易に制御することができるため(Mackey,et al.1997)、そのような防御免疫への腫瘍VISTA発現の効果を試験した。図26Aに示されるように、VISTA発現MCA105がワクチン接種した宿主で精力的に成長した一方で、対照腫瘍は成長することができなかった。T細胞媒介性抗腫瘍免疫の不在下で腫瘍成長速度に本質的な違いがないことを確認するために、モノクローナル抗体を用いて、CD4+T細胞とCD8+T細胞の両方が枯渇したワクチン接種した動物に腫瘍を接種した。図26Bに示されるように、T細胞枯渇時に、MCA105RFPとMCA105VISTA腫瘍の両方が同等の速度で成長し、非T細胞枯渇宿主よりもはるかにより急速に成長した。まとめると、これらのデータは、腫瘍細胞でのVISTA発現がその宿主における防御抗腫瘍免疫を妨害することができることを示す。

特定のモノクローナル抗体によるVISTA封鎖は、インビトロおよびインビボでのT細胞応答を高めた。 A20−DO11.10アッセイシステムにおいてVISTA媒介性抑制を中和するVISTA特異的モノクローナル抗体(13F3)を特定した(図25A)。T細胞応答への13F3の影響をさらに確認するために、CD11b骨髄性APCをナイーブマウスから精製して、13F3の存在下または不在下でOT−IIトランスジェニックCD4+T細胞を刺激した(図25B)。その中和作用と一致して、13F3は、CD11b骨髄性細胞によって刺激されたT細胞増殖を高め、高レベルのVISTAを発現することを示した(図3)。13F3の同様の効果が、CD11bCD11c+骨髄性DCとCD11bCD11c単球の両方で見ることができた(図25C〜D)。

次に、モノクローナル抗体によるVISTA封鎖の影響を、ヒト多発性硬化症のマウス自己免疫炎症性疾患モデル(Stromnes and Goverman,2006)であるEAEの受動伝達モデルにおいて試験した。脳炎誘発性CD4+T細胞を、ドナーマウスにおいて能動免疫によってプロテオリピドタンパク質(PLP)ペプチドで刺激して、ナイーブマウスに養子導入した。疾患を悪化させるα−VISTAの能力を慎重に評価するために、滴定数の活性化脳炎誘発性T細胞をα−VISTAまたは対照−Igで処理したナイーブ宿主に受動伝達し、EAEの発症を監視した。13F3は、疾患発症を著しく加速させ、準最適なT細胞移入投薬量で疾患の重症度を悪化させることが見出された。13F3処理群が14日目までに疾患発生率100%に達した一方で、対照抗体で処理 したマウスは、実験期間中に疾患発生率100%に達しなかった。平均疾患スコアは、疾患経過を通して対照群よりも13F3処理群において著しく高かった。より高い疾患スコアと一致して、疾患経過終了時の中枢神経系の分析は、13F3処理群において著しく高いIL−17A産生CD4+T細胞浸潤を確認した。 考察

VISTAは、インビトロとインビボの両方でT細胞に免疫抑制活性を与えるIgスーパーファミリーネットワークの新規のメンバーであり、自己免疫の発達および癌への免疫応答の制御における重要な調節因子である。提示されるデータは、(a)VISTAが、PD−L1との遠位配列類似性を有するIg−Vドメインを含有するIgスーパーファミリーの新しいメンバーであり、(b)Ig融合タンパク質として産生されるか、または人工APCで過剰発現されるとき、これは、CD4およびCD8+T細胞増殖とサイトカイン産生の両方を阻害し、(c)骨髄性APCでのVISTA発現が、インビトロでT細胞応答に対して阻害性であり、(d)腫瘍細胞での過剰発現が、ワクチン接種したマウスにおける防御的抗腫瘍免疫を低下させ、(e)抗体媒介性VISTA封鎖が、T細胞媒介性自己免疫疾患であるEAEの発症を悪化させることを示唆する。

VISTA−Ig−Vドメインの生物情報学分析は、B7−ブチロフィリンファミリーメンバーであるPD−L1、PD−L2、およびMOG、ならびに非B7ファミリーであるCARおよびVCBP3が、VISTAの進化的に最も近い類縁体であることを示唆する(図23)。しかしながら、一次配列シグネチャの厳重な試験は、すべてのVISTAオルソログが特有の保存された配列モチーフを共有し、かつVISTAが、恐らくIgスーパーファミリーの構造的および機能的に新規のメンバーの代表であることを示唆する。具体的には、VISTA細胞外ドメインに特有の4つの不変システイン(3つはIg−Vドメインに存在し、1つはストークに存在する)の存在は、その機能に影響を与える新規の構造的特徴に寄与し得る。それらの厳密な不変性を前提に、4つすべてのVISTA特異的システインがジスルフィド結合に関与することがもっともらしい。この観察は、これら4つのシステインが、(a)2つの分子内ジスルフィド結合を形成し、(b)二量体界面で4つの分子間ジスルフィド結合を形成し、(c)1つの分子内ジスルフィド結合および2つの分子間ジスルフィド結合を形成することを含む、いくつかの可能性を示唆する。これらのシナリオのうちのいずれかは、新規のジスルフィド結合パターンを表し、典型的なIgスーパーファミリーメンバーに対する特有の三次および/または四次構造をもたらすであろう。加えて、包括的配列比較は、VISTAがIgスーパーファミリー内の任意の既知の機能群のメンバーではないことを示唆する。

VISTAの発現パターンは、VISTAと他のB7ファミリーリガンドをさらに区別する。これら2つのリガンドとVISTAとの間のより高い配列相同性およびT細胞活性化時のそれらの同様の阻害性機能のため、このデータは、大部分は、PD−L1およびPD−L2と対比している。VISTAの定常状態発現は、造血細胞で選択的に発現され、APC(マクロファージおよび骨髄性DC)とCD4+Tリンパ球の両方で最も高度に発現される。この文脈において、PD−L1が造血細胞と非造血細胞の両方で広範に発現する一方で、PD−L2は、DCおよびマクロファージに制限される(Keir,et al.2006,2008)。PD−L1とPD−L2の両方がインビトロ培養時および活性化時にAPCで上方制御されるが(Yamazaki,et al.2002、Liang,et al.2003、Keir,et al.2008)、骨髄性細胞およびT細胞でのVISTA発現は、刺激が存在するかにかかわらず、短期間のインビトロ培養後に失われる(図6)。そのような喪失は、インビボでのVISTA発現を維持または制御するリンパ組織微小環境の必要な役割を反映し得る。この仮説と一致して、定常状態であっても、VISTAは、異なる組織部位で差次的に発現される(すなわち、末梢リンパ組織よりも腸間膜リンパ節で高く、血液で最も低い)。そのような異なる発現レベルが、特 定の組織部位でのVISTAの差次的抑制機能を反映し得ると推測する。

インビボでのVISTA発現は、能動免疫応答中に高度に制御される。TCRトランスジェニックマウスにおけるアジュバントと抗原(OVA/CFA)での免疫化が、流入領域リンパ節内のVISTA骨髄性APC集団を誘導したが、アジュバント単独(CFA)は誘導しなかった(図7)。抗原の必要性は、APCでのVISTA上方制御がT細胞活性化の結果であり得ることを示唆する。VISTAと比較して、PD−L1およびPD−L2も免疫化に応答して骨髄性APCで上方制御されたが、はるかに低い程度であった。VISTA+骨髄性APCの誘導が自己制御機構を構成して、継続的な免疫応答を抑制すると推測する。この仮説と一致して、中和VISTAモノクローナル抗体は、VISTA発現骨髄性APCで刺激したときにインビトロでのT細胞増殖応答を高めた(図25)。

骨髄性細胞での発現パターンと対照的に、VISTA発現は、インビボ活性化CD4+T細胞で減退する。この結果は、インビボにおけるCD4T細胞でのVISTA発現を、能動免疫応答中に、その活性化状態およびサイトカイン微小環境によって制御することができることを示唆する。そのような下方制御は特有であり、PD−L1、PD−L2、およびB7−H4等の他の阻害性B7ファミリーリガンドでは見られない。CD4+T細胞でのVISTA発現の機能的有意性が未だ知られていないが、T細胞からAPCへのこれらの同族相互作用中の逆シグナル伝達の可能性が今後の研究で調査される。

VISTAの阻害性リガンド機能を、インビトロとインビボの両方で、VISTA−Ig融合タンパク質、VISTAを発現するAPC、およびVISTAを過剰発現する腫瘍、ならびに中和モノクローナル抗体を用いて描写した。VISTA過剰発現腫瘍は、ワクチン接種した宿主において強力な防御的免疫を克服することができた。EAEモデルにおけるVISTAモノクローナル抗体の強力な増強効果は、VISTAがインビボにおいて阻害性リガンドであるという仮説をさらに確証する。同様のアプローチを用いて、他のB7ファミリーリガンドの機能が特徴付けられている(Sica,et al.2003、Keir,et al.2008)。VISTAがPD−1とは異なる受容体に結合することによってその抑制機能を発揮することに留意することが重要である(図9)。VISTA経路の封鎖がEAEを悪化させるという事実は、その機能がPD−L1またはPD−L2とは重複しないことを確認する。それとは逆に、VISTAが、その特有の構造的特徴、発現パターン、および動態が反映される様式で免疫応答を制御すると推測する。その未知の受容体の特定は、VISTA媒介性抑制の機序をさらに明らかにする。

要約すると、VISTAを、新規の免疫抑制性リガンドと特定した。APCでのVISTAの発現は、T細胞とAPCとの間の同族相互作用中に、T細胞上のそのまだ特定されていないカウンター受容体に結合することによってT細胞応答を抑制する。VISTA封鎖は、自己免疫疾患モデルにおいてT細胞媒介性免疫を高め、PD−L1およびPD−L2等の他の阻害性B7ファミリーリガンドと比較した自己免疫を制御するその特有の重複しない役割を示唆する。免疫活性化の初期のその高度に制御された発現パターンは、T細胞免疫を下方制御し、炎症性応答を弱めるためのフィードバック制御経路も示し得る。この点において、VISTA阻害経路の治療的介入は、T細胞媒介性免疫を調節してウイルス感染および癌等の疾患を治療するための新規のアプローチの代表である。

実施例21 自己免疫における免疫介入の標的としてのVISTA経路 これらの研究の目的は、可溶性VISTA−Igタンパク質がインビボで免疫応答を抑制することができるかを判定することである。インビボでマウスVISTA−mIGg2aを用いた研究は、遅くとも14日目の治療的処理がEAEにおける臨床疾患スコアに有 益な効果をもたらしたことを示した。我々が自己免疫疾患介入において新たな軸を特定したかもしれないため、これらの進行中の実験は、まさに胸を躍らせるような実験に見える(図26)。この成功に基づいて、我々は、マウスIgG1またはIgG2a骨格上のマウスVISTAを用いて、それらの細胞親和性を活用する研究を拡大している。IgG1 Fc(野生型IgG1および現存する非FcR結合IgG1の両方)とインフレームのVISTAのFc融合構築物を産生している。これらの可溶性VISTA分子のそれぞれを試験して、それらがEAEを抑制することができるかを判定し、VISTA−IgG1およびVISTA−IgG2aの両方がEAEの発症および進行を抑制することが示される(図27)。これらの初期結果は、二量体細胞親和性VISTAがインビボで活性を有することを示唆するが、我々は、部位特異的ビオチン化を用いた四量体化および多量体化のためのアビジンとの複合化にも備えている。提案された研究は、インビトロで、具体的には、EAEの文脈でT細胞機能を調節するための一組の多価試薬の系統的生成および分析についての専門的知識を活用する。最後に、我々は、この提案で説明される取り組みが新たな治療戦略の開発にかなりの可能性を秘めており、一般に自己免疫およびT細胞機能に関心を持つ全地域社会にかなり有用であると確信している。

実施例22 VISTA−Ig複合体がEAE進行を軽減する。 実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)は、多発性硬化症のモデルである。マウスを175μgのMOG/CFAおよび300ngの百日咳毒素(PT)で免疫して(0日目、2日目)、EAEを誘導した。14、17、および20日目に、150μgのVISTA−IgG 2a(n=8)または150μgの対照IgG2a(n=8)を投与した。データが平均±標準誤差で図26に示される。別の実験において、6日目に、マウスを、150μgの対照IgG1(n=3)、150μgの対照IgG2a(n=6)、150μgのmVISTA−IgG1(n=3)、または150μgのmVISTA−IgG2a(n=6)を週に3回(合計2週間)投与して処置した。データが平均±標準誤差で図27に示される。別の実験において、14日目に、マウスを、PBS(n=6)、100μgの対照IgG2a(n=6)、300μgの対照IgG2a(n=6)、100μgのVISTA−IgG2a(n=6)、または300μgのmVISTA−IgG2a(n=6)を週に3回(合計2週間)投与して処理した。データが平均±標準誤差で図28に示される。したがって、VISTA−Ig融合タンパク質は、炎症性状態、例えば、多発性硬化症に治療効果を有する。

実施例23 ヒト細胞におけるVISTA発現およびVISTA−Igによる抑制の分析 VISTAの発現パターンおよびVISTA−Ig融合タンパク質の投与によるその抑制をヒト細胞試料で試験した。

材料および方法 VISTA−Ig融合タンパク質の産生:ヒトVISTAの細胞外IgVドメイン由来のアミノ酸16〜194およびFc受容体の低結合のために突然変異させたヒトIgG1の一形態からなる融合タンパク質を作成した。VISTA配列をベクターCDM7BのSpeI−BamHI部位にクローニングした。製造業者の取扱説明書に従ってFreestyleトランスフェクション試薬およびタンパク質を含まないFreestyle発現培地(Invitrogen)を用いて、Freestyle CHO細胞の一過性トランスフェクションによってタンパク質を産生した。上清を増殖の5日後に収集し、タンパク質G親和性カラムによって精製した。10K MWCOスピンカラム(Amicon)を用いてタンパク質を濃縮した。

細胞調製:ヒトアフェレーシス試料を未特定の健常なヒトドナーから得た。培養実験の ために、血液をLymphoprep(PAA)上に積層し、密度勾配遠心分離によって単離した。界面細胞をPBSで2回洗浄し、その後、MACS緩衝液で1回洗浄した後に、製造業者の取扱説明書に従って、MiltenyiのCD4陰性選択キットII、CD8陰性選択キット、またはCD4メモリーT細胞選択ンキットを用いて電磁ビーズ選択を行った。その後、エフェクター細胞単離のために、MiltenyiのCD27陽性選択ビーズを用いてCD4 T細胞のCD27+細胞型を枯渇させた。

培養:T細胞を、抗CD3(クローンOKT3、BioXCell)およびVISTA−Igまたは対照−Ig(ZZ、R&D biosystems)のいずれかでコーティングした96ウェル平底プレート中に2×105細胞/ウェルで播いた。別途示されない限り、PBS中で10μg/mL(1:4の比率)のVISTA−Igまたは対照−Igタンパク質と一緒に4℃で一晩混合した抗CD3を2.5μg/mLでコーティングした。ウェルを完全培地で2回洗浄した後に、細胞を添加した。指示される場合、滴定量の抗CD28(Miltenyi Biotech)をコーティング混合物に含めたか、または50ng/mLのIL−2、IL−4、IL−7、またはIL−15(Peprotech)を培養培地に添加した。培養物を、2日目に初期活性化マーカーについて分析し、5日目に後期活性化マーカーまたはCFSEプロファイルについて分析した。

フローサイトメトリー:培養後の染色のために、細胞を収集し、V底96ウェルプレートに移した。細胞を洗浄し、抗体(CD4、CD8、CD25、CD69、CD45RA;BD Biosciences)および近赤外固定性生/死染料(near−infrared fixable live−dead dye)(Invitrogen)を含有するHBSS/5%BCS染色緩衝液中で染色した。細胞を洗浄し、BD固定緩衝液で固定した後、分析した。

VISTA発現のための染色について、全血を洗浄し、細胞外マーカー用の抗体を含有するPBA緩衝液(PBS/0.1%BSA/0.1%アジ化ナトリウム)で染色した。CD4、CD8、CD3、CD45RA、CD56、CD11b、CD11c、CD123、HLA−DR、CD14、およびCD16に対する抗体をBD Biosciencesから購入し、抗VISTAを本明細書に記載されるように産生した。FoxP3を細胞内で染色するために、eBiosciencesのFoxp3 Fixation/Permeabilization Concentrate and DiluentキットおよびBD Biosciencesの抗FoxP3抗体を用いた。図33Dを参照されたい。

試料を、FACSDivaソフトウェアv6.1.2(Becton&Dickinson)を用いてLSRII Fortessa(Becton&Dickinson,San Jose,CA,USA)上で得て、FlowJoソフトウェア(Tree Star,Inc.)を用いて分析した。Prism 5(GraphPad Software,Inc.)を用いてグラフにしたものを用いてグラフを作成した。

結果 ヒトVISTAタンパク質:ヒトゲノムに対するマウスVISTA配列のBLASTは、8e−165のe値および77%の同一性を有する染色体10オープンリーディングフレーム54(C10orf54または血小板受容体Gi24前駆体、遺伝子ID:64115)を特定する。マウスVISTAと共通して、このタンパク質は、単一の細胞外IgVドメインを有するI型膜貫通タンパク質をコードすると予測される。ヒトVISTAは、311アミノ酸(aa)長であり、32アミノ酸シグナルペプチド、130アミノ酸細胞外IgVドメイン、33アミノ酸ストーク領域、20アミノ酸膜貫通ドメイン、および長い96アミノ酸細胞質尾部からなる。配列番号16のアミノ酸配列を参照されたい。

VISTA発現分析:VISTA健常ヒト組織の発現を、cDNA組織パネル(Origene)のリアルタイムPCR分析によって試験した(図29A)。マウス組織と同様に、VISTAは、造血組織またはかなりの数の造血組織を含有する組織で主に発現した。これは、免疫関連機能におけるVISTAの重要性と一致する。興味深いことに、VISTAの発現は、特にヒト胎盤で高く、これは、妊娠同種環境への耐性の維持におけるVISTAの機能的役割を示し得る。この発現パターンがVISTAの最も近い相同体PD−L1と同様の傾向に従うことが見出された(図29B)。

次に、造血コンパートメント内でのVISTAタンパク質発現をフローサイトメトリーによって試験した。PBMCを末梢血から単離し、抗VISTAモノクローナル抗体GA1で染色した。VISTAは、単球の大半、樹状細胞、ならびにCD4およびCD8T細胞の約20%によって高度に発現された(図30)。VISTA発現は、血中単球の「巡回性」(CD14dimCD16+)サブセットおよび「炎症性」(CD14+CD16+/−)サブセットの両方において、ならびに樹状細胞のリンパ球サブセットおよび骨髄サブセットの両方において観察された。

T細胞機能へのVISTAの機能的効果:VISTAがマウスT細胞免疫応答に負の影響を与えることが以前に実証されている(Wang,et al.(2011)J.Exp.Med.pages 1−16)。VISTAがヒト細胞媒介性免疫応答において同一の役割を有するかを試験した。VISTAの細胞外ドメインおよびFc受容体結合の低下のために突然変異を含むヒトIgGのFc領域からなるIg融合タンパク質を作成した。10μg/mlのVISTA−Igまたは対照Igを、2.5μg/mlの抗CD3(OKT3)とともにプレートに固定し、次いで、増殖を、CFSE希釈によって測定した。VISTAがバルク精製されたCD4(図31A)およびCD8(図31B)T細胞のCFSE希釈を抑制することが見出された。VISTAによる抑制は、PD−L1−Ig(R&D Biosystems)によって誘導された抑制と同等である。さらに、VISTA−Igは、メモリーサブセット(CD45RO+、図31C)およびエフェクターサブセット(CD27、図31D)の抑制時に有効であった。ヒトCD4 T細胞上でのマウスVISTAとヒトVISTAの比較は、VISTAが種にわたって交差反応性であることを実証した。異なる濃度にわたるOKT3でのヒトVISTA−IgおよびヒトVISTA−Igの滴定は、より高い濃度のOKT3がより高い濃度のVISTAに圧倒され得ることを示した(図32Aおよび32B)。

抑制機序に対する洞察を得るために、VISTA−Igの存在下または不在下での活性化後に細胞状態を試験した。2日間の培養中に、抗CD3による初期活性化マーカーCD25およびCD69の上方制御が、VISTA−Igによって遮断された(図33Aおよび33B)。同様に、5日間の培養後、抗原経験を示すCD45RAの発現からCD45ROへの偏移が防止された(図33C)。VISTAは、細胞生存に影響を有さなかった。増殖の遮断と一致して、VISTA−Igで処理した細胞は、OKT3単独で見られる芽細胞ではなく、刺激されていない細胞と同様の前方および側方散乱プロファイルを有した。VISTAによって誘導された抑制が安定しているかを判定するために、細胞を抗CD3およびVISTA−Igで2日間培養し、その後、抗CD3単独に移して3日間培養した。図34Aおよび34Bに示されるように、このさらなる刺激は、抑制の救出を不可能にした。

次に、サイトカイン産生へのVISTA−Igの効果を試験した。細胞を、増加量のVISTA−Igの存在下で、プレート結合されたOKT3で5日間刺激し、その後、培養上清中の様々なサイトカインの濃度をサイトメトリービーズアレイによって測定した。わずかなレベルのIL−2、IL−4、またはIL−6のみが検出され(5pg/mL未満 )、差異は観察されなかった。しかしながら、VISTA−Igは、CD4(図35A)およびCD8(図35B)T細胞によるIL−10、TNFα、およびIFNγの産生を有意に低減させ、IL−17の産生における軽度の減少傾向があった。

T細胞のVISTA誘導抑制を克服することができた因子も試験した。抗CD28アゴニスト性抗体は、T細胞に強力な共刺激を提供するため、VISTA抑制にチャレンジするために培養物中に滴定した(図36A〜C)。より少ない量の抗CD28ではVISTAを克服することができなかったが、抗CD28を1μg/mLのコーティング濃度で包含したとき、VISTAは、増殖を遮断することができなかった。同様に、IL−2、IL−7、およびIL−15等のサイトカインを添加することにより低濃度のVISTAを克服することができたが、より高い濃度のVISTAは、50ng/mLの生理学的に高い濃度のサイトカインでも依然として抑制性であった。

したがって、VISTA−Ig融合タンパク質が、CD4およびCD8T細胞によって、IL−10、TNFα、およびIFNγの産生を著しく減少させ得るため、VISTA−Ig融合タンパク質を、炎症の負の制御因子として用いることができる。これは、次いで、免疫応答の治療的下方制御につながり、自己免疫または炎症性障害の緩和を提供し得る。

実施例24 ヒト結腸直腸癌における腫瘍浸潤白血球(TIL)でのVISTA発現ならびに病期および予後との関係 我々は、マウスTILが非常に高いレベルのVISTAを発現し、VISTAに対する抗体を遮断することにより腫瘍成長を減少させることを先に実証した(2)。我々は、ヒトにおける末梢血単核細胞(PBMC)と正常な結腸固有層単核細胞(LPMC)との両方でのVISTA発現も実証し、VISTAがヒト結腸直腸癌腫(CRC)における腫瘍浸潤白血球で発現されると仮定する。本実施例は、免疫蛍光顕微鏡検査法およびフローサイトメトリーによって、「健全な」粘膜およびペア末梢血に隣接したCRCにおけるVISTA発現の特徴付けを説明する。組織切片は、TME内のVISTA発現の構造についての有益な情報を提供する。フローサイトメトリーは、骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、樹状細胞(DC)、および制御T細胞(Treg)等のTILの頻度および活性化状態を含む、VISTA発現および非発現細胞のより広範な特徴付けを可能にする。CRCにおけるVISTA発現は、臨床的および病理学的データにも関連しており、VISTA発現と予後マーカー、例えば、腫瘍の病期との関連性を実証する。

抗体媒介性VISTA封鎖は、腫瘍成長を阻害する: 研究室内での以前の研究は、VISTAが、PD−1(1)とは無関係にT細胞上の未知の受容体に結合する強力な免疫抑制性リガンドであることを確証している。VISTAは、APCで発現されると、T細胞増殖およびサイトカイン産生を抑制する。腫瘍細胞でのVISTAの過剰発現は、ワクチン接種した宿主における防御的抗腫瘍免疫を低下させた。抗VISTAクローン13F3は、インビトロでのVISTAの抑制活性を機能的に遮断し、実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)の疾患進行を悪化させた(75)。なおもさらに、13F3投与は、膀胱腫瘍MB49、メチルコラントレン(MCA)−105線維肉腫、胸腺腫EG7、卵巣腫瘍ID8(図37)、およびB16F10黒色腫を含む複数の可移植性腫瘍系における腫瘍成長を著しく減少させた。加えて、我々は、MB49腫瘍流入領域リンパ節(LN)リンパ球由来のIFNgのELISPOTで測定したとき、VISTA媒介性腫瘍拒絶が、強化された局所的抗腫瘍T細胞応答と相関していることを確認している。

上述のマウスデータとヒトにおける癌の原因との直接翻訳関連性を実証するために、我々のグループは、炎症性腸疾患およびCRCにおける粘膜免疫学の欠陥を調査する他施設でのNIHRの資金援助を受けたCLRNに登録済みの観察的研究(REC 10/H0804/65、NIHR CRN 9929)を開始している。次に、我々は、多色フローサイトメトリーおよび機能的アッセイに用いるために腸切除検体からのLPMCの抽出を遂行した。その後、抗VISTAクローンGA1およびHC1(APS Biotech Ltd)を用いて、ヒト末梢血および固有層単球およびLin−HLA−DR+DCおよび単球におけるVISTA発現を特定し、これは、以前に記載されていない(図38)。その結果として、正常なLPMCにおける発現に加えて、我々は、VISTAが隣接したCRCにおけるTILで発現すると仮定する。

8〜10個の色蛍光支援細胞分類(FACS)抗体パネルを最適化して、サイトカインおよび転写因子発現に加えて、免疫細胞の頻度および活性化状態を判定し、これらのパネルをPBMCおよびLPMCに適用した。その後、FACSを用いて、集団特異的表面マーカーに基づいて結腸腫瘍試料中のTILの集団を区別する。例えば、ヒトMDSCは、CD11b+、CD33+、HLA−DR−であることが見出され、さらにCD14+およびCD14−サブセットに分類される。これらのVISTA陽性および陰性下位集団を、我々の研究室がこの分子のために以前に開発した2つの抗体クローン(図41、GA1およびHC1)を用いて区別する。T細胞、CD64、CD62L、腫瘍関連マクロファージ等のCD69等の活性化マーカーを、これらのVISTA陽性下位集団とVISTA陰性下位集団の間で比較する。その後、これらを、実施例29に見られるように、インビトロ条件下でさらに研究することができる。

腫瘍試料の区分をOCT中で凍結させ、その後、VISTA発現について分析する。これらをヘマトキシリン対比染色で免疫蛍光または免疫組織化学によって染色する。免疫蛍光染色は、TMEにおける他の細胞(例えば、上皮細胞、MDSC、寛容原性DC、T細胞、B細胞、および他の免疫細胞)に対して特異的な抗体に加えて、抗VISTA抗体を用いる。これは、VISTA発現細胞の微小解剖学的局在性およびTMEにおける他の細胞とのそれらの空間的相互作用を実証する。ヘマトキシリン対比染色での免疫組織化学は、腫瘍病理および形態、ならびにVISTAが異なる病理(例えば、炎症化した領域または壊死領域)にどの程度関連しているかを明らかにする。

さらに、VISTA発現を、デューク病期、病理学的TNM病期分類、ならびに神経侵襲および分化の程度等の組織学的特徴等の臨床的および病理学的データと比較して、VISTA発現が臨床転帰の代用にどの程度関連しているかを判定する。CRCにおけるCOX−2発現(デュークA:66%対デュークD:100%における「高」COX−2発現)のパラダイムを用いて、試料サイズ80(各デューク病期分類群においてn=20)は、84%の力(α=0.05)を有し、任意の2つの群の間の33%の差を検出する(76)。

世界的および臨床的に許容される様式で試料を分類することによって、この研究は、臨床的に関連性のあるデータを提供する。患者試料中のTILの特徴付けは、どの細胞がヒトにおいてVISTAを発現するか、および各サブセット内の発現が癌発症の各病期でどの程度変化し、転帰にどの程度関連しているかを概説する。例えば、ヒト卵巣癌において、FoxP3+Tregの広範囲の浸潤が、予後不良に関連していることが見出されている。この目的は、実施例29に見られるようなインビトロ研究もさらに後押しする。

実施例25 腫瘍浸潤白血球(TIL)でのVISTA発現の機能的役割 我々のマウスデータは、VISTA陽性TregがVISTA陰性Tregよりも抑制 性であることを示唆する。したがって、我々は、エフェクター免疫応答においてVISTA発現TILがVISTA陰性TILよりも抑制性であると仮定した。2つの補足法を用いてこの仮説を試験した。最初に、結腸癌および正常な対照試料由来のTAM、MDSC、DC、およびTregを、VISTA陽性サブセットとVISTA陰性サブセットに分類する。T細胞に対するこれらの細胞の抑制性または刺激性の性質をインビトロで判定し、その後、さらに機構的実験を行う。次に、VISTA発現をレトロウイルスRNAiでノックダウンさせ、これがインビトロで異なるTIL細胞型の抑制性質にどの程度影響を及ぼすかを判定する。このアプローチは、可能性のある治療法がTMEにどの程度影響を与え得るかのさらなる理解に役立つ。

我々は、VISTAがCD4+およびCD8+T細胞応答を大いに抑制することを実証した(図39)。具体的には、図39は、aCD3増殖アッセイにおいてプレート結合されたVISTA−Igを用いたインビトロアッセイにおける増殖抑制を示す。本実施例は、VISTAがTME内の異なる細胞型の機能にどの程度影響を及ぼすかをさらに試験する。結腸癌におけるVISTAの機能的役割を理解することにより、抗VISTA抗体を用いることにより可能になる抗癌治療の基盤がさらに提供される。

蛍光支援細胞分類を用いて、細胞特異的マーカーおよび活性化マーカーに基づいて、腫瘍試料由来の骨髄またはリンパ由来TIL(腫瘍関連マクロファージ、骨髄由来サプレッサー細胞、T細胞、B細胞、およびDC)の個々の集団を得る。その後、これらを、iRNAを発現するレンチウイルスまたは高レベルのVISTA、PD−L1、もしくは「空」を発現するレトロウイルスでトランスフェクトして、VISTAまたはPD−L1発現をノックダウンする。PD−L1を陽性対照として用いて、B7−CD28ファミリー内のデータコンテキストを得る。レトロウイルスベクターにおけるhVISTAの4つの特有の29mer shRNA構築物および対照の非機能性29merスクランブルshRNA構築物は、市販されている(Origene,Rockville,MD)。これらは、70%を超えるノックダウンの達成を保証する。トランスフェクション後、TILを、CFSE標識化レスポンダーT細胞との標準の混合リンパ球反応(MLR)培養物において抑制/刺激能力について試験する。サイトカイン産生も測定して、VISTAが分化にどの程度影響を与えるかを判定する。

実施例26 抗VISTA抗体のパネルのスクリーニングおよび既存の抗PD−L1 mAbとの活性比較および抗体を遮断するVISTAの特定 我々の研究室で先に産生した抗VISTA抗体が、マウスにおける腫瘍成長の軽減に有効であり、VISTAに最も近い相同体であることが証明されており、PD−L1は、黒色腫の治療のための臨床試験において既にうまく機能している。本実施例は、抗PD−L1単独またはVISTAとPD−L1封鎖の組み合わせのいずれかの有効性と比較した、インビトロでのT細胞増殖を強化する有効性についての抗VISTA抗体のパネルの試験を説明する。

PD−L1/PD−1およびCTLA−4等の免疫チェックポイント経路の役割、ならびに末期黒色腫に対する任意の有効性を有する第一の免疫学的治療であるCTLA−4封鎖(Ipilumimab)は、ヒト患者において十分に裏付けされている(77)。別の免疫学的チェックポイントタンパク質の封鎖と組み合わせて抗VISTA治療を用いることにより、抗腫瘍応答をなおさらに強化することができる。我々の研究室は、C57BL/6マウスの細胞株B16F10を用いてこの理論を試験した。その免疫原性の低さのため、B16F10は、癌に対する免疫介入に非常に困難なマウス腫瘍系も表す。VISTAでの予防的処理(−2日目)がB16F10腫瘍進行を大いに中断させた一方で、別の免疫チェックポイントタンパク質PD−L1の封鎖は、何の影響力も持たなかった(図 40)。VISTAを治療的に投与したとき(+4日目)、単一の試薬としての有効性は検出されなかった。しかしながら、。VISTA封鎖をPD−L1封鎖と組み合わせたときに、腫瘍成長への追加の影響が見られた(図40)。VISTA−IgおよびPD−L1−Igを一緒に用いてT細胞活性化を抑制したときに、より高い相乗効果がインビトロで観察された。

これらの結果は、VISTAがPD−L1と相乗作用してT細胞応答を最大限に抑制するという確信をもたらした。本実施例において、我々は、インビトロでT細胞増殖を強化する有効性について抗VISTA抗体のパネルを試験し、これを抗PD−L1単独またはVISTAとPD−L1封鎖の組み合わせと対比する。

我々は、抗VISTAのクローン、GA1およびHC1を以前に生成している。GA1 mAbでの染色が図41に示される。GA1を、ELISAにおいて、hVISTA−Igに結合するが、Igには結合しないその能力によって選択し、その後、対照形質導入細胞ではなくGFP−VISTA形質導入細胞の特異的染色によって選択した。示されるように(図41)mAb上清を用いて、GA1は、末梢血中の50%を超える単球およびわずかな割合のリンパ球に結合し、これらのすべてがVISTA−Igによって遮断される。抗ヒトVISTA抗体のより広範なパネルを生成し、VISTA経路を遮断する有効性について試験した。さらなる抗体を生成するために、我々は、マウスをVISTA発現EL4細胞株で照射し、その後、VISTA−Igで月に1回追加免疫する。力価を、Fc領域に対する応答を制御するヒトIgGに対するVISTA−Igを用いてELISAによって確認する。その後、脾臓を用いて骨髄腫を生成する。その後、ヒトPBMCを用いて上清を結合因子についてスクリーニングし、VISTA発現細胞株についてもスクリーニングする。陽性クローンをサブクローニングし、凍結保存した。各融合の初期データに基づいて、我々は、5〜10の候補結合因子を予想し、その結果、まず最初に10匹のマウスを免疫する。

抗体を、VISTA発現APCによって誘導されるT細胞応答を遮断する有効性について試験する。ヒトアフェレーシス白血球濃縮錐体(human apheresis leukocyte−enriched cone)(例えば、King’s College Hospitalから入手可能)。各試料から、我々は、典型的には、約109個のPBMCを得ることができる。多数のCD4 T細胞とミスマッチドナー由来のCD14+単球の両方をMiltenyiビーズ選択によって単離し、凍結保存する。これにより、混合リンパ球反応において抗体をスクリーニングするための比較的一貫性のある細胞集団が得られる。ヒト血中単球は、高レベルのVISTAを発現し(図41)、それ故に使用に好適な刺激集団である。T細胞の増殖応答を、対照Igに対して抗VISTA抗体の存在下でCFSE希釈によって測定する。さらに、抗PD−L1抗体が、陽性対照として有用であり、比較に有用である、十分に特徴付けられた薬剤であるため、この抗PD−L1抗体も用いる。我々は、相乗作用のためにこれら両方の試薬を一緒に用いる効果も試験し、治療薬としてこれら2つの試薬を一緒に用いることを想定する。

同様の方法を用いて、抗VISTA抗体を、K−562等のVISTA発現APC細胞株によって誘導されるT細胞応答を遮断する有効性について試験する。

さらに、抗VISTA抗体を、抗CD3刺激のVISTA−Ig抑制を遮断する能力について試験する。上の実施例3で説明されるように、VISTA(PD−L3)−Igは、停止細胞分裂によって判定すると、プレート結合された抗CD3刺激に応答して、バルク精製されたCD4+およびCD8+T細胞の増殖を抑制した(図9A〜Bを参照されたい)。

これらのアッセイで特定されたVISTA阻害性抗体を、例えば、先の実施例でさらに説明されるような癌を有する動物モデルにおける抗腫瘍応答の促進についてインビボでさらに試験する。さらに、有効性を示す抗体をヒト化して、潜在的な治療的使用のためにさらに開発することができる。

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参考文献:

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